平川プレート
カニューレ外れ防止器具の決定版 解説その1 
解説その2 装着法その1 装着法その2 入手案内
平川プレート作成実行委員会(代表 山本真) 2007年7月 

 大分県佐伯市に住む平川広江さん(44歳)は、約2年前にALSを発症し、2006年11月に呼吸不全のため、気管切開、人工呼吸管理となりました。はじめての人工呼吸器をつけての入院中に、気管カニューレと呼吸管のジョイント部分が何度も自然に外れてしまい、そのつど怖い思いをされました。個室にいたため、もし人工呼吸器のアラーム音が詰所の看護婦さんに届かなかったらどうしようという恐怖感で一杯でした。つきっきりで看病をしていた夫の親(ちかし)さん(右写真)も、いつ外れるか分からない。危なくてほんの少し部屋から出るのも怖いと思うようになりました。何とかカニューレのコネクタが外れなくできるような器具は作れないか?そう考えるようになった親さんは、以前から趣味であった手工芸の技術を使って、カニューレにプレートを載せて固定し、そのプレートで呼吸管のマウントを、ゴムを使って押さえるという方法を考案しました。平川プレートの誕生です。左の写真がそれです。アクリル板を小型サンダーで切り出し、中の孔を回転ドリルで穿って手作業で作られました。カニューレのジョイント部分(スリップジョイント)をプレートの真ん中の孔を通し、カニューレのフレームを図のピンクのゴムを使って抱きついて固定させます。そして図の黄色のゴムを使って呼吸管のマウント(スリップジョイントに差し込む部分)を押さえつけるようにして固定するのです(右の写真)。奥様の広江さんにこれをつけてもらったところ、主治医の三宮先生(長門記念病院副院長,左下写真)が大変感動され、広江さんの人工呼吸器の調整に訪問した大分協和病院の山本に紹介してくださいました。10年以上前から、カニューレの外れ事故防止のロック機構を提唱していた山本は、実際に患者さんに使われている平川プレートを見て、その合理的な機構に感心しました。山本は、これまでカニューレとマウントのロックが必要と考えていましたが、そうするとカニューレとマウントの設計を変更しなくてはなりません。この部分は、国際標準化機構によって、ジョイントの角度や大きさが規定されていて、勝手に修正することが難しい部分なのです。これはどのメーカーのカニューレを持ってきても間違いなく接続できるために確かに必要な標準化です。そのためカニューレのメーカーは改造に消極的で、結局ロックをつけることは実現しませんでした。しかし、この平川プレートは、ロックがなくても同等以上の機能を発揮します。簡単に外せるという点では、むしろロックに勝るといってもよい構造になっています。なにせ、人工呼吸管理をしている患者は、一日に何回もこのジョイントを外し、痰の吸引をしなければなりませんから、外すのに手間がかかると、いかに安全でも実際に使用するのが困難となります。この平川プレートは、カニューレに固定するのが若干手間がかかりますが、一旦固定すると、日常の使用はとても簡便です。カニューレとマウントを接合させているだけですから、身体への負担も全くありません。さらに常にゴムで圧着していますので、ジョイントが緩むことがありません。しかもそのことが簡単に視認できます。この点、実際の現場でよく使われている首の後ろからまわした紐でとめる方法より格段に優れているといえるのです。脱落防止器具は、メーカーからも発売されているものがありますが、取り付けや扱いが煩雑であったりするためほとんど使われていないのが実情といえます。

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