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●風水別館 Annex version 2013

貨幣博物館に学ぶ一両の価値のナゾ
如何にしてwebmasterが馬力を愛せなくなったか?最大横Gのナゾ
BRZtSに見る86/BRXサス問題のナゾ
省燃費タイヤのナゾ(17インチでも燃費は悪くならない編)
フィット(DCT+ハイブリッド)の仕上がりのナゾ

嗚呼我が家のADSL遂に巻き取られたりのナゾ(伏兵スマホ編)
プリウス3年半の燃費事情と省燃費タイヤのナゾ
船歴29年のクルーザーのお手入れのナゾ
トモヤドットコム発電所2年間の収支のナゾ(あなたの屋根にはどのタイプ?)
自動車用Li電池の人には言えない秘密のナゾ(アコードHVの弱点編)

アロンαはリジカラ越えの夢をみるか?のナゾver.1(プリウス補強編)
にわかホームベーカリー中毒のナゾ
洗面所混合水栓水漏れ修理のナゾ
ヤマハCXシリーズとカワイGXシリーズグランドピアノの弾き比べのナゾ
トヨタ86のステアリング中央はなぜデッドなのかのナゾ

メルセデスはCO2排出規制をサバイバルできるか、のナゾ
プリウス用ステルスタコメーター開発のナゾ
プリウス初回車検と新型クラウン試乗のナゾ
B787のLi電池の行く末のナゾ
新年に誓うエコとの戦いのナゾ2013年版


貨幣博物館に学ぶ一両の価値のナゾ

某月某日webmasterは貨幣博物館を訪れた。目的の一つは小判で有名な”一両”の価値を勉強するのが目的である。先日武家の家計簿という映画を見たことも理由の一つだ。

一両の価値はネットでもいろいろ情報があるのだが、やはり小判大判を見ないと(レプリカだが)実感が湧かない。特にアベノミクスの意味を貨幣を見ながら考えたかったのだ。以下は備忘録の意味もある。

やはり見たかったのは有名な慶長小判だが、サイズは縦7.5cmと小さく重さは17.7gである。墨で字が書いているものは大判(10両に相当)で、”拾両後藤”とその下に大きめの花押(サイン)がある。後藤とは製造を担当した後藤家のことだ。

千両箱に入っている小判は25枚まとめて紙に包んで両替商の名前と花押が書いてあり、通常はこのまま中を改めずに流通した。千両箱には40包入っているので重さは17.7gx25x40=17.7kgと灯油缶に近い。ただし金の比重が19.3なので容積は1Lほどとずっしり重いことになる。

金の価格が現在グラム4300円と高騰しているので千両箱の価値は7600万円となりかなりの大金だ。つい最近まで金は1000円台だったので随分値上がりしたものだ。千両箱が欲しい方はディズニー小判千両箱を入手されると良い。

さて慶長小判の品位は金86.28%、銀13.20%と高かった。現在の金相場では小判一枚が7万円強の価値がある。ただし幕末の万延小判になると品位は金57.25%、銀42.35%と低下し4万4千円ほどの価値になる。

ネットの情報では小判の純金としての値打ちは低いとされていたが、金の高騰で今は米の価格に近づいている。もちろん明治初期では1両=1円であったので、その後のインフレも相当なものである。

ところで新井白石などが行った小判の純度を上げる改革は全てが失敗した。金の産出量は一定だから小判の品位を上げると市中の流通貨幣が不足し不景気になった。ちょうど日銀が市中の流通通貨量を制限したのと同じである。

それ以上に、グレハムの法則の通り良貨は悪貨を駆逐する、である。この先一両の金品位が下がると見えれば、金品位の高い小判は貯蓄にまわって出回らない。単に新たな供給だけでなく既に出回っていた小判までが引っ込むのである。

江戸時代は絶えず米の生産や物産は技術革新によって増大し、流通も経済規模も一貫して拡大していたから貨幣の需要は増えていた。そこで通貨供給量を絞れば経済は停滞するのは当たり前である。まさにバブル退治の失敗と同じなのだ。

さて品位が低下した一両であっても、

一両 = 一石(米150kg、容積にして180L)

という原則は江戸時代を通じて維持された。ちなみに一石は2.5俵にあたる。米は、

一石=10(斗=15kg=18L)=100升(升=1.5kg=1.8L)=1000合(合=150g=180ml)

である。一石は人間が一年に食べる米の量であると言うので、

1000合/365日=2.74合

となるが、これは玄米なので精米歩合を90%と考えると 2.74x0.9=2.466合/日、カロリーが150gあたり534kcal

なので、534x2.466=1316kcal

は標準体重の成人の基礎代謝量は超えるものの江戸時代の男子の平均身長が157cmとしてもややカロリー不足な印象だ。おそらくこれは純粋に米だけで副食費は含まれていないのだろう。

一方、武士の給料としての扶持は男扶持が一日5合、女扶持一日5合とされていた。とすると男のカロリーは精米歩合90%として、 5 x 0.90 x 534 = 2403kcal

という。当時男が一日に米5合食っていたとする資料が多いが、当時の体格からは肉体労働者でない限りカロリーオーバーな印象だ。扶持が副食の費用を含んでいた数字とすれば納得が行く。このあたり過去の資料はみんな詰めが甘い。

さて一両の値打ちであるが、現在米価格はamazonで調べた上はキリがないが、通常消費者が入手できる米は安くても10kgあたり4500円あたりだろう。米価の推移から見ても4500円としてよいだろう。とすれば、

一両150kg = 67500円

となる。奇しくも米価は400年の時空間を超越して慶長小判の金品位を現在の金価格から計算した価値とほぼ同じだ。400年の歳月を経て米に関してはぴったり合うのが面白い。

もっとも米国の米はもっと安い。Webmaterが米国でお世話になった国宝ローズ米(国府田農場)は米国amazonでは2800円である。しかし1kg当たり341円の関税がかかるので日本に持ってくるとコシヒカリの値段になってしまうのだ。

しかし国宝ローズ米も高くなったもので、Webmsterが米国に居た80年代末からすると3倍近くになっている。国際的に米価格が高くなっているので輸出の関税が安ければ魚沼産コシヒカリなどは十分な国際競争力がありそうだ。

さて米はサラリーマンの給与からすると一両はどうなるのか?資料によりさまざまだが、下級武士の年給が年20両ほどだったという。年収ラボ(国税庁平成24年民間給与実態統計調査結果)によると平成24年度は408万であると言う。最近の最高は平成9年(1997年)の467万だがリーマンショックで平成21年から激減している。

ただ下級武士は公務員(一般職)に相当するとすれば年収ラボによれば国家公務員632.8万、地方公務員715万円だという。なぜ地方公務員のほうが高いかはお手盛り手当満載によるものだがちっとも是正されていない。

サラリーマンに近い国家公務員(一般職)を例にとると1両=31.6万円ほどになる。米価と比べると5倍とは高いので無いか?一つの理由として、米作の技術革新にくらべ、ホワイトカラーの生産力の改善が江戸時代から5分の1しか無いとも考えられる。

一方、単純な作業は電算化できる。例えば住民票は既に一部の自治体では自動販売機もある。ただし公務員の絶対数は今でもOECDの中でも最低レベルなので人員配置を工夫すべきだろう。特に教職員の数は不足している。一人の教師が40人の小学生を面倒見るなら落ちこぼれに目が届くはずが無い。

売れっ子の森永卓郎氏はかつて『年収300万円時代を生き抜く経済学』なるベストセラーを書いた。昨年は『大貧民―2015年日本経済大破局!! 』、今年は『大不況!!年収120万円時代を生きる』とか書いている。彼の言うことはアナリストの中では結構当たる方なので不気味だ。

というわけで、webmasterは貨幣博物館を堪能することができたが、中でも、第一次世界大戦後の超インフレ紙幣、例えばワイマール時代の10兆マルク札とか、ハンガリーの10億兆ペンゴ札とか見ものだった。

もう一つWebmasterが興味があったのは、バブル崩壊からデフレにかけて日本銀行がどう働き対処したのかだった。確かに記載はあったが非常に簡潔であった。その展示が10兆マルク札の展示のすぐ近くにあるところが面白い。

デフレのころは国家破綻や預金封鎖のウワサは絶えなかった。一次二千円札や500円玉が市場から姿を消したのは予想された預金封鎖、新円切り替えに対する防衛があったとも言われる。その真相は未だ不明である。

今回のおみやげはお札せんべいとしたが、なかなかの人気だった。

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如何にしてwebmasterが馬力を愛さなくなったか?最大横Gのナゾ

このサイトには多くのメイルをいただくが、そのなかでなぜwebmasterが鈍い車で我慢ができるのか?という趣旨のものは結構多い。結論を書けば現在の車は車の馬力とタイヤの能力がバランスしていない、と考えるからである。

Webmasterの車歴の最初にくるのは徳大寺氏が史上もっとも危ないと書いた車

だったが、事故もなく退役となった。その次は

で、ハンドリングは良好で練習になった。次は

で、後輪がいつブレイクするか油断できない車だった。その理由はリアサスのワッツリンクが車軸の前にあったことだ。これだとコーナリング中後車軸より前のワッツリンクが踏ん張り、これを中心に車軸が回転しトーアウトとなる。マツダでさえ当時はコンプライアンスステアの認識が浅かった。またスタビライザーも硬すぎ後輪のロール剛性も過大だった。

マツダも4リンクの車体側支点の位置を下げてトーアウトを相殺、スタビライザーを弱くしてロール剛性を落とし対策したが十分でなかった。Webmasterもスタビライザーを外すことも考えたが操縦性と安定性の間で迷ったことを思い出す。マツダもこの経験でFCやFDにトーコントロールを加えたのだろう。

この車はステアリングの中立応答性にも問題があり、

 □April 30,1997 (Wed.)サスペンション脱着のナゾ

その理解がFT86の問題につながっている。サスアッパーマウントのベアリング(テフロンコーティングしたワッシャ一枚)も触媒化に伴ってボールベアリングに改良された。ただワッシャにモリブデングリースを薄く塗るだけでかなりタッチが改善したことを覚えている。わずかなフリクションがサスの動きやハンドリングに大きく影響するものである。

この車で標準タイヤ(RD116)にして横Gが0.7を超えたのはマツダにとっても初体験だったようで、キャブの息つき防止に13Bのグランチャン車両と同様にフロート形状が工夫されていた。

オーバーステア対策としてアドバンHF-typeDを投入したが、結論から言えば失敗でグリップは格段に向上したもののブレイクはさらに突然かつ急激でますます油断のならない車となった さらに車両にクラックが入りアロンアルファー補強につながった。それ以来webmasterは市販車にSタイヤまがいを履かせるべきでないと思っている。

 ●アロンアルファーと車のクラックのナゾ

やはりスタビライザーを外すべきだったが踏み切れなかった。この車も親戚に譲渡され10万キロを超え廃車となった。どの車も無事に退役したのは運がよかったと思う。楽しかったのはKP-61で今ならスイスポに当たるだろうか。速い車に抜かれてもマイペースで狙い通りのラインがトレースできればWebmasterは十分幸せなのである。

前置きが長くなったが、話は独特なパターンが人気で復古販売されているタイヤHF-typeDである。これが入手できたのは1982年だが、その後グリップ優先ながら耐久性やウェット性能の低いタイヤが出現したこともあって業界にSタイヤなるカテゴリーが発生したと理解している。

HF-Dのリプレイス用(OEMは別)は70プロファイルでも最大横Gが定常円(ISO 4138)で0.8をはるかに超えていた。現在もっとも性能が良いGT-RのタイヤでもRの大きいサーキットで1.2Gを超えるものの、Rが小さい定常円では1G程度である。

motortrendによれば、定常円において911 Carrera GTSもPorsche GT3もFerrari Stradaleも横Gは1前後で、馬力の少ないLotus Exige S 260 がこれらよりわずかにいいデータである。

motortorendから数字を拾うと、ヴィッツ(ヤリス)SEが0.80 g(195/50R16)、プリウスC(アクア)が0.83 g(175/65R15)、カローラS(オーリスセダン)が0.81 g(215/45 R17)プリウス2013が0.81g(215/45R17)、カムリSEが0.81 g (215/55R17 )、アバロンTRD2013が0.92G(320ps、225/40R19)、レクサスLS600hLが0.80 g(235/50R18)である。

これからみると、多くの大衆車のタイヤでもHF-typeDに近い性能をもっていることが分る。しかし、大衆車のタイヤ性能が向上した一方、パフォーマンスタイヤの性能が頭打ちなのである。。

注意が要るのはRAV4 XLEが0.75 g(225/65R17)、レクサスRX350FSが0.77 g (235/60R18)と、SUVの横Gはヴィッツクラスより低いことで、セダンのつもりで飛ばすと曲がれないことになる。

ブレーキや加速で問題になる縦G性能はどうだろうか。motor trend GT-R 2014の60-0mphが94ftとのデータから減速Gを計算すると1.2G程度となる。

motortrendによればポルシェやフェラーリなどのエキゾティックカーの制動距離は105-115ft程度とGT-Rより劣り、ミドルクラスの大衆車レベルと大差ない。もちろん繰り返しブレーキすれば差が出るだろうがフルブレーキ一発だけなら差が殆ど無いとは驚きである。

さて横Gは速度の自乗に比例するので横Gが2割違うと旋回速度は1割の違いになる。箱型市販車である限りパワーがあろうが無かろうが、それぞれに最適なサイズの最新パフォーマンスタイヤを履かせればコーナリング速度はほとんど同じである。タイムは加速、減速とストレートの最高速で決まることになる。

一方のパワーは技術の進歩により強力となった。Webmaserが嫌いな車の一つがC63で507ps(C180は156ps)だが、HF-typeD時代でもっとも過激なAMGはグループAホモロゲ市販車の190EエボリューションIIは235PSと、C63の馬力の半分に過ぎない。しかしながらmotortrendでのC63やE63の制動距離はスカイラインやアコード、カムリ、アテンザあたりと大差無い

ABSやTRCやVSCなど電脳機器は進化しているものの、馬力が倍でもコーナリング速度が倍速いわけでも、制動距離が半分なわけでも無いし、ボディーが倍丈夫なわけでもない。

要するに馬力の進歩とタイヤ技術の進歩がバランスしていないので、webmasterは素直に馬力バブルを信仰できないのである。

その立場から見れば最近のAMGは常軌を逸している。メルセデスが馬鹿をやると世界中のメーカーがみんな真似するので困ったものである。最近のメルセデスのアニメ

の登場人物もいかにも頭が悪そうでプロモーションには逆効果かも知れない。

最近友人が見積もりをとったA180の価格はCクラスEクラスより最新の装備を持つのに格安であった。

来るCO2規制に出遅れたメルセデスはAクラスを拡販するつもりだが、メルセデスが一朝一夕にしてVWのような大衆車メーカーになるとは思えない。一方で大馬力の大型車を販売するかぎりメルセデスがCO2規制はペナルティをかぶる可能性が高い。

さてメルセデスはCO2規制を乗り切れるのだろうか?興味が持たれるところだ

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BRZtSに見る86/BRXサス問題のナゾ

以前に

トヨタ86のステアリング中央はなぜデッドなのかのナゾ

なるトピックを書いた。これは86/BRZのステアリング中立あたりの不感帯は、86/BRZがFF用の前輪ハブキャリア(ナックル)を流用したためにストラットの長さが十分とれずストラットまわりのフリクションが大きいからだと書いた。

短いストラットでは微小ストロークやサスの回転が渋いので回頭性が鈍く動きの悪いサスとなる。サスの構成図を見たら誰でも気付くことである。いや気付かないとマズイと思う。

その対策案も書いておいた。

”2.ストラットを長くする。つまりストラット下端をハブキャリア固定部位を超えてロアボールジョイント付近まで延長する。これによりフリクションが低下し回転しやすくなる。当然ダンパーの性能も良くなり乗り心地も操縦性も改善する。出来ればスプリングも下端を小径としてよりタイヤに近い位置とする。”

標準のフロントストラット下端は

のようにハブキャリア固定部位で終わっていいてスプリング下端の径も大きい。

一方BRZtSコンプリートカーでは、

ストラット下端がハブキャリア固定部を超えて65mm長い。またスプリング下端も小径で自由長を長くしている。ストラットを長くするとピストンとケースのオイルシール部の距離が取れることで支持剛性が高くなるとともにオイルシールのプレロードが減ってフリクションも減るしオイル量が増えることで放熱性や耐久性も増す。ダンパーやスプリングの自由長が長ければバンプラバーを含めセッティングの自由度も増す。

ただ改良ストラットにしてもストラットの角度は未だ理想的とは言えない。FF用ハブキャリアはドライブシャフトが貫通するベアリングのためFR用よりぶ厚く大きいのでキングピンをホイール内に追い込み難いからだ。ストラットを寝かすにはサスタワー板金の手直しが必要となり、エンジン幅の広いボクサーには辛い。個人的にはクラウンコンフォートの前サスを流用すべきだったと思っている。

過去スバル1000FFはキングピン軸をホイール内に追い込みゼロスクラブとするためにアルフィンドラムブレーキをドライブシャフトより内側のインボードに搭載した。これは駆動力がステアリング特性に影響しにくくするためだが、そのこだわりが技術者の世代交代の際に失われたようで惜しまれる。BRZのサス担当者は自社の博物館にいって1000FFサスの油を舐めて来るべきであろう。

これ以外のBRZstiの改良点は後輪ダンパー変更やリアサスアームのピロボール化、可動タワーバーなどStiとしては常識的なものだ。リアサスのピロボール化とドライブシャフト軸増大はAWDのトルクが前提だったリアサスがFR化によってキャパ拡大が必要になったからだろう。

さてダブルウィッシュボーンやマルチリンクの進歩にインパクトを与えたのはメルセデス190Eのリアサスである。しかし190Eに乗っていてあらゆる状況でリアの追従性の良さは実感したものの、やはり猫足とは感じなかった。

理由はサスのアーム類が短すぎるためである。サスの軌跡、駆動力やブレーキに対するトーインコントロールは理想に近いものの、複雑に組まれたアーム類が短いのでストロークがブッシュ類に強いるねじれが大きくフリクションも大きかったのだ。

あるとき見た古いロールスロイスの前サスのロアアームは車体の真ん中まで伸びていた。古いジャグアーの前サスのロアアームも長かった。アームが長いと同じストロークでもピボットの回転角が小さくタイヤ位置のズレが減り、柔らかいブッシュでも支持精度とコンプライアンスを確保できる。長いアーム類は猫脚の大きな要因なのである。

サスには設計図には見えないフリクションやブッシュの変形が不可避だ。どんなに机上でうまく動いても車を地面に降ろしたとたんに動かないサスになる。過密な日本のようにサスのスペースは圧迫されるばかりだが、高級車やスポーツ車はサスに応分のスペースを配分すべきであろう。マルチリンクを発明したメルセデスは確かに偉大だが190Eの設計のままでは永遠に猫脚にはならない。

BRZ tSの改良をみれば分かる通り、せっかくFRボディーを新製したにもかかわらずFFサスの流用は大甘であった。Webmasterは試乗でディーラーから道に出るために数m転がしただけで違和感を感じていた。フリクションの大きいストラットは回転せずにブッシュが変形するからだ。

サス特性の多くは形式で決まるが微少なストロークと微少な回頭時に出来の善し悪しが見えてくる。これは据え切りしてタイヤ/ストラットではなくロアアームが回転していないか目で見て手で触ればわかることだ

86/BRZの開発時にテストドライバーが不感帯に気づかないハズが無い。おそらく寄り合い所帯のコミュニケーション不徹底なり遠慮があったものと想像している。

今回Stiのエンジニアがストラット延長について動画の4分付近から語っている。

過去のトピでwebmasterは

”ストラットに加わる横力を支えるのはオイルシール部とピストンで、この距離が大きいほど横力に強くなる。短いストラットで剛性を稼ぐにはロッドを太くシール類のクリアランスを小さくせざるを得ないのでフリクションが増え作動油の量も減る。原理的にはストラットは可及的に長いほどいいのだ。”

一方、STiの渋谷氏はSTIキーパーソン第二話文字には表しにくい官能性能に挑むで、

”フロントストラットのベヤリングスパンを下方向に65mm延長しているのも隠し味のひとつですね。それによりフリクションを低減し、グリップ感や操舵感も向上しています。また、オイル容量も増え減衰力の安定化に寄与しています。”

と語っているが、それは官能じゃなく素人が数メートル転がして気付くレベルである。過去スバルは腰高になってもサスのストロークを十分に取る設計の車ばかり作っていたので、ストラットを短くするとどうなるのか見込みが甘かったのだと思う。

エンジニアはステアリングギアボックスの固定ネジについても語っていて、結局話の殆どがステアリング、サス周りの剛性である。86/BRZの問題をメーカーは意識していたはずだがネットや書籍を通じてこの点に言及しているメディアは皆無だった。本当にメディアで評論家の言う事はあてにならないものだ。

個人的には86/BRZの実現にはトヨタ/スバルが大きく努力したことを評価している。また最低グレードの値段設定にも努力の跡が見れる。ただWebmasterは試乗車を数m転がしただけでゲンナリとなったのは確かだ。

WebmasterはSHOWAやKYBあたりがメーカーに納入するストラット/ダンパーユニットの原価を知っている。ノーマルグレードでもあと数百円コストを積めば長いストラットが積めたと思うので、実にもったいない話である。

すでに86/BRZを購入したユーザーは前輪だけでもストラットが長いものに交換すればよいだろう。ステアリングラックの補強はtSの実車を見れば可能だと思うが、大きくいじりたく無い向きには、

アロンαはリジカラ越えの夢をみるか?のナゾ(プリウス補強編)

のプリウスのラックとメンバー間に施したトリックを試してもらいたい。これらだけで格段にシャキっとするものだ。ステアリングやサス周りは座金一つ、あるいはネジの締め具合一つで大きく変わる。86/BRZは低いグレードを好みにカスタマイズするのがベストだと思う。その努力は別にサーキットに行かなくても数メートル転がすだけで知れるものだ。

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省燃費タイヤのナゾ(17インチでも燃費は悪くならない編)

純正の省燃費タイヤGT-3(185/65R15 88S)から省燃費でない17inchのショルダー(クラウン)が角ばったタイヤ(215/45R17)に交換し、燃費を3ヶ月観察して様子が分かってきた。

Webmasterの仮説は、最高の省エネ性能を誇るGT-3(RRC(μr)=6x10-3)に対し、潰れ代と乗り心地を同程度となるように空気圧を最適化したごく普通の17インチタイヤ(RRC(μr)=10x10-3)の燃費はさほど落ちないのでないか、というものであった。要するに丸く狭いプロファイル、最新のコンパウンド、高度なパターン設計より空気圧の設定が燃費には一番効くのではないか、というのである。

もともと同じ空気量のタイヤの扁平比を下げると、トレッド変形が減少する面と、トレッドゴムの絶対量が増える面、タイヤ・ホイール全体が重くなり燃費が悪くなる面、全面の投影面積が増えるなど多くの要素があり、市内走行では燃費がわずかに悪くなるといわれているがどうなるか?

さて新車からの総燃費は

のごとく距離27346km時点で22.6km/Lである(5桁目は表示されない)。15インチの22.8km/L(25640km)時点から0.2km/hの悪化である。さて燃費の悪化は17インチ化によるものか?

そこで燃料補給毎の燃費を見ると

GT-3の頃から一貫して低調である。17inch化から1700kmなので右側グラフ4本がそれに相当するが、その前と燃費はあまり変わっていないどころかゆっくりと改善している。

燃費が振るわないのは常態的に35度を超えた酷暑でのエアコン負荷が原因であろう。それが証拠に気温が低下するにつれて燃費も右あがりに伸びている。

グラフの通りwebmasterの運転はかなりコンスタントだ。基本的に規制と流れの早めなグループに合わせるだけで、どこかのベンツのドライバーのような突出した運転はしない。ただ流れより遅く走ることは性格的にできない。

燃費には距離計の誤差も関係する。15インチのGPSによる速度計誤差は10%過大から17インチ化で6%過大に減っている。距離計も同じ実距離を走っても4%低く表示されるわけで、同様に燃費も4%悪く算出されるハズだ。22.6km/Lの4%は=0.9KM/Lなので21.9km/Lでもイーブンな計算となる。ホイールも各輪4kg合計で16kg重くなっていてこれも燃費悪化要因である。

さらに速度計表示が4%低ければ、より実速度をあげて前と同じ速度計の数字となるように走行した可能性もある。いずれにせよ、変わった要素全てが燃費の悪化要因なのに燃費には変化が無いのだ。燃費への17インチタイヤの影響は酷暑によるエアコン負荷より遥かに小さいと考えるべきだろう

とすれば仮説は証明されたことになる。省エネタイヤの燃費アップ分は空気圧の調性で相殺される程度のものということだ。よって残り山のあるタイヤをあわてて省エネタイヤに更新する必要は無いのだ。

さてプリウスの走行抵抗を計算すると(Cd=0.25 Area=2.1m2 AirDensity 1.225kg/m2 μr=6から10 weight1300kg として)、60km/h前後で転がり抵抗と空気抵抗が拮抗し、それ以上は空気抵抗が自乗的に増加、それ以下では転がり抵抗が主となる。

もしμrが6と10の差があれば燃費に有意差がつくはずで、それが見えてこないという事から空気圧上昇による転がり抵抗の減少が相当大きいことになるが、転がり抵抗の差がもう少し燃費にでてきそうなもので、可能性としてはフォース式ドラムテスト(ISO28580)自体も怪しい(図は大和製衡社からのリンク)。

転がり抵抗は図のような装置で測るが、サンプルタイヤのトーインやキャンバーはゼロであり、実用車のアライメントとは異なる。テストでの転がり抵抗が単純に実用車に当てはまるはずもなく単純に燃費が改善するかどうかは不明である。

タイヤメーカーのサイトでは、あたかも転がり抵抗の軽減がそのまま燃費に直結するかのような錯覚を招く図を使っている。(図はブリジストン社からのリンク)

そもそも走行抵抗は転がり抵抗だけではない。ギアやベアリングや油脂、シール類の摺動抵抗もあれば高速で問題となる空気抵抗もある。モード燃費は空走試験による走行抵抗を負荷としてシャシダイで計測しており、真の転がり抵抗も空走試験で無いと求まらない。

日本自動車タイヤ協会によれば通常使用域で空気圧を0.5kg/m2上げると転がり抵抗が10-15%減る。また省エネルギーセンターによると空気圧の0.5kg/m2不足で燃費が市街地では2.5%、郊外では4.3%、高速道路では4.8%悪化する

B社が大径高圧タイヤで示した図ではコンパクトカークラスの同社175/65R15において内圧を250kPaから320kPaに上げるとRRCは14%改善する、と読める。これは日本自動車タイヤ協会の空気圧を0.5kg/m2上げると転がり抵抗が10-15%減るというデータとほぼ一致している。

タイヤ公正取引協議会によれば、転がり抵抗RRCグレードが一段階(μrにして1〜1.5x10-3)上がると実用燃費(詳細不明)が1%良くなると言う。通常タイヤの転がり抵抗グレードCは10.6≦RRC≦12.0、グレードAAは6.6≦RRC≦7.7 であり、その差は最小2.9%から最大5.4%、中間値4.15%である。ちなみにグレードAAAはRRC≦6.5である。

とすればグレードCの普通タイヤの空気圧をわずか0.2〜0.3kg/m2上げることでの転がり抵抗は5から7.5%減ってエコタイヤAAないしAAAに昇格することになる。省エネグレードがAAAのタイヤと僅かに空気圧を上げた普通タイヤの燃費の差は殆ど無い。もちろん省エネタイヤの様々な工夫はあるが、最大の効果は間違いなく高めの空気圧設定である。

実際には0.5kg/m2上げると乗り心地などの影響が大きいのでまず0.2kg/m2上げるのが適当だろう。その位だと乗り心地やグリップも実用範囲に留まる。

それよりもマスとしてはまずタイヤの空気圧が標準に達しているかを確かめるのが一番重要かもしれない。

ようするに、我々が今すべきことは、残り山のあるタイヤをなぜか異常に値段が高く乗り心地が悪い省エネタイヤに更新することではなく、目の前のタイヤの空気圧を乗り心地が損なわれない程度(0.2kg/m2程度)上げることである。実際には多くのドライバーは空気圧には興味がない。だから欧米はタイヤ空気圧モニターTPMSを義務化するのであり日本の役所はサボっているのである。

空気圧は指定値とロウドインデックスを起点とし、潰れ代と乗り心地が同じ程度になるように調節すれば燃費はあまり悪化しない。潰れ代はホイールをほぼ真上から見てタイヤのホイールからの膨らみ具合で判断する。空気圧を上げれば乗り心地は堅くなるが、0.2kg/m2程度なら標準空気圧でもケーシングが堅く乗り心地の硬いエコタイヤと同等の乗り心地に止まる。

同等の乗り心地というのも微妙だが、GT-3は指定空気圧2.5でもインパネがビシビシ異音を立てるほどハーシュネスが強かった。一方17インチは細かい凹凸はよく拾うもののインパネが異音を立てるほどハーシュネスは鋭くない。だからあくまでも市内走行のトータルとしての快適度が同等という意味である。

GT-3は空気圧を下げてもケーシング剛性が高いのかNVHはあまり改善しないのにくらべ17インチの乗り心地は素直に空気圧に比例している。ホイールも各輪4kg重くなっているので加速は重い印象だが、わずかに回生が長く効く印象がある。ホイールの重量増は路面の追随性は悪くするものの、重量のローパスフィルター効果でハーシュネスの角を丸くする働きもあるようだ。。

もうひとつ、GT-3の前/後が2.5/2.4s/cuという標準設定は、車検証の重量配分からみても実際のタイヤの潰れ代からみても後輪が高すぎるように思う。今は4人乗車で潰れ代を前輪と揃えたところ前2.85/後2.6s/cuで落ち着いている。

メーカーのラインアップをみると、過去の標準タイヤというジャンルは消失し、省エネ、プレミアム、パフォーマンスの3つに分かれるようだ。これまで省エネタイヤはゴムが固くウェットグリップの悪いものが多かった。

省エネタイヤにもウェットグリップが良い(aないしb)ものがでているのは、メーカーがグリップが良いコンパウンドを使ってもプロファイルやケーシング剛性を最適化すれば燃費が落ちないことがわかり、より妥協点がグリップ寄りに戻ったからだろう。

いずれにせよ、省エネタイヤでなくても乗り心地と潰れ代を最適となるように空気圧を調節すれば燃費は殆ど悪化しない。最近の省エネタイヤは燃費、グリップと乗り心地の妥協点が高くなっているものの、燃費にはやはり空気圧が一番効く。ある意味乗り心地が同等になるように空気圧を調節することはタイヤのNVH吸収力=タイヤの変形=ヒステリシス損が同じになるように設定することだとも言える

なおECではタイヤ転がり抵抗低下と空気圧管理のため、2012年以降空気圧モニター装置TPMSを義務付けている。電子立国をめざす日本なのに施策が遅れているのがよくわからないところだ。現状のwifiやbluetooth機器の値段からすればコストアップは\5000以下なのではないか。

ところで17インチ化によりステアリングがシャープになるという期待があった。しかし直進性はわずかに強くなったもののモヤっとしたレスポンスはあまり改善されなかった。これはモーターの慣性やカップリングのゴム剛性の設定というよりは電脳的なダンピングの印象である。

プリウスの電動ステアリングは操作トルクによるトーションバーのねじれをホール素子で検出し制御している。その設定は電脳でいかにも代えられるが徹底的に鈍な設定なのだろう。それは、

 □アロンαはリジカラ越えの夢をみるか?のナゾ(プリウス補強編)

で乗り心地が格段にシャキっとしたにもかかわらず、ステアリング応答は満足するレベルまではシャキっとしなかった。ただしボディのきしみに対するアロンαの効果は17インチ後も感じている。とにかく余計な音がしなくなった。

砂が撒かれたようなカーブでフェイントをかけて後輪を滑らそうと試みたが、パワーやブレーキ配分が操作されると同時にステアリング協調が働きドライバーより先に逆ハンを当てるのを感じた。徹底的に安定方向に設定された車なのである。

トヨタのHV車種が拡大するにつれてプリウスの先進性先鋭性は薄れてきており、カローラなどコンサバなドライバー向けにもHV車の設定が拡大している。とすると、プリウスとは何なのか?どこが前衛なのか存在価値を問われるだろう。

プリウスは三代目にしてHV車の殆どのネガ消したが、ステアリング特性や乗り心地には課題が残っている。トヨタは乗り心地についてはボディ補強とブッシュチューンで対応したようだが、サスのアーム長を伸ばせば猫足と操安性の両立は可能だと思う。次世代プリウスにはシャープかつ猫足な操縦性を期待したいところである。感じとしては上等なカマボコの噛み心地のような感じのサスが欲しいものだ。

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フィット(DCT+ハイブリッド)の仕上がりのナゾ

話題のフィットハイブリッド(HV)に試乗してきた。先のアコードHVが残念な仕上がりだっただけにどこまで煮詰まっているか気になった。

結論を先に書くとフィットHVは及第点に達している。用途によってアクアを超えるチョイスになり得るということだ。あくまでシリアスなトラブルが出なければ、であるが

まず外見のキャラクターラインはカタログ写真よりも大人しく見える。フロントも派手にはなっているが嫌味は無い。やはりアコードの青いプラスティックはあらずもがなだ。個人的には箱のわりに締まって見えた初代次代よりサイドが間延びした印象があるものの許容範囲かと思う。

座ってみるとシートは小ぶりだが座面はしっかり堅めでデザインも良い。インパネの質感もアクアより良いが、アコード同様ホンダの伝統として重要な速度計の60-80km/hあたりがステアリングの影になるのは理解不能だ。

ハイブリッドインジケータ類はステアリングの影にならない低い位置にあり、センターメーター内にあるアクアより見にくい。おそらくホンダ車のドライバーは速度や燃費をトヨタ車のドライバーほど気にせず飛ばすのだろうが、白バイの餌食になる率も高いと思われる。

ギアセレクターはホンダとしては初のプリウス式である。アクアのシフトレバーも今後プリウス式に戻る可能性もあろう。輸出用ヤリスHVはセンターメーターが無いのでシフトギアがあって当然だが、アクアがシフトギアである理由は無い。

ホンダもそう思ったのだろう。ちなみにアクアの空調の温度ダイヤルが異様に大きいのは、そこが本来シフトレバーの建築予定地だったからだと疑っている

さて前回のアコードHVは35度を超える酷暑では宣伝されている異次元のレスポンスは皆無だった。それは電池残量が下がればたった75kw(実際にはさらにインバーター効率0.9がかかる)しかない発電機出力をモーターと充電に分割するので1.6トンの車体をまともに加速できないのだ。

ちなみに赤帽サンバーが車重0.7トンに43kW、ダイハツコペンが0.8トンに47kWだから、長い上り坂では空荷の赤帽サンバーはもちろん0.7トンで38kwのミライースにも負けるかも知れない。アコードHVにはもう少し電池容量が必要だがトランクサイズの兼ね合いで断念したのだろう。

今回は気温も低いことがあり試乗前にエアコンとECONモードはオフとした。空調はタッチパネル式でボタンの位置を視覚的に確認する必要があり、物理的なボタンより操作性が大きく劣り、そもそも自動車には向いていない。パネルに凹凸を付ける必要があるのではないか。タッチパネルはダイヤルやマウス的操作と並んでタチの悪い流行と思う。そろそろ米国で訴訟が起こるころだろう。

さて走りだす。道路に出るまでは純粋にアクアと同様にEVモードであり、道路に出るまでにエンジンが始動したアコードよりいい感じである。その後緩加速に移ったがしばらくしてエンジンが始動した。

エンジン始動ショックは非常に小さく、エンジン騒音も低い上にステアリング振動が殆ど無いのは望外の仕上がりだ。400万近いアコードHVはステアリングにエンジン微振動が絶えずビリビリと感じられ騒音も高かった。アコードHVは他社なら市販されていない仕上がりだろう。

しばし渋滞を進みアクセルオン、オフが続いたが変速のショックは軽いものの、加速に移ってすぐ急な減速を強いられた場合につんのめるようなトルク抜けとその後の軽いショックがあった。クリープからクラッチ接続にも段付きを感じる。

DCTでは奇数段、偶数段の二系統の変速軸があり片方の系統のクラッチが接続している時にはもう一系統は次のギアが噛合しクラッチの結合を待っている。通常は電脳が加速中と判断すればよりハイ側のギアを噛合して待っている。

しかし加速と判断後に急な減速があると、もう一系統のギアをロー側に噛合しなおす。エンジン回転数は減速により低下しているので、わずかな時間のトルク抜けの後につんのめるような接続が出る。渋滞時の頻繁なアクセルオン、オフの率にして10回に一回程度の確率であるが、予想より良い仕上がりであった。

50km/h程度の巡航ではエンジン稼働の確率がアクアより高くレスポンスにMTのようなダイレクト感がある。ただ急加速にアクアほどはモーターアシストが効かない。EV走行もさほどパワーがなく速度維持がやっとである。

Li電池は大電流特性に優れるはずだが、22kwと出力が低いモーターではアシストは弱く基本的にはトルクはDCTに依存している。これには寿命を確保するためのLi電池の闇もあるだろう。ただしダイレクトな状態ではメカニカルロスが少なく燃費がいいはずである。

基本フィットHVはモーターアシスト付きDCT車両なのである。個人的にはエンジンのトルクが細いのでDCTよりスムーズなCVTのほうが良いように思う。

一方アクアは全速度でデッドスムーズで加速時にモーターアシストが有効であるものの一貫してエンジンとのダイレクト感が弱い。基本アクアはエンジンアシスト付きのバッテリーが小さいEVなのである。

よりダイレクトなFITとよりCVT的なアクアの違いだが、トルコン式ATやMTに慣れた武闘派ユーザーはTHSのCVT的感覚を嫌う。一方エコカーのCVTに慣れたユーザーにはTHSには抵抗もなく、むしろトルコンATの変速ショックの方が気になるだろう。

車室の広さや機能性はフィットの圧勝で論を待たない。燃費がよく業務に使えるほど広い室内空間は光るところで、この点での敵はアクアでなくカローラ・フィールダーだろう。乗り心地も過去のフィットのドタバタ感は減ってホンダ車としては予想より良い。

JC08燃費はイーブンだが郊外中心で時に荷物を運ぶユーザーにはフィットが有利だろう。不思議なことにフィトHVの売れ筋グレードはアクアより燃費が悪い。大電流に優れるLi電池とDCTの組み合わせの割に燃費が伸びないのは、Li電池の闇なのなのか?

一方渋滞の走行が多く荷物をさほど運ばないならアクアが全速度域を通じてデッドスムーズである。アクセルの微調節にもしぶとく追随し段付きやショックは皆無である。クラッチをはじめとした変速機の信頼性に不安な向きにはアクアがチョイスかもしれない。

本田技研は名前の通りメーカーではなく研究所で新型車は走る実験室なので絶えず小改良が続くことが知られている。従って車検などの期限が迫っていなければ半年程度は待ちたいところだ。

不安材料はDCTだ。初期フィットではCVTのクラッチトラブルがあった。またVW系のDSGはクラッチまわりの不具合が非常に多い。フィットHVはクラッチに頼らずモーターでクリープできるからクラッチ負荷は低いかも知れないが不安は残る。またDCTであるかぎり若干のショックや異音はつきものである。

というわけで、今回のフィットHVは初期不良さえ無難に乗り切れれば室内空間と燃費を必要し距離が伸びる郊外のユーザーにはチョイスになりえるだろう。ただし一日中渋滞を這いずり回るユーザーにはアクアが向いている。

好印象のフィットHVに比べアコードHVの仕上がりは雑だ。アコードHVは過大なサイズ、過大な価格、走行条件によってムラのあるレスポンス、高級車らしからぬステアリングの微振動やエンジン騒音、寿命に危惧のあるLi電池への過度の依存など疑問が多い。室内もトランクもフィットの方が遥かに広々としている。

アコードはフィットのワンモーターHV機構を採用し、プリウスと近いサイズと価格の気が利いたセダンとして再出発する必要があろう。変速機はCVTで良いのではないか?シビックセダンが絶えた今、ラインアップにセダンの大穴が開いたままである。

トヨタもカローラHVの売れ行きをみると、プレミオなどのコンサバな中型セダンにも1.8LのTHSを載せる需要があるように思う。プリウスはデザインが空力的過ぎて視界に難があり取り回しに気を使う。SAIは高価なわりにカムリHVより小さく燃費も劣るなど、HS250hともどもラインアップでの立ち位置が微妙だ。

現在のサイズでスリーボックス化したプリウスセダンもありだと思う。トヨタも次世代プリウスを先進先鋭化したイメージリーダー的なクラスレス車とし続けるのか、あるいはコンサバに振ったラインアップの単なる一モデルするのか個人的には興味がある。

Webmasterもプリウスを7年から10年で更新するつもりなので、次はクラウンHVの方向なのか、あるいは180度方向を変えてスイスポ!?の方向にするのか考えているところだ。

参考

残念ながらWebmasterのDCTに関する危惧は当たっていたようだ。当面は安定するまで待つというのが賢明だが、ことDCTなる代物は故障率が高いVWアウディグループのDSGとクラッチやアクチュエーターの部品メーカーが同じであることから、今後もずっとトルコンやCVTよりは故障率が高いと考えられる。場合によっては無期限サービスキャンペーン+CVTへの載せ変えもあり得る。

DCTを積んでもアクアを振り切る燃費が出ていない現状ではDCTにこだわる必要は無い。フィットにはアクアより圧倒的に広い室内と荷室というメリットがあるから、たかが変速機一つと心中する必要は無いのである。

なお、今回のリコールには発見の動機に”国土交通省からの指摘による”との文言がついている。要するに国土交通省からホンダにリコールに該当するのではないかと指摘したわけである。半年間にリコール3件、サービスキャンペーン3件、ということもあり、追って当局より相当の沙汰があるものと覚悟しなければなるまい。

リコール届出番号3312リコール開始日平成26年2月10日 不具合の部位(部品名) 動力伝達装置(エンジン制御ユニット) 発見の動機 市場からの情報及び国土交通省からの指摘による

リコール届出番号3278リコール開始日平成25年12月21日 不具合の部位(部品名) 動力伝達装置(自動変速機制御コンピューター) 発見の動機 市場からの情報による

リコール届出番号3254リコール開始日平成25年10月25日 不具合の部位(部品名) 動力伝達装置(自動変速機制御コンピューター) 発見の動機 市場からの情報による

サービスキャンペーン 改修の開始日 平成26年2月10日 変速機のプログラム変更4件もしくは自動変速機を交換

サービスキャンペーン 改修の開始日 平成25年12月21日 変速機のプログラム変更2件

サービスキャンペーン 改修の開始日 平成25年11月1日 変速機のプログラム変更2件もしくはギヤー一式交換

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嗚呼我が家のADSL遂に巻き取られたりのナゾ(伏兵スマホ編)

我が家にADSLブロードバンドがやってきたのは、

アジアの風ADSLの速度のナゾ

のように、日本最初のADSLプロバイダcoaraが福岡で事業を始めた2001年で、同時に無線LAN(11b)を導入し快適な環境となった。当時はグローバルIPだったのでサーバーなどのいろいろな実験ができた。速度はG.992.1(G.dmt)Annex Aで実効速度はピークで1Mbps程度だったが、

□June 31:ブロードバンド最適パラメーターのナゾ

のように1.5Mbpsとなった。その後ソフトバンクの参入などの競争対策として、

□Nov. 4:ADSL丸儲けのナゾ

で5.7Mbpsの増速し快適となったと同時に無線LAN(11b)の天井にも達した。

グローバルIPはオーバーヘッドが小さくレスポンスが良いので速度以上に快適だった。しかしcoaraのインフラ統廃合に伴いフレッツADSL12Mbpsプランに巻き取られてしまった。これはPPPoEでAnnex Cのせいかピーク速度は同等であるものの今一つレスポンスが悪く、サービスはグレードダウンした印象だった。

Webmasterは光ファイバー網FTTHへの変更も考えたが、戸建て契約は工事も料金も高価で更新する気にはならなかった。都市部の集合住宅はFTTH化が安くすむが、個建ては価格面で普及は止まっている。総務省のデータによると固定系ブロードバンドサービスの契約は2013年3月末で3,530.4万(前期比±0%)と横ばいで、FTTHの契約は2,385.8万(前期比+1.3%)、ADSLの契約は542.5万(前期比▲5.5%)である。

これは都市部のFTTH化が一段落したものの地方ではFTTH化が進まず、需要増とADSLの減少分はCATVや移動系データサービス(モバイルルーター)に侵食されているからである。都市部でも地方でもCATVがあればインフラ追加無しにブロードバンド化できる。

Webmasterの住宅地では独自のCATV網があったが保守コスト増から大手CATVにインフラごと譲渡された。このため特別割引があったので、我が家のNETも電話もCATVに移行する金銭的インセンティブがあった。合計では現状より安くなるのだ。

問題は独自ドメインに紐付けされたWebサーバーがcoaraに存在することで、現状では大手CATVは独自ドメインに対応していない。これはcoaraにインフラを含まないコンテンツプランが新設されたことで解決する。ただこの段階でもWebmasterにはまだメタルに対する愛着があったのだ。というのはADSLのベースとなる電話加入権は親が買ってくれたもので、それを無にしてよいのかという非論理的かつ情緒的な問題である。

タダ同然の携帯が手に入る時代に加入権には論理的な価値は無いが、加入権を天下りNTTにチャラにされるのは悔しい。電話をCATV経由としても加入権は最大10年休止可能ということで情緒的には解決する。ただ現状で5Mbps出ている環境を僅かな金銭的インセンティブでCATVに変更するには躊躇していた。

ちなみに政府と天下りNTTは2015年にはメタル回線を廃止する予定だったが実際はADSLもかなり残る模様である一方、移動系データサービスとCATVの増加は著しく、FTTHによる国家的な巻取りは失敗に終わりそうである。

さて最後のワンプッシュになったのはauスマートバリューである。Webmasterのスマホは連絡専用でありパケットはあまり使わないが、家族はフラットプランを使い倒している。よってCATVと携帯の抱き合わせ割引が無視できないのだ。このあたりCATVに於けるKDDIの支配力を思い知らされるが、そのうち独禁法で問題になるだろう。

ということでCATVに一括変更することにした。契約は現状の75CHのCATVに40Mbpsと電話のパッケージで、これに地域限定割引とauスマートバリューを組み合わせると経費は過去の半額近くなる。ただ電話番号がCATVに移行する日時はNTTの官僚体質、気まぐれ、あるいはサボタージュのせいか読めない。導入プロセスは契約さえが定まれば自動に進行するが、唯一NTTとの切り替えがストレスである。

工事はCATVのセットトップボックスへの同軸を分岐し元の電話の場所まで同軸を引く。そこで再度分岐し電話モデムとネットモデムに接続する。今回は工事人がここで帰り、ルーターを含むネット設定は別の日時に工事人がやってくる手はずだった。しかし工事人が後で届けてくれた書類によりPPPoEではなくDHCPと判明したのでルーターを接続し開通した。40Mbps契約だが実測ではピークで17Mbpsと出たが、結局は速度は相手のサーバーとその周辺次第である。

CATV会社によれば電番の移行はおおむね二週間以内だと言う。実際には7日目の切替日を連絡する封書に気付いた時には、既に切り替わっていた。CATVの電話モデムとADSLモデムの電話回線がパラにつないであったのでシームレスに動作しており、家人も切り替えには気づかなかった。

同番移行なので同時にアクセスはかからないという論理であり、タイミングが読めないNTTに対しパラに繋ぐのはCATV会社の知恵ではあるが、アナログ電気通信の原理には反する。宅急便すら到着日時を指定したり荷物を追跡できる時代に切り替え日時すら解らないNTTはダメな会社である。なお電話モデムにつなぐ電話は仕様では一個だが電流には若干の余裕があるようだ。

CATV会社の重要なアドバイスは、電話が切り替わる前にNTTやADSLプロバイダーに解約の連絡をしないように、である。先にNTTが契約を切ると手続き上再度の工事となるからだ。相互連絡が乏しいというかNTTにはユーザーや格下の会社と意思疎通する気はさらさら無いのだ。

その後NTTに電話したところ(無料ながら数分待ちの後に)、同番移行の場合はその次点で回線は休止、電話やフレッツADSLは解除扱いなるとのことである。またKDDに電話(こちらはすぐ繋がる)したところマイラインの市外通話契約も主たる電番がなくなると自動的に解約扱いになると言う。

この時点で移行は終了したが、今度はAUに電話してフラット契約の携帯をauスマートバリュー対象にする連絡が要る。ネットでも代理店店頭でも可能だが157番への電話の方が速く確実だ。最近家人のスマホを更新したが代理店の端末はセキュリティーが強化されていたのは不良販売店が存在するせいか。一方紐付けされた携帯からの手続きは簡単で、パソコンを起動する時間もかかからない。

最後の手続きはCATVに移行した電話と携帯間の割引設定で終了である。なお費用で注意を要するのは、工事費だけでなく切り替えがダブる月の基本料金は双方に負担する必要がありので、説明よりプラスαの経費がかかる。

ネットがCATVに切り替わったことでYoutubeなどでは動画がキャッシュされ開始される時間は速い印象があるが、トラフィックが混雑すると突然止まり、しばらくあってどっと回復する雰囲気がある。

グローバルIPの頃のADSLは遅いながら途切れずに来る感じで印象は良かった。フレッツADSL変更後は一旦途切れると時間が空く印象があった。一方光やCATVはどっと来て止まりどっと回復する感じだ。理由の一つはtcp/IPのパラメーター設定で、特にRWINが大きいとピーク速度が出るもののトラフィックが不安定になると急速に途絶、再開を繰り返す傾向がある。

巷にはtcp/IPのパラメーターをバンド幅に合わせて最適化するツールが多数あるが、ピーク速度さえ確認したら控え目に設定するのも一つの方法である。

ネット速度は無線LANの電波状況も大きく影響がある。そこで切り替え後暫くして無線ルーターを強力なものに変更したところ、今度のネットは速い!と言い出した。どうやらネットを増速することよりルーターの電波が強力で接続が安定したことのほうが効いたようである。

ボトルネックは意外なところにあるものだ。ただしロケフリのSlingBoxのポートはuPnPではうまくハンドルできず指定して開ける必要があった。一方太陽光発電モニターの接続は問題なく既存のポートを利用しているようだ。

もうひとつ、今までのADSLモデムはIP電話やルーターの機能を持っていたがトランスを使ったシリーズ電源だった。今回のネットモデムはSW電源だが電話モデムはやはりシリーズ式だった。ノイスのせいか、あるいは絶縁のせいか不明だがかなりの発熱がある。

さらに今回は双方向のCATVブースターが交換された。工事人によると時に経年で上り側が弱くなると言う。交換には本社の決済に連絡時間を要したようだが追加料金は発生しなかった。

最後に気になったのは個人情報である。今回のCATV会社はAUと同様KDDIと資本関係があり、auスマートバリュー登録には電話番号しか要しなかった。ということはCATV会社とAU会社の間は個人情報がスルーなので、KDDIと競争関係の関係者には気になるかもしれない。

過去は国民全体がNTTに依存していたのだが、今どき電話とネットがスルーであれば個人情報や行動のトラッキングは簡単になる。もし個人情報を気にするユーザーなら、コストをかけて抱き合わせに乗らない、わざと分散化するというチョイスもあるかも知れない。

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プリウス3年半の燃費事情と省燃費タイヤのナゾ

プリウスも3年半たって定期整備の時期がきた。未だ疑り深いWebmasterはHV車の信頼性を信用していないので整備とツクシプランに加入したが、期待に反し残念ながら?ノートラブルだった。

燃費は22.8km/Lと3年半の間殆ど不変である。今年は都合で春先に遠出しなかったままエアコンで燃費が低下する夏季に突入したのだ。燃費は冬季はウォーミングアップにガソリンを食うが、夏季はエアコンがちょっとづつ、しかし一貫してストローを吸うようにガソリンを食う。それからすると望外に良い燃費かもしれない。

今回の燃費の最後の方はプリウスに17インチタイヤを履かせている。燃費的には無謀だがwebmasterには勝算はあった。先日の

   □アロンαはリジカラ越えの夢をみるか?のナゾ(プリウス補強編)

で格段の剛性感の改善があったも決心の理由だ。実は17インチホイールは納車前に手配したが、それはLグレードのエコタイヤ、Goodyear GT-3(185/65R15 88S)のグリップが危険なほど悪いと危惧したからである。

190Eが履いていたコンチのエココンタクト(185/70R15)は危険なほどウェットグリップが悪かった。そこでジムカーナで擦り減らした後で(実際にはあまり減らなかった)ヨコハマ ASPECに交換した。個人的にはコンチの品質を信用していないので今後もコンチを買うことは無かろう。

意外なことに、当代最高のエコタイヤと言われるGT-3のウェットグリップは予想より良かった。タイヤ技術の進歩なのだろうが、今はウェットグリップを損なわずに燃費を稼げるようである。しかしNVH、とくにハーシュネスは標準空気圧でも強く、プリウスの乗り心地が悪い原因の一つである。

GT3の減りは遅く2万5千キロで残りが6mmもある。このままでは17インチホイールが腐ってしまう。事実あちこちに腐食が広がっていたので、思い切ってタイヤを変えることにした。

今回のタイヤ(215/45R17)銘柄は敢えてグリップ重視とした。タイヤについては耐久性を見極めた上で報告したいと思うが、グリップ重視タイヤでも燃費は悪化しないとの判断である。

ホイールはデザインに一目惚れして手当した中古品でタケチプロジェクトのバージョン7なるスポークタイプのものだ。オフセット35mmのため15mm外側に出るがまだ余裕がある。タイヤとホイールの重量増は4本で20kg近く相当に燃費が悪化するハズだ。

個人的には省エネタイヤという存在にかなりの疑念がある。というのは190Eのエココンタクトをコンフォート志向の標準的なアスペックに交換し、ほぼ同じ乗り心地と潰れ具合になるように空気圧を調節したところ燃費には有意な差がなかった。もっともエンジンの燃費が悪かったので数字に現れなかっただけかも知れない。

さて省エネタイヤとは何者か?。Webmasterが見るところ

1)プロファイルが丸く接地面が狭い。これなら抵抗が小さくて当然である。

2)トレッドのコンパウンドが固く変形が小さいのでヒステリシス損が小さい。このため乗り心地やウェットや低温時のグリップが悪化傾向になる。かん高いスキール音で良く鳴くタイヤとなる。

3)コンパウンドに高分子ポリマー(S-SBR)やシリカを配合し、硬いコンパウンドでもウェットや低温時のグリップ低下をある程度埋め合わせしている。

4)ケーシングが固く空気圧が高い。これによりヒステリシス損が減り接地面も狭くなるが、乗り心地もグリップも低下する。

タイヤ会社の資料には最新技術の粋をつくした作品と言う感じにかいてあるが、基本は単純である。個人的には4)のケーシングが固いことと空気圧が高いことでヒステリシス損が小さいだけではないか?と疑っている。実際1)とかは単なるズルだと思う。

タイヤメーカーはメディアを呼んで坂から車が転がる距離で省エネタイヤのころがり抵抗の低下を宣伝する。しかし標準的なタイヤでも、省エネタイヤと同程度の乗り心地と潰れ代まで空気圧を上げると差はぐっと小さくなると聞いたことがある。

仕様とロウドインデックスRIによれば、GT3(185/65R15 88S)の空気圧2.5kg/cm2での荷重は560kgで、これはSとGグレードの195/65R15 91Sの2.3kg/cm2での荷重は575kgと近い。一方重いツーリング仕様車の215/45R175 87Wの空気圧2.3kg/cm2のRIは510kgとかなり低い。

JATMA規格によれば215/45R175 87Wの2.3kg/cm2では空気量不足のため不適格で、本来はケーシングが丈夫な91Wかあるいはエクストラロード仕様が必要で、基本的にトリセツが誤っているのだ。おそらくOEM品は正確には91Wなのだろう。

プリウス用OEM品はJATMA規格外の可能性があるが、もし17インチ車の87Wと空気圧を信じるなら、燃費志向の15インチ車の方が空気圧が過大ということになる。RI値は頼りになるようで頼りにならない。

そこで見るからにスクエアな17インチもGT3と同じ乗り心地まで空気圧を上げてみたらどうなるか?である。今回のタイヤは91Wのエクストラロード仕様なので、15インチ車の仕様の荷重に揃えると空気圧は2.6kg/cmの荷重565kgないし2.7kg/cm2の580kgとなる。

そこで当初2.7kg/cm2を入れてみたが乗り心地が良いかわりにステアリングが重く、乗り心地と据え切りの重さをGT-3と同等となるように調整したところ前2.9kg/cm2、後2.8kg/cm2となった。もちろんタイヤの絶対空気圧にはまだ余裕がある。

市場では185/65R15や195/65R15から215/45R15に交換するユーザーが多いが、そもそも空気圧が2.5kg/cm2までが前提のJATMA規格では殆どが規格外になる。そこでエクストラロード仕様で空気圧を最低0.3kg/cm2あげるようにユーザーに言うが理解して貰えないとタイヤ屋の親父は言う。

日本に理科教育の欠陥なのか、扁平化で空気量が減ると圧力でカバーしなければいけないという事が理解されないようである。トレッド剥離は殆ど空気圧不足によるものらしい。

もう一つ、ホイールデザインも燃費に効くことが知られている。タイヤの上側は時速と同じ速度で前方に回転しているので対空速度は倍になる。特にフロントではホイールカバーによる燃費改善は1%近いという。プリウスが鍛造アルミに外周だけフラットなカバーをわざわざ被せている理由である。

重量増とタイヤの幅、ホイールの空気抵抗で5%程度の燃費悪化はあって当然だがどうなるか?高速を206km往復した燃費が、写真である。

ガソリン高騰のおり流れが悪く渋滞もあり平均速度は59km/hに過ぎないが、エアコンONのいつもののペース(実測90から100+αkm/h)では燃費は5%以下の誤差の範囲だ。空気抵抗の増加はホイールオフセット減少でツライチに近くなった効果で帳消しかも知れない。

ちなみに速度計の誤差はGPS速度計との比較でGT3の185/65R15が10%過大、215/45R17が6%過大と出た。Goodyearの185/65R15の外形は622mm前後、215/45R17の外形は629mm前後と1-2%の差のハズだ。GT3が標準より小さいのか、あるいは17インチが標準より大きいのか興味深いが、個人的にはGT3が小さいのでは無いかと疑っている。

なおプリウスの速度計は著しく過大ながらオドメーターは正確である。ようするに日本人は速度計でサバを読んで騙さなければまともに運転できない幼児並の知能とトヨタは考えているようである。

走行感はかなり違う。4輪で20kg程度の重量増だがバネ下のせいなのか加速は重く、一方惰性走行は伸びる印象だ。17インチのNVHとくにハーシュネスはむしろGT-3よりマイルドな一方、細かい段差を丁寧に拾う印象である。ケーシングの堅さと空気圧による堅さとではNVHの出方が違うのだろう。

今回は限定的な実験ではあるが、標準的なタイヤでもGT-3並の乗り心地と潰れ代に揃えると燃費差は小さく、危惧したハーシュネス悪化は無かったというのが結論である。もともとGT-3はケーシングもコンパウンドも非常に堅くNVHが強い。。

新車早々家族からプリウスの乗り心地は190Eより著しく劣るとの鋭い指摘があった。今回は悪い印象は無いと言う。GT-3がかん高いパターンノイズだったせいか、あるいはアロンαで低級雑音が減ったせいかも知れない。

というわけで、燃費の絶対値が良いクルマでは、省エネタイヤでなくても標準品を乗り心地、据え切り、潰れ代が省エネタイヤと同等になるまで空気圧を上げれば、燃費に対するダメージは小さいようである。

GT-3は燃費レースでは人気があり、新古品はオークションで高く取引されている。しかし競合メーカーもGT-3の好燃費の秘密を解析したのか各社の省エネタイヤの性能は接近して来た。

問題は省エネタイヤの価格が高くわずかな燃費向上がペイするか?である。各社ともコンフォートタイヤは廃番となり、パフォーマンスブランドにもアドバンdBのようにエコを歌う製品が出てきたが、業界全体が右へ倣えの姿勢が怪しい。大したことの無い、いや乗り心地を犠牲にしてのエコタイヤに高いカネを払う必要があるのか?である。

今や絶滅しつつある標準的なタイヤを選んでも空気圧を適切に設定すれば燃費の格差は小さい。空気圧はロードインデックスをベースにステアリング据え切り、乗り心地、タイヤの潰れ代が標準タイヤと同等になるように総合的に調整するのが吉であろう。

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船歴29年のクルーザーのお手入れのナゾ

やっとの休みであるが、最初は家の手入れ、そして車やバイク、自転車の手入れ、それから船の手入れである。船は頻繁に使わないので点検する度にどんなトラブルが見つかるかヒヤヒヤだ。

今年もこの船は5月に珍故障?をやらかした。その前に一度博多湾に出たが何となく軽油の減りが早かった。そこで満タンにしたが次回船を出そうとしたら燃料が無くなっている。

そこでエンジンルームを覗いたら、何やらビルジに溜まっている。よく見れば気付いたハズなのだが大々的なオイル漏れと思った。エンジンが本格的に壊れたと思ったのだ。エンジン全損への恐怖心があったのだろう。

オイルレベルを見ると問題ない。ビルジに溜まっているのは色が薄い軽油なのだ。そこで燃料タンクからコック、水分離器、エンジンのバンジョー、燃料ポンプを点検しているが漏れた形跡が無い。そこでエンジンを始動するとカタカタ言うものがある。

エンジンの奥を覗くと燃料フィルターのネジ込み式のアルミカップが外れかけている。ただ底がつかえて脱落しにくい設計になっている。フィルターはバイクのタンク下についている物と同じだがサイズが大きい。

これを閉め込むと修理は完了だ。思えばこの部分を29年間増し締めした記憶が無い。このエンジンは数年前にプロに依頼してヘッドを下ろして修理しがが問題なかった。しかしディーゼルの振動で29年目にして遂に外れたのだろう。

エンジンカバーを外したついでに点検すべきものは水ポンプだ。ここは船を長く泊めていると塩が析出して詰まる。そのままエンジンを回すと焼き付くので要注意である。析出物を掃除したがプロショップが休みだったので紙ガスケットを液体ガスケットで代用した。

その後は2回ほど船出したが問題はなかったが何となく気になる。ヨットなのでエンジンが止まっても港には帰ることができるがやっかいだ。そこでガスケットを入手しての本修理である。

修理の日は気温が36度と暑い日であった。エンジンカバーをはずし、水ポンプの蓋を外すと既にして少量の析出物が付いている。プロに言わせるとコムインペラーを使うこのタイプは設計が悪く、定番の故障だと言う。個人的に見てもハウジングの形と無理に曲げられたインペラーの使い方に無理があるように思う。

修理も3つのネジの一つがプーリーの裏にあって毎回手こずる。10分ほど試運転すると船尾から勢い良く水が出て調子がよい。今週は安心して船出できそうである。

さて船歴29年ということで船のそこいら中に劣化が見られる。ロープ(ライン)類は日焼けするし、ティラーの木材やキャビンの扉は交換している。エンジンもスターンチューブとマフラーは交換しているものの、基本的な船体の劣化は見当たらない。

一部ゲルコートが薄くなっている部分があるがファイバーは露出していないし再塗装も可能だ。コンパスも動作しているし燈火類もヘッド(水洗トイレ)も問題ない。

この船は近い内に抜本的な修理を予定している。ライン類、ワイヤー類を交換し、ほぼ新艇の姿を取り戻す予定だ。自動車と違って船の寿命は長いから、重大な事故が無いかぎりこの船とは一生の付き合いになるだろう。

それに比べると自動車の寿命は短いものだ。この船が来た1984年にはWebmasterは初代RX-7に乗ってた。米国から帰国してからはマークII、カローラ、ビータ、190E、そして現在のプリウスである。

しかしプリウスは電子部品が多いので10年が更新の目安だろう。まるでペットの小動物のように自動車の寿命は短いものである。

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トモヤドットコム発電所2年間の収支のナゾ

2011年6月末に稼働を開始した太陽光発電もちょうど2年を経過した。といってもこの発電所は原料を食うわけでもなくメンテも不要である。

ただし一番の敵はコストでは無いだろうか?そこでデータを紹介するが、前提として屋根形状のため、電池は東南東と南南西に分かれていて、トータルで約3.15kwでも不利なハズである。契約は時間帯別電灯〔45〕というもので、朝8時から夜10時までが通常よりわずかに高く夜10時から翌朝8時までが1/3である。オール電化でなくても契約可能で、契約切り替えの経費は電力会社負担だ。

なお料金は2011年のもので現在は数%高い。一方買電は42円/kwとこれは10年間同じだ。緑が自家仕様分、青が売電分、赤が買電分である。基本的に上半分は発電量と考えて良い。 電気料金は赤マイナス青で、赤より青が大きければ持ち出しゼロでお金が帰ってくる黒字である。図で解るように3月から6月の春と9月、10月の秋が黒字である。

ローン金額とは赤マイナス青プラス緑、つまり太陽光発電がない場合に払うべかりし金額と比較することになるが、これも若干の黒字を確保している。

もうひとつ太陽光発電のメリットは夏季に屋根が焼けないので二階の室温が上昇しないことである。このため太陽光を設置してからはwebmaserは就寝時にエアコンをつけていない。

一方冬季は屋根が日光を受けないことより放熱が減る分が大きく二階は10度以下に下がりにくく温かい。従って、二階の居住性の観点では太陽光は金銭利益以上のメリットがある。

さて不利な条件にある我が家のパネルの効率はどうなのだろう。どうしても他の発電所と比較してみたくなる。これにはSOLAR CLINIC全国の太陽光発電所の発電ランキングを比較すれば良い。これは設備kwあたりの実際の発電量を比較している。

これによると、我が発電所は2012年は福岡県の49件のうち19位、2013年は52件のうち22位と平均より上にある。屋根配置が不利なのに平均より良いのはパネルの性能表示が渋いからだろう。性能ランク分けが変わる寸前だったので、表記より辛い表記になっていたのだろう。一方、総じて単結晶はHITは高価な割に性能表示が甘いように思う。

はっきり書くと、能率が高いはずのHITや単結晶の定格あたりのランキングはよろしく無い。一方化合物CISパネルはトップクラスにある。普及品の多結晶は中間からやや上に分布している。

この結果はかつてSB Energyが同一敷地に複数メーカーのパネルを並べ仕様に対する出力比を報告していた結果とまったく同じである。 帯広・苫小牧海側、陸側 太陽光発電試験場運転状況レポート(2012年版)PDF 537KB

ここでパナソニックがHIT、三菱が単結晶、カネカが薄膜シリコンハイブリッド、ソーラーフロンティががCISである。試験場は3箇所である。

冬季2月3月をみると定格kwあたりではドングリだがCISが若干良い。パネル面積あたりではHITが良いがCISも健闘している。冬季は温度が低くシリコン系に有利に働り、kwあたりでは150kwhも発電している。く

次に春5月6月を見ると定格kwあたりはドングリだがやはりCISが良い。面積あたりではやはりHITが良くCISが若干低い。北海道なので5月でも平均気温は11℃前後と低くシリコン系は150kwhも発電している。

さて7月8月も基本的には同じ傾向であるが、CISが特に夏に強いデータにはなっていない。これは夏季も平均気温が20度前後、最高でも25度前後であるため、シリコンとの差がでなかったのかも知れない。

タイプ別にみると、普及している多結晶はメーカー間に大きな差は無い。単結晶は多結晶の代表的なシャープとさほど違いは無い。HISは定格あたりでは低位だが面積当たりでは常にトップである。CISは定格あたりではトップであり、面積あたりでは低位だが思ったほど悪くない。なお衛星用太陽電池の試験では単結晶、多結晶、化合型の順で劣化が速いと言われている。

以上から狭い屋根にはHIT、普通は多結晶、広い屋根ならCISになるだろうか。ただしHITかなり高価なので、SBEのデータを示して値切るのがいいだろう。WebmasterがHIT実勢価格から試算したところ相当値切らないとペイしないようだ。もちろん変換効率トップのHITを是非にも載せたい!!ならそうしない理由は無い。高い安いといっても自動車なんかと比べるとよっぽど効率が良い金の使い方である。

我が家の太陽光については金銭的なメリットより居住性の向上が大きく加点し、Webmasterの納得度は99%である。1%は寄棟を選べればよかったとの思いだが、台風の多い当地では被害が小さい方形屋根が標準なので致し方ないところだろう。

ただバブルの頃は屋根にドーマーとか複雑な役物た付いた住宅が多く、これは太陽光には問題になるし雨漏りなども問題なりやすい。最近の建売住宅は太陽光の普及のため相当形は単純になってきている。

日当たりのよい屋根資産をお持ちの方は太陽光発電を強くおすすめする。金銭的なメリットはさほどでは無いが、何より居住性の向上は予想以上だからだ。それと電力を最も必要とする夏季の昼間の電力を賄えるのは非常に気持ちが良いものだ。

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自動車用Li電池の人には言えない秘密のナゾ(アコードHVの弱点編)

プリウスの定期整備時間にクラウンハイブリッド(ロイヤルG)に試乗した。今回の見張り役とは初めての組み合わせで長く走れなかったが3度ほど全力加速を試すことができた。

ペダルを踏むとすぐ前に出る印象はHVならではでV6-2.5Lとは比べ物にならない。エンジン騒音は遮断されているので加速感から後席の住人は3.5LV6だと錯覚するだろう。

ハンドリングの印象は

プリウス初回車検と新型クラウン試乗のナゾ

と同じでクイックではないが微小舵にもゆっくり反応する。以前のメルセデスのRBと同じで高速で長距離走るのに適している。NVHも適度に遮断されておりプリウスで気になる路面の音は殆どしない。エンジンの微振動はまったく感じられず高回転の排気音もさほど耳障りではない。これなら6気筒でなくてもいいかという感じだ。

エンジンを確認するとファンベルトが水ポンプを駆動している。同系統のエンジンのカムリHVは電動水ポンプであり不思議であるが、その答えは既に書いた。クラウンHVにはフロアトンネルのスペースの関係で排気熱交換器が無い。そのかわり電熱シートが標準である。これは写真を見ればわかる。(写真はautoc-oneへのリンク)

ここのあたりは改良されると思う。トランクスペースは予想以上あり、(写真はautoc-oneへのリンク)

バッテリー、サス、タンク、リアシートの取り合いが煮詰まれている。スプリングはカラーをはめて荷室より下に押し込めてある。トランク内装を簡素にして405Lを稼いでいる。床下には板金の上に補機バッテリーやオーディオアンプが並んでいる。バッテリー冷却風がフロアを通ることもあってトランクは室外に準じる扱いなのだ。

トランクルームを緩衝地帯として使わず車室だけ遮音を強化してある。実際にはリアパッケージトレイを厳重に処理してある。シートバックはスポンジなので簡素でいいのだ。

唯一トランクのしわ寄せはリアシートの薄い座面に来ている。中央はさらに薄く高いフロアトンネルもあって5人乗りと言っても大人4人子供1人である。ただし子供も自我が目覚めると苦情を言う。ゼロ・クラウン以降はドライバーズカーであってショーファーズカーでは無いのだ。家族を放ったらかしにしてゴルフ場までやんちゃに飛ばす行動派熟年の車なのである。

クラウンHVはWebmasterのFXのチョイスになり得ると思った。家族で移動する時期にはセダンはトランクの荷物を取り出せないし後席は日光で暑い。FRでフロアが狭く荷物を置けない。しかしその時期が過ぎればFRセダンでも何の問題無い。

そのうち暑苦しく腰高なグリルは変更されるだろうし水ポンプも電動になるだろう。トランクサイズも実用サイズとなったし全幅も1800mmと市街地の取り回しが良いから、デザインさえ妥協できればネガは殆ど無い。

一方問題はアコードHVだ。

アコードHV(4915x1850mm)はカムリHV(4825x1825mm)やクラウンHV(4895x1800mm)より大きい。価格的にはどれもバッティング圏内にあり、そのうちにマークXHVも加わるだろう。

一般にFF車はFRより室内やトランクスペースが広く、Li電池はニッケル水素電池より小さい。なのにサイズ最大のアコードHVのトランクは381Lと最小だ。クラウンHVが415L。ライバルのカムリHVが440Lのトランクスルーなので使い勝手には相当差がつく。

なぜアコードHVは一番大きくFFでLi電池なのにトランクが一番狭いのだろう?

それは実物を見ないと解らない。燃費はともかくステアリングやガスペダルのレスポンスも試さないと解らないので試乗してみた。実はWebmasterがホンダディーラーに行くのは今世紀始めてである。何台もホンダ製バイクを愛用してきたwebmasterはアンチホンダでは無い。

結果を先に書くとホンダらしさに対する期待から判断すれば”はずれ”だった。

暑い午後でエアコンは回っていたが電池残量は40%程度でエンジンは止まっていた。道路までそろそろと走りだすと意外に早くエンジンが動き出した。エアコン負荷のせいだろうか?

エンジン音は予想より大きかった。数日前に試乗したクラウンHVがエアコン騒音にまぎれてほぼ無音だったので意外である。微速前進でもステアリングにエンジンの微振動が伝わり、巡航中もエンジン回転中はそれが続いた。振幅こそ小さいが硬質で安車プリウスよりはるかに気になるもので、評価は大きく減点となった。

シリーズHVでは基本エンジンは効率の良い2000-3000rpmで動かすが停止時や低速時は遮音が難しい。そこで暖機や低速度では回転数を落としているがそれでもステアリングの微振動対策が不足であり、加速にはトルクステアを感じるなど高級車らしからぬFF車のフィールである。

微振動は剛性を上げるほど硬質となる。消えない理由は巨大なオーバーハングがピッチングを発生するからで、液封サポートでは消すことが難しくダイナミックバランサーが必要なのだ。

補機バッテリーが前にあるのはダイナミックダンパーとして使うためか?エンジンルームのスペースが苦しいのかインバーターの一部は電池と同居している。エンジンルームにインバーターを集約できなかったのはスペースとPHV用充電器のせいだろう。このため電池ユニットには強力な冷却が必要で、リアシート横の空気取り入れ口が大きくなっている。

車体の成り立ちは三菱PHEVと似ている。iMiEVの売れ行き不振で、電池容量が小さく充電頻度が高い廉価版iMiEVはサイクル寿命に優れる東芝製SCiB採用に取られてしまい、合弁電池会社のキャパが浮いた。そこで電池をPHEVに流用したがスペースの制約からシリーズHVの変速一段となった。ホンダも同様にEVを前提とした合弁電池会社がありキャパが余っていた。

さて、法定速度までフル加速してみると(ノーマルモード)HVやEVに期待するガスペダルを踏んだらガツンと出る加速は、、、、無かった。確かに一回目の加速は前に出たが40-50km/hで中だるみがあり、その後再度加速する印象。二度目三度目の加速では言うべきレスポンスが無いなどプレスの記事と印象は激しく異なる。

加速がさほど無いのは夏バテか?この気温で何らかのリミッターがかかるのか?。試作車で0-100km/h加速が7秒前後とのウワサがあったがこの個体とこの気温では無理だろう。プレス用試乗車と市販車では設定が違うのかも知れない?

その後はエンジンはコースティング以外は回転しながらの巡航となった。ガスペダルを僅かに煽ると神経質なトルクのON-OFF感を感じるが言うべきレスポンスはない。同じ道を試乗したクラウンHVは夏バテしていなかったのだが。

そもそもレスポンスは異次元とメディアが宣伝するほどでは無くCVT的だ。カタログでは一定の加速度を維持できるとの記載があるが速度域によってレスポンスにムラがある。エンジン吸気音はスロットルを開けて燃費を稼ぐためにボーボーと冴えないのはエコカーなので不問とする。

そもそもアコードHVの電池は1.3kwhしか無いので100kwを発揮するとリミッターがかかるので20秒程度しかフルパワーは出ないだろう。

モーターが124kwhとすれば発電機出力はコアサイズから75kw程度と計算されるので、バッテリーが放電すると発電機がボトルネックとなりモーター出力は最大75kwx0.9の90馬力程度だろう。バッテリーが減れば写真の左の太いコアのモーターも右の細いコアの発電機の能力を越えないのだ。SOCが下がるとわずか75kwの出力を充電とモーターで折半するので言うべきレスポンスがなかったのだろう。

さらに長い上り坂では発電機は連続負荷となり能力が制限されるであろうので坂を満足に上らないだろう。同様に長い下りではバッテリー回生無効となり発電機でエンジンを回しポンプ負荷でブレーキをかけるがその能力も半分になる。理論的には車重を考えると長い坂道は上りも下りも軽自動車以下の性能とならざるを得ない。

エンジンはHV域では低速カム+VVT+クールEGRでありプリウスのパクリだがエンジン前面排気なので熱的ロスがある。エンジンが高速カムに切り替わるのは最高速を稼ぐためでHV域では高速カムは使われないようだ。(画像はホンダへのリンク)

トランクはサイズに対し異様に小さくしかも後端が左右に絞られ左右も狭い。これは設計のまずいリアサスが貴重なトランクスペースを大幅に食っているからだ。

基本的にサスメンバーはFRメルセデスのコピーで、フロアが高く、ありもしないデフのためのスペースが無駄になっている。オリジナルはスプリングをロアアームとサスメンバーの間、ダンパー下端は低くトランクスペースを浪費していなかった。それをパクったレジェンド2004はオリジナルに似た構造である。

しかしアコード2008でスプリングがダンパー上端に移動、アッパーアームもスペース効率の悪い板金に改悪された。今回のアコードHVはこれを流用しているが、無駄なスペースと予想外に肥大した電池ユニットのため悲劇的なトランクスペースとなった。(プレス資料26Pより)

このリアサスはサスタワーが出っ張るのでワゴンも作り難く、HVにも向いていない。逆にスペース的に不利なクラウンHVはスプリングをカラーで床下に押し込みスペースを稼いでいる。リアパッケージトレイまわりなどホンダは肝心な所の遮音も甘い

ちなみにアテンザのリアサスは性能を維持しつつアーム類をタイヤハウスに仕舞い込み、サスメンバーもフロアも低くワゴンにも対応している。マンマシン哲学で機械部分を最小、有効スペースを最大とするために独創的なリアサスを繰り出してきたホンダらしくない。(写真はcorismへのリンク)

成り立ちとして、ミディアムサイズのアコードにシリーズHVを積んだらエンジンルームとコストが肥大したので全長を4915mmに伸ばして値段を正当化できる体裁にしたが、元から車長の割に狭かったトランクは電池に食われ更に狭くなった様子だ。

証拠はホイールベース/車長に現れている。アコードHVが2775/4915mm、クラウンHVが2850/4895mm、カムリHVが2775/4825mmであり、ホイールベースが同じカムリより9cm長い。米国ガソリン版アコードが2775/4862mmなので、アコードHVはエンジンルームだけ膨らんでいる。

エンジンルームでは重量物がオーバーハングし、ラジエーターサポートからスカットルに補強材がある。グリルだけが空気で膨らんでいるが膨らますならトランクではないか?

運転席では標準体型のドライバーがシートを調節すると速度計の一部がステアリングの影になる。ホンダの悪い伝統だが治す気が無いらしくシビックFD、インサイト、フィットも程度の差はあれケラれている。

ステアリング調整は万力で締める手動式で、緩めるとドテっと落ちる。価格的にはバランススプリング位つけるものだろう。ステアリング特性を云々する前に微振動と見えない速度計、どてっと落ちるステアリングで盛り下がってしまった。

デザイン評価は辛い。フロントは超合金風でサイドウインドーのキックがBMW風。レース界で世界を震撼させてきたホンダとしては情けないデザインである。

なぜ市販車の加速が中途半端なのか? それにはLi電池の闇が関係していると思っている。

過去Webmasterはプリウスとリーフの効率を計算した。サイズが近いプリウスと比べリーフのEPA電費(Combined)は4.7km/kWhと悪かった(コンセント端)。電池容量から航続距離は100キロ前後となる。

プリウスのEPA燃費(combined)で50 mpg=21km/Lである。1Lのガソリン重量0.75kgの熱量は0.75kgx47.3MJ/kg=35.48MJ=9.85KWh(3.6MJ=1kwh)。電費は2.1km/kwh(21km/9.85kwh)となりリーフの半分以下の計算だ。

ただしプリウスはガソリンで発電するのに対し、リーフの電力は火力発電所由来だから熱源からの発電効率を考慮しなくてはいけない。2012年の全電源熱効率は0.36程度なのでリーフの熱源からの電費は1.69km/kwh(=4.7km x 0.36)となりプリウスより効率が悪い。

リーフの制御はプリウスのシリーズ/パラレルHVより単純なのになぜか効率が悪いのが不可解だった。それはリーフの充放電制御や回生制御には劣化対策や冷却の問題で人に言えないロスを許容せざるを得ないからだ。

なぜかアコードHVのLi電池ユニットはNiHで電池容量が大きいクラウンHVより大きい。それは補機のため?冷却のため?通風スペース?DDACの呪い?発火時の遮蔽のため?インバーターの一部が同居しているから?

そもそもアコードはデザイン段階でHVやPHVも出す前提なのに電池スペースは考えなかったのか?メーカー内部でHVやPHVを作る良好な共同作業がなかったのか?

ホンダもまずいと思ったのかカタログにはリアサスの説明図は無い。トランクが狭い理由がわかってしまうからか?。例えば三河屋のHV専用車CT2000hはリアダブルウィッシュボーンのNiH電池ながら床面をわずかな上昇で留め、トランク容量も全長4320mmながらアコードHVに近い375Lも確保している。(写真はgreenmotor)。7代目ゴルフは380Lを確保している。リアサスがトーションバーのプリウスは446Lもあり、いかにリアサスのデザインがトランク容量を左右するかわかる。

結論として巨大な割にトランクが最も狭く、加速も夏バテで期待に及ばず、ステアリングに微振動が消えない点で現状ではFX候補からは外れた。もちろん高級セダンを渇望するホンダファンには治療としての購入をお勧めするが、webmasterとしてはパスしたい。

HV部分は格段の努力で発売に持ち込んだが車体はテストベンチのレベルではないか。あるいはホンダ内部で操安派とHV派のリアスペースをめぐる葛藤があったのか?。

もう一つエンジン、モーター、インバーター、Li電池の使い方にマージンが乏しい印象がある。果たしてこの車が長い坂を満足に登れるのか?10年間をノートラブルで乗りきれるか?心許ない。現状のHV技術では無理に無理を重ねたシリーズHVはこの車で打ち止めかも知れない。

かつてのアコードはコンパクトのわりに広い室内、パワーは大したことが無くとも軽やかによく回るエンジン、品の良いインテリアなど知的で魅力のあるミディアムサイズだった。個人的には次のアコードHVはCL9サイズ(全長4665mm全幅1760mm)のワンモーターHVでプリウスとガチに当たるセダンであって欲しい。

買いかぶりかもしれないが、革新性から言えばプリウスは本来ホンダがアコードとして作るべきで、アクアは本来ホンダがシビックとして作るべき車だったのだ。ホンダがミニバンに浮かれているうちに知的で先進的な看板を三河屋に乗っ取られたのだ。

個人的には新型フィットHVの方が期待できる気がする。新型は電動水ポンプやエアコンコンプレッサー、水冷EGRなどアクアとガチ勝負の様相である。これが成功すれば次に本来のサイズのアコードがワンモーターで登場する可能性もある。シリーズ式HVはどうしても重厚長大になるからだ。

ただしわずかに燃費を稼ぐためのDCTとLi電池はトラブル要因となり得る。新型には何故かセルモーターが残っているが、それはLi電池の始動性能が低温では不足するからで、これもLi電池の闇の一つである。Li電池による動力性能のゲインのかなりはセルモーターと鉛電池の重量に食われるだろう。

ホンダのCVTはクラッチのジャダーなどのトラブルの上に完成したもので、国内向けはCVTのほうがベターかも知れない。主たる顧客の女性はダイレクト感よりジャダーや変速ショックが無いことを重視すると思う。

ホンダはLi電池の闇に関して楽観的だったように思う。その点はボーイングも三菱も同じかも知れない。携帯電話などでパワーを発揮するLi電池がなぜ自動車用では性能を出しきれないのか?

それは単電池と組電池の差である。単電池では電圧を厳重に管理できる。しかし何十もの電池を直列接続すると劣化にバラツキが発生する。フル充電しても規定電圧に達しないもの、逆に電圧オーバーとなるものが出てきて、オーバーのものは急速に劣化し最悪発火する。そのため個々の電池電圧を均等化するセルバランサーが必要だ。

現在多く使われているセルバランサーは、充電後に電圧が高い電池をシャント抵抗で放電させる。しかし賢そうで間抜けなアイデアなのだ。まず殆どのセルバランサーが動作するのは充電後で、発火しやすい充電中には動作しない

さらに電圧が高く頻繁にシャントされる電池は急速に劣化するから、現状のセルバランサーは劣化の少ない電池をシャントで劣化させて均等化する回路でもある。それでも発火するよりいいだろうという考えなのだ。

さらに車の電池は携帯とは違い簡単には交換できないのでマージンが必要だ。耐久性のために組電池では十分な冷却の上でSOCの中央付近の狭い幅でサイクルさせる必要がある。

今年はLi電池の実装に疎い電池メーカーが陸と海で発火事件を起こした。飛行機での対策はスペックより充電電圧を下げて冷却と絶縁を強化し丈夫な箱に入れベントすることだった。分厚い箱のためNiH電池と同じ重量なってしまったが、ボーイングのプライドを保つにはこれしか無かったのだ。

B787のLi電池の行く末のナゾ

で書いたように電池会社のスペックが脳天気すぎたのだ。自動車用では振動を与えて金属切子を底に落としてX線検査をするという手荒な検査で発火させた

今まで先行メーカーが注意深く育てて来たLi電池の評価をたった一社が破壊し、日本製品の高性能高信頼性イメージも傷ついた。相次いだ発火は業界のLi電池の評価を一変させた。

さて次期プリウスがLi電池を採用するかどうかに興味が集まる。石橋をたたいて渡る三河屋がLi電池を採用すれば、Li電池は本格的な普及期に入ったと解釈できるが、微妙になった感じがする。かつてはLi電池採用は宣伝文句だったが、今ではリスクと考える人も居る。

Li電池の前途は洋々に見えたが、一社の不始末で先が読めなくなった。Li電池の真価が問われているところだ。

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アロンαはリジカラ越えの夢をみるか?のナゾver.1(プリウス補強編)

巷ではリジカラ(R、ス○ーン社の登録商標)なるものが人気らしい。そこのブログにいくと、いろいろな車種にかたっぱしから実装されている様子が掲載されている。それをみるとサスと車体の結合部を主に強化しているようだ。

ス○ーンと言えば老舗であり、書いてあることにも一定の根拠はあるように思う。しかし実装するには車体とサブフレームを浮かして製品を挟む必要があり素人には手を出しにくい。しかも製品にはテーパーなど細かい細工もあるが、工賃を含めちと高い気がする。

Webmasterとしてはプリウスの剛性感(剛性感=車体剛性ではない)に満足している訳ではなく、今回の定期整備の折にG'sの純正補強各種を仕込むためのお小遣いをリザーブしておいた。しかし整備の寸前にクルーザーの保険代に取られてしまった。補強の理由はは今後17インチタイヤを履かせるためであった。

そこで代替策を安価に講じる必要があるが、車体補強については過去、

アロンアルファーと車のクラックのナゾ

で触れたことがある。お小遣いが潤沢だったころ、webmasterは初代RX-7のサスを強化し当時最強だったアドバンHF-Dを履かせたら、車体後部のダンパーを結ぶメンバにヒビが入ってしまった。そこでアロンアルファを流したところ足回りがシャンとなった。

そこで車体の板金の合わ目やネジにかたっぱしからアロンを染み込ませたところ剛性感(剛性かどうかは解らないが)があがったという話である。実際には釣具屋で安売りしていたツリロンを20本ほど流したのである。この方法をブログに上げたのは当サイトが日本初だと思う。

省みて我がプリウスを見ると、生産性のため過去の車より構造が退化した面も見られる。嘗てはステアリングギアボックスはスカットルに固定され、スタビライザーピボットはエプロンメンバに固定され、これらはサスやとエンジンとは別途組まれていた。

最近の車は生産性のためフロントサスメンバにステアリングラックやスタビライザーなどが一体に組まれてて、少ない結合ポイントで車体と結合されている。そのためサスの車体への入力点は分散からむしろ集中してしまっているのだ。

従ってリジカラがその締結部位のガタをとり剛性を上げるという原理には確かに一定の根拠はある。

しかしもっと良い方法がある。そもそもネジで二枚の鉄板を締結するには溶接や接着より弱い面がある。鉄板はお互いに摩擦で止まっていて大入力があればミクロン単位でせん断方向に滑るのだ。それは車体の騒音や剛性感の無さとして現れるかも知れない。

エンジンを止めると排気系からキシンコロンという音がする。これは熱膨張していた金属が冷却され縮むとき、ネジ締結された部品同志がミクロン単位で滑って応力が抜ける音である。つまり、いかな規定トルクでネジを締め付けても締結部分の微視的なズレは発生し得るということだ。

確かに車体とサスを締結する部分を見ると微視的には隙間や滑る要素も十分にありそうである。この隙間を埋め、せん断方向の滑りを止めるのに最低限の強度の接着力があればよい。

むしろ構造用接着材のようにネジ締結が外れなくなるほど強度があっても困る。インパクトをかけたら外れる程度の接着力でないと困る。しかも粘度が低く隙間の奥まで浸透すればトータルの締結剛性としてリジカラを上回るかも知れない。

すればやはりアロンαを使うしかない!!

もう一つ、我が家のプリウスの新MCプラットフォームにはいくつか疑問点がある。これはプリウスより重いSAIやマークXジオ、アベンシスなどにも使われている代物だが、据え切りしたときにステアリング系から時にカキンコキンと軋む音がしていた。

納車早々に気づきステアリングラックを増し締めしてもらって以来異音は消えたが、調べてみるとこのプラットフォームではラック(ステアリング リンクASSY)はたった二箇所のネジでメンバに固定されていて不安を感じる。これを4箇所固定すればステアリング剛性もメンバの剛性も上がるのではないか。

その後大型車ではフロントサスメンバとクロスメンバsub-assyを繋ぎ、スタビライザーを固定するブレースFRが左右一体になるなど補強されているが、最初から設計がしっかりしていれば不要のはずである。

もちろん純正の補強板を全部装着するのも一法ではあるが重量増もあり賢くない。そこで入力点の接合面とネジをアロンアルファで補強することにした。部位としては

1)サスメンバとボディの接合面とネジ(上下2箇所x左右)
2)ラックとメンバの接合部とネジ(上下2箇所x左右)
3)メンバブレースRRとボディの接合面とネジ(3箇所x左右)
4)リヤアクスルビームASSY取り付けボルト(左右2箇所)

追加ポイント

5)フロントフロアブレースCTRのボディ接合面とネジ(フロアトンネル補強、2箇所x左右)
6)リアサスペンションブレースSUB-ASSYのボディ接合面とネジ(リアサス補強、2箇所x左右。うち1箇所x左右はグレードLのみリヤフロアサイドメンバ カバーで覆われているので今回は未処理)
7)フロントサスペンションメンバーブレースFR(左右)とサスメンバー、サスメンバーSub間とネジ(5箇所中の4箇所x左右)

とした。様子は写真で見てほしい。全ての部位はジャッキアップせずにアクセスできる。タレが見えるのは適用量がオーバーで、本当に必要な注入量は極小である。おそらく追加ポイントを含めアロンαは3本ですむはずだ。

実際どうなったかというと、まずNVHの音が静かになった。音で表現すると、段差を踏んだ時にいろんな所がバラバラに振動するボワ〜ン、モワ〜ンという定位感の無い音が、トン、ドトンという感じになる。接合部の振動が減り車体の一体感が出てくる。処理前のプリウスではこの一体感が希薄だった。

しかしかわりにインバーター音やエアコンコンプレッサー音が耳につく気がする。NVH騒音が減ったことと車体の結合剛性が上がり振動の伝導が増えたためだろうか。タイヤの音も耳につく感じがする。15分もかからないトリートメントにしては大きな違いである。

リアについてはフロントほどはっきりしないが、振動騒音が減ったかわりに車庫入れ時のディスクブレーキが擦れる音が大きくなったような気がする。

ということで、低級騒音が減ったものの路面の音が聞こえるとかで痛し痒しの面もある。あるいはトヨタは車体とメンバーなどを緩く結合することで振動伝導を減らしているのだろうか?それはトヨタの高等戦術なのか?

ありえない話ではある。たとえば常識的には車体のスポットを打ち増しすると車体剛性が上がるが、それで車体が長持ちするという訳でもないらしい。弱い車体全体で剛性を適正に分布させることで振動を吸収し、応力が特定部位にかからないようにして車体のヨレ、劣化を防ぐ高等技術があるという。

かつて某メーカーがこの手法をドイツ人に説明したがドイツ人には最後まで理解できなかったとかいうが、実際には殆どのメーカーが実行していると言う。この観点からすると、メーカーが純正で施していない部分に補強を入れるのは好ましくないこともあるだろう。

メーカーにしても、太いタイヤを履きたいが振動は嫌だというようなユーザーのわがままに対し、高等戦術を使う必要があるのかも知れない。プリウスでは17インチタイヤ装着車はわざとダンパー減衰力やブッシュ硬度を落としている。タイヤの太さにかかわらず同程度のNVHとする高等戦術なのだ。

したがって、G'zの補強板なしでも真のプリウスの設計でのサス能力の限界を知りたい人は試してみるも良しである。今回の処理部分はメーカーが意図した締結部分を強化するだけなので構造的な問題は一切発生しないが、webmasterは一切の責任をとらないのでそのつもりで。

ようするに、プアな剛性の部品の組み合わせでも、締結剛性が上げれば全体の剛性はあがり、本来の設計以上の性能が出るという考えである。くたびれた車でも緩んだネジを締めませばシャキっとなる(感じ)が、それが高度なまま持続するのである。印象ではこの補強で17インチも行けそうな気がする。

もちろんコストと手間は最小である。なお4)のボルトはLグレード(別名V-spec)に限りリアタイヤハウスライニングで覆われているのでをずらして行う必要がある。さらに6)はグレードLのみ両側リヤフロアサイドメンバ カバーに覆われているので各ボルト3個はずす必要がある(今回は2箇所しか処理していない)。アンダーカバーなし仕様だと4箇所アクセスできるはずだ。

床下を見ると一番安いLグレードが一番カネがかかっている所がプリウスの面白いところだ。それが最軽量のまま補強材の重量増なく剛性があがるとしたら、ある意味もっともレイシーなプリウスなのかもしれない。

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にわかホームベーカリー中毒のナゾ

テレビをみていると数年前から関節に良いとされるグルコサミンやコンドロイチンの広告が頻繁に流れているところを見ると、骨や関節の不調に悩む客がいかに多いかがわかる。人間も年を取ると体中の関節が弱くなるものだ。

かつて大学では運動部のキャプテンを務めたWebmasterは一日たりとも病気欠勤したことは無いのだが、さすがにも年には勝てず関節の不調が出ることがある。ただWebmasterの関節は特定の食品ばかり食べた時に悪くなることがここ10年ほど続いている。

その食品は大手メーカーのパン、とくにアンパン、カレーパン、ソーセージパン、調理パンなどで、これらを食べると関節が痛くなるのだ。ただしその症状は牛乳や小魚をたくさん摂取すると中和されるところからカルシウムに関わる問題と思われる。

しかしWebmasterはパンがキライでは無い。それに同じようなパンは市中にあふれているので、Webmasterのような体質は家族だけでなく、世間にも多いかも知れないので、このトピックを書くこととした。

医学的にはカルシウムと拮抗するのはリンである。もちろんリンは自然の食品にもかなり含まれているように人体に必須なミネラルである。体内ではリンとカルシウムの量をかけたものはほぼ一定に保たれており、どちらが過多となると相手は過小となる。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2010年版)ではカルシウムの1日の推奨量は成人男子で800mg(女子で650mg)、一方リンは成人男子で1000mg(女子で900mg)である。

もちろん通常の食品にもリンはかなり多く入っており、例えば脱脂粉乳100gにはリン1000mg(カルシウム1100mg)入っており、少なくとも脱脂粉乳を100gとれば問題ないはずである。脱脂粉乳がたった100gかと思われるかもしれないが、粉が100gであって牛乳相当に薄めると800mlにもなることに注意して欲しい。つまり1Lカートンを毎日一本弱飲まなければならない。

さらに日本人のカルシウム摂取量は性別をとわず全ての年齢層で必要量を慢性的に下回って不足しており、リン酸の過多には弱い条件になっている。

原因は乳製品と魚類の不足が大きい。日本では乳製品に高い関税をかけられていて一般に高価である。魚は安価ではあるが骨があるために特に若者には一般に不人気だ。昔のように煮干でだしをとればかなりのカルシウムが摂取できるのだが、製品としてのだしには余計なものが入っている

自然の食品、例えば乳製品や魚類にはリンとカルシウムは同時に含まれているが、しかし加工食品には添加物としてのリンのみが入っていることが多いのだ。従って一つ一つの食品に含まれているリンは食品添加物としての許容量を満たしていたとしても食物全体でリンとカルシウムのバランスがとれているとは限らないことに注意して欲しい。

以上の議論を踏まえたうえで、webmasterの体質には食品と関節の不調にはカルシウムとリンの比率が明らかな関係があると思っている。これが正しいかどうかはわからないし、読んでいる方々にあてはまるかどうかは解らない。ただし血をわけた家族にはおそらく同じことが当てはまる可能性が高い。

具体的に市販のパンのどの成分にリンが多いのかは確定できていないが、今のところイーストフードを疑っている。先に書いたように、個々の製品が基準を満たしていても、食品をつみかさねたトータルのリンの量が問題になるのだ。

そこでパンを自前で焼くこととした。そうすれば、製品に含まれている成分は少なくとも市販のパンより特性することが容易だ。すでにホームベーカリーの機械は10年以上市販されており、多くの問題はクリアされている。パンの材料も潤沢に供給されているから、家族のためにパンを焼くことは難しくない。

現在の消費量からすると二斤焼ける機械が必要だ。パン焼きにはトータルで4−5時間を要するから、容量が一斤の機械では能率が悪く毎日焼いてもギリギリの供給力である。そこで市場で2斤焼きを探すと、○インバードの製品が該当した。

実を言うと個人的に○インバードという会社を信用してよいのか確信がなかった。しかしネットの評判はまずまずであり、他社にもOEM供給していること、消耗品が安く供給されていることが分かったので購入することにした。価格は書くのがためらわれるほど安かったが、逆にうまく焼けなくても被害が小さいだろうという考えもあった。

通販で日清の業務用強力粉、サフのイーストを注文し、スキムミルク、上白糖、海塩、バター、パンのスライス道具を入手しおそるおそる焼いてみた。ネットによれば、この機械は騒音と振動が大きめで製品も安っぽいもののコネは強力であると言う。振動は下にゴムの台を弾くことで緩和されたが、それでもモーター音は大きい。

待つこと4時間半、部屋はパンの匂いで充満していた。少し冷やしてスライスし、さらにレンジの上で冷やして置いた。家族に翌朝から自家製パンがあると告げておいたところ、翌朝にはすでに半分以上が消費されていたのである。

最初はすべて通販で材料を手当していたが、迂闊なことにサフのイースト以外は業務用強力粉も全粒粉も近くのスーパーに並んでいた。どうやらwebmasterが住む街ではホームベーカリーが普及していて、単にwebmasterの認識が後手にまわっていただけだったのだ。

その後レシピにある、スイート食パン、ごはん入り食パン、全粒粉パン、フランス風パンなどひと通り試してみたが、標準的な食パンの早焼き(三時間半)が一番効率が良い。早焼きといってもレシピは同じでイーストを通常の3割り増しするだけである。

それから実はもう2ヶ月以上Webmasterは平日は2日に一回、週末は毎日焼いている。以前の食パン消費量は1日に一斤以下だったが、現在は平日で一斤、週末は一斤半となっている。

ただし粉の使用量は膨大だし調合の手間も大変だ。そこで写真のように、さいの目に切ったバターを含め小分けした数回分の材料用意し、焼くときに水とイーストだけを加えれば済むようにした。道具を用意する手間を考えるとその方が遥かに能率がよいのあ。ただしバターが入っているので冷蔵する必要がある。

機械によってレシピは変わると思うが、3ヶ月焼いた現在のレシピは下記のようである。食味とミネラル、栄養を考え、強力粉の24%を全粒粉、砂糖の半分を黒砂糖、塩の半分を藻塩とし、モチモチ感を出すために上新粉を混ぜている。

この機械にはイースト投入装置が無いので、パン鍋に水、粉の順に入れ、粉の頂上をへこましてそこにイーストを投入する。毎回レーズンやドライフルーツを入れているが、30-40分後の合図音を待って投入することになっているが面倒くさい。これは早期にいれると鍋のテフロンを擦る時間が長くなり痛めるからである。

> これにはレーズンやドライフルーツを数分間水浸して表面を柔らかくしておけば開始数分のネタが団子になった段階で入れてもキズはつかないし、粒の形も保たれる。何より入れ忘れが無くなる

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レシピ(食パン二斤分として)

強力粉(日清業務用 or 日本製粉ゴールデンヨット)360g 全粒粉(日清製粉パン、ピッツア用全粒粉)     120g 上新粉(モチ用)     20g 砂糖  白糖50%+黒糖50% 40g(専用大さじ4杯) スキムミルク雪印     16g(専用大さじ2杯) 塩(藻塩+海水塩)     7g(専用小さじ1.2杯)、有塩バターのため少なめ バター有塩        35g

イースト サフ赤     4.5g(専用小さじ1.5杯) 水            370ml(20度)

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今後の課題としては自然酵母や国内産強力粉を採用するかどうかである。Webmasterは趣味で作っている訳でなくハラをすかした家族に食わせるために量産していてエキストラの時間をかける余裕は少ないのだが、ぜひパネトーネ種だけは試したいと思う。

またwebmasterはコネに凝る気はまったくない。というのはwebmasterの周辺で長らくパン教室に通ったがコネがきついのでパン焼きをやめたという人がかなりいた。さらにコネは機械にまかせてあとは自分オーブンで焼いていたが、それでも疲れてやめたいう人も若干名いた。何事も継続が力であり、そのためには凝りすぎは禁物である。

パンも原材料もどんどん減っていくことは主夫の喜びをかみしめているところだ。パン自体がおいいしいのでジャムやバターをあまり塗らなくてすむとかで、それらの使用量も減っている。家族の体調もお通じも良くなっており、これには全粒粉が効いていると思う。

ただし全粒粉は増やすと舌触りや食感が粗雑になるので、毎日使いとしては全粒粉の20-30%に留めるのが良いようだ。塩はごく少量であるが適当にすると確実に味と焼け具合に影響がでる。

市販のパンの品質や成分に不安のある方、あるいは骨や関節の調子が良くない方はホームベーカリーを試す価値があると思う。なにより成分をコントロールできるという安心感が大きいのである。

歴史的にはホームベーカリはモチ作りマシン由来らしい。確かにモチはコメを炊いたあとにコネるが、ホームベーカリーはコネた後に焼くと順序が逆だが、コネと加熱という要素技術は同じだ。ただしモチは正月だけだがパンは年中食べるので機能の首座が逆転したのである。従ってゴパン焼き機能は一歩先祖返りなのだ

この手の機械の急所はシリコンオイルを密閉した羽根軸受らしい。ここは水密で高温に晒されるので消耗が速いようだ。故障を防ぐには焼き上がり後になるべく早く鍋を冷やすこと、軸受けの焼け焦げを水でふやかして十分掃除すること、パン鍋下部のベアリング付近を濡らさないことらしい。

ただしこの機械ではOEM製品のパン鍋が本家より安価に供給されているので、鍋が壊れるまでじっくり腰を据えてパンを焼き続ける覚悟である。

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洗面所混合水栓水漏れ修理のナゾ

シャワードレッサー(シャワー付き洗面台)からポタポタ水が漏っている。以前も別のシャワードレッサーの水栓で止水が悪いことがあったが同じ原因だろうか? 調べるとこの温水切替ワンレバー水栓はガス会社N社製洗面台向けのOEMで、大手K社のものであることが分かった。一方前回のサーモ付き水栓は代表的なT社の水栓だった。

T社の水栓は分解するとパッキング不良では無かった。水栓のパッキングは回転摺動させると消耗しやすい。T社のものは回転させずに直角に当たるよう設計されていた。そのレバーの回転させる部分のシリコングリス切れで、交換部品はゼロであった。

かつては温水切替水栓のパッキングはゴム製であった。しかし頻繁に使うと早期に消耗するために、25年ほど前からセラミックの摺動に変わった。これにより長い寿命を持つことになったが、それでもやはり寿命はある。

まずカートリッジをネットで手当した。当時はレバーを下げると出水のものだったが、当局か業界団体の方針でレバーを上げると出水するカートリッジに変わっていた。落下物がレバーに当たって出水するとマンションでは被害が大きいからであろう。

もちろんカートリッジを前後逆につけると前と同じく下げると出水になるがお湯と水の切り替えの回転方向方向が逆になる。今回はおとなしく業界の趨勢にそって上げると出水のカートリッジを入手した。さらに専用工具SSTも入手した。

これは水栓のハンドルを外したところだ。この水栓は現行モデルK568のご先祖さまに当たるものだ。上の丸い座金を回すとカートリッジが出てくるハズだがサビて固着し動かない

そこで下のハテナ型の純正工具の先を水栓台座の裏の穴に入れて回り止めとして座金をまわそうとするが、この頃の製品には穴が無かったのだ。どうやら固着が多いためにある時に穴が新設されたようである。

そこで台座にテープを巻きオイルフィルターレンチをかませて固定するがやはり座金が回らない。配慮の足らない設計と無駄なSSTを買わされたことでK社を呪うが、どうにもならない。水栓ごと新品に交換する手もあるがシャワー付きの製品の定価は5万円以上と高い。対してカートリッジはネットで4000円前後である。

そこで定番5-56を吹いて一晩待った。しかしまったく歯がたたない。これはサビといっても水道水のカルシウムと真鍮が化合したもので、5-56の守備範囲とは異なる。

そこで固着した隙間をカッターの歯で掃除し、真鍮まわりのサビ除去に使っている特殊洗浄剤(サンポール)を含浸させた。水回りのカルシウム固着にはこちらが専門で、幾ばくかは溶けるハズだが?

これまた一晩かけてスパナをかけるが外れない。座金のスパナがかかる部分が浅く、トルクが十分にかからないのである。そこで座金に付くのキズは承知の上でモンキーをかませたところ座金を緩めることができた。なんと部品手当から3週間を要した難問が解決したのである。

座金と受けにはカルシウム沈着物が付着しているが特殊洗浄剤で一部は溶けていた。右側がカートリッジで緑が新品である。色と型番が異なるのはレバーの方向が変わったからである。とにかくカートリッジを収納し座金を閉めて仕事は終了した。

通常ならこれでめでたしめでたしで終わるところだがWebmasterは釈然としない。やはりカートッジを分解して不具合の理由を突き止めるべきであろう。

分解したところが写真である。分解は2箇所の樹脂の爪をはずすだけだった。

図の左上がレバーの支点のカートリッジ側、左下がセラミック板、右下が可動性のセラミックで一部が凹んでいる。これはレバーの動作で前後に動き、セラミック板の穴を塞いで出水、止水する。またレバーの回転により、湯と水の割合を変える。可動するセラミック板とレバーの間にはもうひとつセラミックの座金があり、レバーとカートリッジとの間の水密を保っている。

セラミック板の穴とカートリッジの底は三角パッキンでつながっている。まず漏水疑い第一ポイントがセラミックの摩耗、次が三角パッキンの劣化だ。

まずセラミックの表面はまるで定盤の如く平滑で摺動は円滑であり、磁石でもないのに一度張り付くとはずれないほどである。一部変色はしているものの原因の可能性は低い。

次に三角パッキンだが縮小、劣化、サビ付着があるが、漏れの原因では無いようだ。

とすれば原因は何か?再度組んでみるとセラミックが密着せずに浮くことがある。つまりセラミックを圧着させ、レバーを回転させるOリングの劣化が原因のようだ。

これらのOリングが20年間の使用で劣化し弾力を失ったようだ。セラミック部分は高度な設計なのだが、それ以外の設計は凡庸ではある。しかしOリングを使って20年持った時点で十分という考えも成り立つ。20年も経てばデザイン的に陳腐化する可能性もあるからだ。

というわけで、長年のナゾであったセラミック水栓の構造を知ることができた。確かにセラミックは高度な細工だが、やはりゴム部品がヘタればいかにセラミックが摩耗していなくても寿命ということである。

今回の水栓は強く座金が固着していた。座金がはずれなければ水栓自体の交換を薦められることもあろう。5万は高いが20年という月日も重い。白色の水栓のデザインは現在の光物のトレンドからはシンプル過ぎるように見える。デザインの観点で水栓を交換するのも間違いでは無かろう

当時は朝シャンブームとかで日本中にシャワードレッサーは燎原のように普及した。シャワーホースが伸びたりサーモ付きとかで水栓業界は潤っただろう。狭い住宅事情の我が国では洗面台がシャワールームを兼ねざるを得ない特殊事情もある。20年後には家に複数のシャワールームがついている時代になるのかも知れない。

今回は台座ネジを十分に清掃しシリコングリースを塗布後に組み付けた。擦り切れていた温度の色表示も本来と異なるところにテープを貼りつけて新味をつけてみた。webmasterにデザインの才能は無いのだが、表示が無いよりは親切だろう。

次回の交換はシリコングリースのおかげで楽になると期待されるが、漏水が20年後とすればWebmasterがその場に立ち会って修理できるかどうか微妙な年齢になる。あるいはこの家自体が存在していないのかも知れない。

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ヤマハCXシリーズとカワイGXシリーズグランドピアノの弾き比べのナゾ

昨年夏のことだがヤマハからCXシリーズグランドが発売された。最多販売モデルであるCX-3の価格は税込2,205,000円であり、C3XAの2,572,500円より安いが過去のC3の2,047,500円より高い。もっともC3TDが1,942,500円と過去のC3より安く残されているのは学校などの入札対策かもしれない。

CXシリーズの音響要素はC3XAを踏襲しており響板の作り方がCFXに準じた方法で異なっているという。

そもそも響板のむくり(クラウン、中央が凸のドーム形状)スーパードライとした響板を加湿した響棒と貼り合わせることで作られる。響板が吸湿して伸び、響棒が乾燥することでバイメタルのように響板が凸状に反るのだ。

しかしムクリの具合は木質によってバラ付きができる。さらに弦によって常時20トンの力でクラウンを上から抑えられること、また長い間に響板が乾燥し樹脂が蒸発して縮むとクラウンが失われる。そうすると弦が響板を抑える力が減り、弦の振動が伝わりにくくなる。

もう一つ、上記の方法では響板は伸びようとし響棒は縮もうとせめぎ合うためにバネ定数が高くなる。

そこでベーゼンドルファーなどでは最初からアーチ状の響棒を使っている。これにより響棒がもとに戻ろうとする(クラウンを弱くする)力がへるので、同じ弦圧を加えても響板と響棒のせめぎ合いが弱くなる。同じ20トンの弦を支えながらバネ定数が低い、つまり響板がより柔らかく振動しやすくなるのだ。さらにクラウンを長期間に亘って保つ効果もある。具体的には響棒を凹の型に入れてカンナをかけるのだ。

さて弦の振動は駒を経て響板に伝わるが、理論的には弦の力学的な出力インピーダンスと響板の入力インピーダンスが等しいときに最大のエネルギーが伝達する。このためには低音は大きな振幅に柔らかく追随し、また高音では小さい振幅の鋭い振動にしっかり追随しなければいけない。

そこで低音は柔らかい響板に低い弦圧を組み合わせることで深くサステインの長い音を、高音は堅い響板に高い弦圧を加えることで立ち上がりの良い大きな音量を得ることができる。

さてアーチ状の響棒がいかなるものかは、

ベーゼンドルファー公式ビデオ

の2分49秒のところで響棒の端が板から浮いていることから伺える。

CFXシリーズや今回のCXシリーズでの一番のポイントは響板にあると言える。確かに後框の強化はXA以来だが、低音の除響板や円弧状の振動パターンを意識した設計は実は60年台のCシリーズ(通称タローネモデル)で製品として存在していた。しかしタローネモデル以降に生産性のために省略(手抜きとも言う)されていたのが今回復活したとも言える。

ハンマーについてはサステインの深い響板に対応するようより深い潰れ代で堅さがプログレッシブな特性となる方向であろう。

CXシリーズの鍵盤やリラ、足のデザインはCFXシリーズと統一されているが、個人的には少なくともペダル箱の形は好きでない。

さてCXシリーズの音はどうであろうか?今回は某所にて3台のCX3を1台のC3TDを弾き比べたが反響の多い環境とC3というサイズの限界もあってサステインの差は明確でなかった。過去3台のC3と3台のC3XAを弾き比べた時は製造間もないせいかC3XAの音質は激しくバラついていたことと比べると、CX3どうしの音質のバラ付きは少なく感じた。

ただ製造後のピアノは刻一刻状態が変化し落ち着くには3年を要するので、新品の選定がどの程度意味があるのかはわからない。至近距離に並んだCX3でも高音の音量差は確かにあるが、向かいのC3TDとは音響条件が違うのでなんとも言えない。製造時期の差があるからかも知れない。

追加(2013.12)

某所で製造番号が近いC3XとC3TDをほぼ同じ環境で弾き比べることがあった。明らかにC3Xは低音の音量やサステインがC3TDより勝っていた。まさに過去のC5を弾いているかのような深みがあった。一方C3TDは低音が控えめな分だけ高音は輝いて聞こえていた。したがって部屋のサイズなどの制約のためにC3Xにエキストラを払って低音を獲得するという考えはあると思う。

ただし、値段に応じてハンマーの整音や鍵盤の調整は丁寧になっていると思われる。小ホールに置くのであればCXシリーズを奢りたいが馬車馬のように消耗品として酷使する用途であればC3TDでも可だと思う。いずれにせよ、小さなピアノでも日本の住宅事情では音量が大きすぎるのだ

ところでカワイもRXシリーズがGXシリーズとなった。ヤマハもカワイも同根の会社だが、カワイはヤマハに対する対抗意識があるようで、過去にもヤマハがモデルチェンジする毎に僅かに遅れてモデルチェンジをしかけてくる。もっともXAやCXがSKシリーズに対する答えだとすれば、ヤマハも同じようなものである。昔からカワイは○○記念とか○○仕様とかを乱発する傾向があるが商売の問題なのだろうか。

今回弾いたGX3(税込2,205,000円ちなみにCX3と同価格)は一台だけなので決定的なことは言えないが、すぐに気づいたのは鍵盤がRXより軽く弾きやすいことだ。中音での鍵盤錘がおそらく47gあたりと軽いようで、RXシリーズよりSkシリーズに近づいたようである。

音量については響きの良い場所であったので何ともいえないが悪い印象は無かった。過去RXシリーズは鍵盤が重く、また黒鍵の角が尖っているとか黒鍵の接着部に段差があるとかで弾きにくい印象があったが、GXは新品であっても若干鍵盤仕上げがよくなっているようだ。

今回のGX3は新型Sk3と同様にサイズが186cmから2cm大きくなっている。これは前框が2cm厚くなったことと関係しておりライバルのCX3より2cm長い。この2cmはカワイにとっては大きなプライドなのだろう。何となく過去カワイはかつて目に見える小技に注力する(そうで無い部分の手抜きに対し)癖があったが、今回のGXは筐体をskと同一サイズに買えるなど根本に力が入っている。

前框は箱としての筐体の強化である。ピアノの箱は出来上がったときにタガのように締まる方向の残留力が望ましい。この点、ヤマハやスタインウェイのように筐体が完成したあとに響板を貼りこむ製法と異なり、カワイは古典的ドイツピアノのようにインナーリムに響板を貼ったあとにアウター・リムを貼りこむ製法で、前框とピン板および側板の構造的な連続性が乏しい傾向があったが、最近大きく改善されたようである。

今回の改良は厚くなった前框とのピン板側板との結合剛性を挙げることが目的のようだ。しかし前框が厚くなった分鍵盤からピン板の距離が長くなったことで、鍵盤のシーソーが2cm長くなったことが改良の第二点である。カワイは鍵盤を長くするために前框が厚くなったというが、個人的には逆じゃないかと思う。

鍵盤は長いほど両端の動きが円弧から直線に近付く。また同じストロークに対し鍵盤中央のピン周りの回転角が小さくなることから相対的にピンのフリクションは減り鍵盤が軽くなる。特に白鍵より短い黒鍵で手前と奥のストローク量が近くなり、引き手は一瞬黒鍵が長くなったような印象を受ける。

一方いい事ばかりではない。、鍵盤が長く重くなるほど回転の慣性が大きくなり低音はともかく中高音での連打性が低下する。ハンマーが弦を叩く位置は弦の長さに対し一定の割合の位置なので、弦が長くなる程打弦点は鍵盤から遠くなる。弦の端を高くのは基本周波数より倍音成分を稼ぐためである。

従って弦が長いフルコンでは鍵盤の長さが長くなるが、そうすると中高音の連打性が悪くなる。このため6号より長いピアノでは低音の鍵盤は長く高音の鍵盤は短くしている。そのため鍵盤の支点を結ぶ線は鍵盤と平行では無く斜めになっている。同時にアクションレールも鍵盤と平行でなく斜めになっている。

ただし実測では3クラスでの鍵盤長50cm弱に対し2cmは白鍵で4%、黒鍵で5%の差なので体感できるとも出来ないとも言えないところだ。なんせフルコン274Dの鍵盤は70cm強と20cm長いから2cm長くしたところで大差がある。フルコンの鍵盤は慣性的には連打性は低いはずだが慣性による跳ね返りと適切なアップウェイとのために指を上げたときに鍵盤がついてくるような感じがあり弾きやすいる

やはり前框強化による筐体剛性の強化、それとヤマハより2cm長いというカタログ値の方が効くのであろう。ただしヤマハはずるいことに廉価版C3TDを残しているので、GXは学校などの入札で苦労するのではないかと思う。

短時間ではあるがエチュードからバラードまで弾いた印象ではGX3はRXより弾き易く感じた。というか依然としてヤマハより高音がおとなしい特徴は残るものの非常に似てきたように思う。ヤマハはSKを、またカワイはXAを相当研究したのであろう。

いろいろなところでピアノを弾くことのあるWebmasterだが、会場のピアノがどのメーカーのピアノで、どういう状態か解らないことは恐怖である。過去KGや初期RXなどは正直いってヤマハC3で育ったwebmasterにとっては恐怖の対象であり、弾き難くしかもホールでは響かないピアノだった。また黒鍵の角がひっかかってすばやく弾けないとか、黒鍵の段差を感じるとか鍵盤も好きでなかった

それがRX後期から急に良くなったが、それはよりメーカーの上流に位置する調律師が現場に赴くことでSKシリーズを弾くピアニストからのフィードバックが効いたのだろう。少なくとも今回試した個体に関しては価格はともかく進歩の大きいモデルチェンジだと思った。というか、KG登場以来数十年ぶりにヤマハに並んだといえる。その前のカワイの番号シリーズはよっぽどKGよりまともだったからだ。

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トヨタ86のステアリング中央はなぜデッドなのかのナゾ

以前、

86とアクアはどちらがスポーティーか?のナゾ

で書いたように、鳴り物入りのトヨタ86の中央付近のデッドな遊びについては疑問が残っていた。廉価車ビッツと部品を共有するアクアよりもスポーツカー86の方がステアリングが鈍いのはWebmaseterとしては理解に苦しむのである。個体差かと思ったが試乗した2台とも同じだったのでそうでは無いらしい。

86をサーキットに持ち込むユーザーは少数であろう。まして大舵角のカウンターをあてながら斜めに走ることを喜ぶユーザーは少数派だと思う。多くのユーザーは高速道路で車が矢のように直進し、わずかなステアリング操作で正確かつプログレッシブにラインをトレイスできることで操縦性の良さを確認するのではなかろうか。

そのフィーリングのために残念ながらWebmasterは86に300万投じる気にはならないが、なぜかマスコミの試乗記では触れられていない。それはタブーなのだろうか?

ネットではフロントサスのスプリングがフリクションを低下させるオフセット(三菱の特許)が無いことが原因であり、マイナーチェンジでも解決不能と書く人がいた。しかしWebmasterはそれは原因の近くに達しているが根本的な問題では無いと考えるので、Webmasterの考えを書いてみようと思う。

かつてWebmasterは初代RX-7を所有していた。隅から隅まで分解整備をやっていたWebmasterにとって我慢がならないのがスポーツカーの癖にステアリング中央がダルなことであった。友人のプレリュード、CR-XやMR2より鈍いのである。もちろん86のように中央にガタを感じるほどの遊びは無かったが、その理由が解った時には脱力した。それは、

April 30,1997 (Wed.) サスペンション脱着のナゾ

でも触れたが、SA-22Cは多くの部品をFRグランドファミリア=サバンナRX3=ファミリアGLCから流用しつつ、ボンネット高を下げるためにストラットを短くしていた。もちろん前輪に駆動軸が無いのでストラット下端は車軸中心を超えロアアームボールジョイント付近まで伸びていた。またスプリング下端をピッグテールにするなどストラット下端をタイヤ中心に近づける努力(および非線形化)はなされていた。ダンパーロッドやオイルシールの管理なども努力されていたが、それでもその前に乗っていたKP-61スターレットに比べてステアリング中央付近のレスポンスがもっさりしていた。

フロントサスを分解して気付いたのだが、欧州車と同じくマツダ車のストラットのダンパー軸はサスアッパーマウントにネジ止めされ回転しない。一方スプリングアッパーシートはテフロンワッシャを介してアッパマウントに対し回転するようになっていた。ベアリングが単なるテフロンコーティングされたワッシャーだけなところがマツダのボロいところだった。SA-22Cのようにキャスターが寝ているとワッシャーの荷重が均一でなくさらにフリクションが増えるのである。

ダンパー軸が回転しなくてもダンパーピストンはダンパーケースに対して回転するので問題無いが、ショぼいテフロンワッシャーとダンパーピストンとケース間のフリクションは車重がかかると大きかった。欧州車がそれを気にしないのは高速のシミー対策になるからかもしれない。これに車高を下げるためにストラットが短くかなり内傾していることなどで車重がかかるとストラットのキングピン周りの回転が渋かったのだ。

従って、いくらRB式のステアリングギアボックスや車体を強化してもタイロッドが押す力がすべてタイヤとストラットを回すだけでなくフリクションのため一部はサスのブッシュ類を変形させるだけだったのだ。一つにはグリップが強力なアドバンHF-Dを履いていたせいもあったが、わずかなフリクションがステアリングのフィーリングを大きく損なうとは実に意外な経験だった。この車ではテフロンワッシャーにモリブデングリースを併用することでわずかながらフィーリングは改善することできた。

ある時SA-22Cのステアリングフィーリングはエンジンのマイナーチェンジのついでに偶発的かつ劇的に改良された。サーマルリアクターを触媒に変更するに当たって最低地上高を稼ぐ必要があった。そこでマツダはアッパーマウントのテフロンワッシャーをトヨタ車と同様のボールベアリングに変更することで車高を5ミリ稼いだが、同時にキングピン周りのフリクションが減ってフィーリングが改善したのである。実は同時に後輪サスのアームの起始部の位置を下げてオーバーステア傾向も是正されている。

さて86のフロントサスを見て見ると(写真はhttp://toyota.jp/86/001_p_003/dynamism/body/image/img_package03.pngへのリンク) 、

非常に短いストラットが直立している。巷ではキングピンオフセットを減らすためにスプリングをオフセットしていないことを問題にしているが、オフセットが絶対必要かというとそれはロアアームとストラットのなす角度による。

水平対向エンジンは幅があるため、ロアアームも短くストラットタワーも左右に開き気味となりストラットを寝かして長さを稼ぐスペースがない。そこでストラットをレバー比を損することを納得の上でやや内側に直立とせざるを得なかった。スペースが苦しくスプリング軸をオフセットするとタイヤと干渉するのでできなかったのだろう。

通常のエンジン幅が小さい車ではストラットを寝かして下端をタイヤ内に追い込み、スクラブを小さく、かつストラット長を稼ぐ代わりに三菱特許のスプリング軸オフセットを併用することが多い。SA-22Cでは下が小径の非線形スプリングを使ってストラット下端をタイヤに寄せていた。W201やW124はストラットチューブをプレスでつぶしてまでタイヤクリアランスを作っていた。

これに比べると86の前輪サスは工夫がなく手抜きである。過去スバル1000はフロントダブルウィッシュボーンのジョイントを車輪のセンター(仮想スクラブゼロ)としていた。このためにブレーキはドライブシャフト内側のインボードアルフィンドラムになっていた。86のサス担当者は博物館にいってスバル1000のサスの作動油でも舐めてくる必要があるだろう。

さて通常のFR車の前輪にはドライブシャフトが無いので、ストラット下端は車軸付近にあり、深くタイヤホイールに入っている。例えばAE86の社外サスの一例として、

を見ていただくと、FR車のストラットは車軸中央まで達しロアアームジョイントに載っている。ところが86のストラットは車軸より高い所で終わっていて非常に短い。短いストラットは一般にフリクションが大きくなる。

ストラットに加わる横力を支えるのはオイルシール部とピストンで、この距離が大きいほど横力に強くなる。短いストラットで剛性を稼ぐにはロッドを太くシール類のクリアランスを小さくせざるを得ないのでフリクションが増えるし作動油の量も減る。原理的にはストラットは可及的に長いほどいいのだ。

FR車ではストラット下端をロアアームジョイントに近づけることでストラット軸とキングピン軸との差が小さくなり、フリクションも減ると共にレバー比を稼ぐことになる。つまりしなやかにストラットが回転し微小ストロークでのダンパーの効きがよくなるのだ。

しかし86のストラットはハブキャリアの上端にネジ止めそこで終わっていて非常に短い。これはドライブシャフトを通すFF用ハブキャリアを流用したからだ。ボンネット高が高いスバル車はそれでもストラット長を確保できるが、車高を落とした86のストラットは異様に短くキングピン周りのフリクションが渋くなる。なぜハンドリングカーをめざした86がFF部品を流用したのだろうか?

もう一つトヨタ車のサスのアッパーマウントが入力分離型であることも問題だ。これはスプリングから車体へ、ダンパーから車体への二種類の入力を分離し、それぞれ最適な硬度のブッシュを使う。本来はスプリングにはやわらかなブッシュを、ダンパーにはそれなりにしっかりしたブッシュを入れるハズなのだが、トヨタはこれを逆に設定する

理由は太いタイヤを履いたモデルに緩い入力分離アッパーを使い、一体型アッパーを使う細いタイヤのモデルと乗り心地やNVHを同等にするためである。普通は太く重いタイヤにはしっかりしたダンパーと堅いブッシュが常識だが、トヨタの常識は世間の常識とは異なる。一つにはより太いタイヤを望むユーザーにも責任の一端はある。

通常の一体型アッパーサスは、ストラットのダンパー軸とスプリングアッパーシートが一体となってアッパーマウントのボールベアリングインナにネジ止めされ、そのベアリングアウタがブッシュを介してアッパーマウントに固定される。ダンパー軸とスプリングは一緒に回るのだ。この場合ブッシュは車重を受けるので固くせざるを得ないので乗り心地が堅いが、キングピン周りのフリクションは小さい。

一方入力分離型では、スプリングはニードルベアリングを介してアッパーマウントに固定されるが、ダンパー軸はスペースの制約で直にアッパーマウントにネジどめされる。つまりストラットが回転するときにスプリングはストラットと一緒に回るがダンパー軸は回らない。このため一体型アッパマウントよりキングピン周りの回転は渋い。パワーステアリングにより回転の渋さの多くは体感されないが、中央付近の微小操舵の鈍い反応として感じられる。

つまり、86の中立付近の遊びが大きいのは、ステアリングをごく微小に切ってもストラットの回転が渋くタイヤが回転していない可能性がある。タイヤが回らないかわりにアーム類のブッシュ類が撓むのである。これは上等なタイヤを履けば履くほど顕著になり、繊細はステアリング操作が売りのスポーツカーには大きな減点になる。

とすると86のステアリングフィーリングは簡単に改善することが可能ということになる。それには、

1.入力分離型アッパマウントをやめ、通常の一体型にすれば良い。NVHが強くなるが86はスポーツカーなので問題ない。またわずかではあるがストラット長を稼ぐことができる。分離型でも車高調にするときにはどうせ一体型にするのである。

2.ストラットを長くする。つまりストラット下端をハブキャリア固定部位を超えてロアボールジョイント付近まで延長する。これによりフリクションが低下し回転しやすくなる。当然ダンパーの性能も良くなり乗り心地も操縦性も改善する。出来ればスプリングも下端を小径としてよりタイヤに近い位置とする。

実に簡単なことで、ネットで言われるように改良不可能ということは無い。なぜこうなったかというと、スバル車はどれもFFなのでFR用のハブキャリアが無かったからだろうが、それには、

3.トヨタならFR車ストラットサスの最終型のクラウンコンフォート系ハブまわりの部品を流用する。

方法もあろう。Webmasterにはスポーツカーにとって一番大事なサスを手抜きする理由がどうしても理解できない。

さて、以前からWebmasterは過去のジャグアやロールスの猫足と呼ばれる車のサスの秘密を探っているのだが、どうやら基本サスのアームが長いことが効くようだ。アームが長いと深くストロークしてもアライメント変化が少なく、より柔らかいブッシュが使える。最近はマルチリンクが流行だが、アームが短いと設計通りにはストロークしないし猫足とはならない。

現代多くのメーカーが模倣するW201に始まるマルチリンクはなるほど原理的には理想的なトーコントロールを示すが猫足では無い。このあたりが最新のクラウンなどがわざとアームやリンケージの剛性を下げてブッシュのねじれや渋さを逃げている理由である。

確かに86の水平対向エンジンは低重心であるがサスペンションやステアリングリンクにスペース的な制約がある。エンジンを後退させると左右のエンジンブロックがサスタワーやステアリングリンクと干渉する。86のエンジンがフロントミッジップと呼べるほど後退していないのは、サスやステアリングリンク、ラックなどがエンジンブロックと干渉するからである。あるいは水平対向エンジンは自動車よりは軽飛行機に向いているのかもしれない。

そもそもドライブシャフトの無いFR車のサスにドライブシャフトの逃げがあるFF車のハブキャリアを流用したのは痛恨のエラーだ。多額の開発費をかけて貴重なFR車を作ったのに、佛作って魂を入れずとはこのことだ。ぜひマイナーチェンジのときに直していただきたい。

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メルセデスはCO2規制をサバイバルできるか、のナゾ

1998年にEUの内閣とでも言うべき欧州委員会と欧州自動車工業会(ACEA)は共同で2008年以降の乗用車の平均CO2排出量を140g/km以下とする目標を立てたが、高性能を売り物とするメーカーから泣きが入って緩和され、当面の焦点は2015年のに130g/Kmなる規制をクリアできるかどうかが問題となった。排出量は車種の数量平均となるので、大型車を中心とするメーカーほど罰金を食らう確率が高くなる

実は1995年の全メーカー排出量平均は180g/kmあたりであって、2001年位までは2008年の140g/kmという目標に向かって順調に排出量が減ってきた様子は、

欧州における自動車CO 2 排出規制に関する最近の動き

で見ることができる。なぜ途中から排出量が減らなかったかというと、ドイツ車を中心として車両重量と排出量が2005年から逆に増加したからである。これはドイツ車でSUVや高性能車が増加したのが原因だという。一方フランス車はもともと税金が高いせいで小型車が多いこともあって順調に排出量も減少した。

質素で実直な印象のあるドイツ人であるが、WWIIの重戦車のように大型高性能に対する強い信仰があるようだ。ただでさえ大型車が多く燃費が悪いメルセデスは、未だバカのように馬力のあるエンジン(いわゆる63なるもの)を殆どの車種に載せている。

BMWやAudiやレクサスなど追撃が厳しくなり、衝突の成績が広く公表されるようになって技術的優越が乏しくなったメルセデスはブランド信仰を大馬力で繋ぎとめようしているように見える。その結果が

である。2006年の時点でも目標値に近い小型車を中心とするメーカー群は2015年の130g/kmは達成可能と思われるが、メルセデスやBMWは相当努力しないとムリということは小学生でも解る。まるでWWIの大艦巨砲主義のようである。

さてAudiがどこにあるかというとVWグループに入っているようだ。もともと小型車の多いVWブランドのゲインを大型高性能なAudi車が喰っているので中間部に位置するのだろう。VWは技術開発に熱心で(信頼性は別だが)A4までのサイズは小排気量+過給、それ以上はハイブリッド化で乗り切る姿勢である。A6、A8、Q5は既に日本輸入モデルにも2L直四ターボの211PS+40kwのハイブリッド仕様がある。少なくとも罰金額は高級車3メーカーのうち最小となるだろう。

さてBMWはどうかというと、同様に主となる3,5,7シリーズにハイブリッド仕様が用意されている。BMWのハイブリッド仕様はクラスにかかわらず3L直六の306PS+40kwという高出力なものだが、JC08で16.5km/Lとかなり好燃費である。4気筒ならさらに燃費は良くなるであろう。また、BMWにはminiという隠しチャンネルがあるので、これらを合算すればかなり罰金を減らすことができるだろう。

やはり問題は脳天気なメルセデスだ。おそらくA,B,Cクラスは小排気量過給、EやSの重いモデルはディーゼルで乗り切るつもりであろうがAMG63のような大出力高性能モデルはどうするのか?なにか排気対策の前に駆け込みで高額車をさばいているようにも感じられるが、実に品が無い。

現在ハイブリッドモデルはSクラスの左ハンドルのみで、エンジンは3.5LV6の279PSとまずまずながらモーターはわずか15kwと小さく、車重を考えればマイルドハイブリッドの範疇に過ぎない。SMART車を含めるとしても数が少なく燃費稼ぎにはならない。しかも電池位置の制限から左ハンドル専用である。

これをプレミアムモデムとしてのBMWの7シリーズアクティブハイブリッドと並べると大幅に見劣りする。かつて大半のコンポーネントをBMWと同時開発したにもかかわらず、技術的にかなり遅れてしまっている。

さてどうするのか?かつて日本のマスコミは、欧州メーカーはエンジン自体の本質的な改良で排出規制を乗りきれるから、ハイブリッドのようなエレキを借りた過渡的な技術に頼らずとも済むのだとか言っていた。清水和夫氏などもハイブリッドはEVまでのその場凌ぎにすぎず本質的な技術では無いとも言っていた。

しかしそうならなかったようでポルシェやフェラーリでさえハイブリッド仕様を環境に優しいプレミアム技術として実用化した。小生産数メーカーに対する規制は甘いし、罰金を値段に転嫁することも難しくない。

もう一つはお家芸のディーゼルの改良で乗りきれると思っていたフシがある。車重と排気量から計算すると大型車ではCO2が多めに出るディーゼルだけでは凌げないことが解らないほど技術レベルが低いとは信じがたいのだが。

さてメルセデスはどうするのか?可能性としては、

1)実はあっと言わせるほど高度なハイブリッドシステムを新開発していて、そのうち出現する、という見方。メルセデスを信者ならそう信じたいだろうが、それらしい様子が無い。あればチラチラとティージングしているはずである。

2)他社から技術導入する。すでに手馴れたハイブリッドを販売しているポルシェ/VWグループから導入する?あるいはまさかとは思うがトヨタやデンソーから導入したラインセンスを使う?一時凌ぎとしての可能性はあるが、そうすればメルセデスの性能に対するブランドイメージは徹底的に傷つく。

3)ディーゼルで補完しつつ、たいしたことのないハイブリッド仕様を少しづつ投入する。その間罰金はしょうがないという作戦。しかし、これまたメルセデスのブランドイメージは終わってしまうだろう。

4)大出力モデルは生産を止め、AMGを資本関係の無い少生産量メーカーとして有利な立場を利用して発売する。これは可能かもしれないが、隠れ子会社を使った環境保護に対する不正であると攻撃されるのは間違いない。

Webmasterの予想は、上のどれともちょっと違う。

そのアプローチはマツダのスカイアクティブ技術に近いものになるのでは無いか?つまり高圧縮比ガソリン、低圧縮比ディーゼル、変速機とも基本に立ち返り徹底的に煮詰める。そして及ばない部分だけをハイブリッドに頼るというものである。C63AMGのようなゲテモノは当然ながら諦めるしか無い。

技術的にもメルセデスは燃焼の煮詰めを得意としてきた。特にディーゼルに関しては追随を許さない技術力のハズである(であったと言うべきか)。またステップ型ATを唯一自製し改良したトップクラスの製品を持っていて、それらを煮詰める手法はマツダのスカイアクティブ技術群と遠くない。

ただし、このアプローチでもメルセデスのブランドが傷つくことは避けられない。それはマツダは既にガソリンで、また尿素なしのディーゼルで排出規制に合格するモデルを発売してしまったからだ。アテンザなどのディーゼルは高いレベルに仕上がってしまっていて、ディーゼル本家を自認するメルセデスは微妙な立場に追い込まれている。

メルセデスがあるいは先に着手した技術をもって新型車を出しても、販売が先行したスカイアクティブの模倣とみなされてブランドイメージが傷付いてしまう可能性がある。実際にはスカイアクティブはメルセデスの過去の技術開発を注視してできたものであるが、先に販売にこぎつけたのはマツダである。

しかしそれは仕方が無い。メルセデスは過去技術開発で尊敬を受けてきたメーカーであるにもかかわらず、C63AMGのようにモルヒネ的大馬力モデルをバラ撒く安易な商売に乗りすぎたのだ。いくら売れるからといってこの手のモデルを拡販するのは伝統と品格のあるメーカーのすることでは無い。

その間、他のメーカーは一滴の油を節約するために爪を研いでいたのである。結果はアリとキリギリスのお話と同じで、バブルに塗れたメルセデスがどう転んでも過去の輝きを維持することは難しいというのがWebmasterの予想である。

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プリウス用ステルスタコメーター開発のナゾ

プリウスは車検後も快調だが、降雪時にはデフロスターが効き始めるまで暖機する必要があるので燃費が悪くなる。また郊外ではエンジンを多めに回すようにしないとヒーターの効きが悪くなり、ついには信号停止時に暖機が始まる。

従って燃費も短距離だと20km/Lを割ってしまうので、エンジンが回っているのかどうか気になる。プリウスは郊外で速度があがると走行音に紛れてエンジンが回っているかどうか解り難い。Webmasterは購入前にプリウス20に数百キロ乗っているが、タコメータだけは欲しいと思ったので新車まもなく設置したのである。

ただし3年間2万キロ以上乗っていると、タコメーターの回転数よりはエンジンが回っているのかだけで良いような気がしてきた。もちろんモニターを見ればわかるのだが、エンジン回転中に視界内に赤ランプが点灯すれば十分な気がした。

そこでタコメータにちょっと細工を加えてエンジンが回転しているかどうか一目で解るようにしてみた。名付けてステルスタコメーター(PAT pend.)。ドライバーの視線から計器類を見通した様子だが、エンジン停止時は

タコメーターの針が消えている。エンジン回転時は

と針が出現する。タコメーターは速度表示に針が近くなるように9時の位置をゼロとしている。実用上は4000rpm以上回ることは稀なのでこの方が解りやすい。

さて仕掛けだが、当初はパルスを拾って目盛りの照明を電気的にON-OFFする事を考えたが、目的を整理しているうちに観念が昇華し、最終的には簡単な仕掛けに落ち着いたのである。

タコメーターは自照式で昼でも照明がついており、ダークな風防とフードのために目盛り以外は見えないことを利用し、針がゼロをさした時に風防に貼った黒いビニールテープでマスクされるようにしている。

タコメーターを注視しなくても、赤い針が見えるかどうかでエンジンの動作を知ることができる。タコメーターはAutogauge製で信号はECUから引いいている。プリウス30には点火パルス信号が無く、カムシャフトタイミング信号としてエンジン2回転に1パルスを出力するので、1気筒相当の設定が可能な製品が必要である。

何となくガタピシとしてきた我が家のプリウスだが、簡単な細工ながらステルスタコメーターの印象は新鮮だ。プリウスにタコメーターを考えておられる方にはお勧めしたい細工である。

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プリウス初回車検と新型クラウン試乗のナゾ

早くもプリウスが納車から3年を迎え車検となった。個人的には異例だがウェルカムプランなるメンテ契約に加入していたので、自らはメンテらしきことはしていない。これはHVということでいろいろ不具合が出るであろうことを期待?していたからだが、以前レポートした変速エラー以外には依然不具合はなかった。走行距離は1月から2000km増えて20000kmを超えた所で、新車以来の平均燃費は22.9km/Lと変わっていない。

敢えて不具合を探すとステアリングが直進で左にわずかに傾いていた。これはタイロッド調整で手当されその後ゼロ点補正を受けたようである。あとは駐車場で下回りをヒットした記憶があるが、リフトで上げても当たった跡は無かった。ファーストマフラー兼熱交換器の溶接部あたりが怪しいが溶接の肉と錆ではっきりしなかった。整備レポートとしては問題箇所なしとのことであった。

費用面には計算間違いがあった。見積もりで10万円台だったのでそんなものかと思ったが、2年間のメンテ込で正味は7万円台だった。ディーラーの整備料が安くなっていることと重量税が初回車検まで半額であることが効いている。無駄かと思ったが190Eと比べ毎月8000円燃費が浮くことからさらに2年のメンテ+つくしプランに加入した。

Webmasterにしては甘いと思われるかも知れないが、個人的にはHVの信頼性を100%信用しているわけではない。すでにプリウス30は200万台近くが世に出ているが複雑な機構には確率として10ppmくらいは不良品が出るであろう。その時はこれらの契約下に交渉(ごねる)できるという読みだ。実際にはオイルやワイパーなどの消耗品でかなりは回収できる。ディーラーの対応は良好で、定期整備を待つ間に快く新型車を試乗させてくれることもある。

今回は指摘しなかった些細な問題として右Aピラー付近からの共鳴音があった。これはAピラーライニングとカーテンエアバックのコネクタが干渉していたものでフェルトをはさんで対策した。あとは路面の不整での内装のきしみが大きくなったようだが、寒冷時のタイヤの硬さも関係しているようで暫く走ると消える。

相変わらず内装は高級感が皆無なプリウス30であるが、ミドルクラスとしては華美でもなく質素でもなく数が多くて目立たない?今時の無難な車というところが美点か。なんか一定の速度を維持するのが難しいとか言う人もいるが、今時のエコカーはみんなCVTなのでエンジン音と車速が一致しない違和感は減っていると思う。

整備の間新型クラウンに試乗してみた。本来はハイブリッドを期待していたが、ありがちなクラウンロイヤルサルーン2.5(Gなし)という旦那仕様ドであった。車両重量約1.5トンに203馬力と馬の数は潤沢ではない。JC08燃費は11.4km/Lと渋く実用では10km/Lを割るであろうからプリウスとの差は2.5倍位になるだろう。

装備ではタイヤが215/60R16でスペアはオプションである。VSCとTRCは全車標準だがEPS(ステアリング協調)はこのグレードだけ落とされておりこれに関してはプリウス以下ということになる。これで定価410万だがナビやETCは別である。オプションはキリがないが年寄りには障害物の前でブレーキがかかるインテリジェントクリアランスソナーが気になるところだ。

ロイヤルサルーンはアスリートほどハデな顔つきではなく、グリルはさほど異様に思わないが、問題は王冠がデカ過ぎることだ。これは世界中の車が中華ユーザーの好みに流されていること、もう一つはレーダーセンサーなどの都合である。歩行者保護のためか大きい割に立体感がなく高級感は無い。

乗車してみる。インパネは最近のマイナーチェンジ前のレクサスLSより上等に見えた。デザインは過去のクラウンよりベルファイヤーに似ていると思った。個人的に好ましいと思ったのは丸い音量ツマミだ。エアコンなどの表示はカラー液晶で家電品のようである一方、メーターはアスリートと同じスポーティーなもので、アンバランスが面白い。

内装は写真より高級感があり、以前試乗したマークXとは確実に差をつけてあり、LSとの差は縮まっている。座席は運転席のみ電動でステアリングは手動だが、過去のトヨタ車のシートと違い意外やしっくり座ることができた。さて走り始める。

アイドリング時にはかすかに直噴の音が聞こえるような気がするが、走りだせば殆ど無音でありNVHはとても軽い。V6に働く偶力による振動も皆無である。昔のクラウンの船のようなダイアゴナルな揺れは無く安定性重視になっている。スポーツ派には物足りないだろうが不快でも無い。ロイヤルの設定は絶妙である。

緩加速すると6速ATはかすかな変速ショックを伝えるが、そのあとはスムーズだ。次に深く踏み込むとやはり軽いショックとタイムラグを伴いながら2段3段とシフトダウンし、最初はトルク感が乏しいものの回転が上がるにつれ次第に力強い加速に移る。やはりヤマハチューンの血筋は争えないところだ。ただしプリウスに慣れた今となっては変速のショックやタイムラグがステップ型ATの古さを感じさせる。実際信号グランプリで同時にアクセルを踏むとしばらくはプリウスが先行するだろう。

ステアリングは意外にレスポンスが良く微細な操作にも反力は軽いながら確実に反応する。切り始めにデッドな遊びを感じる86よりは過去のメルセデスのRB式に似た印象で印象は悪くない。かつてクラウン(1G-GZE付)はクルーザーで揺れより少し先行して当て舵を加えるような感覚がしたが、それは昔の話である。隣が前回86とアクアに試乗した時の店員と同じでわりと長めに試乗できたが印象は悪くない。明日からこれに乗れと言われたら夜の内にグリルの王冠をマジックで黒く塗リ潰せば精神的には耐えられると思った。

もちろん試乗の目的はハイブリッド仕様であるが今回は果たせなかった。価格的は60万アップであるが装備がGに近くなり、ナビやETCが無いこと以外には特に不足が無い。HVのヒーターの効きが悪いことに対してはステアリングとシートに電熱ヒーターがついているが、なぜか水ポンプがベルト駆動であることが不思議である。これはカムリのサイズの熱交換器が排気系とりまわしの関係で設置できなかったため電動ポンプの旨みも乏しいからだと想像している。

これでもまだ冬が寒いとクレームが出て結局は水ポンプ+新型熱交換器がマイナーで付くのではないかと予想している。いくらシートが電熱でもデフロスターにはやっぱり熱が要るからだ。変速機も前モデルと異なり最高速が低いこともありカムリのトランスアクスルを縦置きに手直ししたもののようである。ただ成り立ちの割にカムリに比べ価格差が大きいような気がする。

さてプリウスがガタガタになった頃にクラウンHVがWebmasterのFXとなりえるであろうか?また車格や価格が近いマークXHV(存在すればだが)やカムリHVとの違いはどうなるのか?

結論としてこのクラスのハイブリッドがFXとなる可能性はある。それがクラウンHVとなるかマークXHVになるかは解らないが、いずれもFFのカムリよりハンドリングは心地良いものになるだろうし、狭い駐車場では幅が広いカムリは不利である。

デザインの好みを別にすれば、今のクラウンはいつか乗りたい車ではなく、望む性能と大きさの車を選んだらクラウンだったと言い訳できるレベルに達している。納車の日に王冠なりX点はマジックインキで塗りつぶしておけば、うるさい古い友人に見られた時にそう言える気がする。

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B787のLi電池の行く末のナゾ

最近話題のBoing787の(Li)電池が犯人なのか、他に原因があるのか、メールを頂いたので占ってみることとした。もちろん個人的な読みなので精度は保障できない。

その前にWebmasterのLi電池と、電池メーカーに関する評価を書いておく。 まず電池メーカーのカタログ値は信用できない。サイクル寿命もカタログ寿命も信用していない。正確に言えば、データシートの数字はその測定条件下では本当かもしれないが、測定条件がちょっとでも変わったときのマージンはデータからは読み取れない、ということだ。そこのところを読み間違ってトラブルを起こす、あるいは異常に早く電池が劣化する設計を行う装置メーカーが多いことは驚くべきことだ。

Li電池は近年格段に進歩したがここ2,3年は電流密度に関する進歩は足踏みのようで電流密度よりサイズで稼ぐ時代に入ったようである。Webmasterの手元で一番Li電池が長持ちしたのは、IBMのThinkPad760XDである。MMX166MHzとしょぼいもののXGA液晶とメモリー256kbytesで実に12年Li電池は実用的な寿命を保った。

一方成績が悪いのはパ◯ナソニックのレッツノートの系譜であり、CF-A、M、Wなど、いずれもLi電池が実用的寿命を保ったのはせいぜい1年であった。レッツノートでは殻割りして新しい世代の18650に交換しても実用寿命は一年程度に過ぎなかった。

この二社の違いはバッテリー自体よりも充放電を制御する回路と設定の違いと言うしかない。メーカーはバッテリー稼働時間を長くカタログに飾るために充電終了電圧を高く放電終了電圧を低く設定し電圧幅で容量を稼ぐ設定をしがちなのだ。それとバッテリー固有の相性で寿命が決まるのである。

やはり電池寿命のクレームが多かったのか、パ◯ソニックと$ONYは自分で電池を製造していながら、充電容量を定格の70%に制限すると寿命が長くなりますので、そういうユーティリティーを作りましたよ、とか性懲りもなく言い出した。最初からカタログ値がウソであることを認めたようなものである。

それに対抗して、その手のユーティリティーが使えないノートパソコンへのwebmasterの回答が、

新春特別プロジェクト ”リチウムZ” 始動!のナゾ

なのであった。このトピックでは充電時に70%もしくは80%になったときの女性の音声で知らせる方法と必要データを提供しているので、再度読んでいただきたい。

過去のLiH電池発火の多くは金属粉や析出した結晶物がセパレーターをやぶってショートしたか、過充電で発熱して電極の酸化物から酸素が出て熱暴走に陥り爆発的に発火したものである。それが充放電中に発火するとは限らないのがLi電池のいやらしいところだ。ボルトでは衝突試験後数日たって放置中の複数の車両から発火している。

現にボストンのJAL787は就航したばかりの機体で成田から到着エンジン停止して出発準備中に出火している。さて、今回焼損したGSユ◯サのユニットLVP65-8についてはテクニカルリポートを公表しているので読んでいただくとして、やはりwebmaseterが気になるのはサイクル寿命のデータである。

充放電サイクルの測定条件は70Aと定格の75Ahより小さい。ジェット機のバッテリーは意外や容量が小さく、それは空港では地上から電気をもらえる場合があるからだ。しかもエンジンがスタートすればバッテリーは単にフロート充放電しているだけである。しかし国内ではAPUのスタート回数から見れば1000回のサイクルは数ヶ月で消化するし、スタート時の電流は定格の10倍近い。ようするにこのデータからは実用的な性能は判断できない。

なら月に一度バッテリをー交換すればいいのかもしれないが、今回事故を起こしたANA機は昨年10月に交換したようだ。そこでカレンダー寿命だが

測定条件はフロート充電で15日もしくは30日毎に70A(定格)で放電終了電圧まで放電させた場合の性能と経時変化を見ている。しかしながら短距離では1日に数回のエンジンスタート毎に定格の10倍近い電流が流れるので、実際のカレンダー寿命はこのデータから到底判断できない。

飛行機の電力事情は意外やギリギリである。昔B707に搭乗したが、当時は電源車、高圧空気車、空調車など付随車が必要だった。その後APUが装備されるようになり雑多な付随車は減った。かつては機内の照明も電球で薄暗く、しかもエンジン回転でチラついていた。照明が明るくなったのはワイドボディー機が出てきたころからである。

さて4発のB747では発電機が@60kwx4+APUの60kwx2=360kwの発電容量があり、使用電力はピークで200kw強と言う。空調、脚、フラップ、防氷などをすべて電気で賄うB787では双発ながら同じく6個の発電機(250kwx4+APU250kwx2)と約5倍の発電能力があり、ピーク消費電力は500kw近いと言われる。

APUがスタートするまではしょぼい電力事情だが、APUやエンジンが始動すれば電力は潤沢で最大で一般家庭100軒を賄う容量がある。ただし発電はエンジン回転数に依存する一方、消費する機器の容量やタイミングは様々なので、一時的な不均衡のたびに発生する電圧の変動は充電中の電池が吸収することになる。

さらに負荷が軽くなる巡航時には電池電圧は上昇するが、電池は高電圧で劣化が早くなる。記録によると巡航時の電圧は定格29.6Vより高い32Vと充電終了電圧は34Vに近いことから劣化しやすい高い電圧で長時間維持される運用だったことになる。セルバランスが崩れてくると、特定のセルにより高い電圧がかかることになる。さてLVP-65のエンジンスタート時の負荷はどんなものだろうか。それは

でシミュレートされているが、700Aを45sec放電時には最悪で電圧は約33Vから23Vまで10Vほど低下すると読める。セルの放電終了電圧2.75Vが8個で22Vで放電時はユニット定格の下限近くまで電圧が低下する。放電終了電圧を割って使用すると劣化するので決して余裕のある電圧では無い。放電後は監視装置から当初定電流、後に電圧制御のフロート充電が始まることになる。

例えば最悪条件の-18度で700A放電時に電圧が10V低下すると電力の1/3は電池の内部抵抗で消費され概算7kwの熱量が45秒間発生する。これが装置単位体積あたりNiH電池より2倍、PB電池より3倍の電流密度であり、電流が集中する局所の温度上昇による劣化の不安は残る。こと放熱に関してはサイズと重さが小さいことが良いとは限らない。それは重い電極や電解液はヒートシンクとしても働くからだ。

500kwを消費するハングリーの787に対して2kwhの電池容量は決して大きくなく10トントラックの鉛バッテリーと大差ない。しかしトラックの大きさ重さが3倍の電池が熱量を吸収し走行中に外界に露出していて放熱は良好である。一方LVP65-8はアルミの箱に入っていて冷却ファンはない。始動後もフロートのサージなどの電圧変化が充放電負荷になる。とすれば電流密度3倍で発生した熱量の放熱が十分かどうかわからない

発売されている日産リーフのEPA電費は5.9km/kwと発電効率を考えるとHV車より二酸化炭素排出が多いことは知られている。その理由のひとつは5年で80%以上の容量を確保するという耐久性のためにカタログ値通りの大電流の充電や回生ができていないからである。リーフの電池容量は24kw、最大出力80kwで最大電流は定格の3.3倍に過ぎない。

ただエアラインがLi電池の信頼性をどう評価していたのかは知りたいところだ。今回は鮮やかな対処で事無きを得たものの、なんとなく電池フェイルや発火に対して想定なりドリルがあったのでは無いかという印象はある。

というわけで、Webmasterの結論は

テクニカルリポートからはLVP65-8が実用的に十分な寿命があるとは読み取れない

ということである。あくまでも実用状態のサイクル寿命を評価する必要があり、冷却が無いプアな実装とマージンの無い組電池の状態で標記の性能が維持できるとは思えないと言うのがwebmasterの意見である。

さて仮に30kgのユニットを頻用されている60kgのNiH電池に交換するとして重量増加は僅か30kgであり、一機に2個としても外人男性一名分の体重にも及ばない。電気室は電池のサイズや重量が2倍であっても十分収容できるように見える。

確かに軽さは航空機では第一義的なのだが、わずかな重量のゲインと不安が残るLi電池の信頼性を秤にかければ、出火してみての結果論ながら選択は間違っていたようである。万が一発火しても避難できる地上設備や車と、どこにも逃げられない航空機では事情が異なるからだ。

問題はいつこれが収束するかである。航空用バッテリーはすべて特定の航空機の型式に対応して認定されている。LVP65-8相当のNiH電池を製作することは今日にでもできるし重量スペース的には可能だが、タレスの電源システムとそれを含むB787の耐空証明としてFAAの認定を得るにはテストの時間が必要だ。

FAAは電池を短時間で交換すべしというブリテンで手を打つのか、あるいは電圧を低くして劣化を抑える設定にするのか、それともNiH電池に電源システム全体を変更させるのか考えているところだろう。電池が怪しいとなれば実機を使い実際の使用状態で電池の電流電圧、温度を計測後に分解してセルを解析すれば劣化の進行状況は把握できる。それに不良となった電池を調査できれば意外と早く原因は知れるだろう。

ただし、FAAがLi電池に疑念も持ちNiHに変えるべし、とすれば1年くらいはすぐに経ってしまう。過去DC-10のパイロン不良で飛行停止になったときは、整備不良ということで一ヶ月で済んだが、今回はそうは行かないだろう。さて損害はいかばかりか。

B787は一機250億円で法定耐用年数は10年、ということは単純計算で年に25億、月に約2億円強の償却費がかかるということだ。エアラインの売上祖利益率が10ー15%程度であることから、これに対応する売上はその10倍はかかるだろう。一機あたり月20億の売上が必要として売上損失が14機で280億、利益にして28から42億円となる。

ただし機材のやりくりで全てが欠航するわけでなく、また残った便の搭乗率が上がることで最終的な利益の損害はその半分程度というのがwebmasterの推測である。長期的には機材やリースのやりくり費用は多額に上るが、1年程度の飛行停止では債務超過にはならないのではないか。

当然エアラインはボーイングを訴えることになり、それにボーイングが、タレスが、そしてGSユアサが耐えられるかどうかはわからない

(追加)NewYork Timesの取材に対しANAはこれまで787で10回、ANAは数回電池不良で交換していることを認めた。不良になった電池を調べればもっと多くの情報が得られると考えられるが、日本の当局の動きはなぜか鈍く不良電池を調査する気が無いようであるのが不思議である。一方NTSBは調査する気があるらしい。

(追加2)ボーイングの担当副社長兼チーフプロジェクトエンジニアのシネット氏は、3月15日、バッテリー負荷を下げるために充電上限電圧をさげ、放電下限電圧をあげるとともに、バッテリーのセル間のには絶縁体や仕切板を新設し、排気システムを新設し、熱や圧力を機外に放出できるようにしたと言う。

ボーイングが製造元にかわって想定される原因を教えてくれた。要するにこの電池は性能表記が過大で、仕様通り使うとたった169時間で劣化し発火発煙に至る品だったということである。世界的な大企業のボーイングもタレスも、まさか日本の電池メーカーに騙されるとも思わなかったのではないか。

何より安全性が必要な用途に性能の表記が過大な電池を驚くべく低レベルの実装で出荷し、発火発煙事故の後も原因が解っていながら解らないふりをして、結果、年度末で忙しい旅客を始め多くの会社やサプライヤーに迷惑をかけ、さらには工業国日本の国際的イメージを大きく毀損したことを何とも思わない会社だから、この会社の他の電池製品の定格も信用しないほうがよいということだ。まあ性能は8カケ程度と考えるべきだろう。

というわけで、webmasterが最初に、”電池メーカーのカタログ値は信用できない。”と書いた所以がまた証明されたのである。

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新年に誓うエコとの戦いのナゾ2013年版

謹賀新年

今年もよろしくお願いします。年度が変わったところでWebmasterの昨年末までのgadgetsのエコおよび費用対効果の総括をしておきたい。

プリウス 35ヶ月 走行20813km 

例によってトリップは4+1桁しかないが、新車以来の平均燃費は22.9km/Lと僅かに昨年よりよい。これは2012年は震災があった2011年より遠出が増えたせいだろう。

エンジン自体はやっと当たりが付いたところなのか軽快に回っている。外装も新車時にガラスコーティングしたせいか屋根やボンネットの劣化は軽い。

一方気になるのは不整地での内装のギシギシである。タイヤ溝は5mm+でまだ2万キロ近い寿命はあるが乗り心地は悪くなっている印象だ。走行3万を超えたところでタイヤは更新予定である。

プリウス+アクアは国内で月6万台近い販売が続いている。すでに普通の車になってしまった現在いまだアンチの方々もネタ切れのようだ。もちろん万人がプリウスに満足するはずもないし、中でも発生熱量が乏しいプリウスは特に寒冷豪雪地帯には向いていないと思う。

ただしTSHの遊星ギアの特許が間もなく切れるしニッケル水素からリチウムへの過渡期であることからプリウス/アクアを超える燃費の車もそろそろ出る頃だ。最右翼はIMA(改)+ダブルクラッチ変速機のインサイト/フィットで常時噛合式ATを内製してきた実績から可能性は高い。

ただしVWのDSGの故障が多いこと、ホンダもCVTのクラッチでトラブったことなどなどメカニカルなクラッチには日本の渋滞路での寿命に不安がある。その点THSはクラッチが無く機械的な寿命は長いと思われるが、安手で軽量な車両自体が先にダメになるかもしれない。

さてプリウスによる燃費節約効果はどうだろう。前の190Eの燃費は約8.5km/L程度だったので年間走行7000kmガソリン代を150円として123500円。プリウスは燃費22.9km/Lとしてしたがって45850円で、その差77650円/年をどう考えるか、である。

プリウスと同クラスのプレミオ(1800cc)に装備を合わせるために設定が無いカーテンエアバッグと車両安定装置などを仮に装備したとすれば価格的にプリウスと同等以上になるため、買った日からプレミオよりプリウスのほうがトクである。

この計算でいけば同様に装備を合わせればカローラの上級グレードよりもプリウスがトクになるが、ビッツやフィットとの差額は車両寿命の間には埋まらない計算になる。もちろん、これは年間走行距離によって左右される。

太陽光発電3.14 kW 19ヶ月 累積発電量 5593 kWh 

太陽光はメンテフリーで殆ど意識することなく経過している。福岡地区の設備当たり発電量の127%と、パネルが東向きと南向きの二分割であることを考えるとまずまずの成績だ。

2012年の発電量は3727kwhである。設備効率を求めると、

3727 / 3.14x24x365 = 0.135

効率は13.5%でこれは同時に設備稼働率でもある。原発村は太陽光の稼働率は低いと言うが、原発建設に伴って作られる火力発電所と揚水発電所も稼働率の計算に入れるとその差は埋まってくる。さらにそれらの発電コストは別途火力や水力の計算に組み込まれて原発の発電コストとしては見えない仕掛けなのが実にずるい。

なお2012年の電力消費量は7574kwhで、これを買電で賄うとすれば基本料金込26円/kwとして概算197000円となる。一方太陽光+時間帯料金で概算買電109000円、売電82000円で実質出費は27000円となり、太陽光が無い場合より年17万円のトクとなりローン代を差し引いて黒字となった。

この計算から解るように、太陽光がペイするかどうかは、当初のkwあたりの設備費を抑えることが大事だ。したがって高能率ながら高価なHITなどは費用的には全くペイしないが、狭めの屋根に効率の良い太陽光を載せたという満足感を含めればペイするとも言える。

従って屋根資産をお持ちの方には太陽光の設置をオススメできる。なによりパネルの断熱効果によって夏冬とも二階は相当快適になり、今年はついに一度も睡眠時に冷房を入れることがなかった

というわけで、プリウスと太陽光のエコ効果はWebmasterのお小遣いとして着実に効果が出ている。みなさんもぜひ自分で電卓をはじいて費用対効果を計算してみてほしい。

過去原子力村に操作されていたマスコミや補助金ビジネスに関わる連中の計算は非常に怪しい。すべて自力で答えを見出していただきたいものである。

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