編集発行人 コサカが贈る勝手きままな
つれづれ日記です。ハッピーな日もブルーな日も
美味しい珈琲で、一息いれてください。

11月10日 大坊勝次さんの話 前編     



森光宗男メモリアルコンサート
2017年11月6日18時30分〜19時5分 
第一部:森光宗男さんを偲んで 
     ゲスト:大坊勝次 聞き手:小坂章子


小坂:皆さん、こんにちは。今日は大坊勝次さんを
お招きして、森光宗男マスターの思い出について
語っていきたいと思います。よろしくお願いします。
大坊さん、一言。
大坊:大坊です。・・・よろしくお願いします。
小坂:まずは2015年に中国のインターネットの会社
「一条」が手がけた「美美」の映像を皆さんと一緒に
観てから、お話にうつりたいと思います。     

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

<映像にて、森光さんの言葉>

「一店舗だけ、支店は持ちません。
 自分の目の届く範囲に一店舗だけです。
 私は、福岡の南の方にある久留米で生まれました。
 高校を卒業して上京して、東京の『もか』という珈琲屋に
 入って5年間修行して、帰ってきてお店を持ったわけです」

「生活スタイルって、まあ自分は珈琲でしか、
 たとえば旅行もしたことないし、まあ逆にいえば
 珈琲の歴史の国とか生産地とか、大体一年おきに
 一回は行ってますね。多くの方が私を助けてくれました。
 エチオピアに行って、ヤンニ・ジョリガレスという方が
 非常に私を気に入ってくれて、私なんかこんな
 小さい店をしてても何かやってくれるんだよね。
 本当に、使える量も少ないのに、
 大きな会社と同じような扱いをやってくれて」

「毎日毎日同じことなんだけれども、
 やり続けるっていうのは
 いちばん大切な職人の姿勢です。
 私は、生産地から抽出までやります。
 だから途中は手を抜かない。
 焙煎機は、半分が直火で半分が熱風です。
 インバータといって回転数がかえられるんです。
 そういうことでできるだけ日本の飯ごう炊飯の
 炊き方に近づけています。
 始めチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら
 火を引いて・・・というように、薪で炊いたごはんに
 かなうものはないと思うんだけど、
 それは昔から日本人が培ってきた知恵ですね」

「お店は、小さい方がいいんじゃないですかね。
 おそらくカウンターだけぐらいの店がいちばん、
 お客さんとの味の対決、味覚の対決というのはできる。
 でも焙煎機ひとつにしても豆にしても安いもんじゃないし、
 内装まで心地いいものにしようと思ったら
 お金はかかるわけですね。だからある程度の規模を
 やっぱり維持しないといけないんですが、 
 それはひとりで珈琲を作っていていきわたる、
 それが私が続けてきた広さです」

「より澄んでいる珈琲がいいと思います。
 力強くて、内容は静かな珈琲ですね。
 感動した珈琲のいれ方でないと感動は生まれません。
 だからネルドリップで感動したのに、
 ペーパーフィルターでいれてるなんて人は、
 僕は信用をおきません。
 珈琲もね、出会いは一度しかないですね。
 それはもう初恋と同じですね。その時がいちばんいい。
 それを毎回感じられるかというと、そんなことできない。
 感動するものは一期一会だと思います」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 


小坂:いい映像ですね。今日大坊さんをお招きしたのは、
森光さんと大坊さんのおふたりの対談本を私が企画しまして、
ずっと完成に向けて動いているところなんですよね。
でも、まだできてませんね(会場笑)。
大坊:ええ、何か話しますけども、すごくきれいな映像が
ながれてましたし、森光さんのおっしゃることは
一つひとつ心にしみますねえ。
私がこれからつまらない話をするかもしれませんが、
今のうちに謝っておきますので勘弁してください。
小坂:いえいえ、今日、大坊さんは天草を経由して
いらっしゃったそうですが、天草は何をしに?
大坊:ええ、天草は、陶石の街として有名なんですが、
それを陶磁器の街にしようという一種の街起こしでしょう
けども、15年程前から陶磁器展を中心にやっていまして、
それに珈琲をドッキングしようと。
で、私は3年前から珈琲を作りに行ってます。


小坂:あの、今、大坊さんは2013年12月で店を閉められまして、
それからは、流しの焙煎人みたいな感じで(会場爆笑)、
紙袋にネルドリップとポットとか色々入れて、
奥様の惠子さんと一緒に全国をですね。
呼ばれるがままにというか、今はそういう現状ですか。
大坊:・・・はい。(会場爆笑)
・・・流しっていうのは、自分で流しながら
珈琲を作ってあげるの。私は一応企画した人がいて、
呼んでくれるから行くんです(会場爆笑)。
小坂:あの、ギター弾く人じゃないですね、すみません(笑)。
いやー、そいで私がおふたりに対談を持ちかけたのは
2011年くらいでして、その時私は森光さんの
エチオピア映像を仕上げようとして
いたんですけども、
森光さんが途中から自分が映像に映ることを
すごい嫌がった時期があったんですね。
で、森光さんに最初に話を持って行くと断られる
危険性があったので、最初に大坊さんにお話しましたよね。
最初の話を聞いた時は、どういうふうに思われましたか?
大坊:え、いや・・・。(会場笑)
どっちかというと私があなたにライターなんだから、
私と森光さんと合わせて対談みたいなものを考えたら
どう?って、最初そういうふうに言ってたよね。
小坂:そうでしたかね、あれ。
大坊:それで森光さんに先に言うよりも、
大坊の了解をとっておいて、それから話をしてと。
小坂:そうだったかな。とにかくですね、森光さんは
いい意味でも悪い意味でも気分というのが大事ですから、
状況をみてお話しないとということで、
大坊さんが美美に珈琲を飲みに見えたあとに
すかさず森光さんに、大坊さんが森光さんとだったら
対談してもいいって言われてますけどと話したら、
あ、いいよーってことになったんです。



小坂: 私がなぜおふたりに対談をお願いしたかというと、
おふたりが似てるなーと思ったんですね。
先程の映像でもありましたけど、小さな店で一店舗だけで
自家焙煎とネルドリップでこつこつと。
店内にはお花があって季節を感じられて。
大坊:そりゃあ、小さい店で地味にっていいますか、
あんまり派手でなくコツコツコツコツやっていると
いうことだけでも、私もあいつも同じことを
やってるんだろうなという考えを持ってましたし、
同じことを長いことやっていれば、
まあ、大体お互いのやってることは想像もつきますし、
たぶんイヤなことにしろ、楽しいことにしろ、
同じような経験を長いこと積み重ねている、
それだけで・・・まあ、同志って言いますか、
そういう考えを持ってましたから想像できると思いますが、
それだけで何でも話せるという気持ちは持ってました。
小坂:大坊さんがよく本でも書かれている、
鎧を脱いで語りあうということですかね。
そもそも森光さんとの最初の出会いはいつのことですか。
大坊:私は吉祥寺の「もか」という店に通ってましたので、
その時に「もか」に新人が入ってきた。(会場笑)
あれが森光さん。ですから最初の出会いは、その時です。
で、あ、それまで慣れた人が標さんのもとで
働いていたわけですけども、新人が入ってきた。
たぶん、森光さん、そんなに器用にやれる人じゃないと
思うんですよ。
小坂:見てすぐわかったんですね(笑)。
大坊:あの、ええ。ですけど何をやるにしても
そういうことはもしかすると大事なことかもしれない。

後編につづく)

                   (編集発行人 コサカ)



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