BACK

コラムリストへ

2011年9月15日 エアトラックはダブルルーメンを標準に

以前、エアトラックという挿管用直接喉頭鏡のことをこのコラムに書かせてもらった。おかげで泉工医科さんとお付き合いも始まり、担当者に販売の仕方がおかしいのじゃないかと文句も言わせてもらったりした。昨年当院にもこれを導入し、実際に何例か使ってみて、本当に革命的に挿管が安全、確実になることを実感した。まさに5秒で確実な挿管が可能なのである。胸椎が相当に湾曲し、頚部の姿位がかなりおかしく、通常の挿管なら相当難渋するだろうなという症例でも、困難は感じなかった。挿管が胃カメラの挿入程度のストレスに下がると言えば、その革命的な良さを、一般内科医には実感してもらえるだろうか。その後も多くの内科医の皆さんにこの器具の有用性をお話してきたが、ほとんど例外なく、皆さんご存知なかった。まれにエアウエイスコープをご存知の方がいたくらいである。でもあれは高価なんですよね、と。エアウエイスコープは定価70万。実売はその半分?くらいかな。それでも私は購入しようかと真剣に考え、その調査をしているときにこの一本1万円少々のエアトラックに出会ったのである。泉工医科の担当者に、どこに向けて宣伝しているのかを聞いたことがある。彼らは、麻酔科のドクターと答えるのだ。あのねえ、麻酔科のドクターがこんな器具に頼ったらおしまいだろ(笑)。この器具は緊急挿管の機会がありうる、しかもそんなにそれが多くない通常の内科医にこそ、求められているものなのだよ。麻酔のときに筋弛緩をさせ、下顎を亜脱臼させて喉頭展開し、挿管するのは、麻酔科なら当たり前の手技であって、エアトラックなどよほどの極端な例(例えば気管支ファイバーを使わざるを得ないような症例)くらいしか対象がない。しかし、病棟における突然の呼吸停止などは、筋弛緩などしている余裕がない。しかも一刻を争う事態なのである。横にカプノメータなどの器具だってまず置いていない。そして病棟にいるのは、挿管に慣れた麻酔科医ではなく、我々普通の内科医なのである。こういう我々がこの器具を最も必要とするのだ。そういう我々のところに宣伝をしないというのは、あんたたちは私たちに使わせたくないのか、と言いたくなるところだ。先日友人のドクターにこのことを紹介して、泉工医科の人間に行ってもらってエアトラックの実技演習会をしてもらった。先方には大変喜んでいただけたのだが、実はその病院には、すでにエアトラックが納入されていたのだ。以前非常勤の麻酔科医が持ち込んでおられた。それは戸棚の隅にひっそり眠っていたのだった・・・。だからさあ、何回言ったらわかるのよ。いいかげん麻酔科じゃなくて普通の内科医、せめて呼吸器科医にこれを宣伝しろよ。そしたら今の10倍は軽く売れるぞ。なんて文句も出したくなるではないか。私は別に泉工医科さんとはなんの金銭的利害もない。だからこれが泉工医科さんのためにたくさん売れるようアドバイスしているのではない。これが、本当に医療の現場での安全性に寄与すると思うから、現場で知らないドクターがなくなるようきちんと宣伝してほしいと願っているだけだ。

さて、そのエアトラックであるが、多少問題があるのは、ID7.5mm以上のサイズが、ガイドが狭く入れにくいこと、チューブを挿入するとき先端が少し左にずれることであった。もう一つ言うと、挿管後、チューブからエアトラックを外すのがちょっと難しいこともあった。挿管後、気管内をファイバーで観察したいという事態があったときは、このサイズは苦しい。よほど細径のファイバーを持っていたら別だが、私のは8.5以上でないと無理だ。それに体格がそれなりの男性の場合、7.5ではやはり細すぎてカフエアを過量に入れる必要が出てくる。だから出来れば8.5以上の気管チューブを選択したいのである。これがエアトラックの限界かと思っていた。しかし実はそうではなかったのだ。エアトラック・ダブルルーメンというモノが存在するのだ。エアトラック・レギュラーとの差は、1mm外径が大きいだけである。また先端の保持用の出っ張りがなく、返ってチューブを左偏向させずスムーズに直進させることができる。また挿管後、チューブを本体から外すのも簡単だ。チューブの径も9.0くらいまではスムーズに使えるなどとよいこと尽くめといっていい。エアトラック・ダブルルーメンなどという名前だと、ダブルルーメンチューブ用に特化した特殊用途向きのように感じられるから、この際エアトラック・ダブルとかラージにでも名称変更して、これを基本サイズとして売ったらどうかと泉工医科の方にアドバイスしておいた。

皆さん、一つ持つならこのダブルの方がいいですよ。私は今後このダブルルーメンタイプを使います。泉工医科さん、医療現場の安全のために、ぜひこのエアトラックを一般内科医に宣伝してください。心からのお願いです。