編集発行人 コサカが贈る勝手きままな
つれづれ日記です。ハッピーな日もブルーな日も
美味しい珈琲で、一息いれてください。

1月27日 包帯

しろとくろの
世界



右腕の包帯の固定がわずらわしい。
重たくて、かゆみもあって、
いっそ振り回して叩きつけて剥がしてしまいたくなる。
治りが悪くなるのでやりませんけど。
これのせいでやる気も削がれる気がするという感情は、
現実逃避の言い訳ですが、包帯をはずす月曜の夜がまちどおしい。


2016年秋に40歳で急逝したライターの
雨宮まみさんの名前を、昨年末に同業の深町さんから
聞いた時、雨宮処凛さんとごっちゃになっていて
とっさに「知ってます」と答えたけれど
最近気になって検索してみたら別人であった。
福岡出身で「こじらせ女子」という名称の産みの親。
インスタをみると、色とりどりの華やかな服を
身にまとった雨宮さんがたくさんでてきた。
細身で凛としてモデルのように美しい。
晩年は、着たい服を躊躇なく
バンバン身にまとっては東京の街を泳ぐように
生きていた。
ある時期から、人の目から自由になったという。
心から着たいと思う似合う服をお金を気にせず手にいれ、
正直に自分に捧げる

ハイブランドのバッグを買う。
松たか子のレリゴーを誕生会で熱唱する。
行きたい場所にも衝動的にどんどん出かける。
思いのままに沸点ギリギリで生きる姿が映っていて
わあ、いいなーと感じた。



あらゆるものに
影響を受けやすい私、
服そうについてはそれもそうだと、2年前に買ったきり
一度も外に着て行ったことがない
アンティークレースを全体の8割ほど使用したブラウスと、
若干甘めのジャケットを着て外に出てみることにした。
自分のなかでは、きれいめファッション。
向かった先は、今年初の「マスカル珈琲」。
自転車に乗れないので40分ほど歩いて行った。
マスカルのカウンターには韓国のご夫婦がいて
「豆香洞コーヒー リバレイン店」への行き先を
店主に尋ねていたが、日本語ができるわりに話ののみ込みが悪い。
しばらくカウンターに座って様子をみていたが
駅名と施設名と店名がごっちゃになっていて、
何度も何度も確認するので、そのたび同じことを声をはって
説明せねばならない店主の消耗した横顔をみるにつけ、
お金がないわけでもないだろうに
タクシーでパッと行けばいいのにとの黒い思いが渦巻いた。



それにしても雨宮さんの文章を読むと、
人は、自分のなかに多くの縛りをつくって
無意識に可動域を狭めているものだとつくづく思う。
「女性性」については、特に。
女らしくあってはならない。
性の対象としてみられてはならない。
身体の線が強調されるものを着てはならない。
でも30代前半、自分が結婚してセックスレスに
なることを想像したらとんでもなく恐ろしくなった
ことを思うと、矛盾しまくっている。
ほかにもある。
マニキュアをして珈琲店のカウンターに座ってはならない。
特に、赤は。自分にそぐわないから違和感があるし
自分もまわりも居心地が悪いに決まっている。
そのようなことを随分と長い間、
自分で自分に言い聞かせながら生きてきた。



文章にしても、書かなくなったことが多い。
些細な感情の揺れとか、気づきとか、
そんなこと書いたってしょうがないと
漫然と見送ることがふえた。
年をとるたびに悩みがなくなったわけではなく
時間がたっても尚、同じ思考をぐるぐるとまわる
自分にうんざりして、というのが主な理由だ。
でも人間の本質はずっと変わらないものであり
そこと向き合う覚悟ができる、それこそが進歩ではないか。
誰がどう思おうと、自分のために書くんだという
雨宮さんの言葉を読んでいると妙な勇気がわく。
心に届くものや人との邂逅は人それぞれで
私は生きた彼女には会えなかったけれど
文章が残っているから出会うことができた。
やっぱり本って、いいもんだ。
それではまた明日。




                   (編集発行人 コサカ)



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