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Ver. July. 1997

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1997.July

July 31 (Fri.)
証券不祥事と投信のナゾ
July 30 (Thr.)
ヨット維持のナゾ
July 25 (Fri.)
ヨットのクラスのナゾ
July 24 (Thr.)
日本の酒の品質表示のナゾ
July 23 (Wed.)
エンジンベルトと位相数学のナゾ
July 18 (Fri.)
趣味の雑誌の寿命のナゾ
July 17 (Thr.)
更生タイヤのナゾ
July 16 (Wed.)
タイヤの横の色マークのナゾ
July 15 (Tue.)
続天気予報のナゾ
July 9 (Wed.)
”みかか”のWCDMAのナゾ
July 4 (Fri.)
セダンとハッチバックのナゾ
July 1 (Wed.)
ADSL(電話回線高速モデム)のナゾ



July 31 (Fri.)

証券不祥事と投信のナゾ

本日の報道ではノルマ証券以外にも山の手証券に捜査が入ったようである。証券取引法および商法違反の話は証券会社では以前から常識だから、ここではまったく触れない。

最大のナゾは、どうして優秀な投資理論と豊富なインサイダー情報を持つ大手証券会社が総会屋の一任勘定で大きな損失を出したか、という点である。この点はまったく報道されていないのが不思議だ。

まず株だが、保有株の株価が下がれば当然評価損が出る。しかしそれを売らずに持っていれば損は確定しない。また株が下がればカラ売りという手がある。株価が上昇する速度に比べると、下落の速度ははるかに速い。昔からインサイダーに近いクロウトがカラ売りを好むのは能率が良いからである。先物で損をヘッジする方法もある。

他にも債券もある。例えば転換債でも株に転換せずに償還を待てばそれほど損失は大きくないはず。またバブル崩壊で株価が押している間に、米国株式はかなり上昇しているし、外国債券や外国の投資信託等では何10%という高い利回りのところがいくらでもあった。

にもかかわらず投資で失敗したのが不思議である。一般論として、この手の損失はシロウトがろうばい売り、ろうばい買いを繰り返して、原本の目減りより売買コストで喰われてしまうことが多い。そして損が重なって結局やばい国際的なデリバティブに手を出して傷を広げる、とかはセミシロウトに良くある話だ。

先日破綻した生保も、火の車になってからオフバランスの派生商品に手を出したと報道されている。デリバティブの詳細については、N債銀デリバティブのページがとてもわかりやすい。ここの市場動向金利動向などもたいへん優れている。

早い話、大手証券会社と言えども株価が全般的に押した場合の投資ノウハウに乏しい(あるいは無い)という意見がある。

証券の世界には不思議な事が多い。報道されているように一任勘定というのは違法である。当然損失補填も違法。客が窓口で”どんな銘柄がいいんですかね?”と聞いた場合、”当社としてはこの銘柄をお勧めしています”、と勧めると一括推奨と判断されれば違法である。同様に証券会社が発行する印刷物で特定の銘柄を薦めることは一括推奨で違法である。だから推奨銘柄とは絶対書いてなくて、銘柄研究とか注目銘柄とか参考銘柄としか書いてないのに気づかれたであろうか。

残念ながら我々が印刷物で特定の銘柄を薦める記事を見かけたときには、すべて終わっている。つまり、印刷される前に特定の筋が仕込む。うわさで提灯をつける筋がでてくる。そしてわれわれが記事を目にする段階では、その手の筋は売りに入っていてシロウトにはめ込むのである。

ところで外国の投資信託会社は、バブル崩壊下にもかかわらず高率の運用に成功しているのに、国内証券会社の投資信託は不調であるがなぜだろうか。以前より自己売買の損を投資信託に転嫁しているとの噂があるが真相はさだかでない。

このことに関連して7/30日のN経新聞朝刊1面に、H立製作所は500億あまりの公社債投信を解約するとある。理由は”証券会社と投資信託委託会社が運用内容について適切な情報開示をしていないと判断したため”。H立は、”情報開示のない商品には投資できない”と言っているが正論である。

”H立は昨年夏、欧米の公社債投信の運用内容に関する開示状況を独自に調査。中略、欧米並みに運用対象の公社債の全銘柄名とそれぞれの評価損益を公表するように求めてきた。しかし証券、投資信託会社側の反応が鈍かったので解約に踏み切った。”(記事のママ)とある。つまりH立は運用内容に疑惑を持っているワケである。

これに対して証券会社や投資信託会社は”一般論としては情報開示を強化する方向で検討しているが、個別の取引きにはコメントできない(ノルマ証券投資信託委託)、と明言を避けている”とあるが、何か客に開示できない不都合があるのだろうか、語るに落ちるとはこのことであろう。

私の個人的な妄想については

続インターネットテレフォンとマーケット情報
エコノミストと金利
大手町にセキュリティーホールを見る
ファーストフードのナゾと不良債権の簡単な算数
会社四季報のナゾ
生命保険のナゾ

も参照されたい。

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July 30 (Wed.)

ヨット維持のナゾ

ヨットの維持であるが、まずは税金の話である。

自動車を取得すれば税(消費税、取得税、登録費)がかかり、維持にも税金(自動車税、重量税、車検代)がかかる。走ればガソリンにも税(消費税、揮発油税、地方道路税)がかかる。典型的な多重課税であり本来は消費税導入時にいくつかの税は廃止すべきであるが、自動車ユーザーのための唯一の某圧力団体が正しく機能していないため(天下り?)に残ってしまった。

ヨットの維持には不思議な事に税金がかからない。自動車は確実に税金を取るために税法上は不動産と同じ扱いで始まった。その後も圧力団体の怠慢で税金は増える一方であった。しかし船は税法ができる前から存在したし、船関係の圧力団体は有力なのだろうか、不動産としては扱われず消費税以外の税金はかからない。船舶登録というのはあるが、税金のためというよりは保安が目的のようだ。

車検にあたる船舶検査が5年おきにある。検査といっても車検とは異なり、書類と保安設備の検査に重点があり、費用は部品代、整備費を入れても数万円以下と安い。

従って船の維持でもっともお金がかかるのが置き場所代である。公立のヨットハーバーなら格安だが、通常数年の空き待ちがある。民間だとゴルフ場並に目が飛び出るほどの入会金、保証金と会費を取られる。安くすませるには漁港に置かせてもらう方法がある。しかし漁港には漁港の礼儀やしきたりを守らなければならない。30フィート以上の船は置きにくいし、マストが高いので橋をくぐれない。

船の置き方には、バースに係留する方法と、陸置きして航海時に海に上げ下ろしする方法がある。係留だとすぐ出航できて船を別荘がわりに使えるかわり、船底にカキや海藻が付着する。毎年春に陸揚げしてカキ落としと船底塗装が必要で、費用も10万ちょっとかかる。

陸置きだと出航の度に海に降ろしてもらい、終わったら陸揚げするのでわずらわしいし、毎回の出費がある。そのかわりカキ落としの頻度が少なくて済む。トータルの出費はおおむね同じ位だろうか。

エンジンの燃料費と維持もある。クルーザーと言えども港の出入りにはエンジンを焚く。小型クルーザーだと数馬力のガソリンの船外機(アウトボード)だが、大きい船は内蔵したディーゼルエンジン(インボード)でセル一発だ。26フィートのインボードディーゼルだと年間の燃料費は1万円以下と大したことは無い。これがモーターボードだとリッター1kmのガソリンだから相当な燃料費で一円玉をまきながら走る感じだ。

エンジンのトラブルの大半はバッテリーあがりである。軽いバッテリーあがりなら、ディーゼルのデコンプ(圧縮抜き)を効かせてクランキングに勢いをつけてからデコンプを解除してやると簡単に始動する。数馬力なら手動でも始動できるが、それ以上だと別のバッテリーが必要だ。ディーゼルは始動時にけっこう電気を喰う。

オイルは約500時間毎に交換だがみんな守っていないようだ。むしろ冷却系統に注意がいる。海水で冷却するので、鋳鉄ブロックが錆びないように亜鉛プラグがあり、これを数年毎に交換することが大事。長らく運転しないと冷却水が干上がって冷却水路に塩の結晶が詰まってオーバーヒートしポンプの羽根がやられる事を2回経験した。

あとはマフラーとかプロペラシャフトのパッキング(テイルチューブ)などを10年毎に交換する。また燃料系統の水抜きを年に1度位行う。後はトイレ(ヘッド)や台所(ギャレイー)の配管とコック(弁)類を時々見ておく必要がある。エンジンの保守で一番大事なのは、月に一回は運転する事だ。

船体自体は数十年とベンツを遥かにしのぐ耐久性があり、ワックスかけなどの手入れは不要。日光にさらされる木材部品は数年毎塗装し、またロープ類も数年毎に交換するが大した費用ではない。セイル(帆)も消耗品だが、レースで勝つことさえ考えなければ10年位は持つ。

最後に忘れてならないのは船体にかける保険である。これは船体の評価額に対して料金が決まるが、10年以上の古クルーザーでも数百万の評価額になるから驚きである。26フィートクラスであれば年数万円である。

我々の船はもう10年以上前の浸水そうそう座礁して一度保険のお世話になった。以来、福岡という土地柄毎年必ず台風の来襲があるがバースの地理的条件に恵まれているせいか、マスト上端の風見が吹き飛んだのが最大の被害である。こちらのホームページを見ると'90年19号台風ではかなりの被害があったようだ。

結論として、船の維持費の大半は置き場所の料金であり、船自体の保守費用は軽自動車以下だろう。保守で最も大事な事はエンジンを定期的に運転し、頻繁に出航する事だ。

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July 25 (Fri.)

ヨットのクラスのナゾ

せまい日本、陸地はどこもかしこも地価が高い。唯一海に囲まれている事が日本の数少ない利点の特徴である。もしあなたが何の前触れもなくヨットが欲しい、ヨットに乗りたい、と思うかも知れない。そのときどうするか、について書きたい。前提として、ヨット関係の経験が無いとする。

まずヨットといってもピンからキリまである。シロウトは小さいヨットほど操縦が簡単ではないか、と思うらしいが大きな間違いである。実際に操縦が一番簡単なのは24ないし26フィートのクルーザーであって、小さなディンキーではかえって難しい。

ヨットの世界では(ごく小さい船と、豪華クルーザーを除けば)そのヨットがYマハであるか、そうでないか、という大きな分かれ目がある。Yマハは世界的ブランドであり、小さな船から豪華な船まで揃えていて、ヨット界では車のトヨタである。

従ってヨットの事を知りたければ本屋に行く前に、インターネットで情報を仕入れるかYマハの店に行ってカタログを仕入れるべきである。Yマハの船は、安全で信頼性が高く、入手しやすく売りやすいかわりに、価格が高めで船足が遅いという特徴がある。

Yマハのカタログで一番小さな船はダックリングだ。外にもOP(optimist)級など。これは小学生ヨット教室で使う船で、安全で沈(転覆すること、チンと呼ぶ)し難い。この船は、釣りや洪水対策や予備の船(テンダー)に便利な船で、クルーザーを持っていても一隻は欲しい船だ。ヨットに本格的になじむには小学生の時にこのクラスに乗るべきであろう。

これより大きいのがシングルハンド(一人乗り)のディンギーだ。このクラスは帆が一枚でスピードが出るが、簡単に沈する。シーホッパーとかミニホッパーとかレーザーとか呼ばれる類。カタログで見るととっつきやすそうであるが、乗るきっかけをつかむのが難しい。車に乗せて運べるが、マンションにはちとデカイ。

これより大きくなると470クラスが中心。もちろんシカーラという少しゆったりした船もあるが人気はいま一つである。外にもスナイプ、FJなどがある。470級は国際レースがある位で実に奥が深い。

帆はジブという前の帆と、メインスル(セイル)という後ろの帆からなるが、印象と違って船はジブで走るのである。追い風ではスピンネーカーを張れば、殆どのクルーザーを簡単にカモれる程早い。しかしこのクラスは学生も社会人と本気でレースを志すヒトの物であり、社会人のシロウトには一番縁が遠いものである。

次は小型クルーザーになる。中心はYマハではY-25とかY-26、N産ではJ-24あたりか(数字は船の長さのフィート数。J-24は国際規格で日本ではN産が生産している。日産の数少ない良い仕事の一つ)。J-24はレース向きで速いがキャビンが狭く設備が質素。Y-26はキャビンは広く設備が良いが遅い。

このクラスは小型船舶4級免許でエンジンを焚いて走るのに適しているし、スピンネーカーさえ張らなければシングルハンドで操縦可能であるし、長距離の航海も可能でレースも楽しめる(勝つことと楽しむことは別である)。個人的にはディンギーなどよりはるかに操縦しやすく、シロウト向きと思う。新艇も中古艇も一番多く流通しているのもこのクラスである。中古艇の情報はこちらにある。クルーザーの中ではカローラクラスというところか。

しかし問題は船を置く場所である。船自体は普通の社会人が数人でシェアできる価格であるが、置くところが無いか、あっても大型クルーザーと料金に大差が無い。このあたりが日本のヨット人口が増加しない原因のひとつであろう。

大型クルーザーはまず一人では操縦できないし、免許も小型船舶1級が必要。また船を出すのも、帆を張るのも数人の手間ががかかりシロウト向けではない。また船も維持費も高価であり、自営業でないと維持できないであろう。しかしキャビンは豪華で設備も良く、リッチなセイリングが楽しめる。

また、世界中にはYマハより豪華でむしろ価格が安くて優れた船がいくらでもある。特に内装のセンスなどは外国製がはるかに上等だ。外国製には喫水が浅い船とか、マストが倒せる船とか、いろいろ工夫があって面白い。

クルーザーの船形もディンキーを大きくしたように上下に薄くマストの高い船は速度重視であり、船体に厚みのある船は居住性重視である。もっとも最近の流体力学と材料学の進歩により、同じクラスでもより居住性とスピードの妥協点は高くなっている。コクピット(普段操縦する所)も古い船の後面(スターン)は閉じた感じだが、新しい船ではそのままスターンに移行した形になっていてスペースがあるが、時に後ろから波を拾う。キャビンも新しい船ほど間取りが開放的でなワンルームで明るい色使いになっている。このあたりをチェックすれば簡単に船齢が読めるだろう。

というわけで、シロウトの社会人がヨットとはどういうものか知りたければ、ディンキーより小型クルーザーに乗せてもらって雰囲気をつかむことが大事だと思う。実際に帆の張りかたや操縦の仕方を学ぶにはJ-24やY-26クラスが適当だ。従って、無理にでもこのあたりのコネを探すことが第一歩であろう。

大学受験にも王道があるように、ヨットの世界にも王道というものがある。まず幼稚園の段階で、親か親戚が持っているクルーザーというものに接する。もちろん操縦するわけではないが、その独特の揺れと雰囲気を理解する。

小学生低学年でヨット教室に通う。小学生高学年からはクルーザーの操縦やメンテを手伝う。中学高校は470クラスでレースに出る。大学生から社会人にかけては自前のJ-24クラスでレースに出る。そうして余裕ができれば大型クルーザーを購入して子供や他人に奉仕する、といったところが24金のヨットライフであろう。

次回はこの船を維持するのにどのくらい手間とカネがかかるかを書きたい。

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July 24 (Thr.)

日本の酒の品質表示のナゾ

欧米人が日本で生活して驚くのは品質表示のいい加減さである。例えば日本酒の表示などはナゾの塊である。

日本酒の品質表示は、いかに税金を取るかという事に関係しており品質との関連は薄い。佳撰、上撰、吟醸、大吟醸とランクがあるが、これには醸造用アルコール(廃糖蜜から連続式蒸留によって作られる純粋アルコール)を加えるかどうかは、まったく関係無いのである。詳細はこちらとか、こちらを見て欲しい。もっともアルコール添加が一概に悪いと言えないところが日本酒の悪いところだ。

おもしろいのは吟造酒、純粋酒、本仕込み、極上、有料、高級などの用語は禁止されているが、本造り、手造り、生一本、生酒、原酒、活性清酒、濁酒、貴醸酒、秘蔵酒は使って良いなど、まったくその基準がいい加減である。

醸造用アルコールを加えるかどうかは、純米酒(醸造用アルコール無し)と、本醸造(醸造用アルコール10%以下)とこの手の表示無し、という別の分類に寄るわけだ。本当の日本酒は米を麹で糖類に換え、同時にこれを酵母(協会酵母)がアルコールに変えるという、平行複発酵で作る。

日本が戦争中に清酒の原料米が不足した。それで当時国策会社であったR科学研究所で合成酒の開発が始まった。この研究所はビタミンや光学、原子物理学など多くの分野で有名であり、今でもその流れを引く会社(リコーなど)は多い。

で清酒を分析したところ水、アルコール、糖類、アミノ酸(グルタミン酸類)、酸(乳酸やコハク酸)、塩類、酒粕、色素、香料と水などで出来ていることがわかった。そこでビタミンで有名な鈴木博士がアミノ酸と糖類を発酵させ、各種成分を添加して合成酒を発明した。

いまでも合成酒は存在し、法律上清酒に類似した物となっているが、”銘酒”と表示されているから恐れ入る。ここの所はこちら合成酒の業界団体(日本蒸留酒酒造組合も異なるという表現があるが、合成酒に近い清酒が存在するとはとても書けないのだろう。

合成酒はまずい。そこで純粋な清酒1に対し合成酒2を混ぜる、いわゆる3倍醸造法が発明されそれは戦後蔓延し清酒の主流となった。本来は3倍増醸造なのだが3倍醸造と紛らわしいことこの上無い。しかし、それなりに税金が取れるものだから当局からお目こぼしされていたのである。これが近年、本物の洋酒が安く輸入されるようになって、やっと本来の清酒に回帰しているのである。

最近は吟醸酒などを求める方向とは別に、いかにコストを下げるかの研究も盛んである。まず糖類であるが、ヌカから酵素で作った糖類を加えた場合は、糖類添加と表示する必要がないので蔓延している。また原料を粉砕液化してアミラーゼを加えノリにしてから能率良く醸造する方法も開発されている。日本酒に関しては日本酒雑学ミニ辞典が詳しい。

表示がいい加減なことではウイスキーも同類だ。日本の法律では、特級ウイスキーであっても原酒100%である必要はまったく無い。原酒30%に水、アルコール、カラメルと味の素などの合成酒を加えた物が特級で通るのだ。日本製ウイスキーは国際的にはジャパニーズウイスキーとして、ウイスキーとは別の物として分類されている。日本製ウイスキーの原酒の大半は輸入だから、日本製ウイスキーと書けても国内産ウイスキーとは書けないのである。

まだある。A玉ワインという赤い酒は甘味果実酒と呼ばれているが、これは果実酒(ワイン)に類似したもの、というだけでワインとは全く異なり、本物のワインが殆ど入ってなくても良い。これに以前はポートワインと名前を付けていたが、ポートワインの本場の国から文句がついて、名前が変わった曰く付きの物である。

しかし果実酒と書いてあっても安心ならない。例えば、国産ブドウ使用、と書いてあっても国産ブドウが原料の50%以上ということで100%では無い。厳密に言うと日本製ワインというのは、単に日本で瓶に詰めたという意味であって、原料が日本製ということでは無い。国産もしくは国内産は中身が日本製ということらしい。

こういったことは酒に限らない。土産物でも名物はその土地で有名という意味であってその土地で作られた物である必要が無い。名産であれば、その土地の産物の可能性がある、といういい加減さである。

つまり、日本の酒の品質表示は主に戦費調達の為に税金を取るために作られた類であって、品質はまったくアテにならないと考えて良い、ということだ。こちらに酒税法による酒類の定義と分類とあるが、これを見るとウイスキーと焼酎乙類は製法上全く差が無いことになってしまう。もちろん英国ではウイスキーの定義はもっと厳しい。

ここのホームページを読むと、いろいろ微妙な表現がある。例えばブランデーの等級の事は書いてない。ブランデーのXO,VSOP,ナポレオンとかは通常熟成年数を表すが、日本では登録商標の一種とかで年数は関係無いそうである。

ところで、酒屋でどう酒を並べたら良く売れるかについてページはおもしろい。

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July 23(Wed.)

エンジンベルトと位相数学のナゾ

ちょっと前の話だが、友達の高級車のエンジンから異音がするという。見ると走行1万5千キロなのに、エンジンからキュルキュルとカラカラとベアリングの音がする。エンジンルームは新車のようにホコリひとつ無い。最近点検整備に出したという。

お察しの良い方なら原因が分かるであろう。まずベルトは張りすぎである。、マニュアルにはベルト中央を10kgで押すと1cm凹む位と書いてあるが、これはそんなに強い張りではない。ウソだと思ったら新車のベルトを押してみるとわかる。強く張っても滑るなら、いっそ新品にすべきであろう。ベルトは安い。

でその車だが、オルタネーターから音が出ていた。ベルトを張りすぎた所にスチーム洗浄したためにベアリングがやられたのである。ディーラーはベルトをパンパンに張った上にスチームを掛けて故障を作るわけで、まるでマッチポンプである。たくさんの通風口があるオルタネーターや電装品、ベアリング類は下手なスチーム洗浄で簡単に壊れてしまう。

ベルトと言えばタイミングベルトが故障の王者であろう。JAFの雑誌によると、高速道路の故障の3.8%、一般道の故障の1%がタイミングベルトに起因する故障であるという。ありふれたキー閉じ込み、バッテリーあがり、パンクなどが各10%位だから、3.8%というのは結構率が高い

タイミングベルトはクランクの回転をカムシャフトに伝える歯のついたゴムベルトである。そもそもこの部にはチェーンが使われていた。チェーンは騒音が出るし、タイミングベルトはチェーンほど厳密なカバーが要らないので、エンジンを小さくできるので、横置きFFに都合が良い。

しかしベルトは切れる。国産で10万キロ以内、ドイツ車で5万キロ以内、ラテン系の車は2,3万キロで換えなくてはいけない。タチが悪いのは、これが切れるとバルブが燃焼室内に出たままピストンに当たる。ピストンにバルブを打たないように凹みがあるものもあるが、最近の高性能、高圧縮比のエンジンはまず当たる。

ファンベルト類は切れても単にエンコするだけだが、これは切れるとエンジンが即オシャカで20万円以上のコースになるという恐ろしさである。これを嫌ってガンコにチェーンを使っているメーカーもあるし、また走行距離の長い車種ではチェーンを使っているものも多い。

私は、そのJAFの3.8%の経験者である。あれはB太で高速道路に合流するために加速していた時だった。もとより電子制御エンジンに電子制御オートマだから、オーバーレブはあり得ない。4000回転を過ぎた時であろうか、”バスッ”と何かがはずれたような音と共にエンジンが即停止した。インパネのランプが全部一斉に点灯”なんじゃこりゃ”と思った。

ヨロヨロと追突されないように路肩に車を寄せた。30分ほどでJAFが来た。JAFはタイミングベルト切れだろうと言うが、走行1万キロなので驚いていた。セルを回してオイルキャップからのぞくとカムシャフトは回っている。テンショナーの不具合でベルトの歯がずれたのである。新車そうそうエンジンがオシャカになったうちのB太は、オペルジャパンとヤナセで大変有名な故障例になったそうである。

以前タイミングベルト交換を見学したことがある。それは7万キロのマークIIで、ウォーターポンプから異音が出ていた。この車は1Gエンジンの縦置きなので、ファン、ファンベルト、補器、ベルトプーリー、フロントカバーを順にはずすとタイミングベルトが顔を出した。これをはずしてウォーターポンプを交換する。ついでにタイミングベルトも交換した。そして全てを戻したわけだが、正直言って工賃1万円ではペイしない仕事だと思った。

しかしFR車はいい。FF車は少し大変である。特にこの手の整備性が劣悪なH社の車などのファンベルトやタイミングベルトの交換は超むつかしい。

数学に位相数学(トポロジー)というのがあって、メビウスの帯とか、例えば背広を来たまま下のベストを脱ぐ問題などを扱うのだが、H社の車の整備はまさに位相幾何学の問題である。

ベルトをはずすには、さまざまカバーやマウント類を順番良くはずさなければならないが、ベルトを掛ける順番も良く考えないと位相数学にひっかかってしまってうまく行かない。H社の古いFF車をあまり見かけないのは、ボディーがすぐ錆びるのと、マウントゴム類が弱いのと、劣悪な整備性もせいだと密かににらんでいる。

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July 18(Fri.)

趣味の雑誌の寿命のナゾ

人間には寿命がある。動物にも寿命がある。都市にも、企業にも、国家にも、そして文明にも、さらに天体にも寿命がある。私見によれば、同じように趣味の雑誌にも寿命があるような気がしてきた。

雑誌の幼年期は、パイオニアの時代である。この時期のパイオニアは試練の道である。ヒトは情報を外国に求め、多くの私財をなげうち、多くの失敗を重ねるが、雑誌に登場する人物の表情は明るい。雑誌は薄く情報は断片的であるが、希望が満ちている。広告も断片的でとりとめが無い。しかし雑誌に勢いがあり、発行部数はどんどん伸びている。

雑誌が成年に達するとマスの時代になる。つまり多くのヒトや企業がその趣味に参入してくる。雑誌は毎号毎号厚みを増し、どうかすると雑誌の半分以上が広告になる。

記事は最初はビギナーの趣味の道具揃えの記事が書かれ、成熟が進むにつれてビギナーに差をつける道具揃えの記事に変化する。次第にヒトは階層化され、趣味の差別化、分化が進む。この時期の到来が早く急であるほどこの時期は短い

雑誌のたそがれの時期は結晶の時代である。まず雑誌の厚みが薄くなる。それはマスを相手にしていた企業が撤退し広告が激減するからである。記事は枯れ枝に輝く樹氷のように、 簡潔な記載、一見シンプルな道具に、とつもない努力と工夫、投資が秘められているが、あまりに結晶化された記載はビギナーにはまったく理解できない。

この時期の広告の特徴は、巻末に雑多に配列した白黒広告で、写真や説明は次第に減少し、マニアにしかわからない簡潔な記号や数字が支配的になる。また読者は高齢化し数が激減するが、高齢化した読者で初めて実現する経済的、時間的余裕のため、なかなか廃刊にならない。結晶化が徹底した雑誌ほど少数ながら忠実な読者をキープし、ますます結晶化が進行、徹底していく。

この法則に照らしてみると、CQ誌は丁度結晶の時代を迎えたところだ。無線と実験誌とかステレオ誌は長い間結晶化の時代が続いている。ラジコン技術や鉄道ジャーナルなども同様だ。

パソコン雑誌では、I/O誌が真っ先に結晶化した。ASCII誌もつい最近結晶になった所だ。DOS/Vマガジンはマスの時代後期にさしかかっている。いまはインターネット雑誌がマスの時代を迎えていると考えられる。

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July 17(Thr.)

更生タイヤのナゾ

前日はタイヤの構造についてであったが、タイヤは積層構造になっていて、それが最後に加硫釜で一体成形される仕組みを書いた。パンク修理に使うパッチプラグも硫黄を含んだゴムでできており、それが常温でも次第に相手のゴムに加硫しながら浸透し、ついには一体となる。ゴムというのは材料としては奥が深く不思議な代物であり、タイヤの材料も進歩を続けている。

というわけで、すり減ったタイヤも再生する事ができる。以前は再生タイヤと言っていたが言葉の響きが悪いので、現在では更生タイヤ、あるいは更新タイヤと言うらしい。英語ではリキャップ(recap)と言う。

手順としては古タイヤを回収する。幸いな事にトラック、バス用のタイヤは大変高価であるために回収する仕組みができている。トラック、バスは短い時間に走行距離が出て更新が速く、比較的ゴムの経年変化やキズの少ない古タイヤが回収できる。

逆に乗用車のタイヤは走行距離が伸びないのでゴムが経年変化してしまうし、新品タイヤと古タイヤとの価格差が小さい。このため走行距離が伸びる事業所や環境対策に熱心な地方公共団体以外にはメリットが薄い。大半の自家用車タイヤは、セメントなどの熱源、港湾のフェンダーなどに使われる以外は廃棄されてしまう。ゴムは硫黄を含むし熱量が高いので処理に手間がかかるらしい。

トラック、バス以上に更生タイヤが使われるのは航空機用らしい。これらは着陸時に急激に接地するために磨耗が早く、不均一な磨耗(フラットスポット)を起こしやすいので更新が早く、更生タイヤの良い市場らしい。

回収されたタイヤは徹底的に検査される。問題となるのはラジアルタイヤのサイドウオールで、この部は驚くほど弱く、この部にキズのある物は使えない。乗用車は路肩に幅寄せするので、トレッド面の磨耗の割にサイドウオールが痛んでおり、これも更生しにくい理由の一つ。また古いタイヤは紫外線やオゾンで表面が硬化しヒビが入るので使えない。

キズをチェックした後はトレッド面のゴムが削りとられて、新しいトレッド面が張られる。再び加硫釜に入れられてトレッドがタイヤと一体化して終わり。新しいタイヤを作るのに比べると実に効率が良い。もし隣にトラックやバスが来たら、タイヤを良く観察してみて欲しい。トレッド面とサイドウオールの間に数本の筋が見える。これがタイヤにトレッドを貼り付けた後である。その数から何回も更生された事が伺える。

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July 16(Wdd.)

タイヤの横の色マークのナゾ

今時の乗用車のタイヤは殆どがラジアルタイヤであるが、新品のタイヤをよく見ると直径1cm位の黄色と赤色のマークが打ってあるのに気付く。これはいったい何であろうか。

まずタイヤの作り方を理解する必要がある。まず大きなローラーの上にタイヤの内張り(ブチル系)を張る。この上にカーカスというレーヨンなどの布を張っていく。バイヤスタイヤであれば、カーカスの線維方向はローラーの方向と斜めでこれを互い違いに何枚も張っていく。ラジアルであれば、カーカスの線維方向はローラの軸方向になっているものを少数枚巻く。

バイヤスタイヤの場合、昔は職人さんがカーカスをはさみで切って巻いていた。巻いたら重なったところを鮮やかにはさみで切って端をゴム糊で固定していく。これを繰り返す。バイヤスタイヤには4プライとか横に書いてある。これは昔カーカスが綿でできていた時にそれを重ねた枚数である。今のレーヨンは綿より強いので、実際巻かれる枚数はプライ数より少ない。

バイヤスタイヤの場合はこれにトレッドのゴムを張って、ビードと言われるホイールに固定するための鋼線のワッカをはめて加硫釜に入れて型を決めれば完成である。ゴムの利点は、硫黄によってゴムの分子にS−S結合が生じ、構造物が自由な形に一体形成できる事である。つまり、タイヤを作るには構造物を重ねてゆき、最後に加硫釜で一体化するわけだ。

ラジアルタイヤの場合はカーカスの巻き数は少なく、変わりにローラの軸と直角方向に鋼線、ナイロン、ケブラーからなるベルトと呼ばれる丈夫な構造物を巻くことになる。最後は同じようにビードとトレッドゴムを付けて加硫釜にいれて成形する。

バイヤスタイヤは風船のように全体で強度を分散するが、ラジアルタイヤではトレッド方向の荷重はベルトで受けるので、サイドウオールは薄くて軟らかい。トレッド面がベルトで強く拘束されているのでトレッドの動きが少なく燃費が良く寿命が長い。ベルトが強靱なため路面の凹凸をひろい易いので、サイドウオールを軟らかくしてある。従ってラジアルタイヤのサイドウオールにキズが付くと、簡単にパンクする。

ということは、バイヤスタイヤではカーカスの重なった部分とそうでない部分ができてしまう。優秀な職人さんはカーカスの巻きはじめを円周方向に上手に分散させていたそうだ。ラジアルタイヤでも同様に、カーカスだけでなく今度はベルトの重なり部分ができてしまう。

ということは、どうしてもタイヤの円周方向に軽い所と重い(あるいは堅い)所ができてしまう。その一番軽い所に黄色い丸のマークが、一番堅い所に赤いマークが打ってあるようだ。

タイヤをホイールにはめるときに、黄色いマークにアルミホイールの一番重い部分(空気入れのバルブ)を合わせると、重量バランスが良くなる。従ってホイールバランスのおもりが軽くてすむ。逆に赤いマークと黄色いマークが近接しているときには少し工夫が要る。このあたりを結構いいかげんに組むタイヤショップがあるので注意が必要だ。あなたのタイヤはちゃんと組んであるだろうか。

このように、一見均一に見えるタイヤであっても、内部構造には結構ムラがある。だから新車に5本タイヤがついてきても、均一なタイヤとそうで無いタイヤがある。見分け方としては、ホイールバランス用のおもりが軽いものが上等である可能性が高いので、これを前輪に使うとシミーが出にくい。国産タイヤは性能(というよりは哲学)にはいろいろ問題があるが、概して均一性は優れていると言われている。

さらに加硫釜で一体成形されたタイヤであっても、微妙に内部の構造物は動く。タイヤの回転方向によっては、走行中にカーカスやベルトが締まったり緩んだりするので、走行方向が指定されている理由の一つがこれである(もうひとつの理由はトレッドパターン)。また新品の頃は内部の構造物が動き易いので、内部構造が落ち着くまでならし運転が必要になる。もうひとつの理由は新品タイヤのゴム表面は硬化しているからである。つまりタイヤや生き物ということ。

さらに高速になるとベルトの両側が膨らんできてトレッドが平滑で無くなる。また遠心力によってベルトが膨らんで緩む可能性がある。従って超高級タイヤではベルトがつなぎ目の無い一体構造の物がある。またベルト両側を折り返して強度をあげた物もある。

最後にタイヤの色が黒いのはカーボンブラックという炭素のコナを入れると磨耗しにくくなるから。白いタイヤが普及しないのはこのせいだ。炭素もその分子が長い鎖を作っている物ほど性能がすぐれているらしい。最近ではシリカやセラミック粉などの発達で黒くなくても性能の良いタイヤが登場している。意外と21世紀にはタイヤはみんな白くなるかも知れない。

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July 15(Tue.)

続天気予報のナゾ

更新が滞るとお叱りをいただくことがある。最近も12日(土)に北部九州業界団体の懇親野球大会の幹事をしていたので更新が遅れてしまった。またまた週間天気予報に悩まされた。

天気予報については、

April 3,1997 (Thr.)
天気予報のナゾ

に書いた。その中で、”気候の変化が激しい時には、予報の変更が実際よりどんどん遅れることである。いったん出した予報はなぜか既成事実のように居座り、どうしたわけか必要以上にその後の予報に影響を与えるようだ。”と書いたのだが、今回もまさにその通りであった。

今週はじめの週間予報は、12日(土)、13日(日)は晴れであった。今週はずっと記録的な大雨で各地に災害が出ていた。こちらも衛星画像を調べるが、どう考えても12日に晴れる様子はない。12日の野球大会は準備万端であるが当日雨が降ればすべてパーである。

しかしK象庁の週間予報は10日中まで12日,13日は晴れのままである。雨は一向にあがる気配がない。衛星画像では12日の天気はさらに絶望的だが、なぜか週間予報は変わる気配が無い。

それが11日の午後になって週間予報は12日が曇り、13日が晴れに変わった。この時点で我々は週間予報を信用せずに、衛星画像から12日雨と判断して野球中止を決め、代わりにボウリング場を手配した。

さらに11日夕方になって週間予報がやっとのこと12日、13日が雨100%になった。この時点で野球場も長雨で野球場が傷んでおり使用不能と判断した。たとえ12日が晴れても野球はできないのである。

結局12日は終日雨で、幸いボウリング大会の手配のおかげで業界各位からは軽いお叱りで済んだ。業界各位は早朝野球練習を続けて来ている。K象庁を信用せずボウリングを早めに手配していたおかげで各位が大爆発せずに済んだのである。

話はさらに続く。K象庁は12日昼の短期予報では13日は雨100%と言っていた。しかし衛星画像を見ると雨100%とは言えず”曇り時々雨”程度であった。しかしK象庁は12日夜まで13日は雨100%の予報のままであった。はたして13日は終日晴れであった。K象庁は再度間違ったのであった。

こうしてみると、前回”臨機応変に予報を変えていくことができないのは、役所の中に何らかの内部事情があるのだろうか?”と書いたが、今もそう思う。

もしあなたが幹事をやっていて、天気が心配なら天気予報より衛星画像の方を信用したほうが良い。結局衛星画像で雲の無いところには雨は降らないのである。

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July 9(Wed.)

”みかか”のWCDMAのナゾ

さて、みかか(”みかか”が何を指すかわからない人はキーボードの表示を見て欲しい)のCDMAに関しては、今まで何度も書いている。近いところでは

March 23,1997 (Sun.)
今日の一言自己採点

を読んで貰うとおもしろいと思う。さて最近の日経新聞によると、国内通信会社T社と国際通信会社K社は、次世代の携帯電話規格として、みかかのWCDMAを採用すると発表した。これはSルラーといDOがQアルコム方式(CDMA-ONE,ISA-95)を採用するというのと好対照である。なぜCDMAが騒がしいのか、時系列を追って過去を振り返ってみたい。

まず現状のデジタル携帯電話の規格は世界で3種類ある。米国規格(アナログ・デジタル両用端末)、ヨーロッパではGSM、日本ではPDCという規格である。これらは細部は異なっているが原理は同一だ。まず音声はLPCと呼ばれる圧縮技術で圧縮される。これをQPSKという方法で電波に載せる。電波はTDMAといって、例えば同一の送信周波数を時分割で基地局と複数の端末で共有する。

ところが細部が異なる為、同じ端末が世界中で使えない。そこでITUという国際機関で2000年に国際的に規格統一化することになった。当初みかかはITU-2000に現行のPDC規格をプッシュしていたのである。PDC規格は周波数の幅を細かく取り、音声圧縮の程度を上げて、現在のところ音質こそ悪いが、同一基地局に一番多くの端末数を押し込むことが可能である。

ところが米国でQアルコムの開発したCDMAが急速に進歩した。この方法は比較的広い周波数範囲に信号をばらまく方式で、混信に強く、基地局の乗り換えもスムーズで、また特定の端末に大きな情報量を割り振ることが可能である。さまざまな技術的問題をQアルコムは予想を上回るペースで解決、多くの特許を取得し、世界各地で実用化が始まってしまった。

これを見たみかかが持ち出したのがWCDMAである。原理はQアルコムと同一であるが、さらに広い周波数に信号を拡散し、さらに大きな情報量を端末に割り振ることが可能になるという。これを実現するために、みかかはQアルコム方式のスライディング相関器ではなくて、Y社とマッチドフィルターを開発するなどかなり努力した。それはそれで立派な事である。たとえITU-2000に採用されずとも、CDMA技術は今後の無線LANやPCSで重要な基本技術となるからである。

しかし多くの報道では、Qアルコム社はWCDMAを実用化する上で重要な出力コントロール技術やRAKE受信機によるソフトハンドオフ(移動につれておこる基地局の切り替えを、音声の中断なくスムーズにするシカケ)などに多くの基本特許を押さえており、これらの特許に抵触せずにWCDMAの実用化は困難であると見られている。

さらにすでに実用化されているQアルコム方式に比べ、みかかのWCDMAはこちらの記載によると現時点では回線シュミレーターを介しての送受信のみで、複数の基地局のハンドオーバーや干渉除去など携帯電話でもっとも重要な実証実験は屋外はおろか、室内でもまだ始まっていない。特許問題をはじめ、WCDMAの実用化に対する疑念がわき起こった。同時に、国内の携帯電話販売はみかかのひとり勝ちであることや、閉鎖的なPDC開発環境などから、国内携帯電話業者からもみかかとそのWCDMAに疑念が起きた。

おりもおり、米国ではMトローラとQアルコムは携帯端末の形の訴訟合戦をやめて、Qアルコム方式を拡張した方式WCDMA-ONE をITU-2000に提案することを決めた。また国内でもSルラーといDOはQアルコム方式を次世代携帯電話に採用することに決めた。

そこでみかかは2回目の方針変更である。まず独自のWCDMAの基本的な部分は放棄して、Qアルコム方式を基本技術として独自の拡張を加える、と言い出した。この詳細はまったく不明であるが、とにかくこれで特許問題を回避しつつ、みかかの独自性を出そうという作戦と思われた。この時期、みかかのWCDMAの将来に赤信号がともった。

しかしその後政治的な動きが強まる。米国では仲の悪いことで有名なMトローラとQアルコムが組んだだけではなく、カナダのNーザンテレコムとRーセントテクノロジーが共同して、WCDMA-ONEを強力にプッシュし始めた。欧州のGSM方式は日米のCDMA技術に比べ将来性に乏しくGSM方式をITU-2000にプッシュするのは難しいと見た、北欧EリクソンとNキアが日本のWCDMAに協力する、と言い出したのである。このままだと米国WCDMA-ONEに欧州も席巻されてしまう、と読んだのであろう。

日本でもDジタルやTーカーの軍勢はQアルコムよりみかかの方になびいている。PDCと同じ轍を踏むと思われる疑問の残る対応だ。一方日本メーカーには動揺が広がる。ITU-2000がまとまるかどうかは別として、世界中で実用化が先行しているQアルコム方式とWCDMA-ONEの優位は明白と思われるので、ほとんどの日本メーカーはすでにQアルコムと端末開発の契約を結んでいる。

しかし国内ではみかかの意向に逆らえない。みかかの独自方式に寄りすぎると、Qアルコムとの関係が冷却し、世界市場を失う可能性がある。かといってQアルコムにすり寄ると、みかかとの商売が危ういU政省6/ 3付:「次世代移動通信システムに関する調査研究会」の報告もQアルコム方式の発展型と、みかかのWCDMAのどちらをITU-2000に提案するか、決めかねている。

さて私の読みは、やはり国内ではみかかがゴリ押しでWCDMAを進めると見る。しかし基本特許問題であえなく躓くと見る。みかかは、CDMAにおけるQアルコムの知的所有権を甘く見ているような気がする。そこのところは、みかかも気になるらしく、将来のWCDMA端末はWCDMAとQアルコム方式の両用をはかるとか言っていて、保険をかけているのだろうか、意味不明である。また、みかか自体も国内に非関税障壁を作ってしまうと、自らの国際的ビジネスも不可能になることに気付いている。さてどうなることやら。

注意!以上の記載は、おとぎ話である。

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July 4(Mon.)

セダンとハッチバックのナゾ

テレビでN産の新型L車を宣伝していたが変なデザインである。とにかく後ろのガラスが寝過ぎである。N産によれば前の型は後ろのガラスが立ちすぎて売れなかった。前の前の型はガラスが寝ていて売れた。だから今度はガラスを寝かしたとか。

恐るべき勘違いである。前の型が売れなかったのはガラスが立っていたからでなく全般的デザインがダメだったからである。前の前の型が売れたのは全般的なデザインが当時の流行(小さなグリーンハウスと水平基調)に合っていたにすぎない。セダンについては

April 25,1997 (Fri.)
セダンのナゾ

にも書いたが、後ろのガラスを寝かすと後席空間が狭くなり困る。そこでウエストレベルを後ろ上がりに上げてグリーンハウスが小さいかのように見せて、実はウエストライン以下の板金部が上下にぼってりと厚く、ここで室内空間を稼ぐ。後席は穴蔵に入ったようにウエストラインが高いくせに、寝過ぎたガラスからは真夏の日射が容赦なくパッセンジャーの頭を焦がす。ドアはなぜか耳ばかりが大きい上にCピラーが寝ていて乗降性は最悪である。

何のことは無い前の型のマークIIがやっていた手である。賢いTヨタは今度のマークII兄弟(特にクレスタ)ではちゃんとグリーンハウスを大きく修正している。N産はトヨタが放棄した1世代前デザインを追っているワケ。L車も本当はグリーンハウスを大きくし、さらにラインアップにワゴンを加えるべきであった。

最近の自動車雑誌には”メルセデスの中古車特集”という記事が多い。バブル末期の中古車が大量に供給されている。記事には、若干メンテに金を掛ければ買い得とある。

浅はかな私は早速近所の外車屋へ。なるほど4発(230Eあたり)なら91年式で200万を割っている。”ビータなら高く下取りしますよ”との言葉を後に帰宅。

ところが配偶者から客用折り畳みベッドを買いに行くように命令が下った。家具屋に行くとベッドは135cmx100cmx30cmと結構大きい。これがビータに難なく納まり店員も驚いた。以前は戸板を運んだ事もある。

その点セダンは狭い。まず17インチディスプレーが後席にもトランクにも納まらない。ディスプレーを箱から出して後席に置き、箱はつぶしてトランクで運んだ。友達がマック588を買いに行った時も、彼の大型セダンには入らず、結局ビータで運んだ。DIYや園芸の買い出しではセダンはまったく無力で、ハッチバックの軽(キャロル)で運んでいた。やはり一家に一台はハッチバックかワゴンがあると便利である。

格安メルセデスセダンはおあずけである。中古のメルセデスワゴンは玉不足であり、同年式のセダンより50ないし100万も高く中古車のメリットが薄くなる。

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July 2 (Mon.)

ADSL(電話回線高速モデム)のナゾ

何やら最近ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)という通常の電話回線に高速データ(最大9Mbps)を乗せる技術が話題である。一言で言えば通常の電話回線に音声より高い周波数を乗せて高速通信しようという規格。

周波数の範囲は、会話用の約4KHz以下の帯域の上に4KHzから2.2MHzまでのデータ帯域を設定する。これを上がり方向と下り方向の帯域にわけ、上がり方向には640kbps、下り方向には数Mbpsの速度が出ると言う。変調には電話用モデムで用いられるような多相多値の複雑な変調方式、圧縮技術、プロトコール技術を用いる。

通信帯域とデータ転送速度の間にはシャノンの定理がある。現状の電話回線モデムは最速で全二重33.6kbpsであり、シャノンの定理から計算してもかなり限界に近い。ADSLでは帯域が約500倍になるから、単純計算では16Mbpsになるが実際の速度は数Mbpsに落ち着くらしい。

でなぜこんな規格が出たかというと、インターネットや有線ビデオ配給(VOD、video on demand)の為に全ての家庭にISDNを引くのは困難。そこで電話のアナログ帯域を拡大すれば、設備の僅かな改変だけで簡単にISDNを上回るスピードが出るという楽観的な理由による。

当然問題もある。古い紙やゴムのプアな絶縁の電線が高い周波数に耐えられるかである。デジタルデーターは多相多値の変調によってアナログ信号として送られるわけで、アナログ信号は回線の品質、距離、ノイズやクロストーク(漏話)によって劣化するので、速度が低下する可能性がある。また複雑な交換機のシステムでメガヘルツオーダーの広い帯域を確保しなければならない。

そこで米国では一般公衆回線よりは、アナログ専用回線による通信や、"Last Mile"と言われる電話局と契約者間のインターネットやVOD通信、構内通信などを念頭に置いているようだ。つまり現在の33.6Kbps公衆回線モデムのような交換機を通過する使われ方ではなくて、短距離のモデム対モデム通信を念頭に置いている。通信品質の保証という面でもIDSNに比べると問題があり、安定したバックボーンにはISDNが適している。

前置きはこれくらいにして、おもしろいのは”みかか”の対応である。ISDN化を進めるみかかにとっては、当初ADSLは迷惑な代物であった。ニュースリソースを追うと、みかかは”ASDLは電話回線の質や距離によっては不安定である。また回線設置状態によってはISDNのデジタルデータとクロストークを起こす”と悲観的に言ってサービスインには否定的であった

ところが最近の報道によると、みかかは限定的ながらサービスする方向に変化したようだ。あれほど問題があるといっていたISDNとの干渉も問題無いと劇的に言うことが変わっている。以前と違って最近のみかかは”耳”が良くなったようである。おそらく分離分割、米国での営業、2000年ITU問題などで、以前より周りを気にするようになったと思われる。この件に関しては、

March 23,1997 (Sun.)
今日の一言自己採点
March 20,1997 (Thr.)
受話器の長さのナゾ
Jan. 12,1997 (Sun.)
続スペクトラム拡散通信(CDMA)
Jan.1,1997 (Wed.)
スペクトラム拡散通信CDMA

を参照して欲しい。

ただ一般的な技術者はASDLを”ISDN技術が低廉化、普及するまでのツナギ”と見ているが、誰も将来のことなんか読めないのである。例えばISDNは、有線モデムが高々2400bps程度の速度だったときから”有線モデムはISDNが普及するまでのツナギ”とずっと言われて来た。しかし実際には4800,9600,14400,28800,33600,56000、そしてASDLと進化しており、速度ではISDNを越えている面がある。結構人間は過去の遺産にしがみつくものだ。だから結構ASDLがのさばる予感がする。

そういった話は鉄道などでも見受けられる。以前は線路と車輪を利用した鉄道は時速250kmを越えられない、と言われてきた。250km/hを越えると線路と車輪の間の粘着が得られず空転するからである。ところが事実として”のぞみ500”はすでに時速300km/hで営業しているし、フランスのTGVの試験車両は時速500km/hを越えている。こういったことから”○○XXは技術上不可能である”という文面を見たら眉にツバを塗ってみるのも必要である。のぞみ500については、

続々、新幹線"のぞみ”の横揺れとスカイフック理論のナゾ
May 28,1997 (Wed.)
続、新幹線"のぞみ”の横揺れとボルスタレス台車のナゾ
Feb. 25,1997 (Tue.)
新幹線"のぞみ”の横揺れのナゾ

を参照して欲しい。

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