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子どもたちを真ん中に

  こども病院移転について、最大の問題点は主役であるべき子どもたちが軽視されていることです。 無視されている、と言っても過言ではありません。 当たり前ですが、もっとも大切にしていただきたいのです。 電車に女性専用車両や喫煙車両を作るのであれば、先頭車両や最後尾でいいかもしれません。 しかし、優先席を用意するのであれば、それは階段を上ったところやエスカレータを降りたところにすべきでしょう。 今回の福岡市(行政)の対応はどうでしょうか。 病める子どもたちや必死に介護をしているご両親に対してとても冷たいものだと思います。

  ある政党の見解に、「こども病院が人工島に移転しても、他の医療機関で穴埋めできる」 と記載されています。また、行政は「移転後の西部地区の空洞化解消について協議をする」 と称して平成20年9月に市内2カ所の病院院長と会合を行い、市政だよりに写真まで掲載しました。 しかし、その後1年近く経っても会議は再開できない状態が続いています。 小児医療の現場をまったく理解していない政治家や事務職の方が机の上で考えた打開策(帳尻合わせ?) ですから、現実味はまったくありません。空洞化の問題さえも宙に浮いたままです。 残念なことに、こども病院の人工島移転はこのような方々が中心となって話を進めているのです。

  24時間365日診療を余儀なくされる小児科を希望する医学生は年々減少し、 小児科の中でも大病院に勤務する医師は絶対数が足りません。 県内に4つも医学部がある福岡県ですが、現在のこども病院もこれらの大学出身者でない先生方が 大勢おられます。表向きは「全国各地から小児科医が集まっている」ということになっているようですが、 医師の確保がたいへん不安定な状況の中で診療が続けられているのです。 市内の他の病院では小児科の縮小や閉鎖がこれからも続くと予想されています。
  重症の病気のお子さんや、どのような結末になるのか予想できない状況は、 悪天候の中や目的地が分からないまま飛行を続ける航空機に似ています。 その飛行機のパイロットが2人の場合(市内の多くの小児科)と20人の場合(こども病院)で、 どっちの飛行機が安定していると思いますか。病気の重症度は最初から分かっているわけではありません。 患者さんの容態が落ち着くまでの間、お二人で頑張っている小児科勤務医の先生方のご苦労は計り知れないのです。 疲弊してお辞めになった例は数多あります。 単純に小児科医の人数で移転後の小児医療を計算する事務屋さんや政治家に対し、 私たち小児医療に携わるものは笑止千万という思いを通り越し、憤りさえ感じています。 お子さんが入院や手術を要するような病気になった時、 みなさんが安心して利用できる病院を「身近に」確保しておく必要があります。 そのような多数の小児科医がいて安定した医療機関は市内に3,4カ所(こども病院、大学病院など) に限られ、今まで身近にあった少人数の病院小児科がなくなっていく可能性があるのです。 病院は何よりもアクセスです。将来的には小児医療の集約化が進むのですから、 こども病院の場所は市の中央部でなければなりません。

  開業小児科医のほとんどすべては病院勤務医の経歴を持ちますから、 大病院小児科で勤務している先生方のお気持ちが痛いほど理解できるのです。 私が所属する福岡地区小児科医会(会員は小児科を専門とする開業医約150名)は、 平成20年11月に人工島移転に反対する決議をしました。その後、こども病院移転について、 こども病院や周囲の大病院小児科に勤務するの先生方のご意見をお聞きしているところです。 こども病院の主役は病める子どもたち、そして助演するのは勤務される先生方や一緒に働くスタッフの方々なのです。 それなのに、これまで子どもたちやご両親の話は無視し、 こども病院スタッフの方々や周囲で小児医療に携わる関係者の方々の意見は聞きもしないで、 行政や一部の議員さんたちは建物論議に熱中してきたのです。   彼らの論点で出来た病院は子どもたちの診療を行う場所としては体をなしません。
こども病院移転に直接関わる方々や、さらに広く市民の方々には、 もう一度原点に立ち帰っていただきたいと思います。
「誰のための病院ですか?」
「そこで働く方々の意見を聞きましたか?」
「子どもたちの将来に役立ちますか?」

  今後ともご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

小児科医   高木誠一郎  


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