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2008年8月5日 ラパ胆入院体験記

このたび私、生まれて初めて入院、手術を経験してきました。腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパ胆、ラパコレ)です。この手術受けるかどうか迷っている方もいるかと思いますので、ご参考までに私の闘病?記をどうぞ。7月23日入院、24日手術、29日退院でした。

5月16日にはじめてそれとわかる胆石発作を経験し、2回目が6月29日、3回目が7月10日、4回目が7月18日とだん だん間隔が狭くなっていました。胆石発作とは、胆嚢内にできた小結石が胆嚢から流れ出して総胆管に入り込み、それが途中で引っかかって総胆管から胆汁が流 れなくなって上流の圧が上がってしまうことで生じます。まず柔らかい胆嚢がぱんぱんに膨らみ、肝臓内の胆汁も胆管に流れ出せなくなって肝臓の圧も上がりま す。このときの症状は、胃がかってにどんどん膨らんで胸を圧迫するような不快感です。そして圧が上がってついに胆石を十二指腸に押し出すとき、激痛が走 り、その後うそのように楽になるのです。普段の状態では、エコーで見ると胆嚢内に砂を敷き詰めたような影が映ります。この一連の発作は、だいたい2時間か ら6時間くらいかかります。不快感のときは寝ても起きても立っても苦しいという感じです。激痛のときは思わず、うーっとうなってしまうほどです。2回目の 発作が来たときに、これは今後何度も来るだろうとあきらめ、医師会病院の外科部長のDrに相談し、腹腔鏡手術が決まりました。ただ、予約手術で、入院は3 週間後。その間に3回目と4回目の発作が来てしまいました。オペを決意してもなかなか病気は許してくれないものです。

オペまでしばらく時間もあるので、検査は外来でやろうということになって、まず7月11日に胸腹部CTです。造影CTなので、これは結構どーんとくるよ、ひょっとして失禁したんじゃないかとびびったよ と少し前に同様の手術を受けた同僚のナースから脅されておりました。私も昔は血管造影などしてましたので、そうだろうなと思っていたのですが、全身がかーっと熱くなるなんてよく言わ れています。まず少量の造影剤を入れて副作用が出ないことを確認し、本番に入ります。さあ、いつくるか。待ってますが身体がもうCTに吸い込まれてい きます。息をすって、とCTが喋りだします。私の場合いつ注入されたのかさっぱり分りませんでした。物凄く造影剤が改良されたのかと思いましたが、今でも オムニパークやイオパミロンあたりが主流ですから、そんなに革命的な新製剤は出てないようです。私が鈍感なのかな。

入院は7月23日。その日の午前中は外来患 者を診て、午後知り合いの車で送ってもらって晴れて?入院患者となりました。病室に通されると、少し寒いくらいに涼しいその部屋は、大きくて、ソファーな どもあるし、お風呂、シャワートイレとまるで都会のシティホテルみたい。品プリあたりのクラスを想像していただくとよいです。室料は通常一日15000円 とのこと。嬉しいことに会員割引でそれを3000円にまけていただけるそうです。病衣に着替えると、まるでリゾートでくつろいでいるような錯覚を覚えま す。その日は胆管造影CTと胸腹部XP以外は、おヘソまわりの剃毛と部長からの説明くらい。ゆっくりお風呂につかって、あとはDVD三昧です。ただし絶 食。イオン飲料ばかり飲んでいました。この入院のために、Rome(ローマ、BBC,HBO製作、全11巻)を借り出してきました。結局退院までに11巻中10巻の途中まで見終えました。

さて手術当日となりました。手術は午後と聞いていたので、午前中は自由の身。持続点滴になって絶飲食ですが、のどが渇いた りはしません。ここで逃げ出したりしたら末代までの笑いものだななんて思います。まあ、これがまな板の上の鯉の気分なのでしょうか。午後1時になりました。看護婦がそれでは行きましょうと言いに来ました。前投薬でもうたれてストレッチャーで運ばれるのかと思っていました が(TVの見すぎ!)、歩いてエレベータで手術室の階に降り、清潔区域にスリッパを履き替え入ってみると、そこは手術室。手術台の手前の2段の階段を上 り、台上の人となります。腕に血圧計、指にパルスオキシメータをつけられます。先生、緊張してますか?とDrの声。後ろを見るとモニターの血圧が 160/102を示しています。そりゃ初めての経験ですからね、とお答えし、さていつ麻酔にかかるかと天井の模様を見つめます。それでは***入れますか ら眠くなりますよ、との声。まだ変わらないな、と思いながら天井を見ていると、急に天井の模様がずれます。あれ、と思った瞬間その後の記憶がありません。 2,3時間深い深い海の底で眠っていたように感じます。それをゆすぶられ起こされます。もう少し寝かせてくれーと思いながら目が覚めました。そうだ手術 だった。終わったんだな。ぼんやり白っぽい天井が見えます。廊下をストレッチャーに載せられ走っているようです。いつの間にか病室に戻り、レントゲンのため身体を持ち上げられたりし ます。1時間くらいたってはっきり目が覚めました。まず声がちゃんと出ることを確かめます。たまに気管内挿管の合併症で反回神経麻痺というのがでると声がでなくなっ たりして大変なのです。しかし、大丈夫、声は出ました。鼻にマーゲンチューブが入っています。バルンも入っているそうです。じっと寝ていると痛みは感じませんが、少し身 体を傾けようとすると腹筋に痛みが出ます。だけど大仕事は終わった。あとは良くなる一方だからと気分的には手術前よりずっと楽。胆石の標本を見せてもらうと、1、2mmの小さい胆石が百個くらい。放置しておけばあと百回も発作が来るのかとぞっとします。5時から相撲の中継を見て、ニュー ス、8時からは乙女のパンチとTVを見続けます。9時に消灯ですが、マーゲンチューブが気になってとても眠れそうもありません。じっとしているとそう感じ ないのですが、唾を飲み込むとのどに違和感が出ます。それと胸とおしりが沈み込んで背中が過伸展されているような痛みが出てきます。これがつらい。横を向きたいのです がなかなか横を向けません。3時頃、ベッドを少しギャッジアップすると背中が楽になることがわかりました。おかげで朝まで少し眠れました。

術後一日目。早朝の検温で、マーゲンチューブからの排液量を聞いてみるとほんの少し。それなら抜けるね、主治医に朝一で抜いてもらえるよう お願いしてとナースに懇願。で、8時過ぎにはめでたく抜去。マーゲンチューブって、抜くときあんなに鼻が痛いとは知りませんでした。入れたことはあっても 入れられたのははじめてですから。バルン(排尿用バルーンカテ)は全然違和感ないので、これはあってもOK。昼から重湯がでるそうです。朝から排ガスも あって腸もしっかり動いてくれているようです。昼前バルン抜去。これも抜くとき痛いんですね。まるでバルンが膨らんだまま抜かれているかのような感覚で す。さて、点滴以外全部抜けて、まずイオン飲料あたり飲みましょうと、起き上がります。腹筋に力を入れると痛みますので、まずベッドのギャッジを目一杯起 こし、足をベッド外に出してそろりと立ってみます。なんなく立てます。足は大丈夫。点滴台を押して、廊下の隣にあるデイルームに行き、自販機にコインを入れたそのと き、ずしーんと両肩にまるで抜けるような痛みが来ました。息ができないほどです。冷や汗がわくのがわかります。なんとかペットボトルを取り出し、部屋に戻 り、ベッドに倒れこみます。するとおや不思議、横になると肩の痛み消えるのです。あれ、と思ってまた起きるとどーんときます。しかし、座位で腹圧かけると 痛みは出ません。ですから恐怖はトイレに立つときです。ナースにお聞きすると、ラパロのあとで肩が痛いという方、けっこういますねとのこと。主治医が来た ときに聞くと、炭酸ガスを腹腔内に圧入するので、横隔膜が過伸展し、その放散痛だと思うとのこと。いやそれなら寝ててもいたいはず。立ったときのみ出るの は、ゆるんだ横隔膜のせいで、肺が下に引っ張られそれが縦隔を刺激して出るのだというのが私の解釈です。この痛み、術後二日目の夕方まで最大の悩みでし た。昼の重湯と具なしのスープが胃にしみわたります。なんせ入院以来48時間の絶食あけです。夕からもう5分粥。おかずも少しですが加わりました。

術後二日目に入りました。午前中に最後の抗生物質の点滴があり、それで持続点滴のラインも抜去。ついに身体についていた全ての管がなくなり ました。しかし、あいかわらず起きると肩痛、寝ると腹筋痛が続いています。30度くらいの半座位が最も楽な姿勢で、一日そういう姿勢で過ごします。 TVを見たりDVDを見たり。病室にはTVカードで使えるLANもあるので、ノートPCでネットも見れます。本日は何組かのお見舞いがありました。昼過ぎ主治医が来たときに、強めの鎮痛剤の処方をお願いし、夕方から服用。時期なのか、薬効なのか肩痛がかなり楽に なり、わりに楽に立てるようになりました。晩はDVD三昧です。

術後三日目。もうかなり楽で、病棟内を歩く程度ではなんの問題もなくなります。本日よりシャワー許可。私の病室はお風呂つきなので、湯船にお湯をため、傷 口にテープを張ってもらって、そこがあまり浸からないように浅く入ります。極楽です。頭も洗って気分爽快。午後、自分の病院に戻ってみたくなり、外出許可 を得て、外に出ました。やはり外を歩くというのは、院内とは違うようで、一歩一歩の衝撃で胸やお腹がぎしぎしと痛みます。これでは歩いて帰るのは無理だなと思ってタクシー を拾いました。自分の病院の病棟に顔を出すと、ナースの皆さんにえぇーと驚かれてしまいました。前日お見舞いに来てくれたスタッフから、山本はかなりへ ばっているという情報が流れていたようです。幸い患者の皆さんそれなりに落ち着いてくれていました。帰りは自転車。こいつは楽です。歩くのと違ってどこも痛みません。

術後四日目。身体的にはほぼ大丈夫。走るのはちょっと無理かな、という程度。一日ゆっくりできるのも今日が最後なので、資料を読んだり、ネットしたり、 ワープロで書いたりして過ごします。夕方病院の周りを歩いてみました。いつも通勤などで通る道ですが、病衣を着て散歩するなんて妙な気分です。昨日のような身体の痛 みもずっと軽くなっています。

術後五日目。昼前部長回診があり、退院許可をいただきました。妻の車に荷物を積み込んで、私はおととい持ってきた自転車で退院です。真夏の暑さを実感でし た。午後からは通常勤務に復帰です。もうあの胆石発作のつらさを味わう惧れもありません。そして普通の仕事が普通にできること、それがなにより嬉しい職場復帰でした。