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2013年2月26日 カフマシーンは意外にいける

実は相当昔から、カフマシーンの伝道者であるような知り合いの研究者から、これはいいんだよと言われていました。いまいち半信半疑で、また機械の代金も高くとても手が届かないと思っていたのがこのカフマシーンです。昨年の診療報酬改定で、在宅で使う場合は診療報酬がつき、かつ機械のレンタル料金もそれにあわせて現実的になったので使える環境は整ってきました。わたしがいまいちカフマシーンに懐疑的なのは、かなり以前、手製のカフマシーンを作ったことがあり、その成績が芳しくなかったことによります。何を作ったのか?アンビューバッグの弁を入れ替えて、入れた分をバッグの膨らみで抜くという弁にしたのです。普通のアンビューバッグは、バッグのお尻からエアを取り込み、口側から出しますが、呼気は弁の動きでリリースします。口側の弁を抜き、お尻を閉鎖すると、バッグのエアを口側から入れますが、呼気をバッグの開く力で無理やり吸いだすことが可能になります。痰で困っていた患者さんに試したところ、たちどころにSpO2ががくんと落ちて、こりゃだめだとお蔵入りさせてしまいました。バッグを複数回押すと、バッグに戻った呼気を再呼吸してしまうことが問題となるわけです。まあ当然といえば当然。こんな危険な器具を作ってはいけません。

私が関わっている気切人工呼吸患者に2名、本当に痰で困っている患者がいます。一例はDPB(びまん性汎細気管支炎)を合併されている女性患者で、もう一例が、痰が多くいつも左下葉枝が痰でうまっている男性患者です。前者は、在宅をされていますが、SpO2の下がりと痰との格闘といってよい状態で、後者は、最近Vtが落ちてしまってしょっちゅうSpO2が下がって在宅維持が困難になってきているという深刻な状態でした。二人ともこれでは在宅維持はちょっと無理かね〜という状態になって、これまで縁のなかったカフマシーンを半信半疑とはいえ、レスピロさんから借りてみたのです。吸気呼気各一秒で±35hPa、間歇2秒の設定で、3,4回押し引きするとゴゴゴゴゴーと痰が動く音が大きく響きました。おお、これは確かに効果があると実感することができて、しかも吸引するとしっかり痰が吸引できます。これまで何度もアンビューを使ってやっとの思いで排痰ができていた患者が、簡単にその効果が出てくるのです。しかもSpO2が下がらない。これは驚きでしたが、ある意味人工呼吸を従圧でしているようなものだから当然ではあります。他のやはり痰が多く、自動吸引をつないでいる病棟の患者では、カフマシーンが作動すると自動吸引の方に痰がどんどん上がってくるのがわかりました。先の二人はいずれも在宅に戻ることができて、これまでより安定されています。さらに言えば、いつも左下葉枝が痰で埋まっていた後者の患者は、退院前に行った気管支鏡ではまったく痰が見られませんでした。おお、これは何年ぶりのことだと驚いたわけでです。胸部CTでも慢性の無気肺がかなり軽減していました。

以上、カフマシーンについて食わず嫌いであったことを反省し、気管奥の痰が多い患者には積極的に導入しようと考えを変えたわけです。私と同じく食わず嫌いの先生方、これは意外にいけますよ。