山本の主張

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2021年4月1日 コロナ抗原検査考

小生が昨年3月より言い続けてきた、PCR検査の拡充について、当初感染関係者(いわゆる感染村)ほど否定的意見が多く、感染関係部外者の当方としては、一体彼らはどういう妄想に支配されてそのような発言をしているのかと本当に不思議だった。本来検査拡充の方向に進めねばならない立場の方々が、逆に軽症者へのPCR検査を推奨しないなどと学会長声明まで出して反対し(この声明は今はこっそり消されている。卑怯なことだ)、当初、小生と同様にPCR検査の拡充を主張したのは、山中、本庶のノーベルコンビやDrG徳田など感染村部外者だった。大分県では、小生が4月始めに民放のニュース番組に登場(広瀬知事も登場していたので、当該県関係者は必見だったと思う)して、保健所による事前判定の問題点と検査拡充を主張したところ、PCR検査は、医師が必要とする場合は、保健所の要件判定なしに改められた。大分県が全国的に見てもコロナ感染者が少なく抑えられているのは、昨年の早い段階で、検査抑制が外されたことが影響しているのではないかと思う。ここにきてようやくPCR検査の我が国での後進国並の遅れが各所より指摘され、無症状保有者に対するPCR検査の拡充が議論されるようになってきた。しかし、私から見ると、PCR検査の拡大、拡充は正直手間と時間、費用がかかりすぎると思う。すなわちコスパが悪い。むしろ抗原キットによる簡易検査を充実することがPCR後進国(!)たる我が国には適していると考える。先日、大分県は高齢者施設に抗原検査キットを配るという政策を打ち出した。大賛成である。世の中には現場の実態を知らず抗原検査は感度が鈍いからする意味がないと、偉そうに吹聴するTV文化人がいる。感度70%なら30%も見落としがあるからあまり役に立たないじゃないかというわけである。しかし我々現場の実感からいうと、抗原検査、特にデンカ製の感度は想像以上に高い。これまで当院では昨年10月からの同検査採用以来の発熱外来患者(3/31で271名)で抗原検査陽性が出たのは4名に過ぎないが、これらは全例PCR行政検査陽性であった。逆に抗原検査陰性であるが、肺炎などがあり念のため行政PCR検査にまわしたのが同期間内に25例あったが、これは全例PCR陰性だった。また、当院抗原検査で陰性判定したのちに陽性になったという連絡はゼロである。さらに、これまでデンカ製のコロナ抗原検査では、判定に迷うような疑陽性を出したことがない(残念ながら他社製では多少そのようなことがあった)。インフルエンザの簡易検査は結構高率に微妙にうっすら線が出るような疑陽性が多くて、判定の悩みであった。しかし少なくともデンカの新型コロナのキットではそのようなものはこれまで皆無だ。陽性4名中3名はくっきり赤線が出て、1例ではやや薄いが赤い線が認められた。すなわち我が社では、デンカの抗原検査キットは、感度100%、特異度100%の優れものなのである。巷で語られているような感度や特異度が低いという実感はない。むしろ抗原検査としては物凄く信頼性が高いと感じている。100歩譲って感度70%であったとしても、ある施設で2人の感染者がいたら感染が判明するレベルなのであって、従って個々には感度70%であっても、複数人を行うことで、その施設全体として陽性者の存在が把握できるのだ。無症状者全数検査を行うことの意義はここにある。個々人にはたとえ検査感度が70%であっても、決して30%の施設未検出が生じるのではないのだ。全数調査したら、ほぼ完全にその施設としての感染の有無は把握できる。今回のコロナのパンデミックに際し、感度と特異度の議論が常に間違って議論されてきた。そして間違った議論をしている方ほど威圧的で声が大きいという問題があった。私は以前のコラムで、GOTOをしてもよいが、出発前に抗原検査陰性を条件にすべしと主張した。抗原検査のよさは、結果判明までが15分と短時間で、しかも費用も安い。最近では民間PCR検査も2000円程度になっているが、やはり数日の時間がかかる。抗原検査を拡充して、陰性であれば営業可能、飲食可能、GOTO可能とすれば経済も維持される。こういう積極的な検査体制こそ現時点の日本に求められるのではないかと思う。なお、残念なことに抗原検査の拡充においてネックとなっているのが鼻咽頭ぬぐい液が必要とされていることである。PCR検査も当初そうだったが、唾液でのウイルス量が多いことが判明し、唾液検査でよいことになった。現状では、鼻咽頭の抗原検査で薄く陽性に出た患者に、唾液でも検査を行ってみたが、残念ながらそれは陰性であった。おそらく唾液はウイルス量が多いが濃度が低いことが、PCRには有利で、抗原検査には不利なのだろう。検査の限界を正しく知りながら活用してゆきたい。

2021年4月1日修正。元のテキスト(3月15日版)にはデンカ製抗原検査以前の検査数が含まれていました。同抗原検査の評価には不適であるので、同抗原検査採用以後の実数表記としました。