食物アレルギー

 遺伝子組み換え食品、食品添加物、残留農薬、などを筆頭に、欧米化された食事、高カロリーのファーストフードと肥満の危険、インスタント食品やレトルト食品など調理済み食品の増加、朝食をとらない人が増えたり、孤食など、生活スタイルの変化ともあいまって、“食”の問題は、私達の食生活が豊かになった分だけ、問題も多岐に渡っています。それらの問題とアレルギーの増加についての直接の関連性についてはさておき、食物アレルギーの問題がますます複雑化してきているのは事実です。今回は、低年齢化し、多様化してきている“食物アレルギー”についてのべましょう。

食物アレルギーの症状
 
食物アレルギーによって引き起こされる症状には色々なものがあります。症状からはなかなか食物アレルギーの診断が付き難い場合もあります。多彩な症状をいくつかに分けてみると、次のようになります。
1、 皮膚粘膜症状・・・・蕁麻疹、発赤疹、眼結膜充血、掻痒感、眼けん浮腫、
2、 消化器症状・・・・・悪心、嘔吐、下痢、疝痛発作、粘血便、
3、 上気道症状・・・・・口腔粘膜や咽頭の掻痒感、違和感、
4、 下気道症状・・・・・咳、喘鳴、呼吸困難
5、 全身性症状・・・・・ショック、血圧低下、意識障害、活動性の低下
新しいタイプの症状として、
6、 口腔アレルギー症候群
  幼児、学童、特に成人女性に多いといわれ、キウイ、メロン、モモ、パイナップル、リンゴ或いは野菜などで口腔内  の発赤や蕁麻疹などがみられ、時にショック症状を起こすこともあります。
7食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
  ある特定の食物と運動の組み合わせで蕁麻疹から始まりショックに至る 
  ものもあります。
 これらの症状が食物アレルギーによるものと気ずかずに、その食物をとり続けると、症状は次第に重症化していくので、早期に食物アレルギーを疑ってみることも必要です。

食物アレルギーの原因
 
小児の食物アレルギーは、乳幼児期に最も多く発症し、アレルギーの原因物質をアレルゲンといいますが、そのアレルゲンは卵、牛乳、小麦、大豆が多く、ピーナツ、肉類、魚類も増加傾向にあります。最近、離乳食の開始が早くなる傾向にありますが、卵や卵を含む食品を与えるのは成るべく遅いほうが良いと考えています。赤ちゃんの両親に何らかのアレルギーがあったり、兄妹にアトピーなどのアレルギー疾患がある場合は、1歳までは卵そのものも控えたほうがいいでしょう。母体に付いても、アレルギーが有る人や上の子にすでにアレルギーがある場合は妊娠中から卵や牛乳の摂取には注意が必要です。
 食物アレルギーに限らず、アレルギー反応はある日突然起こってくることも多く、昨日まで卵を食べても平気だった赤ちゃんが、次の日には全身が真っ赤になるような強い蕁麻疹の症状を起こす事もあります。食物を食べて何回目でアレルギーを起こすかは全くわかりません。
 しかし、小児の食物アレルギーの特徴は、自然寛解していく事が多いということです。1才時に食物アレルギーと診断されてもその約9割は小学校入学までに消失すると言われています。
 それに対し成人型ではアレルゲンは海老、かに、魚類、果物などが多く、耐性を獲得することは少なく一生その食物に対するアレルギーが続きます。その中間型としてそば、ごまがあり、耐性が獲得されにくいようです。       
平成10年の厚生省の調査では、食物アレルギー全体の原因として最も多いのは、鶏卵、ついで牛乳、小麦、魚類、、そば、えび、果物、ピーナッツ、大豆の順となっています。

食物アレルギーの診断
 まず、先に述べた症状から食物アレルギーが疑われる場合、詳しい病歴が必要です。蕁麻疹の症状を示す場合など、食物アレルギーをふくめ原因が特定できない事が多いのです。
 病歴は、乳幼児の場合は母乳か人工乳かは勿論、食生活、生活習慣、環境因子、家族歴の調査をおこないます。病歴から食物アレルギーが疑われ、原因食物が判明したら、その原因アレルゲンの決定のために血液検査や皮膚テストが行われます。
 アレルゲンが見つかった場合には、まずその食物の除去を1ム2週間行って、症状の改善が得られるかどうかを観察します。この時食べたものの詳しいデータと、症状を日記として記録しておくと、とても有用です。
 原因となる食物が決定したら、治療として除去食を始めるわけですが、原因となる食物が多い場合は、何か少しでも食べれる物が無いか調べるために、いくつかのトライ(負荷試験)が行われることもあります。しかし、この負荷試験は、アレルゲンを投与する訳ですから当然アレルギーによるショックを引き起こすこともあり、厳重な監視のもとに行われる事は言うまでも有りません。

治療の実際
 日常の治療のポイントは、正しい診断に基づいて必要最低限の食物除去を行うことです。アレルゲンがどのような食物に入っているかを知り、栄養の点から、必ず代用食品を用意して、小児の発達、成長に影響が無いようにすることです。
もうひとつの大きなポイントは、食物による即時型アレルギーに対する治療です。この即時型アレルギーは、原因食物を摂取して2時間以内におこるのが殆どで、皮膚の発疹、吐気や嘔吐、腹痛、咳、喘鳴等がみられ、その約1/3はショックに陥り、速やかに治療を受けなければ死に至る事が有る危険な反応です。この即時型アレルギーで、咳や喘鳴がある場合は特にショック状態となる危険が高いので、できるだけ早く病院を受診して下さい。

食物アレルギーの予後
 乳児期発症の食物アレルギーは90%程度はそのアレルゲンの除去のみで自然寛解します。寛解の高い順に大豆、小麦、牛乳、鶏卵となります。
症状が続く場合は、学校給食との連携も必要になりますし、自分だけ違ったものを食べることに対するストレスにも配慮が必要です。

アレルギー物質を含む食品表示に関して
 厚生労働省は平成14年4月より、食物アレルギーによる健康被害をできるだけ未然に防ぐ為に、アレルギー物質を含む食品表示を義務化しています。
 食物アレルギーの症例が多い事から、微量混入、添加物のレベルまで表示の義務があるのは、1、卵、 2、乳または乳製品、 3小麦、 4、そば、 5ピーナッツ の5品目です。他に、表示を奨励されている特定材料は、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、カニ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、リンゴ、ゼラチン があります。
 食物アレルギーは、今後も増加していくと思われ、微量混入、添加物の表示は量、質ともに拡大して情報を公開する必要があります。

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