米国同時テロ、NY現地レポート

 ニューヨーク在住のコアラメンバー田中秀憲さんから、テロ事件当時の様子が届きました。

 朝、シャワーを浴びていたらアパートがかすかに揺れる。
 またどこかで交通事故か?。
 しばし後に廊下で騒がしい話し声。覗いてみれば隣人全てが顔面蒼白で話をしている。
 ???

 急ぎテレビを付けて事の次第が分かった。信じられない気持ちで屋上へ。
2kmも離れていないマンハッタンの貿易センタービルはもうもうと黒い煙を吐きながら所々で蛇の舌のようにちろちろとオレンジの炎を吐き出している。部屋に戻ってネットにアクセス。しかしどこも繋がらない。

 ラインの電話回線はもとより携帯電話でのワイヤレス通信も不可能。どうする?

 テレビは電波塔でもあるビルが倒れたために、放送しているのは一局のみ。厳しい報道管制もひかれているようだ。画面はまるでボスニアか中東か?、とてもマンハッタンとは思えない。

 被害が一度に多くの地域で起こったため、報道も混乱を来しており、見てても要領を得ない。アナウンサーは絶叫するのみで詳細を伝えてくれない。

 再度屋上へ上がって愕然とする。

 、、、無い!?

 そびえ立つはずのビルは二つとも消え去っている。煙の向こうに隠れているのか?

 否、明らかに無い。

 屋上に上がって気がついた。いつもならば見上げるだけで数十機は見つけることの出来る航空機は一つも見えない。いったいどうなっている?なにがなんだか分からない。

 しばしの後にインターネットにアクセスが可能になる。
 撮った写真は最後のツインタワーの姿を留めていた。
 日本へのメールのやりとりの後、知人の安否の確認。幸いにして友人達には不幸な出来事はないようだ。

 電話が日本と繋がって報道機関へレポートを出す頃になると、日本では報道されていないらしいこともいろいろと分かってくる。

 なんと11機の同時ハイジャック-テロ。未だ不明機は数機あり墜落した中には軍用機との交信を無視したために空軍に撃墜された機もあったとのこと。航空機の激突の後にも同じ地域で爆弾と思われる爆発が二回あり、ビルの倒壊も進んでいる。

 レポートを送るごとに被害は広がっている。全ての都市機能は麻痺状態。マンハッタンは事実上の戒厳令でブルックリンの我が家のまわりでさえ車での移動すら出来ない。文字通り浮かぶ孤島となったマンハッタンは午後遅くになるまで脱出経路の確保すら確認できなかった。

 最初の激突からほぼ12時間経っても混乱は極みを続けている。

 二機目の激突のために救援部隊に大きな被害が出ており、適切な対応が難しいとの報道もある。

 血液の不足のために輸血を呼びかけるが、献血する人を受け入れる余裕が病院側にない。

 夜になり日が暮れていけばますます救援は難しくなる。

 ゴジラで、アルマゲドンで、ゴーストバスターズでマンハッタンは何度も壊滅させられてきたが、翌朝出勤するときには相変わらず美しい姿を見せてくれていた。ほんとに明日も貿易センタービルは失われたままなのであろうか?当はちゃんと建っているのではないだろうか?悪い夢を見ているとしか思えない。

 映画「パールハーバー」公開後とあって、真珠湾攻撃以来の奇襲だと言われる中、報復への気運は着実に高まっている。

 旅客機を細いビルにぶつけるほどの高い技術を持つパイロットを訓練して、かつ決死に追い込む程の信じられないテロリスト達。奪取された機種は多くが757か767。一度に多くのパイロットを教育したのか?。またほぼ同時酷にテロリズムを実行するための綿密かつ高等な戦略を練ることの出来る相手にアメリカはどう立ち向かうのか?折しも失業率は伸びていき株価は低迷を続け、米国経済を新たに立て直すのに戦争はまたとない機会だろう。奇しくも父親のブッシュが湾岸で経済を立て直したことを覚えている米国民は和平へ尽力したクリントン政権が終わると同時に、新たな抗争への道をひたすらにまっすぐ突き進んでいるように思える。

 未曾有の大惨事の陰に、世界経済の再編まで視野に入れた戦争へのシナリオが次第に見え隠れして来ているように思える。

田中秀憲@NYC


Reported by 田中秀憲(hyde@nycoara.com) 2001.09.12


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