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編集発行人 コサカが贈る勝手きままな
つれづれ日記です。ハッピーな日もブルーな日も
美味しい珈琲で、一息いれてください。

11月6日 『五体の機械』「珈琲山居」

「アキコです、海が見たくなったとです・・・」



クルマに乗るだけで、ワケもなく
ワクワクしていた期間を経て、
無邪気な感動が薄れつつある昨今。
人間って、よくもわるくも新しいことに
順応する生き物なんですね。
ずっと新鮮なままでいられないのは淋しいけれども、
裏を返すと、最初は無理だろうと思う
どんな新しい事でも、一歩ずつ取り組んでいけば、
そにうちに慣れて普通になるというのは、希望だなあ。


けれど季節の変わり目だからか、
これまでの疲れが、どっさりたまっているのか
顔の広範囲に湿疹ができて治らない。
内臓がくるんとまわって外側に
出てきているのが顔といわれるので、
内側に疲れや毒素がたまっているのだろう。
新居づくりにうかれているのも事実だが、
その一方で消耗しきっている自分も否めない。
そういうわけで、喫茶原稿はまったく
書けていない。
困った。
自分にとって身近で大事な店を中心に15軒ほど残っている。
ダメだなあと思うが、どうしても取りかかれない。



そこで机に座りたくなるようにするためにも、
前々からうっすら考えていた
仕事机の新調を実行することにした。
今の机は、以前住んでいた霊チェルの館の
近所の筑紫女学園の化学室からもらってきたもので
もう10年近く使ってきたが、ここ最近、
さすがにもういいかなという気がしていたのだ。
この引っ越しを機に、いろんなものを買った
3号線沿いのアンティーク店「ホームパーク」に行き、
あらかじめネットで探していた理想のデスクの
写真を見せて相談したところ、倉庫に眠っていた
リペア前のデスクを紹介していただき、一目みて即決。
フランス製のアンティークデスクに、
イギリス製の椅子をあわせて大満足。
当初、北海道や鳥取の民芸家具路線も検討したが、
無理矢理、和風にしている気がしてやめた。



いい気分でクルマを走らせていたら
9月30日、大坊さんを福岡の美美に招いて開催した
日本コーヒー文化学会の小さなセミナー記録をまとめた
報告文を学会の広報誌に掲載したいと連絡があった。
私から大坊さんに話すと、断わられる可能性が
あると思い、その方に直接言ってもらったら、
内容を確認した上でならもちろんと快諾されたらしい。
ヨカッタと思い、大坊さんに軽い気持ちで
電話してみたところ、「あなたから電話があったら、
言ってやろうと思ったんだけど」と前置きし、
文章への修正はちゃんと理由があるわけで
何でもかんでもいやと言ってるわけではない、
今回は自分以外に素晴らしい店主の方々の
生き方までがみえるような質問やご意見が
たくさんあったわけだから、
なぜもっとそういうのを報告書の文章で
書いていないんですかということを含め、
あらためて今回修正した部分について、
理由を説明された。
私が安易な気持ちで入れていた美辞麗句、
たとえば「レジェンド」とか「美しい点滴」とか、
そういう持ち上げるようなことを書かれるのが
自分はすごくいやなんですよ、わかるでしょうと、
久々に本気の意見をぶつけられ、肝が冷えた。
安易な褒め言葉がいやなのは私もわかるし、
自分がそうされるのもいやだろうし、 別に
報告書にそんなフレーズを書く必要はなかったのに
つい深く考えず便利な褒め言葉として
採用してしまっていたのだ。



大坊さんが、さらに語気を強める。
「『珈琲屋』で身内のことを誉めるような文章を
書かれたのも、それと同じ理由でいやだったんですよ、
だって一応、著者だから。それを人に読めだなんて
言えませんよ」とのことだが、そこは納得がいかない。
あれは私の署名原稿だし、本気で思ったことしか
書いていないと断言できるので。
でも今回の報告書の美辞麗句は、まったく余計であった。
本気でどうしても書きたい文句ではなく、
適当に手垢のついた表現を使っただけ。
その甘えを大坊さんにバッサリやられてしまった。
最後は笑って電話を切ったが、うー、
もやもやする。
海に向かってクルマを走らせながら
気持ちを整理したところ、
「報告書だから、ま、これくらいでいいか」と
あまり負担のない範囲で書いたことと、
媒体によって力を調整していたという
自身の行いに対してのもやもやだと気がついた。


大坊さんも、私が尊敬する珈琲屋さんも、
自身の仕事において、そんなことはしていない。
一杯一杯、同じ熱量で珈琲を作っている。
全般において、そうした気概で取り組んでいる
ことを知っているだけに、自分ときたら・・・。
ちょうど昨日、来福した鹿児島「パラゴン」の
須納瀬マスターと福岡の「花坂」で珈琲を飲み、
そうしたことについて話したばかりだった。
もうこれ以上はできないという限界まで
毎日の仕事をやりきる、そうしていれば
自分も安らかでいられるんですと、
須納瀬さんは温和な笑みをうかべていた。
3年前くらいに福岡に来た時とまったく同じ服を着て。



10月1日に完成したFUJI ROYAL(フジローヤル)
初のコンセプトブック『五体の機械』をさっそく
注文してくださり、全部読んで、
さらに2册追加で頼んでいただいたという。
ありがたい。
夜は、蕎麦屋で乾杯をした。
「あの本は『九州喫茶散歩』と同じものを感じましたよ。
まさに小坂さんが五体をつかって、
自分の体に傷をつけながら書いたんだなと思いました。
あの本は、あなたにしか作れない本ですね」と
言ってもらい、一瞬、泣きそうになった。
泣きませんでしたが。



FUJI ROYAL 『五体の機械』 A4版112ページ 和英
日本の鉄の歴史に始まり、職人によるものづくりの現場、
機械ができる工程、その機械が使われている
珈琲店の紹介、据え付け紀行マンガ、
創業の歴史などを一冊にまとめました。
「美美」、大坊さんと「うず」古屋さんの対談、
「二三味珈琲」さん、「ランブル」故・関口さんの
貴重な生前ショットなどもおさめられています。
日本文化を見直す気運の令和の時代に
ぜひ読んでいただきたい一冊です。



完成までにいろんなことがあったと話すと、
「そんなことがあったら疲れますよ。
疲れてて当然です。
あなたは、人間にも店にも入り込み過ぎる
ところがあって、そこがいいところでもあるし、
逆に悪いところでもあるんだけど。
人の性格ちゅうのは、表裏一体やから」
と、名言を連発するマスター。
ついこれから始める新しい仕事の不安をもらすと、
「小坂さん、あなたは時間をかけないと
できない人なんですよ。
『九州喫茶散歩』だって『五体の機械』だって、
そうして作り上げていったんでしょう」と
明るく言われて、ハッとした。
そうだ、そうだ。
動かないと実感がわかないし、
伝えたいことも見えてこない。
現場だよな、とにかく。
その場に行き、時間を過ごす、そうやって
自分はこれまで踏み出してきたじゃないか。
「時間をかけるちゅうことが大事なんです。
時間軸でものをみて考えることが」
FUJI ROYAL『五体の機械』(5000円+税)に
ついては、また後日お伝えしようと思うが、
ご興味のある方は富士珈機さんにお問い合わせください。
デザイン、写真、翻訳、書、マンガなど
信頼する人々と一緒につくりあげた一冊です。





大坊さんにしても、人が大切にしているところを
なぜもっと注意深く汲み取れないのか。
安易に誰かを持ち上げる事よりも
もっともっと大切なことがあるし、
伝えなければ ならないことがあるんじゃないですか?
そこに気づきなさいと言われのだと思う。
でも、同時にちくしょーという気もわいてきて
クルマのなかで叫んで解消した。
これからは街を歩きまわるんじゃなくて、
運転しながら自問自答することになりそうだ。
クルマが来て、遠方の神社に出かける楽しみが増えた。
駐車場も無料だし、空気がいいし、目的にもなる。
やっぱり、何かしら目的地は必要で、
そのひとつが全国(!)の珈琲店となるだろう。



宇美八幡宮のご神木
神社の看板に書いてあった。
昭和49年生まれは、八方塞がりの厄年だと、今年。
引っ越しとか、本来、しちゃいかんらしい。
気づかずやってのけた私、やっぱやるな!


最後に新しいお店のお知らせを。
京都の居山ご夫妻が念願のお店を開かれます!
おめでとうございます。
大徳寺東側「新大宮商店街」一画にて、
「皆様が心穏やかなひとときを過ごせる
“市中の山居”のような空間でありたい」と
熱意を燃やしておられます。

自家焙煎珈琲店 珈琲山居(さんきょ)
2019年11月27日(水)開店
8:30〜18:30 休み 毎週火・水曜日
京都市北区紫野上門前町107

※プレオープン日 11/16、11/17 
8:30〜18:00  ※開店ブログもされています!

この時期、「パラゴン」のマスター親子とともに、
栃木の「カフェ・ド・フルカワ」さんと
ココ・ワイナリーを訪ねることになっているので、
帰りに寄れたら寄ってみよう。
それではまた。


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                   (編集発行人 コサカ)



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