今日の必ずトクする一言
-- TODAY'S REMARK --

Visitors since Aug,1995.(digits.com.)  ReadMe! JAPAN

●風水別館 Annex version 2018

インバーター発電機eu9iのPATpend.山本式燃料コックオフ運転ポジション新設変造のナゾ
ジャンクなインバーター発電機eu9i復活と次なる飛翔のナゾ(ef900isと比較編)
ジャンクなインバーター発電機ef9000isの弱点のナゾ(絶望からの復活編)

ジャンクな4スト発電機EF9Hは再度陽光を浴びるか、のナゾ
ハイオクガソリンは本当に燃焼室をきれいにするのか、のナゾ
ジャンクな2スト発電機ET-600の排気煙の香り(もしくは、ヤマハの発電機の独立した燃料コックのナゾ編)
V125リアタイヤサイズアップ作戦のナゾ
棹立ちバイクMT-09の過激臭のナゾ

ホンダらしからぬホンダCBR1000R試乗のナゾ(デザインは見掛け倒しか?編)
山本式エアコン用流体素子バージョン2018(PAT PEND.)のナゾ
特別企画普及型D級ICアンプで山本式電流帰還!!(実践編)
テスラはあなたの車庫に収まるか(暴力的加速編)
特別企画普及型D級ICアンプで山本式電流帰還!!(理論編)
AdobeFlashは死んだのか?(スマホでflashをどう扱うか?編)

ガスファンヒーター故障のナゾ(フィルターを掃除しましょう)
サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れ2018のナゾ
いき○りステーキの収益性のナゾ
ドリップバッグでアロマの高いコーヒーの作り方のナゾ(失敗編)
新春特別企画 Webmasterの邪馬台国考のナゾ(その2 卑弥呼の墓はどこか祇園山古墳編)


インバーター発電機eu9iのPATpend.山本式燃料コックオフ運転ポジション新設変造のナゾ

今回は、PATpend. 山本式燃料コックオフ運転ポジション新設法である

ご存知の通り、eu9iの運転スイッチは燃料コックと一体で、運転オンから運転オフ側に右に回すとすぐに運転が止まり、その後燃料コックが締まる設計になっている。運転オンからオフまでのスイッチ回転角は約90度だが、運転オンから運転停止までは20-30度程度と小さい。

これでは、運転終了時にガソリンがキャブのフロート室に溜まったままで、放置するとガソリンが蒸発変質しガム分でジェット類が詰まることになる。多くの発電機がキャブ詰まりのためワンシーズでその生命が終わり、その後死蔵されるという流れである。

これを解決するには、運転スイッチを運転オフ側に約70度回したポジションで運転したまま燃料コックのみが閉じる機能を新設し、さらに20度右に回しきると運転オフとなるようにすればよい。

eu9iの運転スイッチは基本的に燃料コックであり、ダイヤルの裏のカムがカム板を動かして運転スイッチを押して運転オフにする。正確には運転スイッチではなく、押されるとイグニッションコイルを強制接地して止める運転停止スイッチである。

新しいポジションを作るには、ダイヤルの裏のカムの形状を変えればよい。もちろん、白いカム板や運転オフスイッチバーを削って短くしても同 様の効果があるが、ダイヤルのように簡単に脱着して動作を確認できない。またダイヤルへの細工なら、仮に失敗(あり得ないと思うがパーツ代は500円)し ても、ダイヤルの購入だけで済む。万が一にもカムを切りすぎて停止しなったら、蓋をあけて運転停止スイッチを指で動かせばエンジンを止めることはできる。同じ方法はeu16iでも有効である。必要なのは良く切れるカッターと瞬間接着剤だけである。

細工の手順は?

まず、ダイヤル裏面の写真を穴があくほどよく眺めて欲しい。上の図はダイヤル裏面のカムの細工、下の図は運転スイッチの軸とカム板、運転ストップスイッチの位置関係を示している。カム形状の変更には少しずつ切り増して試すという手順のため多大なるリサーチを要した。

一言で言えば、下図のBポイントにカムの角がくればちょうど良い塩梅になる。

まずダイヤル中央のねじをゆるめてダイヤルをはずす。

左図は運転スイッチのダイヤルを裏から見たところだ。指標は左上を向いている。ダイヤルが左回転(表から見れば右回転)すると、カムが右側のカム板を押し、板が運転オフスイッチを押すことになる。

下の図は本体の該当部分で、右側にある燃料コック軸にはまるダイヤルのカムが白色のカム板を左に押し、それが左にある運転スイッチバーを押して運転オフとなる。

ダイヤルは柔らかい樹脂でできているので、切れの良いカッターだとバターのように簡単に切れる。まずAポイントを上からダイヤルの裏まで切る。次にダイヤル裏面に沿ってカムとの間をBポイントまで切る。白く塗られているところが切断された部位である。

次にBポイントのカムの裏側(内側)にカッターで浅い線を2,3本いれ、ラジオペンチで右図のように曲げる。余った部分は適宜カットする。目安としては、Bポイントは、燃料コック軸の四角□の対角線の延長上にあり、指標とはちょうど90度のポイントである。このままでもまったく問題無いが、念のために曲げたカム下部をダイヤル面と瞬間接着剤で固定すれば完全だろう。

と書いたが、実は単にAポイントからBポイントまでのカムをカットするだけでも問題なく動く。Bポイントでカム面を曲げたのは、Webmasterの美的感覚の所作に過ぎず、動作させるだけなら優雅なカム面は必要ない。いきなりBポイントでカムの切れ端が出現しても、カム板は問題なく動作し目的は達成される。

ただしカム板とスイッチの動作については発電機に個体差があるので、Bポイントの1-2mm前のところでカットし、動作を確認しながらちょうど70度になるように仕上げて欲しい。

早速おニューなカムをセットする

ダイヤルを軽く燃料コック軸にはめ、左右に回してカムがすんなり収まるところでさらに押して、ねじで固定する。

運転オン状態からゆっくり右に70度回すと、運転オフスイッチのカム板を押し初めるために少し重くなるところが目的のポジションだ。点検蓋をはずし、その下部に見える運転スイッチをカム板が押し始めるタイミングを確認する。この時点で燃料コックの軸は70度回っているのですでに閉じている。実はef900isも燃料コックは70度ほどしか回転していない。

この状態で2,3分運転すると、ガス欠で発電機が止まることを確認する。うまく行ったら、パネルにマジックで印●をつけておこう。

最後にダイヤルを右に止まるところまで回すと運転スイッチもオフとなる。運転からキャブの残余ガソリン対策までが連続した操作で可能な点が優れていると思う。

この山本式コックオフ運転ポジション新設法の良い点は、この改造がなされた事を全く知らない人でも、まったく違和感無く通常の動作で使えることだ。

あなたのように繊細な人はごく自然な操作で燃料コックオフポジションまで操作できるだろう。少し回し過ぎてエンジンが止まりかけても少し戻せばエンジンは 回り続ける。発電機がガス欠で止まった時には、フロート室の油面はメインジェットより下になっているから、少々放置してもメインジェットが詰まることは無 い。なんとエレガントなことだろう。

老婆心コーナー

ファイトの足らない方は、カム変造がどうしても不足気味になるかもしれない。それでも、ダイヤルが急に重くなる天使のポジションでおそらく燃料コックはオフになっているだろう。もし5分たっても止まらないなら、もう少し切り足せばよい。

ファイトのあり過ぎる方は、カム変造がどうしても大き過ぎになるかも知れない。そうすると、ダイヤルを右に回しきっても発電機が止まらないかも知れない。その時は、運転停止スイッチバーと白色のカム板との間に何かを両面テープで張って間隔をつめればよい。止まらなくてもあわてる必要は無い。蓋をあけて、下にある黒いスイッチのポッチをちょんと押せばエンジンは止まるのだから。

石橋をたたいても渡らないタイプの人は、500円でダイヤルのスペアを確保されてからトライされたらどうだろうか?

いずれにせよ、写真を見てベストポジションのBでカムが曲がっていれば100%うまくいく。

しかし、20年近くeu9iを売っていてサービス部門は毎年のシーズン前には詰まったキャブの修理で忙殺されているハズだが、それでも改良しないホンダの頑固さは驚くべきである。

実は、ホンダは新発売のeu18iで同様の原理のポジションを初めて導入した

やはり相当苦情が来ているのだろう。カムの形をわずかに変えたダイヤルを作るだけでメカに手を付けずに実現できるのだが、改良しなかったのは、実に革新のホンダらしくない。

最初に戻る


ジャンクなインバーター発電機eu9i復活のナゾ(ef900isと比較編)

スマホ操作の誤りでうっかりジャンクなeu9iを落札

3台の発電機が復活したのでご機嫌であるが、やはり気になるのはホンダ製インバーター発電機eu9iである。これが発売されたのは1998年6月であり、小型軽量低騒音など小型発電機の概念を塗り替えた意欲作である。

その前に2ストインバーター発電機EX300が1987年に発売されている。それから10年間の半導体と電子制御技術の進歩で電子スロットル付きキャブと 正弦波出力インバーター付き発電機が実現したのである。もちろん、ホンダは過去多極発電機兼モーターによるアイドルストップ付の原付などでちゃくちゃくと 腕を磨いており、それはハイブリッドカーや家庭用ガス発電機などの基礎技術となった。

買うつもりもなくスマホでeu9iの出物を見ていたら、手が滑って変なボタンを押したようで、ジャンクなeu9iを落札してしまった。説明では圧縮あり始動しないジャンクとだけ書かれており、通常は詳細不明な物は落札対象としないのだが、落札したからには何とか動くようにしなければならない。

ジャンク落札価格はef900isジャンクの実に3倍

落札した発電機は2005年製造と古いが、その時点で発売から7年たっており、致命的なトラブルは一通り解決された頃の代物であろう。落札価格が高いのは、基本的にeu9iが大人気だからであろう。

マニュアルはホンダのサイトからダウンロードでき、回路図をみたところ2002年8月発売のef900isと殆んど同じであった。というか、ef900isはeu9iをパクッてヤマハ流の改良を施したものなのであろう。

外装傷多いが欠品なし、メンテの形跡も無し

届いた代物は外装には傷が多いものの部品などの欠品は無かった。色は暗いカーキ色で官公庁もしくは関連業態向けのリース製品だったようだ。始動不良のためか荒くリコイルが引かれた傷跡が残っている。オイルはごく最近交換されたようでほとんど汚れていなかった。

まずメンテには殻を割らなければいけないが、ネジ類が非常に硬く締まっている。ハンドルのネジ2本はインパクトドライバーで、底の2本のねじは奥にありイ ンパクトドライバーが届かないのでCRC5-56を吹いて一昼夜待ってプラスドライバーをスパナで回すことでやっと緩んだ。底のねじは白色の錆びがあるこ とから、この個体はおそらく一度も殻割されたことが無いのだろう。

殻割してみると、この製品はパネルの左側(蓋やリコイルがある側)を下にして寝かして組まれる設計のようだ。内部部品の配置はef900isとおおむね同じだが、インバーターやタンクは左右の殻で挟まれて固定されるので、殻をはぐとピノコ状態で散乱するなど最低の設計である。ef900isは底板に対して自立して点検や動作可能なのに比べ、eu9iを殻割するにはガソリンやオイルは抜いて行い、また殻割した状態では作動状況の点検は難しい

エンジン部分はなんとか自立できるが、燃料ポンプやコック、始動スイッチなどがコンセントのパネルから見て左側の殻にネジ止めされていて、メンテしにくい。左右の殻にはタンクやインバーターをゴムを介して支持するポッチがあるが、右側の殻のポッチ2個は折れていて、おそらくタンクが重い時に荒い扱いをされたのだろう。さらにタンクの重量が殻にかかるため、殆んどの個体で左右の殻が歪んでコンセントパネル下や底でチリが合わなくなっているなど、強度的にも問題のある設計である。

まるでアップル製品のようにメンテ性が悪い。eu16iでは殻にタンク重量がかからないように、タンクとインバーターを支持するステーが追加され、また運転スイッチや燃料コック、燃料ポンプ類は右殻でなく本体ステーに固定され、両側の殻を剥いだまま試運転が可能なように改良されているところをみると、eu9iの構造はメンテ性と強度の点で問題があったのだろう。ちなみにヤマハのef900isではインバーターとタンクが自立しているのでメンテ性はeu9iより良い。

殻割すると、うっすらとホコリをかぶっているものの、エンジンカバーの板金に汚れや変色が全くないなど、やはり使用時間は短い個体であると推定される。後 に始動後に起動ランプを確認したが、点滅していないのでこれが正しければ、使用時間は100時間未満ということになるが、本当だろうか?

まず燃料系、タンク、燃料ポンプへ

燃料タンクの配管を抜き燃料フィルターを点検したが、ゴミはなかった。タンクは灯油で洗ったがゴミは出てこなかった。 コックの通過は良好だが、問題はまたしても負圧式の燃料ポンプで、周辺には大量の油汚れがあり、そこから両側殻の下面に大量の油が蓄積していた。この油は燃料ポンプの大気開放の網から出てきたもののようである。燃料ポンプはMIKUNI製でef900isとまったく同じ代物である。

この製品もef900is同様に燃料タンクの蓋は密閉できる仕掛けがあることから、移動したり倒したりしてもガソリンは漏れない設計である。しかし、左側に倒したまま放置するとクランク室からオイルセパレーターを経て燃料ポンプの大気開放の窓からが筐体内に漏れるようである。一方ブローバイは倒しても漏れてこないところから、本来は燃料ポンプ駆動の負圧は倒してオイルが来ないOHVのヘッド付近からとり、燃料ポンプも倒してもオイル面より高い中央付近に置くべきだと思う。

この燃料ポンプも陽圧陰圧を加えても動作する気配がなく、吹くと大気開放の窓から粘度の高い油が出てくる。これもパーツクリーナでダイアフラム室を洗浄し たところ陰圧陽圧でカチカチ音がするようになった。オイルが劣化して粘度が低下すると油煙が増えて燃料ポンプまでやってくる。本来は負圧の時に大気開放の 窓から新気を吸って油煙をクランク室に戻す設計だが、油煙が大量になると戻しきれずに滞留して変質しダイヤフラムが作動しなくなる。

この発電機の始動不良の原因の一つは、負圧式燃料ポンプの負圧室への油の貯留による動作不良だろう。

次は吸気系、エアクリからキャブまで

エアクリーナーエレメントは劣化して崩壊寸前であったものの汚れは無かった。おそらくエレメントは生産時のもので、一度も交換されていない可能性大である。

次にキャブだが、ホンダが41%の株を持つ京浜製の発電機用キャブは構造が合理的でなく、フロート支持やニードルバルブの座面が一体式の樹脂で劣化しやすく、メインジェットがキャブを外さないと抜きにくいなど、設計と保守性はMIKUNIより劣るというのが一般的な評価である。さすがにベストセラーのeu9iのキャブは供給されると思うが、既にフロート室の樹脂部品の供給がないために使えなくなったホンダ製発電機があると言う。ef900isはホンダ子会社の京浜製ではなくMIKINI製ャブである。

予想に反して、キャブはメイン系もスロー系も詰まりは無かったが、スロットルやチョークにはブローバイが大量に付着していた。一方、USBカメラでイン テークを覗いてみると、バルブステムにはデポジットがなかったが、バルブフェイスには多めのデポジットがあった。バルブステムとフェイスのデポジットの 付き方がeu9iとef900isとで違う原因は定かでないが、ef900isの方がエコノミーモードがより低回転で長時間運転が可能なことが原因の一つであろう。

プラグは超汚かったが、USBカメラで見た燃焼室はきれいだった

プラグはEF90isと同じCR4HSBで、非常に硬く締まっていて点検された形跡がない。

しかし碍子周囲の凹みはブローバイ由来と思われる黒く油っぽいデポジットで埋まっており、接地電極からデポジットのつららが下がっているなど、プラグの状態は未だ見たことが無いほど最悪であった

一方、ピストン表面にはほとんどデポジットがなく使用時間は短いようだが、おそらくプラグ付近から落下したと思われる黒いデポジットが散乱していた。これ は細いチューブで吸うことで除去した。リング等もプラグと同様にデポジットで固着している可能性があるので、ふやかすためにシリンダ内にオイルを多めに注 入しておいた。

ef900isではピストンがきれいだがバルブステムにデポジットが大量についていた。プラグは欠品だったので状態はわからない。一方、eu9iはバルブステムとピストンはきれいであるものの、バルブフェースとプラグは非常に汚かった。

従来の常時3600rpmで回る発電機ではあまり経験しない観察結果だが、ヤマハ製とホンダ製の両者に共通する面もある。ピストンにはデポジットがなくバルブステムやプラグだけにデポジットがあるのは、一つはブローバイが多いこと、もう一つは定格時は高回転5000rpmだが、エコモードでは低負荷低回転の運転時間が長いというインバーター発電機の持つ二面性の現れではないかと思う。

この発電機の始動不良の原因の一つは、プラグなどへの大量のデポジットの付着であろう。

あっさり始動、始動不良の原因は燃料ポンプと点火プラグのデポジット?

ガソリンを入れリコイルを引くと、大量の油煙とともに始動した。油煙はシリンダに注入したオイルのせいのようで、2,3分で消えた。ガソリンにはヒューエ ルワンを添加してエコモードオフである程度回転させ、プラグの汚染がどうなるか観察中である。オイルはおそらく10W-30と思われる新油が入っていた が、フラッシングと割り切って10w-40に交換予定した。

今回の売り主は修理再生はトライせずにオークションに出した様子である。そのため殻割した形跡もなく、プラグすら点検した形跡がない。その理由は、本田eu9iは人気商品でジャンクでも高く売れるために、あえて再生させなくても利が乗るからではないかと思う。

eu9iを良好な状態に保つ方法

これはef900isの場合とまったく同じである。基本的にインバーター発電機は劣化オイルで粘度が低下するとブローバイの増加や燃料ポンプのトラブルが 発生しやすく、またエコノミーモードでの軽負荷低回転のため、インテーク、バルブ、プラグなどにデポジットが蓄積しやすい。そのため、

1)オイル交換をマニュアル通り100時間毎に行う。
2)オイル指定は10W-30だが、粘度を維持してブローバイを減らすために良質な10W-40を使う。
3)数100時間毎にはキャブをはずしインテークからバルブのステムを観察し、汚染している場合は掃除する。

である。この個体でもオイルを10W-40にしたところ、機械騒音は劇的に低下した。また時々はエコモードをオフとして、あえて高回転で運転しデポジットを燃やし切ることも大事だ。これは市街走行ばかりしている乗用車でエンジンにデポジットがたまり不具合が起こるのと同じことである。

そもそも汎用OHVエンジンが設計されたときにはインバーターは存在しなかった。汎用エンジンは常時定格で動作するように設計されている。通常はプラグや バルブはエンジンではもっとも高温となる部品であり、そこではデポジットが焼け切れるように設計されている。しかし、エコノミーモードによる低回転低負荷 の長時間運転は設計の前提に無い。だから、プラグやバルブステムの温度が上がらず、ブローバイが焼き切れずに沈着すると考えると筋が通ると Webmasterは考えるが、どうだろうか?

eu9iとef900isのどちらを買えばいいのか?

これにはいろいろな意見があるだろう。まずサイズは一見eu9iの方が小さく見えるが、それは角が取れたデザインによる錯覚で事実上ほぼ同じ、重量も13kg前後でほぼ同じである。ただし、eu9iは角が丸いので移動時に体への当たりが少しやさしい。

機械騒音はほぼ互角だ。eu9i内部にはスポンジは貼られていないものの、卵形の応力外皮樹脂製モノコックが振動を抑制し剛性を保つ、高度なホンダ的手抜 き設計である。デザインもネジの露出を避けきれいに作っている一方、タンクやインバーターはゴムを介して左右の外殻に挟まれることで支持されていて、殻割すると部品は支持を失い散らばるので立てたまま稼働できないなど、メンテ性は最悪である。

ef900isは四角いため内部パーツの配置に余裕がある。多数スポンジが貼ってあるのは平板なパネルが振動しやすいからであろう。機能はパネルに集中されて解りやすいが、部品の取り付けネジが露出しているなど、ヤマハにしては無骨である。しかし、殻割しても内部パーツが底板の上にすべて自立しているので、表裏パネルをはずして稼働しながらメンテが可能である。

排気音は、eu9iは排気口を小さく絞ることで抑えられている。騒音のカタログ値は78db(1/4負荷)〜86dB、3/4負荷で83dB(LWA、ISO03744)だと言うが、メーカーの言う騒音価はあてにはならない。 ef900isは排気管が太く低音でドスの効いた排気音で、ef9iより少しうるさい印象だ。カタログ値は48.5dB(1/4負荷)〜60.5dB、3/4負荷で86dB(LWA、ISO03744)で、これもあてにはならないもののef9iよりLWAで3dB高い。Webmasterの個体にはアレスターがついておらずうるさく感じたので、聴感上ef9iと同等になるまで排気管からステンレスタワシをつっこんである。

性能的には互角だが、エコモードではef900isの方が低回転まで落ちて騒音が小さく運転時間も長い。そのかわり、低回転からの過負荷への反応はeu9iの方がす早く、短時間でも電圧低下すればリセットがかかる機器との相性には差がある。過負荷への許容度はef9iの方が大きく設計されているようだ。

eu9iはタンクが2.1Lで運転時間は7.1h(1/4負荷)〜3.2hに対し、ef900isはタンクが2.5Lで11.9h(1/4負荷)〜4.1時間と50%以上長い。しかし、エコモードでの長時間運転ではオイルの劣化も進むしブローバイが増加してインテークや燃焼室にスラッジが付きやすいので、オイル管理が重要になる。

通常の900W発電機ではガソリン2.5Lで4時間運転なので、オイル交換は100時間毎とすれば満タン40回毎になる。一方、eu9iでは100時間毎は低負荷なら満タン14回毎、ef900isでは満タン9回毎となり、より頻回のオイル交換が必要になる。

どちらも旧式のOHVで独立したオイルポンプが無く、コンロッド下端がオイルを跳ね上げてその油煙で潤滑する。回転数も、通常タイプが3600rpmなの に対し、インバータータイプは定格時5000rpm以上になるので、オイルの剪断と乳化が進み劣化も早くなる。オイル量はeu9iが250ml、 ef900isが320mlと多く耐久性が若干有利だが、大差ないともいえる。

性能的には近接しているが、価格は人気のef900isが高めで10万を切ることは稀である一方、OEMも多いef900isは8万台のものも見かける。 軽くて燃費が良いのがインバータータイプの美点だが、作りがちゃちで、電子部品も多く、災害時の絶対的な耐久性とうい点では通常タイプに及ばない。また、騒音も低負荷時は静かな反面、定格時には通常タイプと大差無いか、あるいは音質的にはうるるさい。つまり、インバーター式が万能というわけではなく、定常的に負荷が重い用途なら通常型の方が向いている。

で、お前はeu9iとef900isのどっちがいいのか、と聞かれればef900isを取りたい

理由は燃料コックが運転スイッチと独立していることで、運転停止前に燃料コックを閉じてガス欠停止させることで、キャブに残るガソリンを減らすことができ る。たとえば電気ポットで湯を沸かすときには、運転オンの時点で燃料コックを閉じて置くと、沸いたころにガス欠エンストでとまる塩梅である。

一方eu9iは燃料コックと運転スイッチが同一なので頻繁な運転には便利だが、残ったガソリンでキャブが詰まりやすい。それなのに、京浜製キャブのド レンはネジが下を向いていて操作しにくいなど、親切さが足らない設計である。ドレンは手で回せるように大きめのつまみをつけておくべきでは無いか?

結局のところ、長く使う上で一番大きな違いは燃料コックが独立しているかどうかであり、それによりキャブ詰まりへの耐性が異なる点である。eu9iのこの問題に対する解決方法は次のトピックで読者にプレゼントするので、こうご期待!

最初に戻る


ジャンクなインバーター発電機ef900isの弱点のナゾ(絶望からの復活編)

2台の発電機が復活したのに気を良くし、気づいた時にはインバーター式発電機のジャンクを落札していた。

写真では外観などはまずまずで点火プラグの蓋や裏蓋はあるが燃料キャップがない。ということは、燃料タンクにホコリがたまっているということである。リコ イルの紐が見えないが切れているだけか?裏蓋を開けた写真では臓物は揃っているようだが、部品取り用のジャンクとの説明があるので、なにか欠品があるかも しれない。これが治せるかどうかは、かなりのカケである。まあ治せなくても、現代のインバーター発電機がどうなっているかの勉強にはなる、と自分に言い聞かせての落札である。

物は企業か役所が大量に放出したものを業者が複数入手し、オークションで簡単なメンテで治った物は高く売り、治る見込みが低いものは安く出品したのであろ う。インバーター式で問題となる電子部品は、日本製なので故障はしていないだろうという読みである。これは高価なので、これが故障している場合は修理は放 棄すべきであろう。

思わぬ欠品リコイルスターター

裏のねじ4個、排気穴のねじ4個、取っ手のねじ3個、前のねじ1個をはずすと、筐体カバーの後ろ半分がとれる。観察すると部品はそろっているようだが、なぜかリコイルスターターが無く冷却ファンが露出している。それと点火プラグがない。

冷却ファンを回すとかなり重く回らないところがある。この時点で業者はは、長く放置していたためにピストンが固着もしくは焼き付いてリコイルが動かなくなったか紐が切れたのでリコイルスターターをはずし、手で冷却ファンをまわしたが重くて回らないので修理をあきらめたのだろう。

Webmasterも最初はピストンの固着か焼き付きだと考えた。点火プラグをはずして長く放置するとピストンリングとシリンダーが錆びて 固着することがある。焼き付きもあり得るが、オイルセンサーがありインバーターが回転数を制御するので、可能性は低いと考えた。固着や焼き付きが高度な場 合はシリンダーとピストンを交換が考えられるが、このエンジンではシリンダーとクランクケースが一体である。

とすると、手間および費用的にペイしないのでは無いか?それなら完動な中古を購入するほうが安くつくのでは無いか?Webmasterのカケは失敗したのか?普通なら絶望であるが、何とか解決策はあるのか?

USBカメラで燃焼室を観察してみる

USBカメラでプラグ穴から観察するとシリンダ壁は錆びも無くきれいで、驚くべきことにピストンにはデポジットが殆んど無くアルミの地肌が露出しており新品に近い。ということは、焼き付きではなく、使用実時間も短かい(おそらく数百時間以下)と推定される。エアクリのエレメントも劣化もなく殆ど汚れていないことからも、実時間が短いことは確実だ。透明な新しいオイルが入っていたが、売り主が交換したのだろう。

2回転に1回重い部分があるが?

フィンでクランクを回してみると、2回転に一回重い部分がある。シリンダの固着や焼き付きなら毎回重いはずだが、2回転に一回重いということはバルブ駆動に問題があるのだろう。排気バルブにはステムシールが無いから、インテークバルブが問題なのだろう。

キャブをはずしてインテークをのぞくと、果たしてバルブステムにデポジットが大量に付着しており、これが邪魔をしてバルブ駆動が重くなっているようだ。しかし、ピストン表面とヘッド表面が新品のようにきれいなまま、バルブステムだけが汚れるのだろうか?

パーツクリーナーをかけながらインテークからバルブステムのデポジットをこそぎ落とした。そしてエンジンを真っ逆さまにして5分放置し、バルブ周りに油を回してみた。この発電機は燃料の蓋にエア遮断弁がついているから、逆さまにしても問題は無いはずだ。

そうすると明らかにクランクの回転が軽くなった。そこで点火プラグ穴から5mlほどオイルを入れては電動ドライバーでクランク軸を30秒間モータリング と、30秒休止を数回繰り返すと、クランクには重い部分はなくなり軽く回るようになった。

回転させながらインテークやプラグホール、排気パイプの圧力を見たところ、エンジン自体は吸気圧縮爆発排気の工程は働いているようである。新油とパーツク リーナーの掃除で、バルブステムも次第にきれいになった。この発電機が故障した原因の一つは、吸気バルブステムの付着物による固着であろう。

欠品のリコイルスターターは手に入るか?

問題は欠品のリコイルスターターだが、モノタロウで比較的安価で手に入った。リコイルスターターは消耗品であり、紐が切れた場合は紐だけ、紐の付け替えが面倒な客にはアッセイとして安く供給するように価格が設定がされているのである。

クランクが回るようになったところでタンクを点検した。タンクの底に挿入されている燃料フィルターには汚れがついていたので掃除し、タンク内は灯油で洗っ た。燃料コックもタンク側から燃料ポンプ入口までと、燃料ポンプ出口からキャブまで空気で通じていることを確認した。

キャブの前に燃料系を点検清掃したの は、川上から川下へという燃料の流れを意識することで、EF9Hでの失敗を繰り返さないためである。

キャブはET-600やEF9Hと同じ系統のミクニの小丸メインジェットのやつで、ステップモーターでスロットル開度を制御する以外は通常の発電機と同様 である。メインジェット、ニードルジェット、パイロットジェット、アイドルポート、スローポート、アイドルアジャストスクリューなどを点検清掃したが、詰 まっていたのはメインジェットだけだった。

3日ほどでリコイルスターターが届き、組み込むことができた。この時点で運転スイッチを入れて紐を引っ張ると、点火プラグから火花が出ることを確認できた。ネットで入手できたサービスマニュアルによると、点火系統は、回転オーバーを防止するレブリミッターがあるものの、インバーター回路とは完全に分離しており、通常型の発電機と殆んど同じであった。運転スイッチもインバーターには接続されておらず、単にCDI点火を制御するのみである。

インバーターは通常の発電機として発電するようになって初めて起動し、スロットルを制御するようになる。スロットルの制御が始まるまでに少なくともオー バーレブだけは無いようにインバーターと完全に独立したレブリミッターが設けられているのである。吸気温や吸気圧センサー類は一切なく、スロットル開度が 電子的に制御される点を除けば、基本的には旧来のキャブ式の発電機と同じである。

なぜか燃料ポンプが動作しない

燃料ポンプはクランクケースの気圧変動で動作するようになっている。しかし、タンクにガソリンを入れて20回ほどリコイルの紐をひっぱったが、一向にキャブのフロート室にガソリンがやってこない。キャブへの配管を吸うとガソリンがあがってくることから、燃料ポンプだけが動作していないようである。燃料ポンプアッセイもmonotaroで手に入るので注文して届くのを待つことにした。

サービスマニュアルを見ると、ポンプにつながる3本のチューブにクリップがついていることになっているが、1か所しかなかった。おそらく売り主は燃料ポン プをはずし動作を確認したが不良と判断したのだろう。これとクランクが重いことから、修理をあきらめて部品取りとして出品したものと想像している。

サービスマニュアルに燃料ポンプのチェック方法が!

サービスマニュアルを良く見ると、燃料ポンプのチェック法が書いてあった。それによると、

A部(クランクケースにつながる部分)を吸ったとき→通路(大気開放の網)が開く A部を吹いたとき→通路が閉じる

とある。クランクケースの圧力変動で燃料ポンプのダイヤフラムが往復動作し、弁があることでガソリンが移動するしかけなのだが、吸っても開放がされず、吹いた時に大気開放の網から粘度が高い油分が出てくることに気付いた。

クランクケースから油煙が燃料ポンプまで届くが、吸うときだけ網を通じて大気を吸うことで、油煙がクランクケースに戻るセルフクリーニング機能を持たせてある。クランクケースの換気は、燃料ポンプから新気が吸われ、ブローバイ配管を通ってキャブに吸気されるので、内圧バルブを仕込む余地はあるかも知れない。

この個体では、クランクケースから来た油煙が滞留して粘度があがり、大気開放弁の動作が渋くなったようである。発電機が故障した第二の原因は、燃料ポンプの動作不良であろう。

そこでクランクケースにつながる穴からパーツクリーナーを注入し、陽圧陰圧を加える操作を繰り返すと、内部からカチカチ音がするようになった。そこで燃料ポンプをセットして数回リコイルを引くと、フロート室のドレーンからガソリンが流れてきた。ポンプ機能が回復したのである。monotaroで注文したポンプは無駄になったが、様子をみてネットで処分することにしよう。

発電機が故障した第二の原因は、燃料ポンプの動作不良であろう。

ついにエンジンが始動、だが油断ならない

キャブのドレーンを閉じてリコイルを数回引いたところ、ものすごい油煙を出して発電機が起動した。油分はモータリングの時に大量に入れたオイルが燃えているのだが、2,3分で油煙は消えた。

しかし何か下に漏れている。キャブのオーバーフローである。燃料ポンプ内のスラッジがフロートのニードル弁に詰まったのだろう。フロート室を開けてフロートを上下に動かすとスラッジは取れオーバーフローは治った。

起動すると緑の動作ランプが点灯し、負荷としてつけた白熱電灯も点灯し、エコノミーモードにすると回転数も落ちてアイドリングになった。ついに修理が終了したのである。

売り文句に反してフル発電機はうるさい

発電機の機械部分の騒音は二重のケースで抑えられているが、定格出力時の排気音はEF9Hと大差なく、ET-600より明らかにうるさい。ET-600や EF9Hと同様にステンレスタワシを紐状にして排気口から挿入したところ、高周波音が減り、低音が主となったが、それでも相当うるさい。ヤマハはバイクや 車のマフラーの設計では一家言あるはずだが、それにしてはこの騒音は手落ちであろう。

インバーター発電機の故障の原因を推理する

今回明らかになったのは、

1)吸気バルブステムにデポジットが沈着してバルブ動作が不良となりクランク回転が重くなっていたこと。
2)燃料ポンプにクランクケースから油煙が貯留し、大気開放弁の動作が不良となっていたこと

その理由としては、長らくオイル交換をしなかったためにオイルが劣化し粘度が低下した。そのためブローバイが増えてそれがバルブステムに付着し熱で変質した。また増えた油煙が燃料ポンプ内に貯留して動作不良になったよ うだ。バルブステムの汚染には、従来の発電機には無かったいわゆるエコノミーモードによる長時間(1/4負荷で最大稼働時間11.9h)の低負荷運転やア イドリングも関係していると思う。アイドリングでは燃焼温度が低いので、バルブステムの汚染は焼け切れ無いが、燃焼室内は焼け切れてきれい、という相反し た状態となった可能性がある。

その目でネットを検索すると、やはりインテークバルブの固着と燃焼室の汚染を自分で修理したというブログが見つかった。どうやら、この発電機はオイルの劣化に敏感であり、劣化して粘度が低下するとトラブルが出やすいようだ。

オイルの劣化にはインバーター発電機で可能となったのエコノミーモードもからんでいるように思う。このエンジンには独立したオイルポンプはなく、タイロッ ド下端の出っ張りが跳ね上げてできる油煙に頼っていて、オイルポンプによる潤滑よりオイルの劣化が早いであろう。それとエコノミーモードにより運転時間が 長くなるインバーター発電との相性もオイルの劣化に対して不備になっているのだろう。

とすると、トラブル予防のためには、

1)オイル交換をマニュアル通り100時間毎に行う。
2)オイル指定は10W-30だが、粘度を維持してブローバイを減らすために良質な10W-40を使う。
3)数100時間毎にはキャブをはずしインテークからバルブのステムを観察し、汚染している場合は掃除する。

ことが推奨される。この個体でもオイルを10W-40にしたところ、機械騒音は劇的に低下している。

今回の修理は欠品のため若干の強いられた出費は、同時に購入したヤマハ発動機株の値上がりで回収できている。またヤマハのインバーター発電機の設計思想、 インバーターの立ち上がりシークエンスなど、勉強になる点が多かった。修理を通じて故障の原因の推理など楽しめたし、修理後に沸かしたコーヒーの味は別格 であった。この記載が多くのユーザーの役に立てば、と思っている。

なお、ヤマハのef900isのOEMはヤンマー、マキタ、デンヨー、シンダイワ、ハイコーキ、エスコ等多くあるので、それらにもこの記載が役に立つだろ う。まあ、多くのOEM製品があるということは、部品も相当長く供給されるであろうから、オイル管理さえ留置すれば末永く発電機をいい状態で維持すること も可能であろう。

最初に戻る


ジャンクな4スト発電機EF9Hは再度陽光を浴びるか、のナゾ(エンジン内部の燃えカスは何?編)

快調な2スト発電機に気を良くしたのか、気付いたときにはジャンクな4スト発電機EF9H(ef900と同じ物)を落札していた。発電機は空き巣となったWebmsterの心を埋めてくれるおもちゃなのだろう。発電機いじりは車やバイクいじりの代償行為なのであろうが、登録も税金も保険も不要なので負担は軽く災害対策にもなるところがミソ?かも知れない。

点火装置が動作するかのカケ

点火の火花が飛ばないとのことで、送料と同じ程度の出費で落札できた。ライバルが現れなかったのは、点火系統が壊れていると修理に手間と金ががかかるだろう。

しかし、Webmasterには作戦があった。

最近の発電機にはオイルレベルセンサーがあり、オイルが不足すると止まるようになっている。多くのユーザーは発電機が動かなくなるまではメンテしないので、せめてオイル不足で致命的な焼き付きだけは回避したいという、メーカーの親心だろう。火花が飛ばないのはオイルが入っていないからではないか?

届いたEF9Hの外装は程度が良くなく、不動となった後に長らく倉庫に山積みされていたのだろう。オイル10w-40を入れてリコイルを引っ張っると火花が飛んだ。点火系は生きていたのだ。

束の間の起動が甘いメンテ見通しを招く

点火プラグを戻してチョークをかけて何気にリコイルをひっぱると、意外にも数秒間エンジンが動作するではないか。チョークを効かせてリコイルをひっぱる度に数秒だけ動くところを見ると、キャブに残ったガソリンでスロー系が働くのだろう。

フロート室を開けて詰まっていたメインジェットを掃除してガソリンを補給すると、ハンチングもなく動作するようになった。発電で電気ポットで湯を沸かしてコーヒーを入れて一服である。

手抜きメンテは二度手間になる

しかし、翌日運転すると数分で止まってしまった。再度フロート室を開けて見るとメインジェットがまた詰まっているではないか。フロート室に薄く付着した汚れが膜状に剥がれて詰まったようである。フロート室を入念に掃除し、メインジェット、ジェットニードル、スロージェット、スローポート、アイドルポート、アイドルアジャストなども徹底的に掃除した。やれやれである。

過去の成功体験があだとなる

ET-600を入手したときには、最初に燃料コックのフィルターカップを点検し、汚れがないことを確認していた。そのせいか、今回は燃料コックのフィル ターの点検をしなかった。2、3日後に再度運転して湯を沸かしていると、また2分ほどで止まってしまった。再再度のキャブの詰まりかと思い点検したが詰ま りはなかった。フロート室を戻し燃料コックを開けて、フロート室のドレンを緩めてもガソリンが出てこない。キャブまでガソリンが来ていないのだ。

そこで燃料コックのフィルターを点検すると黒いゴミが充満していた。これを取り除くと元気良く動作するようになったので、おいしいコーヒーを飲むことができた。

点検にはやはり順序がある

数日後にコーヒーを沸かしていると、またストップである。燃料コックのフィルターカップをはずしてみるがゴミはないが、コックを開いてもガソリンが出てこない。コックのタンク側入口がゴミで詰まっていたのである。

タンクからコックをはずして息を吹き込むが詰まっている。竹串でほぐすとゴミがとれて開通した。組み直して、無事コーヒーを飲むことができた。

この発電機のタンクの蓋はどうやらヤマハの別製品のものらしく、タンクが開けっ放しになっていた時期があったようだ。蓋のフィルターが汚れていなかったので油断したこともある。

やはり点検には順序があり、正しく川上から川下へとメンテすべきである。灯油でタンク内を洗い、燃料コックのフィルターを掃除しコックの通過を確認した後にキャブを清掃すべきである。「臭いにおいは元から絶たなきゃダメ」である。

この発電機もおそらく早々に不動となり長く放置されていた

エアクリーナーをあけてエレメントを見るとウレタンが経年で劣化しているものの殆どゴミがついていなかった。指で表面をなぞってみても汚れが付かない。

エレメントはおそらく交換されていない。オイルすらまともに交換しない普通のユーザーがエアクリのエレメントを交換するだろうか?全体の状況からは、使用後ガソリンを抜かなかったことでキャブが詰まり、その後長期放置されたと考える。この発電機に限らず、多くの発電機はキャブに残った腐ったガソリンのために最初のシーズンで使用不能となり、その後放置されるのである。

燃料がなければ発電機は動かない

そのまた数日後、発電機で湯を沸かしていると、また途中で止まってしまった。残っていたゴミでキャブが詰まったと考えてキャブを再再再度分解清掃するがどこも詰まっていない。キャブを戻してリコイルを引くと始動するが1分ほどで再度止まった。燃料コックを操作すると始動するが数秒で止まる。それを数回繰り返すうちにまったく始動しなくなってしまった。

Webmasterは悩んだ。まだどこか見落としがあるのだろうか?

翌日に何気にタンクの蓋を開けてみると、ガソリンがカラであった。発電機が動作しないときには最初にガソリンをチェックすべきだが、度重なる下手なメンテの後始末で注意力が低下していたのである。

ET-600より重くて騒音が格段にうるさい

その後は快調だが、問題はET-600より格段にうるさいことである。対策として、エンジンのシュラウドと外装の間にガラス繊維マットを引 き、プラグの穴の周囲をゴムで閉鎖したところ機械音は小さくなったが、排気音がうるさい。そこで、ステンレスタワシを長く紐状に伸ばしたものをマフラーの 出口から挿入したところ、かなり改善したが、依然としてET600よりうるさい。

前回トピでも書いたが、メーカーの仕様でもEF9HはET600より騒音音圧が2、3dB高い。重量もET-600の18kgに対しFE9Hは25kgと重い。これに燃料が加わると女性はもちろんのこと、男性でも骨が折れる。ということで、当分はお出かけはET-600で、お留守番はEF9Hになりそうである。

USBカメラで燃焼室を見てみると

燃焼室のピストントップには黒い燃焼カスが付着していたが、中央付近はハゲていた。プラグはBPR6HSの突出型だが、プラグの座金の細工 で圧縮比を上げる余地があるかどうか、ノギスのしっぽを挿入して燃焼室の高さを計測した時にハゲたようだが、意外にきれいな地が露出していた。反射鏡で ヘッドを観察すると、燃焼室にも燃焼カスが付着していたものの、丸く見えるバルブにはあまり付着していなかった。おそらくバルブの熱容量はシリンダより小 さいので焼け切らたのだろう。

燃焼カスが簡単にハゲたところを見ると、比較的短時間で蓄積したもののようである。おそらく、エンジンオイルが規定時間で交換されておらず、劣化したオイルの粘度が下がってブローバイが増加し、燃えカスが蓄積したと考えている。過去何度も本サイトで触れたように、現在の純正オイルの粘度は燃費のために機械の至適粘度より低く設定されているとWebmasterは考えている。

そのためブローバイが増えてインテーク系に様々なトラブルが増える。増えたトラブルによる費用は、おそらく低粘度オイルによる燃費改善より高くつくのでは無いか?

Webmasterは常に標準より1段階粘度の高いオイルを入れている。オイルの粘度低下によるブローバイの増加の悪影響は、3台目の発電機のメンテで明かされることとなる。

最初に戻る


ハイオクガソリンは本当に燃焼室をきれいにするのか、のナゾ(USBカメラで燃焼室を観察編)

WebmasterはV125とNC700sにはずっとハイオクを入れている。こいつらはどちらもリッター30kmを上回る燃費の良いおりこうなので、少しでもエンジンをきれいに、またNCではより高いギアでもノッキングしないように、という親心である。

通常はコス〇石油で入れるが、メーカーよれば、ハイオクガソリン「スーパーマグナム」は、燃費が最大2.8km/L良くなる(2500ccセダンの場合)と いう。メーカーの言い分を真に受けるわけではないが、仮にサンプルがハイオク仕様のV6の車で、レギュラーを入れるとノックセンサーが作動し点火時期が遅 角されれば、そういう数字が出るかもしれない。ただしレギュラー仕様の大衆車ではあまり差はつかないだろう。今や少数派の2500ccセダン(V6ハイオ ク仕様?)というチョイスがあざといのである。

他にもいろいろメリットが書いてあるが、Webmasterが期待しているのは、通常ガソリンの5倍の清浄力でエンジン内がきれいになるという宣伝文句である。PEA(ポリエタノールアミン)というWAKOのヒューエルワンにも入っている物質が清浄力の元らしいが、宣伝を信じれば、通常のガソリンにもハイオクの5分の1の清浄力はあるということになるが、本当だろうか?

ヒューエルワンはガソリン30Lあたり一本(300ml、1%)入れることになっており、WAKOによればPEA濃度は1%がベストだという。濃度が高す ぎるとOリングなどのゴム製品に攻撃性があるらしい。ヒューエルワンは300mlで1700円程度なので、ガソリンに1%加えるとして、リッターあたり 57円になる。

PEAの有効性が発見されたのはずいぶん古く、USAパテントUS2742349A(1952-02-25)Organic compounds containing nitrogenに N,N''-DI-SEC-BUTYL-P-PHENYLENEDIAMINEというPEAの一種の効果が書かれている。基本的にはPEAが高温で酸素を供給することで、デポジットを焼き切る原理らしい。なおWAKO'sサイトのSDSにはPEA濃度は企業秘密と書かれているが、USパテントには0.1-2%と書かれている。

ところで燃焼室をきれいにする方法はPEAだけではない。古くから吸気に水噴射すると燃焼室が清浄となることが知られている。おそらく水分が燃焼で急に膨 張するときにデポジットを破壊するからだろう。ガスケット不良で水が燃焼室に入ったエンジンを分解すると、燃焼室がぴかぴかなのはそのである。 Webmasterが考案した水噴射によるフレームロッド清掃方法

暖房機器のアキレス腱、フレームロッドの風水クリーンアップ!のナゾ(ファンヒーター不良解決の決定版))

もこれの応用である。

さらに調べると、同様の効果を歌うヤマハ純カーボンクリーナー100のSDSにはPEA濃度は70-80%で、ガソリン5Lに15ml(0.3%)入れろとある。とすれば、二者の比較からヒューエルワンのPEAの実濃度は20-30%程度ではないか、という推測が成り立つ。

ハイオクガソリンにどの程度のPEAが含まれているかはいくつかの製品のSDSを見たがはっきりしないが、効果から比較できるかもしれない。WAKO'sの資料には、バルブのデポジットがガソリン交換1回(走行9時間)で66%減少し、2回(走行18時間)で93%減少するとある。

一方ハイオクガソリンではどれくらいの使用期間か書かれていないが、コスモスーパーマグナムはバルブ類の汚れを80%、エネオスヴィーゴは汚れを86%、 出光スーパーゼアスは64%減らすとある。おそらく継続的に使った場合であろうが、ヒューエルワン2回の給油で汚れを93%減らすとの記載より控え目のよ うである。効果の比率から単純計算すれば、ハイオクガソリンのPEAの実濃度はヒューエルワンの3分の1程度、おそらく0.1-0.2%程度ではないか?

ヒューエルワン添加のコストがリッター57円なので、ハイオクがレギュラーよりリッター10円高いとすると、ハイオクのPEA濃度はヒューエルワンの約6 分の1であれば話が合うという、まったく根拠のない推測もあり得るが、その根拠ない推測からもPEAの実濃度は0.1-0.2%と計算できるところから も、個人的にはこのあたりではないかと想像する。

前振りが長いが、ここ数年間ハイオクのスーパマグナムを使ってきたV125の燃焼室がどうなったかをUSBカメラで観察してみよう。NCと違いV125はフルスロットルの時間が長いので効果が高いかも知れない。その前にまず点火プラグである。

WeebmasterはV125にハイオクしか入れてないので比較がむつかしいが、かなりきれいに焼けていると思う。注目ポイントとしては、碍子だけでなく接地電極のデポジットも少ない点である。なおチューブはプラグ交換をしにくいV125でプラグを保持し手で回転させるための代物である。次はいよいよ燃焼室だ。

まっさらなピストンを期待された方には申し訳ないが、やはりピストン中央付近にはデポジットがあるものの、顆粒状の凸凹が少なく薄い印象である。そして、ピストンの周辺部は一周にわたってデポジットがなく灰色の地が出ている。写真は出していないが、ミラーで確認したバルブの表面も同様に灰色ながらデポジットは殆ど無かった。これがPEAの効果なのだろうか。

通常のピストンのデポジットは黒くて厚く、顆粒状の凸凹があるものだが、それに比べると凹凸が全般的に薄く、また色も灰色である。ちなみに、このV125 はエアクリ、マフラーは純正でオイルは半合成油10W-40、プラグと駆動系の部品交換から2000km走行したところで、圧縮率を0.12上げるために プラグのワッシャーを0.3mmと薄いものに変えてある以外は特にいじっていない。

たった1台のV125の結果から早急な結論は出ないが、ピストンやバルブ、プラグの具合を見るかぎり、ハイオクガソリンのPEAには若干の効果はあるようだ。またPEAの濃度は、有意な効果があるもののOリングなどのゴム部品に問題ない程度に設定されているようである。

ヒューエルワンがガソリン1Lあたり57円(カストロールやAZはこれより安いが)であることを考えると、1Lあたり10円高いハイオクにそれを正当化できる程度の清浄作用はあるようだが、あるいはヒューエルワンが高すぎるのかもしれない。個人的にはWAKO'sの製品は全般的に高い印象がある。さて、皆様はPERについてどう考えられるであろうか?

最初に戻る


ジャンクな2スト発電機ET-600の排気煙の香り(もしくは、ヤマハの発電機の独立した燃料コックのナゾ編)

大停電ブラックアウトの予感

それは盆前の暑い日であった。エアコンにあまり頼らない生活をしているWebmasterも、台風のフェーン現象によって夜間にも30度を超える日には参っていた。

そこで、ふと停電したらどうなるか?と考えたのである。冷房はともかく扇風機も動かなくては健康を損なうのでは無いか?Webmasterに災害の予知能力があるわけではなく、たまたま酷暑で電力消費が過大となり、一つの発電所の不具合からブラックアウトになるのではないか、という不安がよぎったのである。

実際には異なった形ではあったが、北海道でブラックアウトが起きたときには、少し前の米国で次々に発生した社会インフレの障害を思い出した。

最近は鉄道や道路など経年による不具合が多い。団塊の世代の技術者が大量に引退しており、電力、ガス、水道、鉄道、道路、通信などの社会インフラで障害が多発することが危惧される

団塊の世代では経済も社会システムも拡充に拡充の連続だった。団塊の世代の技術者は、システムがそろそろ壊れる頃ではないか、過負荷になっているのではな いか、ということに関して経験があり、それにより障害を予見できるようになり、また実際に障害が起きても早期に収束させれるようになった。

その世代が引退する時に、経験値の低い技術者に障害の体験をバトンタッチできずに終わっているのではないかと恐れている。最近では電気使用量や旅客数なども頭打ちであり、一方システムの信頼性も改善したので大きな障害がない時期が続いているが、バスタブ曲線が示すように、設備はいつか古くなり故障が増えてくる

というわけで、Webmasterは社会インフラの障害が今後増え続けると考えている。

幸い我が家には太陽光発電があるので、昼間は独立電源モードで数台の扇風機を回すパワーがあるが、夜は駄目である。プリウスからインバーターで家の中に AC100Vを引き込めば夜間も電気は使えるが、プリウスは無人で放置すると小一時間で自動的にシャットダウンされてしまう。

他には、鉛バッテリーからインバーターで扇風機をまわすことも考えられるが、例えば12V50AHのバッテリーだと数台の扇風機を1,2時間回したところでアウトになる。というわけで、やはり発発が必要、と考えたのである。

過去我が家にはホンダEM550なる発発があった。これはおしゃれな金属ケースのため騒音も小さくパワーもまずまずだったのだが、年に2,3回はキャブの掃除をする必要があった。おしゃれなケースが邪魔してキャブにアクセスしにくく、ドレンも面倒であった。たびたびのキャブ整備に疲れはてて、太陽光発電とプリウスがやってきたこともあって手放したのである。

それなら、発発を止める時にキャブのガスをどドレンから抜けばいいじゃないか、とおっしゃるかも知れない。しかし次にガスを入れたときにニードルバルブが 開いたまフロートがが固着して、オーバーフローした経験がある。2、3ヶ月毎に初発を試験運転しても、その後ガスをに抜いてもリスクはある。

送料より安いジャンクな2スト発電機ET600を落札!

そんなことを考えているうちにオークションでET-600なる発発のジャンクが出品されていた。発電するがハンチングするということで、送料より安い価格で落札されてWebmasterの元にやってきた。

ET-600は2ストであり、コンデンサー補償形としてはET-500に次ぐ歴史的な製品で、発売後20年以上を経てまだ低開発諸国ではET-1などという名称で売られている。

個人的には2スト発発は混合ガソリンが必要の上に煙が出て臭く、燃費が悪くて実用性が低い製品だと思っていたが、その認識は変わることになった落札した理由には、なつかしい2ストオイルの匂いを嗅ぎたいという変態的な思いもあったかも知れない。webmaserは過去3台の2ストバイクに乗ったが、どれも車体後半が油煙で汚い一方、車体は錆びずチェーンもあまり錆びないというメリット?があることも知っている。

ハンチングするジャンク発電機!

やってきた発発はタンクの縁が錆びているものの予想より状態は良かった。エアクリーナーエレメントが無かったが、おそらく経年変化で崩壊したものを売主が 除去したようである。タンク内にも錆びは無く、灯油で洗って燃料コックのフィルターを清掃したが、まったく汚れていなかった。混合ガソリンで始動したが、 なるほどハンチングがひどい。

ハンチングにはいくつか原因が考えられるが、川上から行けば、まず燃料系が詰まりかけている場合がある。今回はタンクや燃料コックに問題なくキャブへの燃料供給には問題無いようだ。

とすればスロー系(パイロット系)の問題だろう。EM550の経験から、スロー系が詰まる確率はメイン系の1/10くらいである。これはスロージェットがメインジェットより高いところにあり、腐ったガソリンに最後まで漬かっていないからだと思われる。

ただし、2ストでは混合ガソリンのため粘度が高いガム質が多いのでスロー系が詰まる可能性がある。まず、メインジェットとジェットニードルを点検したが問 題なかった。次に、キャブのチョーク側て右側のパイロットエアジェットからキャブクリーナーを吹き込むとメインジェットやメインエアジェットからも噴出し たので、パイロットジェットは詰まっていないようだ。

パイロットジェットをはずし、横の孔と底の小孔を点検したが詰まりはかった。なおパイロットジョットをはずすにはすぐ上のスローアジャストスクリュー(ア イドルのスロットル開度を調節する)が邪魔なので、完全に締めこむか(マジックでネジに印をつけて何回で締めこまれるか数えておく)、それでも駄目ならは ずす必要がある。なぜかミクニは長年この問題を改良していないので面倒である。

次にスロー系の空燃比を調節するアイドルアジャストスクリューを抜くが、その前にネジに印をつけて何回締めこまれるか数えておく(通常2回前後)。抜くと 先端にワッシャーとOリングがついている場合があるが、このキャブではスプリングのみであった。なお2000年頃から排気対策のために黒い樹脂製キャップ がついてくるが、この製品には無かった。パイロットエアジェットからクリーナーを吹き込むと勢い良く出てきたので、ここも詰まっていない。

発電機はアイドルで使う想定が無いが、気になる向きは、スロットルをアイドリングまで閉じて、アイドルアジャストスクリューをアイドリングが一番高い回転数にあわせるのが定石だが、最近はHCが最小の位置で保護キャップをかぶせることになっている。

キャブをはずす場合は、その前にスロットルとチョークのリンケージの具合を写真にとっておくのが無難である。キャブとエンジンヘッドの間のガスケットは重 要(キャブとクリーナーの間のガスケットはあまり重要で無い)ので、なくさないように注意し、なくなったら古典的にはハガキをきりとって作る(もちろん専 用のガスケット紙がベターであるが)。

キャブのエンジン側には、パイロットジェットの延長線上の少し高いところにアイドルポートがある。ここからの噴出にはアイドルアジャストスクリューが関係 する。また、スロットルが閉じる付近に2−3個の小さな孔があるので、細い針金で掃除し、パイロットエアジェットからのクリーナーが勢いよく出ること確認 する。この固体の場合は3個の孔が詰まり気味であった。

ハンチングする理由だが、この手の古典的な発発では60Hzなら3600rpmとなるように、メカニカルガバナーがスロットル開度を調節する。回転があが るとガバナーがスロットルを絞るが、スロー系が不調だと回転が下がりすぎる。と、あわててガバナーがスロットルを大きく開けるが、回転があがりすぎて絞ろ うとするが、再度予想外に回転が下がるの再度大きくスロットルを開ける、という繰り返しになる。

もっとも、発発に負荷をつながないとごくわずかにハンチングするが、それは負荷がかかれば安定するので気にしないほうが良い。

USBカメラで燃焼室を観察!

完調となったところで、燃焼室の中をUSBカメラで観察した。

そも前にプラグは若干くすぶり気味だ。シリンダーも全般的にくすんだ感じだが、ポートにデポジットは無いことから、やはりこの発電機も実使用時間は短いうちにキャブが詰まって不調となり長らく放置されたきたもののようだ。

突出型プラグで圧縮比アップとノッキングの耐性について

燃焼室に余裕があることを見て、プラグを標準のBR5ESから碍子部分が突出したBPR5ESに変えて見た。その目論見は、

1)圧縮比アップ。排気量63ccなので仮に圧縮比を9とすると燃焼室は7mlとなる。仮に碍子分が0.2ml突出すると圧縮比も2%ほどあがることになる。
2)メカニカルオクタン値が上がる。これについては後述する。
3)見かけ上の点火時期が早くなる。プラグが突出することで混合気全体への平均的距離が短くなるため。

プラグ突出でなぜメカニカルオクタン価がぜ上がるのか?

点火されて混合気が燃え広がる速度(火炎伝播速度)は35m/sと音速(圧力が伝わる速度)の1/10と意外に遅い。一方、プラグ付近で点火され燃焼した 混合気の圧力波は音速の340m/sで広がる。このため、プラグからもっとも遠い部分には火炎より圧力波が先に伝わって異常発火してしまう。またデポジッ トなどの火の着きやすいホットスポットがあれば、圧縮過程で勝手に火が着く。これらが、いわゆるノッキングだ。

点火時期を早くするとプラグ付近からの圧力波が燃焼の波及より早く伝わるのでノッキングしやすい。回転数が低いと点火から上死点までの時間が長いので、先に圧力波が伝わるのでノッキングする時間が増える。だからエンジンは低速ほどカリカリいいやすい。

燃焼室の表面には温度の低い断熱層があり表面が守られている。異常燃焼するとその断熱層が破られて異常燃焼で圧力が生じるので、ピストン表面がアバタになったり溶けたりして、最悪エンジンが壊れることもある。

ノッキングを減らすには、異常燃焼し難いように混合気や燃焼室の温度を下げるのが効果的で、ターボでは混合気をリッチにしたり、直噴によって温度を下げる。時には高速を走行して燃焼室のデポジット焼ききって減らすことも重要である。

他には、火炎が燃焼室の隅まで早く伝わるように気流をかき混ぜるのが効果的である。インテークと燃焼室の形状を工夫してスワール(水平)とかタンブル(垂直)と呼ばれる渦を作るとか、ヘッドの断面を絞って上死点で気流を噴出するスキッシュエリアを設けるのがそれである。

さらにはプラグを2個使うと、それぞれのプラグからの混合気への平均距離が減り、圧力波と火炎伝播との時間差が減ってノッキングしにくくなる。燃焼室を半 球状にすると、火炎伝播にムラがなくなりノッキングしにくくなる。このようないろいろな工夫で、ノッキングしにくい=メカニカルオクタン価が高いエンジン ができる。こういうことがカタログ等できちんと説明されていないので、ユーザーには解らずじまいなのである。

基本的に2ストの燃焼室は余計なプラグやバルブが無いので理想的な円錐形をしている。その頂点にあるプラグを突出させると、プラグから燃焼室の端のデポ ジットなどの異常燃焼の巣の見通しが良くなるので、火炎が伝わりやすくなりノッキングしにくくなる。またプラグからの混合気全体への平均距離が短くなるの で火炎伝播が速くなり、見かけの点火時期も早くなる一方、火炎が隅まで届きやすくなる効果と相殺されてノッキングは増えない。さらにわずかに圧縮比があが ることで、燃費も出力も良くなるというしかけである。

2スト発電機の圧縮比が高くできない理由がある

プラグ熱価が5であることから解るように、排気量63mlのエンジンにとって3600rpmは最高出力の半分の回転数であり、燃焼条件はさほど厳しくな い。発電機は電力事情が不安定な低開発諸国多用されるが、そのような地域では燃料の品質も良くないので圧縮比は低めに設定されている。またリコイルが重く ならないように圧縮比を上げにくい事情もある。従って、圧縮比をアップさせる大きなマージンが残っている。

余談ながら、ホンダの低開発諸国向け発電機には灯油を使うものがある。古いサイドバルブ式のエンジンで、ガソリンと灯油のタンクが別々にあり、まずガソリ ンで起動し、暖機後にコックを切り替えて灯油で発電する仕掛けである。ホンダが動作を保証しているので、カーボンなどの付着も問題とならないらしい。

細かい細工だが、定格出力時にスロットルがわずかに絞り気味になり燃費もわずかに良くなる。また過負荷でもエンジンは若干粘るようになるが、最終的には発電機が過熱する前にブレーカーが落ちるので、使える定格出力はブレーカーが決めることになる。

2スト発電機は時代遅れか?

2スト発発の評価であるが、ホンダは近代化発発の習作として2スト+インバーターのEX300なるモデルを発売し爆発的にヒットした。イン バーターを使えば、エンジンが3600rpmで回る必要が無く、負荷が軽いときには低回転で、負荷が重いときには高回転で回ればいい。とすれば、小さめの 2ストエンジンにバイクで使われる永久磁石を使った小型軽量な多極発電機と組み合わせることで、重量が軽くなる、というわけである。現在のホンダのドル箱 インバーター発電機シリーズの思想はこのあたりからきている。

ホンダは大型バイクで多極発電機を使っており、これを小型スクーターではスターター兼用としてアイドルストップやハイブリットを実現したり、汎用エンジンやガスエンジン給湯発電機で使ったり、と使いまわしが上手である。

ところで、今回はドンキで安売りしていたカストロールの2ストオイルを使ったところ、期待とは異なる果実臭がして少し残念である。もう200円追加して古き良きCCISオイルにすべきであった。個人的には学生の頃から過去40年以上CCISオイルだけを使い続けてきてその匂いが染みついているので、次回はやはりCCISオイルにしようと思う。

2ストなので煙が大量に出るかと思いきや、煙は始動時のみで匂いも軽い。最大負荷でもわずかに匂いはするものの油煙はほとんどしない。実は、ジャンクな4スト発電機ヤマハEf9H(ef900)を再生させたが、排気臭に関してはいい勝負であった。

使い勝手に関しては、ET-600は重量18kgで女性や高齢者で持てるが、FE900は25kgと重い。これにガソリンが加わるから、移動には容積も重量も小さいET-600に分がある。

どちらもエアクリーナーの空気取り入れ口付近にスポンジを追加したので、吸気音は小さくなっているが、エンジンのメカ音と排気音が問題である。

2ストは毎回爆発で排気間隔が4ストより短く、一回あたりの排気量が小さめのためマフラーの効率が良く、明らかに排気音が小さい。またバルブ駆動などのノ イズも無いので、カタログ値でもET-600が56dB(a)/60dB(a)、ET-800が57dB(a)/61dB(a)に対し、ef900は 61dB(A)/63dBと数字上も2-4dB(a)2スト発電機の方が静かである。音圧では4ストは倍うるさいのだ。

2ストは4ストより振動も少ない。排気煙も気にならないとすれば、重量、容積、騒音、振動などの点については4スト発発は2スト発発に完敗なのである。

2スト発電機の燃費はどうか?

ET-600には兄貴分のET-800があり、60Hzの定格800w時にガソリン2.5Lで3hr持つことから、1.04ml/Whと算出される。一方、4ストのef900Hは定格850W時に2.7Lで4.5hr持つので0.7ml/Whとなり、4ストの方が3割ほど燃費が良い計算になる。

2スト発電機のオイル代はどうか?

ET-800では100hrあたりガソリン83L、2ストオイルが1/50として1.66L必要で、市価1Lあたり690円とすれば1150円になる。

一方4ストは100時間毎に430ml必要なので、ホンダG1(10w-30)が1Lあたり市価750円として322円に、G2(10w-40)なら1L あたり市価950円として408円となる。混合ガソリンを作る手間と、4ストエンジンオイルを交換する手間をイーブンとすれば、2ストのオイル代は約倍か かるものの、4ストオイルには廃棄の手間があることと、100hrに必要なガソリン代に比べればどちらもオイル代1/40以下なので、オイル代の差は大き く無いともいえる。

ということで、4割重く、倍うるさいが3割燃費が良い4スト発発に対して、2スト発発の競争力は依然として残っているようで、それが低開発諸国でもいまだ売られ続けている理由であろう。また、ホンダは2ストが黄昏を迎えた時期に超軽量なインバーター式のEX300を発売した理由でもあろう。

ヤマハの発電機が運転スイッチと燃料コックが別体である理由は?

ヤマハの初発は最新のインバーターモデルef900isやES1600isに至るまで運転スイッチと燃料コックは別体である。実際には燃料コックと運転スイッチとチョークが一体のef900sが短期化存在したが、なぜかその後は燃料コックが別体に戻っている。

ヤマハの取説では、長期保管時には燃料タンク内をポンプで吸い取り、次に燃料コックを解放のまま運転させてガス欠で停止したあと、キャブのフロート室のドレーンを開けて排出しなさい、とある。

しかし、この記載はヤマハのポーズでを額面どおり取ってはいけない

なぜかというと、燃料コックが別体なら、毎回運転スイッチをonのまま、燃料コックを閉じてがガス欠で停止させてから運転スイッチをオフにする運用が可能だからだ。そうすると、フロート室のガソリン液面はメインジェットより下にしか残らないので、発生するガム質も少なくジェットも詰まり難いからである。

1−3ヶ月間の放置なら、この運用で十分であり、毎回フロート室内のガソリンを無駄に廃棄する必要が無い。ヤマハの初発はキャブドレーンにチューブがついてないものが多いのもそのためだろう。

一方ホンダの初発はEM550やEX300のころから、運転スイッチと燃料コックが一体化したレバーになっている。これは短時間の繰り返し運用では便利ではあるが、停止後のキャブのフロート室に満杯のガソリンが残るので、これを抜かずに長時間放置するとワンシーズンでまず間違いなくジェットが詰まることになる。

もちろん、毎回フロート室のガソリンを抜いて小瓶で受け、タンクに戻せばベストなのだろうが、普通のユーザーはそんな面倒なことはしない。多くのユーザーは運転スイッチをオフにして止まった時点で、初発のことは次のシーズまで忘れて放置するのだ。それが、キャブ不良の発発が多くオークションに出てくる理由である。

Webmaseterは過去4台オークションでジャンクな初発を入手した。外装がきれいなやつもあれば、ペンキだらけのものもあったが、不思議とエアク リーナーのエレメントはきれいなままであった。ということは、外装の程度に関係なく、レジャーや軽作業に使われた初発は、実時間が短いままワンシーズンで キャブが詰まってエンジンがかからなくなり、そのまま放置されてることになる。

殆どのユーザーは初発は動かなくなるまでは手入れをしない。オイルレベルが下がると強制的に停止する仕掛けがあるものの、そこでオイル交換する保証は無く、単にオイルを足すだけかも知れない。あるいは、オイル交換が必要なことすら知らないかもしれない。当然ながら、エアクリーナー等も動かなくなるまで清掃や交換されない。だからそれがきれいなままということは、最初のシーズが終わった時点でキャブが詰まり、発発の運命は終わってしまったからである。

おそらくヤマハは、ベテランのユーザーの多くは、運転スイッチONのまま燃料コックを閉じてガス欠で停止させる運用であることを知っている。だからこそ、わざわざ燃料コックを残しているのだ。しかし、そうしろとはマニュアルには書きずらい。しかし、毎年のシーズン前にキャブが腐った発発が大量にサービスに回って来るのをヤマハはいやなのかも知れない

というわけで、取説はその行間を読み、メーカーの意図を読んで使うことが必要である。

個人的にはホンダのインバーター発発にも燃料コックをつけて欲しいと思っている。バイクの世界では新たなるHY戦争が静かに進行しており、発発の世界でも両者は同クラスのインバーター製品をぶつけ合い、OEM先を増やしながらグローバルなHY戦争を静かに進行中である。

今後ホンダの発発にも燃料コックが復活することはあり得ると思っている。

老婆心コーナー

1)ホンダの新型のEu18iの運転レバーに燃料オフ機能が新設された。これは運転スイッチの停止の前に燃料コックだけを閉じる機能をつけたものである。おそらく他機種にもマイナーのおりに増設されると思われる。基本的には運転レバーのリンク機能に細工したものだが、気付くのが遅すぎると言うべきだろう。おそらく、本田のサービス部門にもシーズン開始時期にキャブ詰まりの修理案件が大量に着てこまったからであろう。

2)バイクでも、しばらく乗らないときには燃料コックを閉じてガス欠エンストでエンジンを止めたほうがキャブのトラブルは少ない。特に4連キャブの場合 は、内側のキャブのフロート室のドレーンスクリューに手が届かない場合が多いので、この方法しかフロート室のガソリンを減らす方法が無い。ただし、燃料 コックが負圧式でレバーがない場合は燃料チューブをいった抜くのが良いだろう。最近は負圧式コックをバイパスする機能を持ったプライム機能がついた燃料 コックがある。この場合はタンクのガソリンを抜いて、プライムの位置にしたまま運転してガス欠でエンジンを止めることになる。

3)ただし、燃料噴射の場合はガス欠になると燃料ポンプが空回りしてエアを噛んで始動しなかったりポンプが損傷するなど、無用なトラブルを招くから、ガス欠で止める方法は使うべきではない。

最初に戻る


V125リアタイヤサイズアップ作戦のナゾ

ズリズリ、、、、、、

あるとき市内をアドレスV125で遊弋していたWebmasterであるが、コーナリングでリアの挙動が怪しいことに気がついた。やはりリアのバルブから漏れているのか?

実は先月リアタイヤに空気を入れた際にL字型のバルブが何となく柔らかい感じがした。これはWebmaserはV100でも経験があるのだが、経年変化で リアのバルブのゴム部分が破損する前兆である。あわてて瞬間接着剤とゴム系接着剤で補強したがタイヤの山も3-4割というところで、交換の潮時であろう。

V100の時からストックしてあったタイヤD306(3.5-10)とホイールを出してきた。その当時Webmasterは今後3.5-10のタイヤが無 くなることを恐れてストックしておいたのである。タイヤの劣化は日光による架橋化とオゾンによる酸化、そしてパラフィン分の喪失で硬化したりヒビが入るの が原因らしいので、パラフィンを塗って暗所密閉状態で大事に保存してあったのである。 ストックは前後両輪分あったが、前輪は既に、

アドレスV125に見る老齢者用バイクのナゾ

で使用した。V125とV100のタイヤの標準サイズと幅および外径は(ダンロップD306の場合)、

		規格		幅mm	外径mm
前輪 90/90-10 93 420
後輪 100/90-10 101 434
V100
前/後輪 3.50-10 97 441 番外K378B 110/90-10 110 452

韋駄天V125の最大の弱点はタイヤの直径が小さいことだ。他にはホイールベースが短いこと、後輪の片持ちサスの剛性が不足していること等もあるが、タイヤ外径がV100よりむしろ小さくなっていることが最大の問題だ。

前輪を90/90-10から3.5-10にすることで外径が6%大きくなり、速度計の指示は逆に6%小さくなった。なおWebmaterのV125は前期 形なので前輪で速度を計測しているが、V125S以降は電子式で後輪で速度を計測しているらしい。GPS計測ではもともと速度計が約6数パーセント過大表 示だったのが、3.5-10でほぼ誤差無しの表示になっている。

なおV125には巷では12インチ化キットも売られているが、キットのタイヤ110/60-12の外径は3.5-10とほぼ同じなので、高 い金を出して12インチ化するよりは3.5-10に履きかえるほうがコスパが良いし、乗り心地も良く、悪路にも強い上に、速度計の誤差もない。他に番外と してV125で110/90-10を履いた例もあようだが、計算では4%の外形増になるものの乗り心地や加速性、重量の点で不利になる。

ところでインチ表示のタイヤは基本的にプロファイルは100%のはずだが、実際には幅、外径とも表記にかかわらずメーカーによりさまざまである。傾向とし て外径はダンロップが大き目で、ブリヂストンは小さ目である。たとえばブりジストンHOOP-B01は3.5-10が幅92mm外径434mm、 100/90-10が幅103mm外径433mmと、外径が殆ど同じなので交換する意味が無い。

V125の黒い鉄板ホイールはV100とまったく同じものだが、とにかく見栄えがしょぼく塗装も薄いのですぐ錆びる。ホンダリードあたりの重厚なデザインのアルミホイールとは対極的である。

今回はペーパーとワイヤブラシーでざっと錆びをとり、ホルツの錆びチェンジャーを塗った。ホイール全体も塗装が薄く全体的に薄く錆びが広がっているので、 ペーパーをかけた後に錆びチェンジャーを水で倍に薄めて塗った。見栄えを少しでも良くするためにシルバーを厚めに塗ったので、しょぼさは約3dB低下したように思う。バルブも二度と千切れないように金属製にしておいた。

前輪をサイズアップはたった6%だが、されど6%で高速度の乗り心地や安定性がかなり改善し、直進性も向上したことでV125の欠点をカバーしてくれた。

さて後輪はどうだろう。3.5-10に交換すると外径は1.6%大きくなるので、加速は鈍くなるものの燃費が改善し、高速の伸びがよくなるハズである。実際にはタイヤの磨耗があるので2,3%の差になる。

数日走行してみた感じでは、加速が鈍くなったと思えばそういう気もするし、高速が伸びる思えばそういう気もする、という程度である。

ただし、シートが7mm、タイヤの磨耗分を考えると約15mm高くなったのははっきり感じられる。バイクのシート高はわずかな変化でもはっきりわかるもので、身長に余裕のないライダーにとって数ミリの差は大問題である。

印象として、スクーターの背が伸びた感じで、わずかながらロードスポーツっぽくなったような気がする。ハイトだけが増えてエア量が増えたせいか、ハーシュネスなどに対する乗り心地も改善した。またタイヤがわずかに大きくなったことで、車体もも大きくなったような感じもする。

やはりV125には前後とも3.5-10がお勧めで、メリットばかりでデメリットは殆ど無い。

完成車では3.5-10の指定は少数派になってきたが、まだタイヤメーカー各社とも供給している。日本製が無くなってもアジアでは当分供給が続くので、供給については心配はいらないようだ。たとえ電動バイクの時代になっても、インチ表示のタイヤが無くなることはないようである

最後に老婆心ながらタイヤ交換の手順を書いて置く。まず交換の前日に後ホイールの固定ナットと車軸の間、そしてシリンダスタッドナットの根元付近に十分5-56を吹いておく。特に後輪ナット付近には繰り返し繰り返し何度も吹いておく。

交換の当日はまずマフラーのハンガーの上下ボルトを緩めるが、上側のボルトだけ緩めた後に残して置く。シリンダースタッドのナットは長いアレンレンチが必 要だ。割と堅く締まっているので、短い両メガネで延長すると外れやすい。純正マフラーはみかけがしょぼいが、内部ではエキパイがとぐろを巻いているなど構 造に工夫があり、オールラウンドではベストだという。お礼の意味でペーパーをかけて、耐熱塗料を塗っておこう。

後輪タイヤをはずすには、後ブレーキの遊び調節ねじを締め込み、左ブレーキレバーを紐で縛ってブレーキを効かせて置く。長い両メガネをかけて足で踏みおろ して緩める。前日に5-56を吹いておけば割と簡単に緩むであろう。ナットが錆びていると250Nm程度の電動インパクトでは緩まないこともある。

ただし、ナットをはずしても、車軸のスプラインとホイールが固着してはずれにくいことが多い。ここでも、タイヤとスプラインの間に数回5-56を吹いておいて、コーヒーでも飲みに行こう。この手のことはあせっても無駄である。

30分ほど待ってタイヤを揺するが取れないことが多い。この場合はタイヤの向こう側を握って手前に引き、中央の車軸を木槌で軽くたたく。この軽く、というのが大事で、力強くたたくとベアリングが痛むかも知れない。素人の最大の弱点は力加減が解らない点である。

車輪を回しては手前に引き、車軸を軽くコンコン叩いては5-56を吹くことで少しずつホイールが浮いてくるはずである。さあ、新しいタイヤをはめよう、と思うところだが、ここでブレーキの整備をして置こう。

ブレーキシューの残り厚みをチェックし、片方のシューを立ててはずす。シューの軸と、ブレーキの軸にグリスを塗りシューを戻す。シューはばねを掛けて片側を立ててはめると簡単にはまる。ただし作業中にグリースをシューにつけないことが大事だ。

ホイールをはめる前に後軸とホイールのスプラインを清掃し薄くグリースをごく薄く塗っておこう。これには議論があろうが、次回交換のときに外れやすくする おまじないである。実際には、スプラインの隙間は絶えず走行のたびに熱膨張収縮を繰り返してブレーキダストを吸引するので、グリースの効果はおまじない程 度にとどまる。

あとはブレーキの遊び調節ナットを締めてブレーキレバーを紐で縛り、後軸のナットを締めこむ。トルクレンチもあるが、今回は両メガネのスパナで締めた。メ ガネレンチの長さは、その中央部を大人が握って締めたときに規定トルクになるようにできている。今回のメガネレンチは20cmのところを手で持つので 60kgの人が体重をかけると120Nmということになる。トルクレンチといえども油分などの具合で締まり具合が変わるので万能というわけではない。

ちなみに乗用車のタイヤのナットもだいたい100Nmである。自動車についてくるホイールレンチは持つところまでが約25cmである。とすれば、体重 40kgの女性が体重をかければ設定トルクとなる。ただし堅く締められていて100Nmでは緩まないこともある。そのときは40kgの女性が足をのせてえ いや、と勢いをつけて踏み下ろせば130Nm程度が出て緩むという寸法だ。

点火プラグも一昔前のB型番(φ=14mm)の締め付けトルクが25-30Nmである。とすればプラグレンチの中心から10cmのところを大の大人が 25-30kgで締めることになる。最近のC型番(φ=10mm)は締め付けトルクが10〜12Nmである。C型番用のプラグレンチはちょうど中心から 5cm付近をやはり25-30kgで締めるようにできている。通常は付属もしくは専用のプラグレンチを使う限り、ネジを舐めてしまわない程度のトルクで締 まるようにできている。プアな車載の工具であってもその寸法にはすべて意味がある。

危険なのはボックスレンチである。ボックスレンチは柄の長さが一定なので、素人は小さなナットを簡単にねじ切ってしまうので結構危険である。プラグにしてもドレンボルトにしても、ボックスレンチで緩めるとしても、締めるのはメガネレンチが無難である。

最後はナットとホイールにペイントで合わせマークを引いておこう。教科書的には50キロ程度走ったあとに再度締めるとあるが、やっている人は少ないと思う。合わせマークをペイントしておくのが無難だ。

マフラーをヘッドに止めるスタッドのナットはアレンレンチが適当に捩れるのでオーバートルクでねじ切ることは無いようである。

このように、タイヤの交換は簡単ではあるものの、それなりに落とし穴があるものである。車軸を舐めたり、シリンダのスタッドを折ると致命的で修理も高くつく。

最初に戻る


棹立ちバイクMT-09の過激臭のナゾ

某月某日、Webmasterは買い物のためにNCを転がしていたところ、全国チェーンのYの店舗の前を通りかかった。

よく見ると”MT-09試乗車あります”、と書いてある。

現在のMT-09は目が一つのマイナー前と異なり、両目とも釣り目のややワイド感を強調したデザインになっている。またリアフェンダーが外車のようにスイ ングアームから生えていて低いところにある。ヤマハは落ち着きを持たせたつもりのようだが、以前より増して車体全体から野獣のような過激臭がただよう。

WebmaserはMT-09に試乗したことがなかった。市場の風評では高出力軽量のため、うっかり開けると棹立ちするとのことで、腕に自身がなwebmasterは避けてきたが、コスパが良いこともあり興味はあった。今回のマイナーで過激臭は押さえる方向にチューンされたと聞いたような気がするので、試乗してみることにした。

またがって見るとこのバイクは小さく軽く感じる。それは重量がNCの211kgに比べ193kgしかないことや、NCが全長2190mmに対し2075mmと115mmも短いことがある。車体のメカが中心に凝縮したようなデザインのために、シートは若干高目だ。

さてまずはレインモードで走り出した。最初に気づいたのはサスのストロークが大きくオフロード車のように乗り心地がいいことだ。これはヤマハがこのバイクをスーパーモタードとみなしているからだろう。見かけによらず長距離のツーリングでも快適だろう。

エンジンの吹き上がりはまるでカミソリのように鋭く、フライホイールが軽いような吹き上がりだ。クラッチミートのためにわずかに開けただけで勢い良く吹き上がる。排気音も扇情的で、4気筒の連続した排気音に似ているもののわずかに濁った感じが入る。バイクが”飛ばしてください、回してください”と言っているようである。

また、おそらく3気筒の偶力によるものだろう、NCなどより振幅が小さい振動があるが、それは回転をあげても等比級数的には強くならず心地良いくらいである。

ある技術者が、エンジンの気筒数は3の倍数が良いと書いていたことを思い出した。4気筒ではピストンが上死点下死点に揃った瞬間はクランク を回転する力が無いが、3気筒だとかならずどれかのピストンがクランクを回す力があ。る慣性力については一次二次とも打ち消しあうので、偶力が引き起こす 味噌擂り振動さえうまく抑えれば理想的なエンジンである、と言うのだ。

世界的に見ても4輪では1L-1.5Lのエンジンでは3気筒が増えている。4ストでの出力と熱効率など全ての条件がが揃うのは1気筒あたりの排気量が400-450ccあたりでスクエアよりわずかにストロークが長目だと言われてきた

これより排気量が小さいと吸排気が速やかでピストンも軽いため高回転で馬力を稼げるが、排気量あたりの燃焼室の面積が大きく熱損失があり燃費が悪くなる。 これより排気量が大きいとピストンが重くなり、吸排気にも時間がかかり高回転まで回らず、また燃焼にムラができてノッキングなどの異常燃焼を起こしやすく なる。多くのメーカーが1気筒あたり400-500ccを単位としたのモジュラー構造のエンジンを作っており、それぞれの排気量でも気筒単位の排気量が同 じことで燃費や排気のマネジメントを共通化できると言う。

わが国の4輪では昔から三気筒エンジンが使われており、世界的には振動や燃費、排気対策などなどのマネジメントは最高レベルにあることは間違いない。そういえばヤマハの4サイクルマルチは3気筒で始まっており、ヤマハにも三気筒に対しそれなりの思い入れがあるのだろう。

スロットルに対するレスポンスと車体の挙動はレインモードであっても十分に過激であるが、ノーマルモードに入れればさらに過激である。もちろん、スロットルバイワイヤーとトラクションコントロールのため、低速コーナリングで開けてもいきなり転倒はしにくいように躾けられてはいるものの、直進時の棹立ちによる自爆を防ぐ手段はスキルと自制心以外ないのである。

軽量コンパクトなため、どんな状態でもすばやく加速できる。試乗の途中で雨が降ってきたこともあって、試乗の間は、高性能と自制心のはざまに置かれて非常に気を使った。

MT-09は軽量コンパクトながら高出力であり、サスのストロークが大きくオンオフを問わない、など、あらゆる状況で発揮できる性能は間違いなく最高レベルであり、これに匹敵するバイクは他に見当たらない。しかもこの高性能にして価格は安い。

十分なスキルがあれば、オンでもオフでもあらゆる条件で間違いなく格上のバイクを食うことが可能である。ヤマハの誇るベストセラーバイクであり、ホンダがCB1000Rを持ち出す理由の一つになったと思う。MT-09には抗い難い魅力があるが、Webmasterはスキルと自制心に自信がないので、当面は遠くから見ているだけにしたいと思っている

MT-09から降りてNCに乗って見ると、MT-09とNCとは180度逆のバイクであることを実感した。NCは低速トルクはあるものの、長めのホイール ベースクとレッドゾーンが低いエンジンのため飛ばす気がなくなるほど徹底的に実用方向に振ったバイクである。ただし、CB1000Rの試乗後にも感じたよ うに、NCは現在の大型のなかでどのような使用状況でも最もリラックスして乗れるバイクであることは間違いない

最初に戻る


ホンダらしからぬホンダCBR1000R試乗のナゾ(デザインは見掛け倒しか?編)

某月某日、Webmasterは都心部を遊弋していた。仕事で立ち寄るビル付近で時間をつぶしてい時に、妙に派手なバイクが目に入ってきた。

”ははーん、これが最近マイナーチェンジしたヤマハのMT-09か?しかしちょっと重そうなのでMT-10なのか?”

しかしよく考えると、この店はウイング店なのでヤマハのバイクを売っているはずが無い。近寄ってよく見ると、基本的にはネイキッドだが、ヘッドライトは丸でクラシック、前サスは倒立でストロークは長め、エンジンはコンパクトにまとめられ、マフラーはやけに派手で、ナンバープレートはスイングアームから生えている。

基本はスーパーモタード+ストリートファイターと近頃流行のスタイルだが、ヘッドライトとタンクはレトロ風である。調べて見ると、新発売のCB1000Rなるバイクらしい。最近R付モデルを乱発してきたホンダにしては、高性能なのにRが一つしかないところを見ると、今後ホンダはRを乱発しない様子である。

個人的には第一仮想敵はMT-09だと思った。MT-09はスーパーモタード風だが、レトロ風にアレンジしたXSR900があり、どちらもベストセラーである。ただしMT-09より重量感というか塊感があるので第二仮想敵はMT-10、そして第三仮想敵は外国製ストリートファイターなのだろう。

いずれにせよ、ベストセラーのMT-09クラスと迫力のMT-10からシェアを奪おうという雰囲気である。価格は税込100万のMT-09や104万のXSR900よりかなり高い163万である。これはMT-10の167万に近いが、わずかに安いのがミソか。

価格的にはMT-09におトク感がある。ちなみに、ホンダではCB1100が122万、CB1300SFが145万、そして先鋭的なCBR1000RRが205万なので、価格的にはかなり高目である。これは暇と金に余裕がある団塊世代リターンライダーを意識しているのでは無いか?

性能は145PS@10500rpm、10.6kgmf@8250rpm、重量212kgとCBR1000RRほどではないが高回転型高出力である。 MT-10は160ps@11500rpm、11.3kgfm@9000rpm、重量210kgと非常に近いところにある。CB1000Rは少し前の CBR1000RRのデチューン版であり、一方MT-10はYZF-R1のデチューン版という訳で、どちらも値段が高目なのは通常のラインと血筋が違うから、ということなのだろう。

MT-09は3気筒の900ccであり、数字的には116PS@10,000rpm、8.9kgfm@8,500rpmと格下感があるものの、重量が193kgしかない。ライダー体重を75kgとすれば、加速感の目安となるトルク加重でCBR1000Rが1.9kg/kgfm、MT09が2.3kg/kgfmといいところにある。MT-09はバーゲンであり、レトロ感たっぷりのCB1100もバーゲンに思える。

机上の空論ながらそんな計算をしていたのだが、あるとき市内をNCで遊弋していたWebmasterの前に、ナンバープレートが低い位置にあり派手なマフラーのバイクが見えた。後ろをついていくとウイング店に入って行った。店では試乗会をやっていたのである。

そこでWebmasterも試乗してみることにした。

近くで見ると、ディテールまで今までのホンダ車には希薄だったデザイン上の細かい配慮が見て取れる。ホンダ車というとカブからCB1300までパーツがなんとなく量産パーツ使いまわし感があるが、これはヤマハ車のようにディテールまでデザイナーの手が入っています感が漂う。後輪サスは片持ちでチェーン側には飾りの円盤がついている。

NC以降のホンダ車は今までの量産車臭に加えてNC的コストダウン臭が加わっていたのと違うようである。好調なヤマハに上から下までシェアを奪われてホンダも考えたのだろう。そういえばCB250RやCB125Rもホンダ車らしからぬ品質感があり、目下ホンダはMTシリーズに対抗する高品質感のラインを構築中のようである。

ただし、ディテールの洗練度という点ではやはりヤマハに一日の長があるようである。

長いデフレのトンネルを抜けて、景気が回復したのにあわせて穏やかなHY戦争が復活しているのである。正確に言えば、ホンダ対トヨターヤマハ連合の2輪から4輪までを含めての全面戦争なのかもしれない。

インパネやブリッジ周りも、品質感があって好ましいが、モードによって点灯する緑や青のランプは目障りである。バイクの世界では緑はニュートラル、青はハイビームを意味するから、試乗中何度もニュートラルやハイビームでは無いと気になった。

走り出すと、車体の取り回しは非常に軽い。車重はNCと同じなのに最大馬力が3倍、トルクが倍近くあるからかも知れない。

発進のためにクラッチをミートさせるとわずかに回転が下がった後に元の回転に戻った。つまりスロットルバイワイヤーが働いており、これによりエンストしにくく、またクラッチ無しで変速可能なクイックシフターが実現されている。

クラッチもスリッパー式で操作が軽くなっていて、この点で後発だったホンダも急速に追いつく様子である。スロットルバイワイヤー、走行モード設定、トラクションコントロール、クイックシフト、スリッパークラッチと完全にMT-09と最新機能を揃えている。

個人的には丁寧なクラッチミートを心がけていて、発進時もわずかにミートさせて回転が下がるのを確認する癖があるので、不自然な挙動は若干気になったがが、おそらく毎日乗っていれば慣れるのだろう。

低速で市内を転がしている間は、どのギアでもスナッチ無しに走ることで4気筒のリッターバイクであると実感させられる。ごく低速のトルクはNCより希薄に感じるのは、スタンダードモードで1,2速で急激な加速を回避する制御があるからだが、その制御が切れる3速より上はローギヤードなことも加わり、のけぞるような加速が長く続くのである。

ホンダ車のなかでは鋭いレスポンスという点では最右翼のバイクであろう。ディテールまでデザインが浸透しているので、スキルがあり、BMWのように品質感を求めるライダーには興味の沸くモデルなのではなかろうか。

というわけで、30分ほどの試乗を終えてNCに戻ると、なんて平和なバイクだとしみじみ感じるのである。NCの量産車臭には、何となく我が家の茶の間に帰ってきたかような安心感がある。高齢化して低速でのお散歩を好むWebmasterには、庶民的なNCが似合っているのかも知れない。

最初に戻る


山本式エアコン用流体素子バージョン2018(PAT PEND.)のナゾ

以前、

 エアコン用流体素子(PAT PEND.)のナゾ

というのを紹介した。ビデオは

山本式エアコン用流体素子(PAT PEND. サイズ80kBytes)

である。

これは、エアコンの前に特殊流体素子を配置し、そのランダムな動きによってエアコンの冷気を撹拌し、部屋の空調の分布を改善するシカケである。

これについては、美人フィルターなどの開発で、特定の美人女優さんに特殊な趣味性を発揮されるなど、高度な画像処理の達人として知られる平林 純氏が、hirax.net::エアコンの風は心地よく吹くか?(2000.08.16)において、Michael Griebel氏らによる非圧縮性流体のNast2Dを駆使して効果を解析しておられる。

個人的には以下のように解釈している。風を遮る壁の裏では風は異なった固有の共鳴周波数を持っている。異なった周波数の波が干渉すると強めあったり弱めあったりして、壁の裏の風の分布が改善する、というのである。

本年は地球温暖化(Webmasterは100%信じるものではないが)のためか、各地で記録的な酷暑となっているが、一方空調のムラにより風邪を引いたり、喉を痛めたりするユーザーも多い。

そこで、山本式エアコン用流体素子バージョン2018をプレゼントしたいと思う。まずビデオである。

大きな画像はこちら、である。

老婆心ながら、今回は流体素子を保持するアプリケーター(針金ハンガーとも言う)の作成方法を解説する。前回はそれぞれのユーザーの自主的な研究を促すために、敢えてアプリケーターの作成方法や調節方法は書かなかったが、酷暑という緊急事態を受けて詳説することとした。

動画を見れば解ると思うが、

1)アプリケーター(針金ハンガーとも言う)を上下に伸ばして菱型にする。その上部は裏に?形状に曲げて、エアコン上面の空気取り入れ口にひっかける。最 近のエアコンは高齢者が掃除しやすいようにグリルが無く上面に空気取り入れ口が開いていることが多い。ハンガーはエアコンと同じ色(白色)のほうが目立た ないだろう。

2)菱型の部分をエアコン前面の形状にあうように曲げる。

3)ハンガーの?の部分を風の中心に一致するように前方に水平に曲げ、なだらかな凹状に形成し、そこに特殊流体素子(焼き損なったCD-RもしくはDVD-Rとも言う)を置く。円弧部分は水平方向に前後対称に緩やかに円弧を描くようにすると、より遊動範囲が大きくなる。風の中心と特殊流体素子の中心が一致するように配置すると、左右だけでなく歳差運動(さいさうんどう、味噌擂り運動)を起こし、上下にも風を分散する効果が出てくる。

4)下の凹の部分は風の向きに平行にすると特殊流体素子の左右の振れ幅が同一となる。一つのエアコンに2個以上設置することができる。アプリケーターの形状を工夫すれば天井埋め込み形でも使えるかも知れない。

5)流体素子の運動を娯楽として楽しみたい向きは、特殊流体素子にスポットライトを当てるといいだろう。部屋中に虹色の反射が遊動してポップである。数個使えば、部屋中にミラーボールのような効果が楽しめるかも知れない。CD-RやDVD-Rやブルーレイや、あるいは印刷された円盤を使えば、色とりどりでより楽しめるかも知れない。

コストもリスクもゼロである。まさか焼き損なったCD-Rが夜の主役に返り咲くとは、CD-Rも予想だにしなかったに違いない。ぜひお試しいただきたい。

最初に戻る


特別企画普及型D級ICアンプで山本式電流帰還!!(実践編)

さて山本式DClass電流帰還アンプの実践編である。このアンプを実用で使うには若干の配慮が必要なので、それについても説明したい。

さて。先行実験では、D級アンプでもアナログ-PWM変調では問題になる位相差は発生しないことがわかった。これに電流帰還回路を加えるにはどうすればいいのだろうか?

先に種明かしをする意味で、下手くそな絵を見て欲しい。

ここではIC自体を一個のオペアンプ風に書いてある。実際にはトップのアンプのゲインはRi,Rfに設定でき、またPWM変調後のゲインは内部の電圧帰還によって5倍に設定されている。

トータルゲイン= Rf/Ri x 5

入力に5.6kオームが直列に入っているので実際のゲインは少し低い。またボリュームの位置によっても帰還量が変化するためにゲインは非線形に変化する。入力は+入力、ー入力とも内部は反転入力になっている。

ここでPAM8610のデータシートを参照いただきたい。現在PAM社はDIODES社の傘下にあるが、なぜか本家のデータシートはゲイン設定が落丁しているという杜撰さである。

TA社などにくらべPAM社のデータシートは記載がかなりいい加減で、多くのグラフ類にも眉に唾をつけて見てほうがいいかもしれない。出力の強力なパルス が回り込みやすいので、単に回路図に見える部品だけでなく、その配置やパターン設計、グランド設計など多くの落とし穴を丁寧に処理しないと、S/Nや歪率 などはデータシートより一桁以上大きくなりえるのである。

データシートによれば、PWM段後は内部でアナログ的に負帰還がかかっているが、デジタル出力からアナログ段に帰還をかけるために内部的にハイカットフィルターが仕込んであると思われる。

これを電流帰還に変造するとすれば、BTLの出力に電流検出抵抗を直列に入れることになる。入力信号と同相な出力に抵抗を入れるとすれば、その抵抗のホット側からは負帰還、コールド側からは正帰還を加えればよいことになる。

抵抗のホット側からはIC内部で電圧帰還がかかっている(ゲインについては後述する)ので、抵抗のコールド側から入力に正帰還だけを加えれば良いことになる。

もし入力と出力の位相が逆相なら、BTLの-出力側に入れればよい。この点BTLは正相、逆相の出力があるので便利とも言える。

ということで、当初は基板の裏面で配線しやすいのでICの出力の抵抗からトップのボリュームの中点(A点)に正帰還をかけてみた。この方法だとボリュームの位置によって正帰還量が大きく変わるので、抵抗5.6kオームの後ろ(B点)に正帰還を加えるべきであろう。

この方法で可変抵抗値が500kオームあたりで電流帰還の効果を確認することができた。このアンプは入力に5.6kオームを加え、ボリューム電圧2.5Vの設定で25.9dB(電圧ゲイン約20倍)のゲインである。

内部の構造を無視して、単に電圧ゲイン20dBの電圧帰還がかかった一個のオペアンプとすれば、電流測定用抵抗の値をスピーカーのインピーダンスの 1/20とし、その抵抗のコールド側からトップに正帰還をかければ、差し引き抵抗で発生する電圧による電流帰還がかかることになる。

しかしながら、トップの反転入力に最適な加算回路を形成することは難しく、またボリュームの位置によって正帰還の分圧が変化するので、安定性からは負帰還に相当するだけの正帰還をかけることがは不可能である。

さらに内部に複雑な構造があり、僅かな位相の回転があるので、大きな正帰還をかけることは難しいし危険でもある。過去の経験で、電圧帰還に電流帰還を数dB付加するだけで十分な電流帰還の効果が出ることはわかっている。

そのために今回は1MΩの可変抵抗で至適な正帰還量を探る作戦をたてたのである。

可変抵抗を小さくしていくと次第に高域が上がり、最後には発振するが、そのポイントはボリュームの位置によって異なる。その状態で可変抵抗値で500k-1Mオームの範囲がアンプの安定性と電流帰還の効果との妥協点に思えた。

しかし、視聴すると、あまりにもノイズっぽく歪もかなりあるようだ。考えて見れば、D級アンプの出力はパルス列であり、それをスピーカーにつなげが音はまともに聞こえる。それはスピーカーが電流をメカニカルに音圧に変換する段階でハイカットするからである。

やはりトップに帰還をかけるにはアナログ信号が必要で、それには出力段に最低限のハイカットフィルターが必要なようである。パルス列をそのままトップに戻せば、信号との間で混変調を来してノイズや歪が多くなるのは当然である。

しかし、もともと組み込み用の安物アンプに立派なインダクタを付けるのは本末転倒のようでもある。

そこでEMIフィルターのフェライトビーズを使うことにした。これが効くのは数100KHz以上だが無いよりはマシである。そして10Ω(金属皮膜2W)と1μFを直列にしたものをスピーカーと並列に入れることにより、聴感上のノイズと歪をほぼ根絶することができた。このEMIフィルターは25年前に購入して部品庫で眠っていたが、遂に出番が巡ってきた幸せ者である。

そもそも、このアンプは本来の組み込み型として使うだけでもノイズ+歪を感じるシロモノで、やはり出力にも最低限フェライトビーズ位は入れないとデータシートの結果は得られないと思う。

種々の対策を加えてやっと実用になった安物D級電流帰還アンプであるが、やはりD級アンプの効率の良さと、電流帰還の改善は聴感上はしっかり感じられる。何よりかなりの音量で聞いていてもICのちいさな放熱器は殆ど発熱しないのだ。

やはりHiFiとして使うには出力段のフィルターを始めとして種々のノイズ対策を加える必要があるが、その分放熱器と電源および電流消費は通常のアンプの数分の1ですむ。放熱板と電源のコストは初期投資で済むが、消費電力はその装置の寿命の間消費されるわけで、その節約分を積分すればかなりの量になるであろう。

ということで、やはり時代はD級アンプなのである。電源アダプターがここ10年でシリーズ型からスイッチング型にとってかわられたように、 今後はオーディオアンプもD級にとってかわられるのだろう。我が家でもシリーズ型アダプターは、ネット回線用アナログ電話モデムについていきたものだけで ある。これは微細なノイズの対策と、アナログ電話機の電流ループのためと思われる。

メリットの大きなD級アンプであるが、しかし他のアナログアンプと同様か、あるはそれ以上に設計や製作には低周波域から高周波域に至るまでの設計製作のノウハウが必要になるのだ。またデータだけでなく聴覚的にアンプの素性を見抜く能力も必要とされるだろう。

電流帰還も種々のノイズ対策があって初めて活かせるシカケである。個人的にはこの安物アンプを常用するよりは、わずかに数百円加えて出力にフィルターが入り出力もさらに大きいユニットを購入されることをおすすめしておきたい。

最初に戻る


テスラはあなたの車庫に収まるか(暴力的加速編)

あるとき、webmasterは某所を遊弋中にきれいなおねえさんに補足された。顔を見るなり”テスラってご存じですか?ご試乗なさいませんか?”

ショールームに連れ込まれ、個人情報を記録され、親切丁寧な説明を受け、いつ試乗されますか?と来た。Webmasterは車は嫌いではないし、テスラにも興味があるが、そこを、彼女はカモ候補として動物的な勘で感じ取ったのだろう。

”テスラのどういう点に興味がありますか?”と彼女が聞くので、webmasterは”車よりイーロン・マスクに興味がある。”と 答えた。イーロン・マスクはテスラの会長兼CEOだが、なんと12才で商業ゲームBlasterを開発して販売し、その後Paypalを創業して億万長者 になった男である。その答えが彼女の好奇心を刺激したのか、質問の嵐と試乗の強いお勧めに根負けして、午後に試乗という約束になった。

今回の試乗車はモデルSの100Dというモデルで、これは大きめのバッテリー100kWHを搭載して航続距離が594 Kmだという。中間モデルながらご自慢は加速性能であり、0-100km/hは4.3秒、最高速は250km/hであると言う。デザイン自体はオペル-インシグニア風の今どきのありがちなもので、特に特徴もないかわりに威圧的でもなく、よき小市民の車風である。

試乗の相棒は車好きそうな女性で、聞けば最近までは外車スポーツカーのディーラーで試乗を担当していた、という。彼女が空いたところで加速性能をみせてくれたが、助手席のWebmasterがビビッた様子がないことに怪訝な様子であった。

普段大型バイクに乗っていると言うと納得したようだったが、実はテスラ100DはWebmasterのNCより1秒は以上早そうである。内燃機関とは加速 の出方が違い、ガスペダルを踏んだ瞬間にガツンと暴力的な加速を始めるのは、テスラの先進的なイメージとは若干の違和感がある。

自動運転のデモもしてくれたが、道路状況が劣悪煩雑な日本ではお勧めできない、と言う。白線が錯綜して一部消えかかっているような交差点では行き先を誤る こともあり、黄色いポール列などは無視するのでぶつかる可能性がある、と言う。自動運転で複雑な交差点を通るときはしっかりステアリングを握る必要がある とのことである。

レクチャー後にさっそくハンドルを握ってみる。その際に垣間見た車体構造やドアヒンジのプレスやロック機構には高級感はあまり無く、内装やカーペットの組み方も米国車よりトヨタ車に似ていて凡庸に見える。

その理由は、テスラの工場はかつてトヨターGM合弁のNUMMIであることと、おそらく技術陣の幾ばくかはNUMMIから引き抜いたからでは無いか。おそらく製造工程にもトヨタ風QCが残っているのだろう。意外なことにステアリングは右だが、これもNUMMIの遺産かもしれない。

それで運転が容易かというと、195cmある車幅が気を使う。同じ車台を使っているレクサスが幅広でもクラウンは180cmに抑えられているように、国内では車幅が180cmを超えたとたんに使い勝手が悪くなる。それ以前に、そもそもあなたの車庫に収まるかどうか一番の問題ではなかろうか。

この車がフェラーリのように目立つデザインなら周囲の車が寄ってこないので問題ないが、凡庸なデザインなので、深く考えないドライバーが近寄ってきて危ないような気がする。個人的にはこういう車は危険色として目立つ赤か黄色に塗ってもらった方が周囲にとっても平和だと思う。

着座位置やステアリングを調節すると、床下に電池があるのに着座位置が低いのは意外であった。薄く並べられてた電池と、それを側方衝突から守る骨格が195cmもの車幅になる理由のようである。

さて、じわっととガスペダルを踏んで運転する分にはプリウスと同様な運転感覚である。しかし、ガバッと踏んで姿勢変化が少ないまま加速する様子はインプレッサなどのAWDに似ているものの、内燃機関のやや間があって吹き上がるのと違い、テスラはいきなりドカンと加速するのである。

個人的には、内燃機関のように若干程度吹け上がりに間をもたせたほうが扱い易いように思った。

インパネには中央に巨大なパネルがあり、表示や操作はAndroid風であるが、一つ違うのはgoogle風のナビが部分的ながら自動運転に対応していることだ。つまり、案内だけでなく実際に目的地まで連れて行って駐車までしてくれる機能を部分的に実装している点である。ただし、現状では複雑な日本の交通事情では危なくて使えない、とのことであった。

残念なことは、乗り心地が期待はずれだったことである。195cmの全幅と全輪ダブルウィッシュボーンの高度なサスのためにロールは小さいが、路面の凹凸に対する車体の挙動が芳しく無いのである。

通常路ではスプリングやダンパーの初動が渋く、かわりにブッシユがユラユラと変動き続ける。ブッシュにはダンパーが働かかないので収まりが悪く、ヤンキーのシャコタン車のような振動が続く。

その理由は、2トンに近い車重に見合う高いバネ定数と堅いダンパーにしたために、微小ストローク域でサスが動かずブッシュだけが動くのである。250km/hに見合うタイヤと大きなブレーキディスクのために車輪が重いことも変なゆれを増幅しているようだ。

対策としては、スプリングを非線形としての定数を下げることで初動の動きを良くして大きな動きはチェックするのが常道であろう。彼女によると、普段ポルシェに乗っているという客も同じことを言ったそうである。

最大の売りの加速性能は、数字上はGT-Rに僅かに及ばないものの、町中でいきなりガスペダルを踏みつければ、最初の100-200mは間違いなくGT-Rを圧倒できる。GT-Rはクラッチや変速機を守るために変速のエンゲージに暇がかかるからだ。

そうこうするうちに、先行車に追いつくか信号停止にあたるので、その後GT-Rが巻き返すまえに勝てるのである。さらに0-100km/hが2秒台のP100Dであれば、町中ではブガッティ・ヴェイロンも圧倒するであろう。

気の弱いパッセンジャーはチビりそうな加速性が売りながら、狭い日本では195cmの車幅のために実用性に欠け、またデザインが凡庸で押し出しにも欠けるというわけで、製品としてのバランスに難がある感じだ。驚異の加速性能以外は魅力が今ひとつ、というのがWebmasterの印象なのであった。

この車はやはり米国で使うのがベストであろう。車道も駐車場も広い米国であれば車幅は問題ならない。

そして、おとなし目のデザインながら、隣に並んだ派手でけたたましい排気音のエキゾティックカーを発進加速で一蹴し、エキゾティックカーのオーナーを深刻なうつ状態に陥れる、ことを痛快と感じるドライバーにうってつけの車である。おとなしい外観と暴力的な加速という、ジキルとハイド的な車なのである

最初に戻る


特別企画普及型D級ICアンプで山本式電流帰還!!(理論編)

先日久しぶりにパーツ店に寄ったら、電流帰還式アンプなるものが売っていた。僭越ながら、電流帰還式アンプと言えば山本式というのが世間の定番ではなかろうか?

調べると原理は山本式電流帰還アンプと同じだが、電流計測用抵抗がアンプとスピーカーのホット側に位置しており、この抵抗のホット側から初段OPアンプに負帰還、抵抗のコールド側から正帰還がかかっていた。この回路だとヘッドホンなどのように3線式で接地が共通のものに使えるメリットがある。

トピックにしなかったが、OPアンプを付加して電流計測抵抗をアンプのホット側に持って来たものも試作したことがある。しかしただでさえノイジーなモノリ シックアンプが付加したOPアンプのためさらにノイジーになり、ヘッドホンアンプとしてはボツにせざるをえなかった。個人的にはヘッドホンは振動板が小さ く高い周波数まで分割振動せずに均一な出力があるので、電流帰還にする必要な乏しいと思っている。

件のアンプはOPアンプとディスクリートTrで組まれているのはノイズ対策だろう。そのアンプの設計者とはコンタクトがあり、山本式電流帰還アンプと彼の電流帰還式アンプのそれぞれの独自性をお互いに確認していている。

しかしながら、ほぐした電線一本(あるいは抵抗一本)しか要さない山本式電流帰還アンプの回路はシンプルで究極的に美しい。まるで小川のせせらぎを心地よく電子が流れる設計なのである

巷ではD級アンプが猛威を振るっている。通販では10W x 2(PAM8610)の完成基板がボリューム、端子類込みで400円で売っていた。組込用として出力のインダクタは省略されているが、それにしてもものすごいコスパだ。さらにPAM8403(3w x 2)で端子類が無いものはボリューム付で200円だという。ただしあまりに安価なのでハンダ付けや不良部品のハズレ品も多いという。中華料理店のFORTUNE COOKIEのようなものか。

D級アンプはパルスのON-OFF動作だけなので電力ロスが少なく、発熱も少ないので放熱板も極小でよい。さらにBTL構成とすれば出力コンデンサーも不 要となる。注文してみると、しばらくして小さな包が届いたが、封を解いたら4cm角のかわいらしい基板がこぼれ出てきた。

さて、これを山本式電流帰還式アンプに変造し俗界から解脱させるることは可能だろうか?これはちょっとしたチャレンジでもあるし、BTLアンプではさらにチャレンジーかも知れない。しかし、数年間脳内妄想で回路を練った結果、ごく少数のパーツで実現できたのである。

まず電流帰還をかけるには、入出力の位相関係を明らかにする必要がある。現用中のTA2020のD級アンプはかなりの手間暇をかけて改造したので壊したくないので、安価なPAM8610を題材とすることにした。それにPAM8610は入力が差動なので改造しやすいと考えたが、実はトップが差動入力である必要はまったく無いのである。それどころか、トップへの入力が出力と同相であろうが無かろうが構わないのである。

実験ではいきなりICを壊さないように電源を9Vと低めとし、入力に正弦波1KHz200mVp-pを加え出力を観察してみた。

画像は40年前の岩通のシンクロss-5100である。棚から出して電源を入れたところ、左右の掃引幅が半分しか出なかった。1分程たってシンクロの後ろからジーと言う音ともに煙がモクモクと出てきたやばい!、あわてて電源オフ!!だがしかし、こいつがお釈迦なら液晶のオシロを買えるチャンス?

カバーを開けてみたが特に焼損した部分が見当たらない。掃除機で綿埃を吸って再度電源を入れた所、何事もなかったかのように通常の表示となった。おそらく綿埃が湿気によるショートが焼き切れて正常な高圧が出るようになったのだろう。これで液晶のオシロを買う口実が無くなってしまった。なぜかトリガーがかからない(スイッチの接触不良か?)ので掃引はフリーランで撮影した。岩通の登録商標的にはシンクロからオシロに成り下がったのだ(年寄りしか解らないと思うが)。

下が入力で200mv/divなので約300mVp-pというところ。上がBTLの+側の出力で2V/divなので約3Vp-pというところ。電圧ゲインは20倍位か。BTLではこれで2W以上出ている勘定である。どうやらPWM変換では問題になるほどの位相の遅れは無い模様で行けそうである。

片チャン(R)は口径8cmのスピーカー、(L)は4オームの金属被膜2Wとした。L側の抵抗も触れないくらい熱くなっていて、このかわいい放熱板を乗せた小さなキャラメルのようなICが6BM8pp x2 以上(年がバレる)の出力を発揮するのはちょっとした驚きである。

出力の波形は非常に妙だが、スピーカーからはちゃんと正弦波の音が出ている。どこか接続に問題があるのか?しかし確かに正弦波の音がするが不思議ではある。

これがインダクタを経る前のD級アンプの出力なのだ。正弦波の上側では出力のパルスの幅が広くなり濃く見えている。このヘンテコな信号がインダクタを経由するか、あるいはスピーカーにつなぐと、パルス列が積分されて正弦波となるのだ。

ところでシンクロの波形が異常に汚い。それはオシロがボケたのではなく、パルスがバラックなセットアップの随所に乗っているからである。 3Vp-pで250KHzのパルスx4個分の放射は強力で、インピーダンスマッチングして立派なアンテナをつなげば北海道まで飛ぶかも知れない。最高のコ スパを誇る安物D級アンプであっても、実用に供するにはある程度のノイズ対策は必要で、そうしないとんとしないと得体のしれない歪やノイズが載る。

老婆心ながらD級アンプの原理を説明しておきたい。D級アンプはデジタルアンプとも言われるが、要するに電圧変化を一定の高さのパルスの幅 (PWM pulse-width modulation ))あるいは密度(PDM pulse-density modulation )に変換して増幅し、最後に積分(ハイカット)するものである。

パルスへの変換は入力をDAコンバーターに入れて演算させてもいいのだが、PWMに関しては適当な三角波と信号をコンパレーター(比較器)に入力することで、簡単にパルスの幅に変換できる。

数式にすると複雑だが絵なら納得しやすい。正弦波と三角波をコンパレーターに入力するが、正弦波が三角波より大きい部分を赤く塗ってある。コンパレーターの出力は三角波より信号が大きい間はHighとなり、小さい間はlowとなることで、パルス列に変換される。三角波の周波数は入力より十分に高い必要があるが、変動さえなければどんな周波数でも可である。

多くのICでは三角波の周波数はAM放送に重ならないように選ばれているが、高調波はAM放送帯に入るのでビートを生じる時は微妙にずらせるようになっていることが多い。

さて、電流帰還変造の詳細は実践編で述べることにして、今回試作(バラックとも言う)した山本式D級電流帰還アンプの性能を示しておきたい。このちっぽけなバラックが超弩級高級アンプを凌駕する驚異の過渡特性を発揮するのである。入力はホワイトノイズである。

上段が通常の電圧帰還アンプの出力の周波数特性だが、当然ながら20-18KHzの範囲でほぼフラットである。しかし1KHz方形波入力に対する出力電圧の波形は立ち上がりが遅く、ピークにリンギングとノイズが乗っていてブレが大きい。ようするに電圧帰還はスピーカーのようなたちが悪い負荷をまともに制御できていないのである。

電流帰還アンプの出力の周波数特性では、スピーカーのfoである120kHzに10dB程度のピークがあり、foでのインピーダンス上昇に マッチして出力電圧が上昇している。foのピーク幅が狭く感じるかもしれないが、ホワイトノイズでのfo周辺のインピーダンス変化は周波数スイープの時よ り狭く見える。これはfoのQoは低く、駆動条件で変動し、またスイープに対してヒステリシスを持って変化するからだ。僅かにハイ上がりに見えるのは高域 のインピーダンス上昇に対応するものだろう。

スピーカーのホット側の電圧波形は立ち上がりが早くピークも安定し、方形波入力に近い波形になっている。バラックなアンプから盛大にパルスが舞っている環境でも出力電圧は実にクリーンである。

これは電流帰還系は電圧帰還系よりインピーダンスが低く外乱ノイズに強いからだろう。また暴れん坊のスピーカーが帰還内に入るので確実に制御されるからである。一方電圧帰還ではスピーカーに流れる電流に関してアンプはまったく制御能力を持たない。

電圧帰還ではスピーカーは勝手に振舞っていて、まるで凧のようである。多くのオーディオマニアは、HVやEVが当たり前に走っている時代に、依然として得体の知れないスピーカーを凧のごとく揚げて音質を云々しているようなものなのである。実に哀れでは無いか。

今回の変造ではアンプに内蔵されている電圧帰還に電流帰還を5dB程度追加しただけだが、確実に電流帰還の効果が現れている。特に、周波数特性の変化以上にクリーンな出力波形が印象的である。口径8cmのスピーカーでも、聴感的には高音がきらびやかで金管楽器が麗しく響き、青空がより高くなったような印象がある。

このように、山本式電流帰還はD級アンプでも鉄壁の性能を発揮するのである。ぜひお試しいただきたい。

さて、次回はどうやって市販D級アンプを山本式電流帰還に変造したか、実際のアプローチや調整法を明らかにする。引き続き、いくつかのD級ICについてどのように変造するかのケーススタディーを示したいと考えている。乞うご期待!!。

最初に戻る


AdobeFlashは死んだのか?(スマホでflashをどう扱うか?編)

Webmasterのスマホも少しずつ更新されているが、最近格安で仕入れたのが巷で非常に評判の悪いDignoEである。DignoEを 高級版のDignoSと比べるとCPU速度がEが1.2GHzでSが1.4GHzと差があるのはともかく、アウトカメラがEが800万画素の手振れ補正付 き、Sが1300万画素の手振れ補正なし、と無理やり差別している(ひょっとして同じモジュールか?)。

問題はSの内部ストレージが16GBなのに比べEは8GBしかない点である。最近のAndroidは肥大化しているので、8GBだとOSと標準的なアプリ群に半分以上食われていて、空きは3GB強しかない。これだと大きなアプリがインストできないだけでなく、OSアップデートにはアプリを一部消さないとできないのは、初心者には致命的だろう。

また、6.0 Marshmallowでありながら、外部SDカードを内部ストレージ化する設定が何故か無効なのも問題である。パソコンからadbで細工して」内部ストレージ化はできるが、素人には荷が重い。しかし2018年1月25日のビルド104.3.2f50から内部ストレージ化が可能になっており、そのための16GBのSDカードがオマケで添付されていた。

しかしこのビルドに到達するには計4回のアップデートが必要で、それには大きなアプリをいくつか消さないとできない

内部ストレージ化していくつかのアプリを移動すれば最低限のメモリーは空くが、1GBを超える巨大ゲームをインストすると早晩不足となる。Android2.2の頃から爪に火を灯してメモリーを節約してきたユーザーには十分使えるが、巨大なゲームをしたい初心者には”使えないスマホ”ではある。

話がかわるが、Webmasterの元には多くのスマホユーザーがトラブルを抱えやってくる。その中で、PCで見ているサイトの機能(動画とか音とか)がスマホで動かないという苦情が多い。これには、chromなら設定を「PC版サイト」に、OperaであればUserAgentを「デスクトップ」とし、サイトに明示的にPC版サイトを表示させることである。

それでも動かない場合は、サイトがAdobeFlashを要求している可能性が高い。GoogleはAndroid4.Xのころからセキュ リティに問題があるとしてFlashではなくHtml5を推奨しており、Youtubeでも変換を急いでいる。しかし、古い動画には依然としてFlash ベースのものが残っており表示されないことがあるし、PC向けのサイトの大半はまだFlashを使っている。

AdobeのサイトにはAndroid用のFlashが見当たらない、ように見える。しかしAndroid用の代物は深い階層に隠されているので、インストすることは可能だ。Flashにはセキュリティーホールがあるので注意が必要だと言うが、既にHtml5にも多数のセキュリティーホールが見つかっているので、ユーザーが増えれば必ずHtml5のセキュリティーホールをついてくる輩が増えるものである。

手順である。

まずAdobe Flash Player ダウンロードへ行く。そこで「別のコンピューターのFlash Playerが必要な場合」をクリックする

次のページで、「ご使用のオペレーティングシステムまたはブラウザーが表示されない場合は、アーカイブされたFlash Playerのバージョンページを参照してください」をクリックする。

そうすると、Android4.0以降用のver.11.1.115.81もしくはandroid2.x,3.x用の11.1.111.73をダウンロードしてインストできる。スマホでUserAgent設定を「PC版サイト」もしくは「デスクトップ」としてもこのページにアクセスできない場合は、PCでダウンロードしてgoogleドライブ等で移動すればいいだろう。

ただし、ver11.1Xでは当然ながら3Dとかのそれ以降のバージョンの機能が無い。また、Flashを容認するかどうかはAndroidの実装とブラウザーの設計者のポリシーに依存するので、複数のブラウザーを試す必要があるだろう。

ということで、Webmaseterの基に困った顔をしてやってきたユーザーの幾ばくかはこの設定で救われた。ただしセキュリティーの不安もあるので、怪しいサイトには近づけないように、セキュリティーソフトを設定しておくのは必須であろう。

最初に戻る


ガスファンヒーター故障のナゾ(フィルターを掃除しましょう)

家人からガスファンヒーターが動かないとのクレームである。

それを聞いた時に、個人的には例のフレームロッドの問題かと思った。シリコン分が炎センサーの表面に石英(SiO2)として沈着し、導電不良から失火と判断されて停止するエラーはファンヒーターではおなじみである。このサイトでも過去、

始動不良な発電機とファンヒーターのナゾ
新春ファンヒーターお手入れのナゾ
修理が難航した石油ファンヒーターのナゾ・その2 (原因究明編)
修理が難航した石油ファンヒーターのナゾ
九九式石油ファンヒーターの傾向と対策
平成10年型石油ファンヒーターのナゾ(季節遅れ編)
石油ファンヒーター大研究その2(メカニズム編)
石油ファンヒーター大研究その1(費用編)

と、たびたび石油ファンヒーターの問題は取り上げている。しかし個人的に一番のお気に入りは

暖房機器のアキレス腱、フレームロッドの風水クリーンアップ!のナゾ(ファンヒーター不良解決の決定版))

である。以前はフレームロッドの清掃は分解して紙やすりで石英析出物を削り取るという作業であったが、毎回ファンヒーターを分解、清掃、組み立てするのは骨が折れる

骨子は、まずファンヒーターの前面パネルをはずし、バーナー表面にある覗き穴の雲母を折らないように注意深く外す。そこでファンヒーターを動作させ、フレームロッドが灼熱したところで停止させ、フレームロッドに注射器や霧吹きで水分をかける、という方法である。

これでフレームロッドやバーナー表面が急冷される時、石英析出物が金属の熱膨張率の差により粉砕され除去されるのである。ヒントとしては、昔から馬力不足対策として水メタノール噴射が使われているエンジンの燃焼室はピカピカになるという情報である。自動車のエンジンでもヘッドのガスケットが腐食して冷却水が入ったシリンダーだけがピカピカになるのも同じ原理だ。

通常のフレームロッド不良では、最初は着火するもののトロ火になると消火するという症状が出る。しかし今回の故障では始動してすぐに「フィルター清掃」ランプが点いて、電磁バルブが動作してガスが出る音も、点火装置のジーという音もしない。つまり、起動シークエンスで異常が見つかり先に行かない様子である。

メイクは2003年のパナ◯ニック製でであり、15年経過していので制御基板の電解コンの抜けなども考えるので、最初は廃棄も考えた。しかしひとつ引っかかる点があった。

というのは、この製品がやってきて初めての春に裏のフィルターを清掃した際に分解てし内部も清掃したが、フィルターが付いているにもかかわらず金属製ラインフローファンにかなりの綿埃が付着していたことを思い出したからである。

これには理由がある。この製品のファンは気流的にはバーナーの下流にあり、熱風を扱うために金属製である。しかし熱風には燃焼により水蒸気が含まれているので、消火後にファンに水蒸気が凝縮して水分となり綿埃を集めるのである。ひょっとして、これが絡んだ故障ではないか?

いずれにせよ、分解もせずに故障原因を明らかにしないままに廃棄するという行動はWebmasterの辞書には無い

分解してみると、この製品は石油ファンヒーターと設計ポリシーが異なり、むしろガスコンロに近い設計であることが解った。おそらくガス製品と石油製品とは事業部が異なるのだろう。

まず、フレームロッドが無い!! つまり燃焼を直に検知する仕掛けは無いのである。複雑な石油ファンヒーターのバーナーに比べるとガスファンヒーターのバーナーは単純な構造なので、点火装置が長く動いて一旦火がつけば、その後不完全燃焼はあり得ないという考えなのだろう。

その代わりガスコンロにある熱電対らしきものがある。熱電対は温度を感知するので、少々表面が汚染しようが簡単に動作不良にならないので、 コンロから給湯器までガス機器では広く使われている。これを一応清掃はしたが大した汚れでは無く、原因としては可能性が低い。熱電対では部屋の酸素濃度が 低下して消火に至らない程度の不完全燃焼は感知しない可能性はある。

良く見るとバーナーの上部に何かある。おそらく温度ヒューズだろう。電脳制御の機器ならノイズなどで制御が暴走することもあるし、あるいはリレー電極が固着することもあるだろうが、そんな稀な状況で温度ヒューズは出火を防ぐ最後の砦であり、<b>これだけに過熱制御を頼るようなヘマな設計を◯ナソニックはしないはずだと思った。

例えば安物のティファールの電気ポット(とそのコピー品)でさえ過熱に対して二個のバイメタルと温度ヒューズの三段構えになっている。石油ファンヒーターでも磁石のキューリー点を利用し自動復帰する温度スイッチが付いている場合が多い。

というわけで、故障の原因は制御基板不良であろうと家族に死亡宣告し、蓋を閉じて廃棄の準備をした。

しかし一日たって、そのまさかの温度ヒューズ切れでは無いか?という疑念が湧いてきた。というのはファンを清掃したときにかなりの綿埃が溜 まっていたことを思い出したからだ。綿埃により風量が低下しバーナーが過熱して、まさかの温度ヒューズが切れたのでは無い?温度ヒューズは過熱しなくても 経年変化による腐食やショックでオープンとなる事はあり得る。

そこで温度ヒューズの導通を確かめると、切れていた。やはりファンの綿埃によるバーナー過熱が原因であろう。温度ヒューズは163度3Wと の印刷があるが、いかにも弱々しく、あるいは経年変化による不良かも知れない。近くのホームセンターに169度の温度ヒューズがあったので交換し、再度 ファンヒーターは作動を始めたのである。

確かに綿埃を集め易い金属ファンには問題があるが、すでに15年を経過した製品なので欠陥とは言えない。しかし過熱に対する砦が温度ヒューズだけという設計はパナソ◯ックとしては意外であり、本来は温度スイッチか熱電対が温度ヒューズが飛ぶ前にエラー感知して停止し、異常が自動的に復帰する設計のほうが親切かも知れない。

しかしパ◯ソニックがそうしなかった理由も解るような気がする。まず、設計陣が慣れているであろうガスコンロの設計では過熱という現象想定に無いので、万が一の場合は温度ヒューズだけで良いと考えた可能性がある。

仮に、過熱を復帰可能な温度センサーで検知し消火しても、しばらく冷却するとユーザーは再度使用してしまうだろう。それを繰り返すうちに不完全燃焼で一酸化炭素中毒のリスクもありえる。

とすれば、いわゆる「バカ避け」として一度で温度ヒューズが飛んでサービスを呼んで貰ったほうが安全、と考えた可能性もある。温度ヒューズの動作不良は稀だし、経年変化による故障モードとしてはオープンになるので、どのみち動作停止してサービスを呼んでもらった方が安全という考え方も成り立つのだ。

このファンヒーターは薄くてコンパクトに設計されている。熱風吹き出しの位置は低いほど室内の温度分布に有利なので、ファンをバーナーの上流の上部に持っ てきてバーナーを下部に置く設計も考えられるが、筐体上部に熱がこもった場合に樹脂製ファンなら溶けてしまうので、金属製ファンが必要になる。

わざわざコストのかかる金属製ファンを使うなら、バーナーの熱風をファンに当ててもいいだろう。そうすれば全てがコンパクトになる。

しかし作動テストでファンが金属製のため結露して綿埃を集める可能性が見つかったので、背面には身分不相応に立派なフィルターをつけた。これで、よほど使用条件が過酷でないかぎり大丈夫であろう。

それでもファンに綿埃が付いて風量低下した場合は、どうせ温度ヒューズが切れる。そうすると不良は自動的に復帰しないが、むしろそうしてサービスを呼ばせたほうが安全ではないか?一度でも過熱したら二度と使えないようにするほうが安全で親切なのだろう。

個人的には、車並に細い燃料制御が行われている石油ファンヒーターに比べると随所に安易な設計が見られるのは情けないが、それなりにメーカーは理由があってこういう設計にしたのだと想像している。

最初に戻る


サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れ2018のナゾ

Webmasterはご機嫌斜めである。

理由は、欠陥シャワー水栓にお付き合いさせられているからだ。今回またしてもシャワーとカランの切り替え栓が不良となり漏れれてきたのである。

過去のスレッドを見ると、

サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れのナゾ
続サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れのナゾ(部品交換編)

1998年に記載があった。当時おそらく関係者からと思われる人間から”記載を控えてくれないか?”、というメールが来た。”すぐにダメになるような水栓はメーカーの改良を促すために敢えて記載は変えない”、と答えた記憶がある。その関係者に、”記載に何か間違いがあるのか?”と返事したところ、”は問題は無い”との返事を貰っている。

さて、普通の水栓のパッキングはコマと呼ばれる部ついてる。コマは回転するハンドルの先にはまっているが独立した部品になっている。その理由はハンドルをひねったときにコマは回転せずに弁座とは擦れないようになっているのである。つまりコマがハンドルの回転を逃がすのだ。古くからある水コマも単純な構造に見えて実はノウハウの結晶なのだ。

Webmasterがこの家に越してきたのは1992年なので、わずか6年少々で水洗のパッキングは不良になった。ちなみに、となりある風呂に水を入れる 水栓は通常は使っていないが(給湯器の自動お湯張りや追い炊きを使うから)、先日漏りだしてパッキングを裏返してまだ使っている。

その水栓が急激に漏り出した理由は、コマが錆びてハンドルと一体となって回転するようになったからだ。そうするとパッキングが弁座と擦れて急速に劣化す る。いずれにせよ、そのパッキングは24年持った。コマは錆びを落として少量の真空グレードのシリコングリースを塗って回転しないように対処した。

一方、この切り替え弁はその後は平均6年半毎で不良となり交換しており、何と今回が4個目である。原因は設計が悪いために先端のパッキングが回転して弁座と擦れ摩耗して漏れるのである。1998年に交換した品は若干の改良はされていたが十分で無かったのである。巷には安いサーモ付きシャワー水栓は売っているのだが、いつメーカーが改良するか見定めるために、敢えて水栓自体は変えていないのである。

普通の水栓のパッキングはコマと呼ばれる部品がある。コマは回転するハンドルの先に独立してついているが、その理由はハンドルをひねったときにコマは回転せずに弁座とは擦れないようになっているのである。つまりコマがハンドルの回転を逃がすのである。古くからある水栓も単純に見えてノウハウの結晶なのだ。

多くの水栓のパッキングが早期に摩耗するとすれば、それはハンドルと一緒に回転しながら弁座に当たるからだ。このため、多くの水栓メーカーはパッキングが回転せずに弁座に当たるように、長年改良したのである。

見ると、この水洗も先端のパッキングを完全に回転しないように改良することは可能に見える。コマに凸部を作り、それがケージと噛み合い回転しないようにすればよいのだ。そうすれば日本中のユーザーは怠惰なメーカーのために無用な水漏れに悩むことは無かっただろう

今回は、出てきた支点の社員に苦情を言ってみた。

”わが家のこの水栓はほぼ6年半毎に交換して今回が4回目である。シャワー水洗は台所と違って一日中何度も捻るわけではないのに、たった6年で摩耗するのは設計に問題があるのでは無いか?"

従業員は答えた。

”水質や使い方もあるから。お宅のは福○市の水道ですか?"

”そうだ。こんなにしょっちゅう交換を要するなら、部品は業販価格で売るべきだ。6年毎にだめになって今回4個目だ。”

”それはだめだ。定価でしか売れない。”

というわけで、仕方なく定価で買ってきた。もちろん、ネットでは若干の値引きをして売っているがあえて従業員に苦情を伝えるためにわざわざ営業所に出向いたのである。

このメーカーが改良もせず済ませているので、次回は自分でパッキングを切って製作したいと思う。ハンダつけで凸部を作ってパッキングが回転しないような細工も考えている。

本社に苦情が届いているかどうか解らないが、おそらく通常のユーザーは業者を呼んでパッキングを交換させるが、度々不良になるので諦めて他の製品に付け替えさせるだろう。業者を呼んで4回パッキングを交換させれば、新しいサーモシャワー水洗に交換するより高くつくからである。

いずれにせよ、個人的にはパッキングがダメになる製品はお勧めできない。確かに1998年の水栓には改良の形跡があったのでメーカーは問題を認識しているのだが、その後改良を怠って放置しているのである。

最初に戻る


いき○りステーキの収益性のナゾ

Webmasterはグルメで無い。それは家訓でグルメ行為が禁じられているからだ。しかし友人には本物のグルメが多い。その一食に数万円をかけるような 複数のグルメが、いき○りステーキにハマっていると言っていた。グルメに疎いwebmasterもこれは異常事態だと感じた。

なんでも、肉は値段からは信じられないほど柔らかく、それを3kg食してゴールドカードを貰えば、毎回黒烏龍茶がタダになるとか、いろいろな特典があるという。

Webmaseterも早速福岡天神の店舗を訪れた。行列が予想されたのでピークをはずし午後3時に行ったのだが、やはり数名の行列ができていた。15分程度待って入店できたが、最初に肉の量を決めるシステムは興味深かった。肉は値段を考えると柔らかくて食べやすい。

以来通うこと数回、数カ所の店をまわり、お正月までにゴールドカードを獲得することができた。課金は先払いと後払いの店があることから、フランチャイズによって考え方が異なるのだろう。

当初、このビジネスには追従者がすぐ現れるであろうと思った。すでに多くのモールに出店しているが、そのモールの主が自社で類似した店舗を出しているところもあるが数は多くない。

それだけでなく、既存の外食チェーンがフランチャイズとして加入していることが解った。自ら新たにチェーンを立ち上げるよりは、ロイヤルティーを払っても早期に参入してノウハウを吸収したほうがベターという考えなのだろうか

会社は驚くべきペースで成長しているようなので、いったいどのくらい儲かるのか考えてみることにした。

まず、い○なりステーキ本部はFC加入資料として、

開業資金(加入、立地調査、設計監理、保証金、内装工事、厨房工事、電磁調理器、ライスロボ、レジ、秤、開業費、教育研修費)
合計      4482万
ロイヤルティー 3%

売上高月  1800万   2400万     3000万(3パターン)
償却前利益 198万(11%) 324万(13.5%)  462万(15.4%)

だと言う。果たしてこの数字は妥当だろうか?webmasterが独自の取材によって裏をとってみよう。

まず店の規模だが、一番込み合う天神店は29席(椅子席8席)、小倉魚町店は38席(椅子席34席)筑紫野店は席数48席(椅子席36席)、光の森店は 43席(椅子席33席)、マリノア店は58席(全席椅子席)であった。住宅地のモールにある店は大型で椅子席が多い。ただし席数があっても従業員の数のた め全てが利用されていないようなので、ここでは1店を35席と想定した。

周囲が何を食しているかを観察したところ、日土祝は肉量り売りが多いことから平均客単価を2400円+TAXと想定した。平日の昼食は定量のワイルドステーキが多いことから平均客単位を1600円+TAXと想定した。

客の平均滞在時間は繁華街の立ち食い席が多い店では25分程度、椅子席の多い郊外店では35分程度であることからラフな推定として平均30分と想定した。

営業時間は通常は11時-23時間であるが、空いている時間もあるので、キャパが満たされる確率を土日祝日は営業時間の66%、平日は50%と推定した。このあたりの推定値には根拠が無いが、あくまでベースとしての推定である。

その前提で月商を推定すると、

(2400円x35席x2回/時x8hrx5日+1600円x35席x2回/時x6hrx25日)=2352万/月

ラフな推定ではあるが、FC本部の資料の月商2400万のケースに近いので、意外や妥当な推定なのだろう。

次に、他の外食チェーンの月商と償却前利益を比較してみる。各FC本部がモデル店舗として提供している数字を拾うと、

モ○バーガー  月商700万、営業利益12%(84万円)ロイヤリティ不明
ウェン○ィーズ 月商1000万、営業利益12%(125万円)ロイヤリティ売上の4%

FC本部の資料によると、○きなりステーキのロイヤルティーは3%であるという。外食産業では通常4%程度と言われているので、ロイヤルティーは低めである反面、月商や利益は3倍近いので、商売としてはかなり旨味があるようだ。

もちろん、立ち上げは当然ながら別途必要で、開業資金として場所にもよるが、モール内店舗の場合は2500万程度、ロードサイド店の場合は5000万前後はかかるであろう。

基本的に事業を立ち上げるとすれば、初期投資を何年で回収できるかが目安となる。アパート経営などの不動産などでは回収に10-15年を要するのが普通である。

業界の一般的な数字として、FCとして営業の全てを全て本部にお任せするとして、商売がうまくいった場合、出資者は開業資金を3−8年で回収できるモデルのようである。不動産に比べると回収は速いが、それは商売がうまくいかないリスクがあるからである。

一方、FC本部の利益としては、立ち上げ費用の一部の他に、毎月ロイヤリティーと店が仕入れる原材料からの利益もある。通常、原材料費は40%-45%であり、その10-15%とロイヤリティーと合わせてFC本部は月商の約10%の利益、というのが相場らしい。

ただし、とある外食産業アドバイザーは、いき○りステーキの材料費率は業界水準よりかなり高いと言っていた。実際、FC本部の資料によれば、材料費は55%に達するという。一方、調理器具や什器類の経費はそこいらのハンバーグ屋とあまり変わらないので、客単価が高いことから高い材料費の影響はかなり薄められているのだろう。

つまり、材料費が高くても、その10%がFC本部の利益とすれば、ロイヤルティーが3%と低くてもFC本部にはやはり10%程度の利益があると考えられる。

少なくとも、複数の既存の外食チェーンがいき○りステーキにFCとしてに加入しているところから、店の利益は通常の外食チェーンより厚いのであろう。やはり、高い客単価と回転がカギなのである。

以上の推定につぐ推定から、いき○りステーキの1店舗(中型店)の年商は3億弱、FC出資者の利潤はその13.5%で、開業資金の回収は3−4年、FC本部の収入は約10%ではないか、という根拠があやしい数字が出来上がった。

ただし、このまま順当に事業が拡大するかどうかは解らない。というのは、他の外食チェーンも指を加えて見ているわけではないからだ。

比較的高価格であっても、十分量の肉を出し、客が回転すれば適度な値段で利潤が出る。客も肉でお腹がいっぱいになれれば若干高くてもリピートしてくる。その際、店で座ってゆっくりでなくてもかまわない、という公式が明らかになったからである。

つまり、ステーキ安売り外食はブルーオーシャンでは無く、レッドオーシャンになったのだ。い○なりステーキの商売の要素を取り入れた同業他社がパイを奪い合うことになる

また、高級ステーキ店は今までA4A5等級のサシが入った黒毛和牛を高く提供してきた。しかし、サシ入りがベストであるとはWebmasterは思わない し、おそらく多くの人はそんな肉を欲していない。適当な品質の肉をうまく焼けば十分おいしく提供できる、ということも公知となったのである。とすれば、高級ステーキ店も目線を下に向けて質より量で攻めてくる可能性もある

というわけで、一つの都道府県に数店舗になった時点で商売の伸びは確実に鈍化するであろう。おそらく1−2年のスパンでそうなると思われる。

しかしながら、そうなったときにはより幅広い店でおいしい肉を安く、たくさん食えるようになっているので、消費者にとって悪い話では無いと思う

最初に戻る


ドリップバッグでアロマの高いコーヒーの作り方のナゾ(失敗編)

今回は、

   □ペーパードリップでアロマの高いコーヒーの作り方のナゾ

の続編である。皆様の中にはこうおっしゃるい方もおられるかも知れない。

「解った解った。ペーパーを十分湯通しすればいいだね。しかしオレはドリッパーをセットするのが面倒くさいので、普段はドリップバックを使っているんだが、その時はどうするんだ?

Webmasterもそのご意見は良く理解できる。巷にはドリップバッグがあふれているし、相当高級なコーヒー豆店でさえ自慢の豆をドリップバッグに詰めたものを売っている。

さて前回の結果は、十分に湯通ししないと、乾いたペーパーが油分と最初に出てくるおいしい部分を吸ってしまうということである。しかしドリップバッグだと、ペーパーだけ湯通しすることができないではないか?

しばし熟考して次のような実験を行ってみた。結果は後述するが、若干予想とは異なる結果になった。

まず湯音は92度とした。外気温が20度なのでコップもお湯で温めておいた。そして、左側にはお湯を満たしてバッグを開封せずにそのまま漬けて、右は通常のようにセットして淹れた。左側ではバッグのペーパー材が最初にお湯に触れるので、コーヒー豆の油分や抽出物がロスしにくいのではないか、というのが当初の目論見であった。

通常、コーヒーバッグの豆はレギュラーコーヒーの豆より品質が落ちる。そこで少しでも油分が多く出るように、我が家に存在するコーヒーバッグのなかで、 「標高4500メートル以上のジャマイカブルーマウンテンエリアの中でも特に厳選されたつぶよりの豆だけをローストした」と称するものを使った。 webmasterはメーカーの説明を100%鵜呑みにするほどナイーブでは無いが、安物のバッグよりは油分は多いようであった。

右側はおおむね1分で抽出が終わったが、左側は漬けたままなので薄いままである。少々揺らしても依然として薄いので4分間放置し、その後5回左右に揺すり5回上下させたところほぼ同じ濃度となったのでバッグを引き上げた。

さて照明にかざしてみて表面に浮いた油分に差があるだろうか?

油分を強調するために画像処理を施してあるが、「うーん、あんまり違わないなあ」

左は揺れ動かしたので模様がついているが、しばらく放置してもペーパー度立派の時のような大差は無い印象だった。匂いをかいでみても大差無い。あるいは予め商用のコーヒーの香料で香りがつけてあるのかも知れない。

原因としては、通常のドリッパー用のペーパーより豆の量あたりのペーパー材の面積が圧倒的に少ないことがある。そして少ない面積で透過させ粉で目詰りしにくいように透過性の高いペーパーが使われているのだろう。

ありていに言えば、今回の実験は失敗ということだ。

一つの収穫は、ティーバッグのような杜撰な淹れ方をしても、時間をかければそれなりにコーヒーは抽出できるという事だ。

我々はすぐ、サイホン、ネルドリップ、ペーパードリップ、フレンチプレスなさまざまな道具を駆使して然るべき儀式をもって淹れるが、コーヒー自体は豆の 質、焙煎方法、そしてお湯の温度と抽出時間でかなりの部分が決まっていて、その他の要素は単なる儀式に過ぎないのかも知れない。

然るべき茶室で儀式に則って淹れた薄茶が、台所でポットの湯で淹れたものとどれほど違うのかはwebmasterは知らない。しかし儀式に凝るのは人類の人類たる所以であり、クリスマスも正月も七五三も冠婚葬祭すべてが儀式を行ってけじめをつける行為が一定の価値を持つのである

あーあー、高いコーヒーバッグを一つ無駄にしてしまったと思いながらすすってみると、左側のコーヒーは甘いのであった。あれ、と思って右側を飲むとやはりコーヒー特有の苦味がある。再度左側をすすると、やはり明らかに甘い

考えるに、やはり豆に触れるお湯の温度と抽出時間の積分値が関係するものと思われる。予め温めていたとは言え、カップの湯温はどんどん低くなり、またお湯はよりゆっくり粉の中に浸透して、結果的に低温で長い抽出となる。

一方、右のカップの豆には常に新しい92度のお湯が注ぎ足されるので、高い温度のために苦味が出てきて、それが豆の中を通る間に一部は吸収されるもののある程度出てきてしまう。もちろん、ある程度の苦味もコーヒーの重要な要素と言えないこともない。

今回のもう一つの収穫は、左のような杜撰な淹れ方でも、時間をかければ甘いコーヒーが出来るということだ。それは煎茶の玉露の淹れ方とも共通するものだろ う。単に甘いコーヒーを飲みたいなら、そもそもドリップなんて儀式は不要なのかも知れない。試しに湯温を95度に上げると、若干の苦味が味わえるようにな る。

缶コーヒーのメーカーでは、お湯に豆を直接投入して抽出し濾過する「ボイル」という手法で大量のコーヒーを作っている。下の動画を見て欲しい。

これでも湯温と抽出時間さえ注意すればそれなりに美味しいコーヒーができる。注ぎ方にいろいろな難しい条件が加わる神経質な円錐形の道具と紙を使うよりはよっぽど安定して抽出できるのだ。

コーヒーには若干の苦味や雑味が必要と考える方は、右のようにきちんと淹れるべきであるが、時間が無い場合はドブ漬けで放置してもそれなりに楽しめるということである

最初に戻る


Webmasterの邪馬台国考のナゾ(その2卑弥呼の墓はどこか祇園山古墳編)

以前、

   □Webmasterの邪馬台国考のナゾ

なるトピックを書いた。その骨子は邪馬台国は北九州(おそらく筑後平野)にあり、東遷し寒冷化という気候変動に苦しむ近畿の倭人国家を侵略し、その後急速に同化して大和朝廷が成立した、という説である。

別に東遷説は珍しいものではなく、小説や漫画では大半がこの説をとっているが、東遷の原因を寒冷化という気候変動に求めた点がユニークで新しいと思っている。

ただしwebmasterのなかでは、伊都国の平原遺跡から出土し「八咫の鏡」との関連が問題になる直径46cmの大型内行花文鏡及び大量の装飾品と邪馬台国の関係が整理できていなかった

平原遺跡は鏡40面と数千点に及ぶ装飾品(そのすべてが国宝指定)から解るように、太陽信仰を司る女王であった可能性が高い。しかも三国志魏志倭人伝にある卑弥呼は「卑彌呼 事鬼道 能惑衆」とあるようにシャーマンでもあった。

このことから膨大な副葬品が出土した平原遺跡が卑弥呼の墓であるとする研究者もいるが、平原遺跡は「卑彌呼以死 大作家 徑百餘歩 徇葬者奴婢百餘人 」の径が百歩(多くの説では約30m)の墓としては明らかに小さすぎる。

というわけで、某月某日、久留米近傍で卑弥呼の墓とする説がある祇園山古墳を訪問した。

古墳は九州道で久留米インターから熊本方面に向かう左カーブを描く坂の途中にある。古墳に行くには久留米インターを降りて車で数分の距離で あり、高速道路からも一瞬古墳とその立て看板を見ることができる(下図)。祇園山古墳はなぜかwikiもなく有名とは言いかねる古墳だが、九州道が作られ るときに各方面からの働きかけで破壊を免れた古墳である。

古墳は方墳で、その一片は約24m、対角線は33m、高さは6mで二重の石積みで囲まれたていて、その下部は円墳となっている(下図参照)、小高い丘の上にあるので巨大では無いもののかなり目立つ古墳である。また周辺から甕棺墓3基、石蓋土壙墓32基、箱式石棺7基、竪穴式石室13基、不明7基などが確認されており、魏志倭人伝の百余人の殉葬という記載とも一致する。

石室が古墳の頂点にあり古墳時代の主流と様式が異なるなど、年代的にも邪馬台国の時期と一致する。北北東から南南西に向いた石室には木槨がなく、魏志倭人 伝にある「其死有棺無槨封土作冢」と一致し、卑弥呼の墓として規模様式ともに矛盾が無い。周辺の甕棺墓から出土した画文帯神獣鏡片には諸説があるが石室か ら出土したものではなく、祇園山古墳が魏志倭人伝で描写された卑弥呼の墓と異なる材料は事実上無いのだ。

ただし、小賢しい議論は全て忘れて、まずご自分で一度古墳の頂点に立って周囲を見渡してみるべきだろう。立地を見ればこの古墳が卑弥呼の墓であってもおかしくないと解るであろう。

見ると、山が一番低い所が太宰府でその先は博多(奴国)がある。中央の一番高い所が背振山であり、その麓には吉野ヶ里遺跡が、その向こうには糸島がある。ここからは筑後平野を西は大牟田付近まで、東は朝倉付近まで見渡すことができ、そして石棺は広大な平野と平行して置かれている

写真(右上)では九州道から見える祇園山古墳を示している。国家事業である高速道路がこの古墳を避けるために曲げられていることが良くわかるだろう。関係者の努力によって旧道路公団にそれだけの配慮をさせるに足る何らかのパワーがこの古墳にある、ということだ。

次に地図を見て欲しい。三角形を繋げて蝶形をしたのが筑後平野である。弥生時代には海が内陸まであったので、南西側の三角形はこれより小さく、まさに左右対称な蝶形をしていただろう。

祇園山古墳は蝶形の付け根の高良山から北西に突出した丘の上にあり、筑後平野のほぼ全てを俯瞰することができる。この地図を見たら、この場所以外にこれほどの眺望をもった場所が無いということがわかる。その立地こそがこの古墳が卑弥呼の墓と考える一番の理由であり、一度ご自分の目で見れば納得が行くのではないか

もしあなたが王なら、墳墓は領地の中心で領地の全てが見える位置を選ぶのでは無いか?また自分の出身地をその眺望の中央に置くのではないか?

さすれば祇園山古墳は、立地からして真に筑後平野の覇者が祀られていたことは間違いないし、時代的には卑弥呼の墓である可能性が高い。石室は古墳の頂点にあり盗掘のために副葬品は失われているが、おそらく平原遺跡に劣らない豪華なものが副葬されていたであろう。

小説家松本清張は卑弥呼とは日向(ひむか)であるとする。伊都国に向かう峠は日向峠であり、卑弥呼は伊都国出身の可能性が高い。例の平原遺跡の石棺と2本の柱は日向峠の方向を向いていた。祇園山古墳周囲から出た1号甕棺は副葬品から卑弥呼に仕えていた巫女のものと考えられているが、その甕棺は伊都国の様式である。

さらに、「復立卑彌呼宗女壹與」とある卑弥呼の後継者の壹與は「ゐ(い)と」と読む説がある。卑弥呼の宗女とあるので壹與も卑弥呼と同じ血筋で伊都国出身だったのだろう

少なくとも卑弥呼が魏に使いを送り、また壹與が晋に使いを送る間に邪馬台国の位置が変化したという記述は無いので、邪馬台国が東遷するとすれば壹與の治世 の後半以降のであろう。その後は空白の150年が続くので日本にも中国にも記録が無いが、好太王碑文によれば4世紀末から5世紀にかけて日本は朝鮮半島で 活発に活動していたことがわかっている。

以上のことから、Webmasterは祇園山古墳こそが卑弥呼の墓であると考える。それは魏志倭人伝の記述と矛盾する点が無く、古墳の頂点からは筑後平野全体を俯瞰でき、伊都国は眺望の中央の方角にある。祇園山古墳にも平原遺跡に匹敵する豪華な副葬品があったはずだが、古墳の頂点に石室が置かれたために盗掘にあった。

そして、伊都国の平原遺跡は壹與の墓と考える。おそらく壹與の治世の後期には邪馬台国は近畿に東遷したと考えるが、老齢となった壹與は北九州に留まり、最後は出身地の伊都国に葬られたとwebmasterは考える。そうすれば、伊都国の平原遺跡が祇園山古墳と同じ方墳なのも説明がつく。

そして墳墓は盗掘を避けたために、出土品すべてが国宝に指定されるほど豪華な副葬品があるにもかかわらず、小ぶりのものとしたのであろう。その作戦は見事成功し、20世紀になるまで5枚もの大型内行花文鏡をはじめとした部大な副葬品が盗掘されずに残ったのであろう。

そして、平原遺跡から出土したひときわ大きい大型内行花文鏡、剣、曲玉と同じ起源のものが三種の神器として近畿に遷り、天皇家に伝わったとすれば、すべてが矛盾無く説明できると考えるのだが、いかがであろうか。

最初に戻る