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今日の必ずトクする一言
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●風水別館 Annex version 2021

NC700Sの5回目の鑑札更新のナゾ(事前チェックが綿密編)
流行のブルーツース電蓄を作ってみるのナゾ
ガス吸収式冷蔵庫はコンプレッサ式より電気を食うのかのナゾ
ショパンコンクール2020のプレリミナリー演奏のナゾ(日本人の入賞者を占う編)
ショパンコンクール2020の傾向と対策のナゾ
セイコーコンスタントフォーストゥールビヨンのナゾ

DellPP10S(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
HP2230s(WindowsVixta Core2duo)のLubuntuによるによる再生のナゾ
VAIO VGN-AS34B(CeleronM1.5GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
DynabookSSM36(CeleronM1.73GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
Versapro VJ13m(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

Gateway LT2000(AtomN280-1.66 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
Thinkpad T23(PenV-1GHz-512KB-HDD20GB)のLubuntuによる再生のナゾ
古いXPやVISTAマシンで最新のYoutubeや動画配信を見る方法のナゾ
64bit版Windows10の呪い(鈍い)のナゾ
火が着かないガスコンロのナゾ

キャンピングカーのリアサス異音との戦いのナゾ
格安ルーター楽天モバイルのナゾ(ユーザーを選ぶ編)
サーモ付き風呂シャワー切換弁止水不良修理2021版のナゾ
COVID-19のワクチンはどの程度効くのかのナゾ(イスラエルのデータの矛盾)
動作しなくなったソーラーウォッチ復活のナゾ

目立たないエアコンプレッサーレストアのナゾ(リベンジ編)
ファンヒーターのフレームロッド風水クリーンアップ!のナゾ(着火不良・立ち消え根絶2021年版)
VENDEE GLOBE2020は誰が優勝するのかのナゾ
吸収式冷蔵庫と水を飲む平和鳥の関係のナゾ
VENDEE GLOBE2020の行方のナゾ


NC700Sの5回目の鑑札更新のナゾ(事前チェックが綿密編)

あっという間にNC700Sの鑑札更新も5回目である。NCの主な用途は近郊の温泉と遺跡めぐりである。NCを使う理由は、駐車スペースを食わないことと、渋滞に強いこと、トランクスペースがあること、またアドレスV125に迫る燃費(リッター30km以上)等だが、長距離でも比較的に疲労が少ないこともある。

しかし今年の夏期は異常に雨の日が多かった。また市町村立の温泉は非常事態宣言では閉鎖されている場合が多かった。もう一つの内なる敵はキャンピングカーで、やはり長距離になるとどこでも休憩できる強みで、NCの出番がかなり奪われてしまった。

ということで、走行距離はお恥ずかしいことに、2年間でたったの800kmと悲惨な結果である。せっかく昨年4月にタイヤも新調し、オイル、クーラント、ブレーキフルードなどのはこの間に交換したのに、である。

今回の車検では大チョンボをしでかした。8時30分前にラインにバイクを並べて陸運協会に行くと、自賠責証書がコピーであることが発覚したのだ。基本車検証と自賠責等の原本は実車に装備することになっているが、大破したり焼失したりすると証書が無くなってしまう。そのためwebmasterはコピーを家に保存しているが、手違いで実車に自賠責のコピーが載っていたのだ。

そこで原本を取りに帰ることにした。幸い都市高速での往復はバイクのため渋滞の影響もなく、ロスタイムは50分ほどで済んだ。NCのエンジンは高速でも振動が少なく長いホイールベースのせいもあって快適である。Webmasterはガソリンに常時1%程度のPEAを混ぜているので、かわいそうなNCも高速での往復でエンジンと触媒のカーボンが少しはクリアされたことだろう。また以前期限切れで足止めを食ったETCの動作も確認できた。

再度ラインにならぶが、今回は、ライン前のチェックが以前より時間をかけて非常に綿密に行われている。なんと、以前は奥にあった騒音計がライン前に置いてあった。おそらく、マフラー騒音対策が甘かったという判断なのか、騒音バイクは最初からラインに入れないという方針になったようだ。

しかし、これほど綿密な車検があるのに、街には明らかに車検に通りそうもない爆音を出す大型バイク(特にハーレー)が溢れているのが不思議だ。おそらく、ショップが車検の間だけ純正もしくはJMCA対応品に付け替えていると思われる。

事前チェックはライト類やホーンのチェック、ハンドルの高さ、車の長さ等、ハンドルロック、車体番号、原動機番号などである。WebmasterのNCは、大型フロントスクリーン、ナックルカバー、バンパー、リアトランク、自家製スライダー以外はオール純正なので、検査官の印象も”楽勝”という感じ。

ラインは前回同様で、最初にメーター計測が前後輪どちらか指定する。前ブレーキ、前進して後ブレーキと速度計チェック、さらに前進してライトチェックである。ライト時は若干前輪に体重をかけて少し回転数を上げるのがコツのようである。そして排気ガスチェックだが、殆ど純正でヘッドライトのバルブもあえてLED等に交換していない我が家のNCは毎回一発合格である。

NCはコストダウンと燃費に特化したバイクで、その後のホンダ車の設計に大きく影響した。エンジンはSOHC、スロットルボディーが一個でインテークはその後左右に別れる形になっていて、まるでホンダ創世記のシングルキャブ2気筒車かのようである。水冷ポンプはヘッドにあり冷却回路が単純である。レッドゾーンは8000回転+αと低く、トルク重視で馬力も少ない。

モダンな外観ながら、安価にハーレーの鼓動感も演出しつつ、日常使いにも便利で燃費も良い新世代の大型バイク、という位置づけである。従って「高性能なバイクを所有する喜び」からは距離を置いた製品である。

しかし、NCは長期間維持する立場から見れば、昔の商用の2気筒バイクに近い設計で、壊れやすい高機能の部分が少ないのも事実である。

今回の費用は、車検自体は1300+400=1700円である。時限立法なのに未だに続いている重量税3800円は実に腹立たしいが、自賠責は、前回までの250cc超11520円から9270円と約20%も安くなっている。125cc超250cc未満は9770円とこれより高く、また125cc以下の原付は8850円である。自賠責は事故率から厳密に計算されているので、おそらく比較的若いライダーが多い250ccクラスの事故率が高いのであろう。合計は1700+3800+9270=14770円+高速代往復というところ。

本来なら、車検のあと温泉に行くつもりであったが、大チョンボで疲れたため、近場の志賀島一周と、中西食堂のサザエ丼コースにした。直進性が高く、低い重心のため安定感がある(曲がりにくいということでもあるが)NCのツーリングは快適である。自賠責が2250円安くなったことで、ちょうどサザエ丼の800円とガソリン満タン10リッター1570円の代金が相殺された勘定である。

今後も消耗品を早めに交換し、サビ対策に留意することで、あと10年くらいは維持できそうである。まあ10年経てば体力も低下しているであろうし、大型を諦めても良い年齢になっていることだろう。

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流行のブルーツース電蓄を作ってみるのナゾ

現在Webmasterは長期在庫品の断捨離中である。そのなかで発掘されたのが、中華製カーオーディオで2年ほど前にアマゾンで\1500で入手したものだ。もうひとつ、小型シスコンのスピーカー(LS-SL3MD-N)で、10.5cmのウーハーとメタルドームの2wayで箱は12mm厚の堅牢できれいな仕上がりのものがブックオフで2個\500だった。

スピーカーが激安なのはエッジが硬化して殆どストロークしない状態だったからだろう。調べると、エッジはケンウッドが誇るハイブリッド式とかで、おそらくゴムを浸透したクロス製のようだが、塗布されたダンプ剤が硬化しているようだ。

ネットでも知られているように、硬化したダンプ剤はブレーキフルード(ジエチレングリコール)に溶解するので、塗布してはティッシュで吸い取ることを繰り返すとかなり柔らかくなった。最後にミネラルオイルを数回塗布浸透させることで、エッジはほぼ適切な硬さになった。ユニットはかなりの入力に耐えるようで、おそらく外国人はこれでガンガン鳴らすのであろう。

以前に、あまりの安さにつられてダイソーのブルーツーススピーカー500円をサンプルした。ペアリングは簡単でモノラルながら音はまずまずの上になんと充電式ということで、いったい中国でいくらで作っているかナゾである。

中華式カーオーディオも\1500にしてはびっくりもので、筐体は小さいものの後面は放熱を兼ねた立派なアルミダイキャストである。スピーカーをつなぎ、電源は手持ちのアダプターがささるようなメスコネクターをつけて動作させてみた。

同様にペアリングは簡単でさっそく音が出てきた。機能は国内仕様のFM、AMラジオにSDカードとUSBメモリーの再生+ブルーツースで、これが新世代のカーステレオの底辺なのだろう。アンテナ端子の穴に太い電線を突っ込んでチューニングすると、なかなかいい音がしてきた。なおオートチューニングがあり自動的に選局がボタンに設定される。

出力は60Wx4とあるが、電圧13.6Vとしても4ΩスピーカーだとMOSのロスを考えても30Wx4=合計120W位しか出ないはずで、それなら電源ヒューズが10Aなのも話があう。2Ωのスピーカーならもっと出るかも知れないが、ヒューズが飛ぶかIC内部の温度あるいは電流リミッターが働くであろう。アンプはD級では無く一般的なAB級のようだが、そのうちみんなD級になると思われる。

いずれにせよ、今どきは半導体の進歩のおかげで出力が不足することはないし、こんな機械でも十分近所迷惑になるほどの音量はある。

こしゃくにもリモコンがついており、全ての機能をコントロールできる。筐体にはマイクもあり、スマホと接続すれば会話もできる様子である。アルミ筐の120Wレシーバーでリモコン付き送料込み\1500とは、いったい中国ではこれをいくらで作っているのだろうか。

Webmasterの個室では、BOSE100J+DENONのスーパーウーハーにパソコン2台とテレビの音声が入るようになっている。ミキサーは無く、全て出力に20kΩの抵抗をシリーズに入れたものをパラにつないで、TA2020のD級アンプでドライブしている。

これだと抵抗によるロスで音量が不足するので、アンプの初段のNFB抵抗を細工してゲインを5倍にしてある。音量はそれぞれの機器で概ねいいところに合わせてあるが、パラなのでどれかの入力をはずすと音量が変わったりするが、実用上これより便利なものは無いと思う。これについても近日中に紹介したいと思う。

さて、スピーカー2個を両面テープで張り合わせ、それに中華カーオーディオを貼り、筐体には木目壁紙を貼り付け、すべての重心位置で荷物ハーネスで縛って手持ちで持ち運べるようにした。重量は流石に約6KGあるが、一個口に固めてしまえばハンドリングは容易だ。

かなりの出力があるので会議等での簡易PAにも十分使えると思う。今どきなら特にマイクやアンプは必要ない。例えば、一台のスマホにこれをBT接続しておき、そのスマホにLINE等で別のスマホから電話を掛ければ拡声器となる。パーティートークなら、複数のスマホからも拡声することも可能だろう。

音質はカーオーディオ用ICのものだが、バス、ミッド、ハイのトーンコントロール、バス強調オンオフ、イコライザーが3段階、あとはラジオの感度兼モノステレオ切り替え等々で、音質はそこらのラジカセよりは相当良い。ウーハーもバスブーストをかけてニアフィールドなら50Hzあたりの重低音も聞こえる。本当にシスコン滅亡期のジェネラルオーディオのレベルが上がったものである。

ニュースによると、コロナによる家籠もりの影響で、思わぬものが売れているという。ということで、スマホ時代にもこういう持ち運び可能な多機能ブルツース電蓄が一台あると便利かも、と思うがいかがであろうか。

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ガス吸収式冷蔵庫はコンプレッサ式より電気を食うのかのナゾ

Webmasterの部屋には、

吸収式冷蔵庫と水を飲む平和鳥の関係のナゾ

で書いた45Lのガス吸収式冷蔵庫があり、現在は酒類やおつまみを冷蔵している。これは不動品を安価で落札できたが、送料にその倍かかった。

制御基盤の故障で、コネクタ品質が劣悪だったので、修理せずに手持ちの機械式サーモスタットに付け替えて修理し、現在は庫内は約4度に保たれている。消費電力は80W弱である。

キャンピングカーには同じDometic社(当時はElectrax )の45Lの吸収式冷蔵庫があり能力は約80Wと部屋に置いているものと同じである。ただし冷却を加速するために澤藤電機のスイングコンプレッサーによるアシスト機能がついている。

3WAY(ガス、12V、AC100V)にDC12Vコンプレッサーの4wayだが、電熱とコンプレッサーにはサーモスタットがついているものの、ガスは間欠動作ができないので強弱3段階の調節しかない。なおバッテリー上がりを防止のため、DC12Vはエンジン稼働中だけ動作するようになっている。円筒形のコンプレッサーの消費電力は40Wと小さいが実装が下手なようで作動音と振動は結構気になる。

さてガス吸収式はコンプレッサー式より効率が劣ると言われている。下図は米国版Doeticホームページのミニバーの内容量が35Lと同じモデルの比較である。

容量が2割ほど小さく電力も60-70Wと少し小さい。数字に開きがあるのは抵抗の誤差のせいか。Dometicのカタログはいい加減で、電圧と消費電力をかけた数字と表記のワット数があわなかったり誤植もびたびである。日本人と違ってあまり細かいことは気にしないのだろう。

年間電力使用量は吸収式が210kwh、コンプレッサー式が49KWと吸収式の方が4倍電気を食うようである。中央値65wで計算すると、1日の正味動作は吸収式は約9時間、コンプレッサー式は2.8時間の勘定だ。なドアが二重ガラスだと4-5割余計に電気を食うようである。重量はコンプレッサー式が2-3kg重い。

吸収式は寝起きする居室に置いているが、これによって暑いとか冷房の効きが悪いとかを自覚することはない。70-80Wはノートパソコンの電力とほぼ同等なのでたいした熱負荷では無いが、果たして家庭で電気を食う吸収式冷蔵庫を使うメリットはあるのだろうか?

ホテル用が依然として発売されているのは、狭い寝室に置いて無音(0dB)無振動なのがメリットなのであろう。コンプレッサー式の騒音は33dB(A)と記されているが、無響室で測っているので実際はこれよりうるさく感じるのが普通だ。

ちなみに、大手ハイアールの40L冷蔵庫は定格消費49W、年間消費120kwh、騒音25dB JIS C960とさらに静かだが、JIS規格では無響室で距離1mのA特性で測ることになっている。

消費電力はJISC9801-3規格で計測するが、これには霜取り装置や指定補助装置の動作や二種類周囲温度の規定、さらにサーカムベンションの有無判断など非常に指示が細かい。

これは各家電メーカーはカタログ電力消費の数字を良くするため、ありとあらゆるズル(サーカムベンション)をやってきてはバレてJIS規格が改められた歴史があるからだ。実測データとカタログ数値が異なるというクレームが消費者センターに度々あり、調べたところJIS測定条件を察知したマイコンが霜取りやドアヒーター、運転をまびく等の不正がバレた歴史がある。

わざわざ、

「サーカムベンション装置の動作が疑わしい場合,試験機関は疑わしい装置の存在及び動作を検知するために,扉開閉又は他の適切な処置を冷却機器に施し,サーカムベンション装置であるかを確認する必要がある。施した動作及び結果の詳細を消費電力量の測定値とともに試験報告書に記載する。」

とある。そのせいか、大手の冷蔵庫の消費電力は以前よりかなり大きくなっている。

個人的には、得体の知れないとぐろを巻いている配管がコンプレッサを使わずにいろいろな熱源で冷えるというエントロピー的にパラドックスのような技術への興味を満たすが最大の目的であったし、それでいてビールが常に冷えているという実利もあることから満足している。

さて、吸収式の電力消費を計測してみたところ、涼しい日で1.2KWh、暑い日で1.3kwh程度であった。作動中も音がしないので動作しているかどうかわからないのだが、計算上は1日14-15時間動作していることになる。

そこでシャープのプラズマクラスター付き冷蔵汚物入れ改の26L冷蔵庫の電力消費も測ってみたが、驚くべきことに涼しい日で1Kwh、暑い日で1.1kwh食っていることがわかった。吸収式よりこちらのほうが容積が小さく、蓋が上面についているので開けても冷気のロスは少ないはずだが、意外に差がない。

温度設定は実測で吸収式も、もっとも温度が低く安定している庫内底部で摂氏4度だが、吸収式のほうが前面のドアを開けるたびに冷気がロスするのか10度付近まで上昇し、その後も回復が遅いようである。いずれにせよ、この手の消費電力は実用状況で計測しないとわからないものである。

さて家庭内での吸収式は電力消費の点でコンプレッサー式より分が悪いが、キャンピングカーなどのRVに積む吸収式冷蔵庫の場合は話が変わってくる。最近は大容量の太陽光パネル+バッテリーを装備したRVもあり、例えばWebasterのJB470にも200Wの太陽光パネルと200AHのバッテリーを積んでおり、コンプレッサーのアシスト機能を間欠作動させても、それだけでは電欠にはならない。

しかし照明にテレビやパソコン、さらに電子レンジなど他に電気を食う装備が増えているし、夜間や曇天では電力に余裕がなくなる。さらに現状では多くの駐車場所で発電機の使用が禁止されている。

しかし、3way冷蔵庫はガスが弱の場合、ディスポのガス缶一本で約23時間動作する。ただし吸収式は立ち上がりが遅いので、最初にアシスト機能を10分ほど動作させてからガスに引き継ぐほうが実践的ではある。

我が国ではLPGに関する当局の指導が厳しく、検査済の容器でも業者にガスを詰めてもらうのが難しくなっている。一方欧米ではRVには通常大容量のガス容器を装備していて充填も容易なので、調理と冷蔵庫、温水ボイラー等はガスを使うのが常識である。

我が国のLPGガス状況はあまりにも厳しいが、幸いディスポのガス缶は100円均一でもコンビニでも安価に購入できる。個人的にはガス缶のリスクは10Lボンベより高いと思うが、なぜか野放しである。JB470にはガス缶2本をセットできるので、調理と冷蔵庫を使ってもガス缶を毎日交換する必要は無い。なお、JB470にはガス漏れセンサーが標準でついている。

というわけで、電力を節約できるという意味では、3wayの吸収式冷蔵庫はRV用途で依然として存在価値があるる。

なお、吸収式冷蔵庫のトラブルとしては、長らく使用せずに放置すると、庫内のエバポレーターでアンモニアが結晶化して詰まるとことがある。Webmasterの冷蔵庫も最初は効きが悪かったが、使っているうちに回復し、ガス弱の設定でも1時間で製氷室で氷ができるまでに回復した。

完全に動かない場合には特殊な修理法がある。上の図をみて欲しいが、冷却回路下にタンクがありそこに液体アンモニアが溜まっている。それを本来の冷却回路の中のアンモニア液を重力を使って順行性に回して結晶を溶かすという方法である。配管に穴が空いていてガスが抜けていない限り治る可能性があるという。

1)冷蔵庫裏の右のボイラが下になるように90度倒す。
2)1日置いて上の放熱器が下になるようにさらに90度倒す
3)1日置いてエバポレータが下になるようにさらに90度倒す
4)1日置いてさらに90度倒して元の状態にして1日放置後、作動を確認する。

少しでも冷えたらそのまましばらく動作させていくうちに回復するが、まったく動作しなければ再度上記を気長に繰り返すというものだ。なお、まったく逆の方向に回して、アンモニアをタンクからエバポレーターに逆行性に回すという方法もあるらしい。いずれにせよ、吸収式は冷えるまで時間がかかるので簡単に故障と考えずに気長に待つことが大事である。

他にはバーナーのガスの出口の絞りがサビ等で詰まることがあり、これは清掃することで治るらしい。いずれにせよ、吸収式はガスが静的に重力差による対流で動作するので、良い状態をキープすることが大事である。

結論として、家庭用の吸収式は電力消費的には不利だが騒音や振動が無いことが重要な用途なら存在価値がある。RVではガスが使うことで電気が節約できることにメリットがある。立ち上がりが遅いのは問題だが、コンプレッサーのアシスト機能が付いていれば依然として有用性が高い、といったところである。

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ショパンコンクール2020のプレリミナリー演奏のナゾ(日本人の入賞者を占う編)

日本からステージ1にすすんだ13名のプレリミナリー演奏の印象を記しておく。実際にはこれに浜松国際ピアノコンクール2位の牛田智大が加というわる。

基本的に日本勢に実力は非常に高いレベルにあり、明らかに下手なピアニストは一人もいない。ほぼ全員が聴いたことがあるコンクールの入賞歴がある

ミネルバのフクロウは夜飛ぶといわれるが、日本の音楽界の実力がここ数年急激に進んだ様子がわかる。それは、国際的な留学やマスターコースやレッスン参加がネット上の手続き等で容易になったことがある。またネット予約で世界中のコンサートが予約できるようになり、動画配信が当たり前になったことで、より多くの演奏を聴き比べできるようになったことが大きいと思う。

基礎的な運指能力は当然であるが、解釈や表現力もかなり伯仲している。とすれば、最終的にはChopinらしくポーランドの民族的リズムの上に構築された華麗ながら陰影も含んだ表現が評価されることになるのだろう。

今回のパンデミックで、核を含む軍事力やIT技術は自然の猛威の前になすすべが無いことが証明された。また音楽業界はその影響を一番大きく受けて、演奏会は激減している。

ピアニストも経済的にピンチに追い込まれているが、一方練習する時間、そして曲を思索構成する時間もたっぷりあったわけである。

またパンデミック下で最新科学の権威がバイオ系をのぞいて壊滅状態であることから、過去のパワーや超絶技巧を駆使した、例えばBuninのような爆速演奏の評価は下がり、逆に陰影や緩急に富んだChopin の本質に迫る演奏が評価されると予想する。

Webmasterは2010年の優勝者を予想したが、今回は全体のレベルが向上しているため、飛び抜けたピアニストを予想するのが困難に感じている。 The Preliminary Round の課題曲については前回説明したが、日本人のチョイスはバラード4が多く、ついで舟歌、バラード2、幻想曲49、そしてバラード1、バラード3の順であった。

バラード1はchopinらしい華麗で多彩な表現に満ちているが長い。バラード2は運指の要求が過大で構成に難がある。バラード3は牧歌的で明るいがインパクトが弱い。バラード4はChopinの総決算的な作品だが暗い。舟歌は緩急の表現力が要求される。幻想曲は複雑な構成をどうまとめるかが問われる。

Chopinの傑作を問うアンケートではバラード1と4は双璧だが、個人的には明るいバラード1に比べ、死を予期したかのように暗いバラード4は好まない。実際は練習量と得られる成果のコスパが悪いのが真の理由である。Webmasterの体力では隔日練習することになっているバラード1でさえ週1−2回しか練習できていない。

The Preliminary Round で、Chopinの集大成であるバラード4を選ぶピアニストは、何としてもステージに進むためにここで実力を示さないと、という意気込みを感じる一方、それ以外を弾くピアニストは、ステージに進めると思っていて、それまで温存しておきたい?作戦のように思われる。

出身大学を見ると芸大が圧倒的に多いが、新興の昭和音大が躍進する一方、桐朋は後退している。演奏の桐朋、教育研究の芸大と言われたのは昔の話で、今は情感豊かな演奏をする芸大生が増えていて、レベル的にも世界のトップクラスに肉薄している。面白いことに東大工学部卒と名大の医学生が含まれている。

コンクール歴を見ると、ピティナ、全日本学生を始め、浜松やショパンAsia、いしかわ、高松など多くのピアニストが入賞している。特に浜松の評価が高く、ステージ1までシード権がある。

個人的には、勿論ミスは無いほうがいいが運指力よりは表現力、特に緩急とパッセージの間の「間」のとり方、華麗ながら、決めるところのでは必要なパワー等を重視して判断している。爆速の超技巧であっても、パッセージが団子になっているような演奏は評価しないことにしている。

以下、名前、レパートリー、ピアノ、印象、出身大学等を記載している。

Yasuko Furumi ☆☆☆☆☆
Nocturne in C sharp minor, Op. 27 No. 1 | Etude in C major, Op. 10 No. 7 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Mazurka in A flat major, Op. 24 No. 3 | Mazurka in B flat minor, Op. 24 No. 4 | Fantasy in F minor, Op. 49 S&S 華麗さや色彩感も混じるものの幻想曲は平板。鍵盤は撫でるのではなく体重を載せて叩かないとパワー不足。昭和音楽大学ピアノ演奏家コース3年

Saaya Hara ☆☆☆☆☆+
Mazurka in B flat major, Op. 17 No. 1 | Mazurka in A flat major, Op. 17 No. 3 | Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 | Etude in A minor, Op. 25 No. 11 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Ballade in F minor, Op. 52 CFX 華麗な舞曲に始まり重厚なエチュードに続き、しっかり歌いこんだ出色なバラード4を構築する。CFXの深いバスが効いている。東京藝術大学卒伊藤恵門下。色彩感が強い良い演奏。

Yukino Hayashi ☆☆☆☆+
Nocturne in E major, Op. 62 No. 2 | Etude in B minor, Op. 25 No. 10 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Mazurka in A flat major, Op. 50 No. 2 | Mazurka in C sharp minor, Op. 50 No. 3 | Ballade in F minor, Op. 52
S&S 運指能力の高さだけでなく情感も豊かにダイナミックに表現する。桐朋学園大学卒

Wataru Hisasue ☆☆☆☆☆+
Mazurka in G major, Op. 50 No. 1 | Mazurka in C sharp minor, Op. 50 No. 3 | Nocturne in B major, Op. 9 No. 3 | Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 | Etude in C sharp minor, Op. 10 No. 4 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60
S&S エチュード10-4は華麗かつダイナミックで舟歌も完璧に近い。ベルリン芸術大学大学院

Kaoruko Igarashi ☆☆☆☆☆+
Nocturne in C sharp minor, Op. 27 No. 1 | Etude in C sharp minor, Op. 10 No. 4 | Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6 | Mazurka in G sharp minor, Op. 33 No. 1 | Mazurka in D major, Op. 33 No. 3 | Ballade in G minor, Op. 23
S&S エチュードは表現力豊かで楽しそうに弾く。バラード1の完成度も高い。桐朋学園大主席卒

Hana Igawa ☆☆☆☆+
Nocturne in B major, Op. 62 No. 1 | Etude in C major, Op. 10 No. 1 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Mazurka in G sharp minor, Op. 33 No. 1 | Mazurka in B minor, Op. 33 No. 4 | Fantasy in F minor, Op. 49
S&S 全般に渡って確実かつ丁寧でChopinらしさを表現した演奏で好感が持てる。相愛大学音楽学部ピアノ専攻演奏課程卒

Riko Imai ☆☆☆☆☆+
Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 | Etude in C minor, Op. 10 No. 12 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Mazurka in D major, Op. 33 No. 3 | Mazurka in B minor, Op. 33 No. 4 | Ballade in F minor, Op. 52
S&S 年齢以上に熟成された演奏。バラード4は重厚ながら明るい印象で終わる出色の出来。コーダの畳み掛けるパッセージ間にも微妙な「間」を置いてまるで朗々と語っているかのように聞こえる。東京藝術大学江口玲門下

Seika Ishida ☆☆☆☆☆
Nocturne in F sharp minor, Op. 48 No. 2 | Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Mazurka in B flat major, Op. 17 No. 1 | Mazurka in E minor, Op. 17 No. 2 | Ballade in F minor, Op. 52
CFX ややハイフィンガーは故中村氏の影響か。丁寧に情感を込めて弾くことで、バラード4も甘く響く。ビデオはアップが多い。ウィーン国立音楽大学ピアノコンサート科

Junichi Ito ☆☆☆☆☆
Mazurka in B flat major, Op. 17 No. 1 | Mazurka in G minor, Op. 24 No. 1 | Nocturne in G major, Op. 37 No. 2 | Ballade in F major, Op. 38 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5
CFX 情感を込めて弾き色彩感がある。バラード2は緩急あり端正だがコーダでの爆発的パワーが今ひとつで、Kyohei Sorita と対照的。パリ国立高等音楽院、リヨン国立高等音楽院

Asaki Iwai ☆☆☆☆☆+
Nocturne in B major, Op. 9 No. 3 | Mazurka in A minor, Op. 59 No. 1 | Mazurka in F sharp minor, Op. 59 No. 3 | Etude in A minor, Op. 25 No. 4 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Ballade in F minor, Op. 52
S&S 情感を込めて緩急と「間」をとりながらじっくり弾く。パワーも十分あり朗々と奏でる模範的なバラード4。CFXだったらもっと効果的だったろう。東京藝術大学3年有森博門下だが、最近の芸大はレベルが高い。

Yukino Kaihara ☆☆☆☆☆+
Nocturne in C minor, Op. 48 No. 1 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Mazurka in A flat major, Op. 17 No. 3 | Mazurka in A minor, Op. 17 No. 4 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60
CFXの深いバスが響く重厚な演奏。舟歌での緩急、明暗の表現、間のとり方は出色。最近の芸大は表現力において桐朋を凌ぐか。東京藝術大学院伊藤 恵門下

Airi Katada ☆☆☆☆☆
Mazurka in G minor, Op. 24 No. 1 | Mazurka in C major, Op. 24 No. 2 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in A minor, Op. 25 No. 4 | Nocturne in B major, Op. 9 No. 3 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60 |
S&S Chopinらしく明るく華麗で色彩感のある舟歌。  ウィーン国立音楽大学大学院

Yurika Kimura ☆☆☆☆☆
Mazurka in B major, Op. 56 No. 1 | Mazurka in C major, Op. 56 No. 2 | Nocturne in C sharp minor, Op. 27 No. 1 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60 | Etude in G flat major, Op. 10 No. 5 | Etude in B minor, Op. 25 No. 10
CFX 緩急をつけた色彩感のある豊かな舟歌。東京音楽大学卒ベルリン芸術大学

Aimi Kobayashi ☆☆☆☆☆
Mazurka in D flat major, Op. 30 No. 3 | Mazurka in C sharp minor, Op. 30 No. 4 | Etude in G flat major, Op. 10 No. 5 | Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6 | Nocturne in F sharp minor, Op. 48 No. 2 | Ballade in F major, Op. 38
S&S パワーの小林節から緩急を伴った演奏に変化はしているが、バラード2前半は不可解なほど平板。フィラデルフィア・カーティス音楽院

Yukine Kuroki ☆☆☆☆☆++
Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6 | Nocturne in B major, Op. 9 No. 3 | Mazurka in G minor, Op. 24 No. 1 | Mazurka in C major, Op. 24 No. 2 | Fantasy in F minor, Op. 49
S&S Chopinらしい華麗で優雅でありながら情感も深い。色彩感のある幻想曲は出色でパワーもありダイナミックレンジが広い ビデオのアップも多数。昭和音楽大学院

Shushi Kyomasu ☆☆☆☆☆++
Nocturne in E major, Op. 62 No. 2 | Etude in A minor, Op. 25 No. 11 | Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 | Mazurka in A minor, Op. 59 No. 1 | Mazurka in F sharp minor, Op. 59 No. 3 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60
CFX 男性ながら柔らかな演奏で正確無比 緩急の幅が大きくCFXの深いバスが相まってダイナミックレンジも大きい。大きな手も高速な演奏に有利か 東京藝術大学院津田 裕也門下

Asaka Miyoshi ☆☆☆☆☆+
Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 | Etude in G flat major, Op. 10 No. 5 | Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 | Mazurka in A flat major, Op. 50 No. 2 | Mazurka in C sharp minor, Op. 50 No. 3 | Ballade in F minor, Op. 52
S&S 運指レベルが高く緩急も十分で表現も深い。東京藝術大学院卒

Momoko Mizutani ☆☆☆☆+
Mazurka in A minor, Op. 59 No. 1 | Mazurka in F sharp minor, Op. 59 No. 3 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 | Etude in E major, Op. 10 No. 3 | Ballade in F minor, Op. 52
CFX 情感深く丁寧で緩急も十分でバラード4も明るい。東京藝術大学卒

Mayaka Nakagawa ☆☆☆☆☆+
Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6 | Mazurka in D flat major, Op. 30 No. 3 | Mazurka in C sharp minor, Op. 30 No. 4 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60
S&S 前回ステージ2、Chopinらしく明るく華麗だが表現も深い。 ビデオのアップ多数。東京音楽大学卒

Yui Nakamura ☆☆☆☆☆+
Mazurka in E minor, Op. 41 No. 1 | Mazurka in C sharp minor, Op. 41 No. 4 | Nocturne in C minor, Op. 48 No. 1 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in C major, Op. 10 No. 7 | Ballade in A flat major, Op. 47
S&S 明るい曲想の演奏で、エチュードやバラード3もChopin的なリズム感のある良い演奏。昭和音楽大学卒

Mariko Nogami ☆☆☆☆☆
Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 | Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 | Etude in A minor, Op. 25 No. 11 | Mazurka in C major, Op. 24 No. 2 | Mazurka in B flat minor, Op. 24 No. 4 | Ballade in F minor, Op. 52
S&S 前回ステージ1,明るく歯切れの良い演奏。バラード4は緩急が大きく情感を込めた演奏が好ましい。桐朋学園大、ベルリン芸術大

Arisa Onoda ☆☆☆☆+
Nocturne in C sharp minor, Op. 27 No. 1 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Etude in C minor, Op. 10 No. 12 | Mazurka in A minor, Op. 59 No. 1 | Mazurka in F sharp minor, Op. 59 No. 3 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60
S&S 緩急や音割の解釈に特色があり一風異なる演奏。芸大音高からジュリアード音楽院、英国王立音楽院。

Kazuya Saito ☆☆☆☆☆+
Nocturne in E flat major, Op. 55 No. 2 | Mazurka in C minor, Op. 30 No. 1 | Mazurka in D flat major, Op. 30 No. 3 | Etude in G flat major, Op. 10 No. 5 | Etude in B minor, Op. 25 No. 10 | Fantasy in F minor, Op. 49
S&S 音量があり明るく軽やかでバランスがとれた演奏。幻想曲は表現が細やかでパワーもある。東京藝術大、パリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学

Sohgo Sawada ☆☆☆☆+
Mazurka in G major, Op. 50 No. 1 | Mazurka in C sharp minor, Op. 50 No. 3 | Etude in G flat major, Op. 10 No. 5 | Etude in B minor, Op. 25 No. 10 | Nocturne in D flat major, Op. 27 No. 2 | Ballade in G minor, Op. 23
S&S 軽やかで明るく明快な解釈と正確な演奏だが、今回のバラード1は力みすぎかミスがあった。医学生ということで共感が持てるので応援したいところ。名古屋大学医学科5年

Kotaro Shigemori ☆☆☆+
Nocturne in B major, Op. 62 No. 1 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Mazurka in G major, Op. 50 No. 1 | Mazurka in C sharp minor, Op. 50 No. 3 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60
S&S 明るく正確な演奏で運指能力に余裕があるが、爆速の舟歌はあらずもがな。桐朋学園大

Miyu Shindo ☆☆☆☆☆+
Nocturne in C minor, Op. 48 No. 1 | Mazurka in B flat major, Op. 17 No. 1 | Mazurka in A minor, Op. 17 No. 4 | Barcarolle in F sharp major, Op. 60 | Etude in C major, Op. 10 No. 7 | Etude in C sharp minor, Op. 10 No. 4
S&S ショパコン中国からシード。情感がとても細かく、豊かでパワーと広がりのある演奏。小柄ながら体重をうまく乗せてパワーを稼ぐ弾き方は上原彩子に似ている。モスクワ音楽院付属中央音楽学校

Mana Shoji ☆☆☆☆☆+
Nocturne in B major, Op. 62 No. 1 | Etude in A minor, Op. 25 No. 11 | Etude in A flat major, Op. 10 No. 10 | Mazurka in B major, Op. 56 No. 1 | Mazurka in C minor, Op. 56 No. 3 | Ballade in F minor, Op. 52
CFX 緩急自在で重厚かつスケールの大きな完成された理想的なバラード4。過激なコーダでもパッセージ間に適度な「間」があることで、団子にならずきれいな唄になっている。東京藝術大学院 伊藤恵門下

Kyohei Sorita ☆☆☆☆☆
Nocturne in B major, Op. 62 No. 1 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in E minor, Op. 25 No. 5 | Mazurka in B major, Op. 56 No. 1 | Mazurka in C major, Op. 56 No. 2 | Ballade in F major, Op. 38
CFX 高度な技巧と独特な反田節は存在感を示すが、Chopinの華麗さと若干趣を異にする。バラード2は爆速で畳み掛けるが、パッセージの間に「間」が無く団子になっているので息苦しく感じる。国立モスクワ音楽院

Hayato Sumino ☆☆☆☆☆+
Nocturne in C minor, Op. 48 No. 1 | Mazurka in G minor, Op. 24 No. 1 | Mazurka in C major, Op. 24 No. 2 | Etude in A minor, Op. 25 No. 4 | Etude in A minor, Op. 25 No. 11 | Ballade in F major, Op. 38
S&S Cateen(かてぃん)さん Chopinらしい華麗でバランスの良いバラード2は出色の出来。ルックスもChopinに似ているかも。東大工学部卒、フランス音響音楽研究所

Rikono Takeda ☆☆☆☆☆+
Nocturne in E flat major, Op. 55 No. 2 | Etude in A minor, Op. 25 No. 11 | Etude in E flat major, Op. 10 No. 11 | Mazurka in G sharp minor, Op. 33 No. 1 | Mazurka in D major, Op. 33 No. 3 | Ballade in F major, Op. 38
S&S 激しさの中に美しいアルペジく浮き出るバラード2。拍手多し。Kobayashiとは対照的な演奏。ポーランド国立ショパン音楽大学3年

Miki Yamagata ☆☆☆☆☆+
Nocturne in G major, Op. 37 No. 2 | Mazurka in C major, Op. 24 No. 2 | Mazurka in B flat minor, Op. 24 No. 4 | Etude in F major, Op. 10 No. 8 | Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6 | Ballade in F minor, Op. 52
S&S 緩急と音割に独自性があり、スケール感のある演奏だが若干ミスタッチあり。ビデオのアップ多数。東京藝術大学2年東誠三門下

とまあ、本当に全てのコンテスタントのレベルが高く、このままステージ1,2、ファイナルと進めば、ひょっとして上位は日本人多数?もちろん他国人はあまり聴いていないなかでの印象だが。

あえてスケール感から言えば、男性陣ではShushi Kyomasuが少し飛び抜けているように思うが、他には、Wataru Hisasue、Kazuya Saito、Wataru Hisasue などが上げられるし、Hayato Suminoもかなりいい線いっていると思った。

女子は本当の混戦だが、ショパコンは浜松やピティナとは異なり日本人に厳しい全身を使ったパワーが必要だ。以前 宮谷理香の演奏を3mの距離で聴いたが、彼女は重労働のバラード1を弾くにはまだ体が温まっていないので準備運動としてプログラムに無かったスケルッツオ3を弾くと言ったが、準備運動とは名ばかりで全身を使う激しいものだった。ピアニストとはアスリートなのだと思った次第である。

中村紘子も、「ピアノとともに、バラード1その3の3」(ピアニスト必見の目から鱗の巻)のレッスンで(「その1初回」「その3の2」「その2」も必見)、決めの音は弱い小指や薬指でなく、指使いを変えて親指に体重を載せて叩けと言っていた。さらに打鍵力を損なう行き当りばったりで無用な体動や肘を開いたりするな(目から鱗)とか、体重の載せ方生徒も圧倒されるメフィストワルツの弾き方等も得難い情報である。演奏が雑と攻撃されることもあったが、小柄な日本人女子がショパコンに入賞する技は指導者が常に意識すべき問題である。

その観点から☆☆☆☆☆+をつけたのは、Saaya Hara、Kaoruko Igarashi、Asaki Iwai、 Yukino Kaihara、Mayaka Nakagawa、Asaka Miyoshi、Yui Nakamura、Miyu Shindo、Hayato Sumino、Miki Yamagata だが、それ以外ともほとんど差がない。個人的には、Yukine Kuroki、Yukino Kaihara、Riko Imai、Asaki Iwai、Miyu Shindo、Mana Shoji、Rikono Takeda、Yui Nakamura、あたりを押したいところ。

さらにルックス枠というのがあるとすれば、Yukine Kuroki、Seika Ishida、Mayaka Nakagawa、Miki Yamagataあたりが明らかにビデオのアップが多かった。男性陣ではChopinに似ているかもということでHayato Suminoか。これは冗談ではなく、ショパコンでは以前からChopinに似ている参加者は上位に行きやすいと言われている。

おそらくメールが来そうなので書いておくが、Kyohei Sorita とAimi Kobayashiについては、今回急激にレベルが上がった参加者の中でも運指能力では上位かも知れないが、緩急を交えて華麗で多彩なChopinに癒しを求めるコロナ禍のメンタリティーから少しはずれているように思う。やはりコロナ禍は多くの価値観を変えてしまったとしか言いようが無い。

Soritaはバラードで爆速で畳み掛けるが、パッセージ間に「緩」や「間」が無いので息苦しく感じると書いた。

素人がDTMでやらかす失敗は、初音ミクにブレスをさせずに曲を作ってしまうということである。初音ミクはブレス無しで歌っても酸欠にないが、聴いている方が酸欠を感じる

同様にピアノはブレスが無くても酸欠にならないが、聴いている方が酸欠を感じる。舟歌とかは典型的で、Chopinはパッセージの間に必ずブレスに相当する「間」を入れている。そうでないと歌いながら漕ぐ船頭が酸欠になるからだ。ダンスでも、例えばワルツは「ィイィッッチニーーーサン(間)」という風に「間」が無いと踊れない。爆速であればあるほど「間」が必要で効果的なのだ。

今回もヤマハCFXは中低音の音量とサステインでS&Sを圧倒しているので、パワーに欠ける日本人、特に女子はCFXを選ぶべきである。日本人にはS&Sには秘密の力があるとの信仰があるようだが、時代は変わった。その点、Yukino KaiharaやMana ShojiはCFXのパワーを十分に使いこなしていると思った。

というわけで、今後どうなるかは余談を許さない。日本の参加者のレベルが向上した間、他国の参加者のレベルがそのままの訳もなく、アジアから次々に上手な若手が参加している一方、Webmasterとどっこいの下手なエチュードを弾く参加者もいて、少しびっくりした。

ともあれ、オリンピック同様になるべく多くの日本人の入賞者を期待したいところである。

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ショパンコンクール2020の傾向と対策のナゾ

オリンピックが終わったところで、ショパンコンクール2020が一年遅れで進行中であることに気がついた。ョパンコンクール2010については、

ショパンコンクールの宴の後のナゾ(スコア解説とブレハッチとの関係編)
近頃話題のフルコンサートピアノのナゾ(ショパンコンクール編)

で二人気に入ったピアニストを上げたが、それは優勝したYulianna Avdeevaと5位のFran?ois Dumonであった。Webmasterは普段音楽業界ともあまり縁がないし雑誌類も全く読んでいないが、実力差は見えてくるものだ。なお、

”Trifonovは順当な順位だと思うが、さらなる上達の余地というか大化けする可能性がある”と書いたが、チャイコフスキーコンクール優勝とその後の活躍を見ればこの予想はみごとに的中していると思う。

ショパンコンクール2015年は気がついたときには終わっていたが、

2015年ショパンコンクールにみる地殻変動のナゾ

に印象を書いた。このころから国際ピアノ界はアジアを中心に回るようになってきており、ピアノの選択でもヤマハCFXが躍進したことを思い出す。

さて、今回のコンクール2020のルールによれば、書類、経歴、写真、卒業証書や賞状類、3年間の演奏歴、ステージ1の規定曲の演奏ビデオ、経費のデポジット100ユーロ等をwebサイトもしくはEメールで送ることになっており、締切は2019年12月であった。

書類とビデオ選考から2020年3月までに160名が選ばれてthe Preliminary Roundに進むことになる。

これに加えて、世界各地版ショパンコンクールや世界の著名コンクールの上位入賞者にはシード権があるが、別途申し込みが必要である。

a) Winners of the top three prizes of the following Chopin piano competitions may be accepted directly to the Preliminary
Round, bypassing the work of the Qualifying Committee (see § V):
Asia-Pacific International Fryderyk Chopin Piano Competition in Daegu (2018 edition)
Darmstadt International Chopin Piano Competition (2017 edition)
Canadian Chopin Piano Competition in Mississauga (2019 edition)
Moscow International Frederick Chopin Competition for Young Pianists (Foshan 2018 edition)
Beijing International Fryderyk Chopin Piano Competition for Young Pianists (2016/19 edition)
International Chopin Piano Competition in Asia, Tokyo (2020 edition)
b) Winners of the top two prizes of the following competitions may be accepted to the Competition, bypassing the work of
the Qualifying Committee and without having to participate in the Preliminary Round:
The Queen Elisabeth of Belgium International Music Competition in Brussels (2016 edition, piano category)
The International Paderewski Piano Competition in Bydgoszcz (2019 edition)
The Van Cliburn International Piano Competition in Fort Worth (2017 edition)
The Hamamatsu International Piano Competition (2018 edition)
The Leeds International Piano Competition (2018 edition)
The International Tchaikovsky Piano Competition in Moscow (2019 edition, piano category)
The Santander International Piano Competition (2018 edition)
The Arthur Rubinstein International Piano Master Competition in Tel Aviv (2017 edition)
c) For the following competitions, winners of the top two prizes may be accepted directly to the Competition, and winners of
the third prize directly to the Preliminary Round:
The National Chopin Piano Competition of the USA in Miami (2020 edition)
The Polish National Fryderyk Chopin Piano Competition in Warsaw (2020 edition).

The Preliminary Roundは2021年5月までにワルシャワで開かれるが、その日時は予め登録が必要で、参加旅費と宿泊費は自己負担である。課題曲は(詳細は上記ルールにあり)

エチュード2曲、
ノクターンとエチュードから1曲、
マズルカ2曲、
バラードと舟歌と幻想曲から1曲

である。演奏は暗譜で行い、一般公開される(今回は小さなホールだった様子)。譜面の版はエキエル氏監修の The National Edition of the Works of Fryderyk Chopin が推奨されるが、一般的に流通し演奏されている版であれば良いことになっている。バラードとエチュードを聴いた範囲では依然としてカバレフスキー版が多かったように思う。

The Preliminary Round で候補者は80名に絞られる。今回は151名の参加者のうち、中国22名、ポーランド16名、日本14名、韓国7名、イタリア6名を含むの合計87名がえらばれた。これには浜松国際ピアノコンクール2位の牛田智大も含まれる。

今後のコンペの旅費と宿泊費は事務局から支払われる。今後の予定は、

Stage I participants: 29 September to 9 October 2021
Stage II participants: 29 September to 14 October 2021
Stage III participants: 29 September until the end of the Competition
Finalists: 29 September until the end of the Competition

となっている。課題曲(概要)は、

ステージ1
エチュード2曲、
ノクターンとエチュードから1曲、
バラードと舟歌と幻想曲とスケルッツオから1曲


ステージ2
バラードと舟歌と幻想曲とスケルッツオと幻想ポロネーズから1曲、
ワルツから1曲、
ポロネーズOp22,44,53,26から1曲、
制限時間内に自由選択1曲

ステージ3
ソナタop35、ソナタp58と前奏曲op28全曲から一つ
マズルカop17, 24, 30, 33, 41, 50, 56, 59から1セット
制限時間内に自由選択1曲

となっている。詳細は上記リンクを参照されたい。

基本的にエチュード以外はThe Preliminary Round と重複してよいが、ステージ1以降では重複は許されない。The Preliminary Round からステージ2までバラード、舟歌、幻想曲から1曲の指定が続いているので、それらの比重は重い

ステージが進むにつれて、スケルッツオ、ポロネーズ、ソナタが加わり、chopinの演奏の大半を網羅されているが、バラード、舟歌、幻想曲が引き続き指定されることから、結局はバラードは2,3曲、そして舟歌、幻想曲も高い確率で弾かれることになる。エチュードは当然としてもマズルカの比重も結構重く、それにワルツも加わる。

過去のコンクールでは採点が公開された、それによれば予選を含め弾いた曲は事実上すべて加算されており、重要とされる曲では一回の失敗も致命的である。

次回は、The Preliminary Roundの牛田智大を除く13名の演奏の印象を書くつもりである。ただし、今回は出場者のレベルが異常に高く、最終優勝者を当てるのは困難なので、あくまでも日本人の範囲だけに予想を絞ることにする。

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セイコーコンスタントフォーストゥールビヨンのナゾ

セイコーが「T0(ティー・ゼロ)コンスタントフォース・トゥールビヨン(以下、T0)」を開発したらしい。

彼らの言葉によると、”本作は、これまでにない手法でトゥールビヨンとコンスタントフォースを組み合わせた機構を搭載しており、過去に作られた同種の機構の中では最も優れたものと言える。セイコーは、ついに時計師たちの果たせぬ夢を、理論上は完全な形で実現したのである。”とある。

そして、”T0のコンスタントフォースは、キャリッジと同軸に置いた歯車のトルクを定力ばねにため、そのほどけるエネルギーで、てんぷだけでなく、キャリッジ自体を回転させる” そうである。

トゥールビヨンについては、過去

難物トゥールビヨンの修理のナゾ
怪しげなトゥールビヨンのナゾ

で解析し、実際に修理した経験を書いた。また、

セイコートゥールビヨンのナゾ

では、世界的になぜ”FUGAKU”が酷評されたのか解説している。今回は、T0コンスタントフォース・トゥールビヨン(以下T0)の構成要素を検討したい。国内外ネット広しといえども、納得のいくコンスタントフォーストゥールビヨンの原理が説明されているのはこのサイトだけであろう。

1)ダブルバレル

図はセイコーからのリンクである。

まず香車が2つ(ダブルバレル)あり、並列に接続されている。ダブルバレルはトゥールビヨンのようにトルクが必要な場合は並列に、トルクは必要無いが持続時間を稼ぎたいときには直列に接続される。

セイコーGSの自動巻スタンダードモデルのCaliber 9S65は8振動で持続時間約72時間(約3日間)、Caliber 9SA5はダブルバレルで10振動で持続時間が約80時間となっている。

通常テンプの振動数を増やすと空気抵抗が増える。さらにトゥールビヨンは軸受が多いので持続時間が短くなる。

額縁トゥールビヨンと酷評された”FUGAKU”はシングルバレルで持続時間は37時間しかなかった。一方ブレゲのClassique Tourbillon Messidor 5335BR はシングルバレルで50時間あるのに、である。

今回のT0はダブルバレルで持続時間は50時間と、なんとかシングルバレルのブレゲ並の持続時間というところ。T0のダブルバレルがCaliber 9SA5と同等であればトゥールビヨンによるロスが30時間分ということになる。

なお、左側のバレル表面に遊星歯車が見える。中心のサンギアと、遊星歯車プラネタリーギアの動きの差分が外側のリングギアに現れることでパワーリザーブ表示を実現している。

2)フリースプラングテンプ

グランドセイコーが高い精度を宣伝しても世界的に評価が低かった最大の原因は、旧来の緩急針を採用したからだとWebmasterは考える。

緩急針とは、テンプのぜんまいを2つのヒゲ棒で挟み、ぜんまいの有効長を変えて精度をあわせる装置でヒゲ受けとも言う。昔のセイコーでは2つのヒゲ棒は緩急針に固定されていたが、グランドセイコー(最新の5でも)ではヒゲ棒は回転(アオリ)できるようになっている。

ヒゲ棒が固定の場合は、ぜんまいが均等に収縮し、かつ内外2つのヒゲ棒へ均等に当たるようにぜんまいを曲げて調節するが、グランドセイコーでは、ぜんまいの形を理想的な円形に保ちつつ、ぜんまいとの当たりはヒゲ棒を回して調節できる。実際にはぜんまいを2つのヒゲ棒の真ん中からわずかにはずすことで、ぜんまいがほどけてトルクが低下し振り角が減った場合に当時性を保つ細工も可能になる。

さすがグランドセイコーといいたいところだが、この機構はセイコーのオリジナルではなく、ETAの普及型ムーブについているエタクロンを導入したものである。グランドセイコーに近いレベルの調節は、原理的にはWebmasterが多数所有している機械式スウオッチのETA2840(市価1万円)にも使える

一方、欧州の同一価格帯の代表的な高級時計であるRolexでは全数がフリースプラングテンプとなっている。これには緩急針がなく、ぜんまいの長さは一定で、テンプの重りを回して調節する。ぜんまいの終端はブレゲ巻き上げヒゲになっているのが普通だ。調節に手間がかかるが、経年変化でも歩度が安定している。

残念ながらヒゲ棒を使う緩急システムでは、ぜんまいの同じ部位がヒゲ棒に当たるため経年変化による変形が集中し歩度が安定しない。フリースプラングテンプでは特定の部分に負荷がかからないので衝撃や経年変化に強いが、細かい調節はテンプのネジを回すためにやっかいである。

セイコー自身もCaliber 9SA5で従来の緩急針を、”この仕組みは衝撃に弱く、ぜんまいがほどけた際に時間が狂いがちだ。ぜんまいがほどけても正確である機構を盛り込んでいる時計も多くあるが、理論上は緩急針のない方が好ましい。”と自社製品の弱点を認めている。

ぜんまいがほどけてトルクが低下すると、テンプの振れ幅が減り、2本のヒゲ棒との当たりが変化してぜんまいの有効長が変化し等時性が低下する。フリースプラングではヒゲ棒が無いので振れ幅の等時性への影響が小さいので(巻き上げヒゲの位置や形状で微妙な変化はある)、フリースプラングのほうが上等というのがコンセンサスである。

もう一つ、グランドセイコーの評価が低い理由にテンプ受けが片持ちであることがある。同一価格帯のRolexは全てテンプの受けが両持ちになっていて、経年変化やショックに強くなっている。セイコーも過去GS45系やKS44系等では両持ちだったが、生産性やコストのため廃止されたのである。

さらに、市価50万以上の9S65等の内部の見えない部分の仕上げが、NC機器で量産されるファイブと大差無いことだ。ETAの廉価版29XXでは内部の見えない受けにもブラスト処理されている。もともと9S65の輪列はETA29XXのパクリでもある。

今は中国製と思われるRolexのコピー品が横行していて、S級コピー品では両持ちにフリースプラングテンプは常識で、なんとデイトナのクロノムーブメントのコピーも本物と見分けがつかないレベルになっており、歯車や受け、そしてケースの精度も仕上げも本物に遜色ないレベルまで達している。そんな時代に、旧来の緩急針式のグランドセイコーとザラツ研磨だけではもはや立場が無くなっている。

以上の理由で、グランドセイコーはいかにザラツでケースを磨いても、時間精度が高くても、ぜんまいが特殊な材質であろうとも、国際的にはRolexのライバルにはなりえないだけでなく、Rolexのコピー品にも技術的に遅れをとっているのが現状である。

3)トゥールビヨン

T0のトゥールビヨンは基本的には前後支持タイプである。

トゥールビヨンには大きく分けて2系統ある。1つはトゥールビヨンのケージを時計の表と裏の両端で支持している古典的なタイプで、表側(ダイヤル面、時計学的には裏側)にケージの支持が見えるが、最近のブレゲではサファイヤガラスを使い支持が見えないものがある。テンプの軸はケージの軸と同じく中央にあることが多い。

この方式はブレゲの時代からあるが、ガンギ車とアンクルのために重量バランスに偏りがあり、ケージの向きによって等時性が崩れるのでバランスウェイトを仕込むことが多い。テンプは重力の影響を消せるが、ケージ自体が重量の影響をうけるからである。

もう一つは、最近のタイプでケージを裏側(時計学的には表)のサファイヤ軸受の片持ち支持としているもので、表側には支持が見えないのが特徴である。ガンギ車とアンクル重量バランスをとるために、テンプの軸はケージの軸から少し偏芯しているのが普通だ。

このタイプの説明の図

のように、ケージが片持ち支持か前後両面で支持されているかどうかが基本的な違いである。Webmasterが修理したのはこのタイプで、現状では中国製のムーブが数百ドルで入手可能である。しかし、支持が片持ちなので落下などのショックに弱い欠点があり、Webmasterが修理した個体では衝撃でケージが変形した瞬間にガンギ車の軸がはずれていた。

なお、セイコーは過去トゥールビヨンで特許をとっており、それは、

のようだが、今回はついにこの特許の要素が一部使われている。通常のトゥールビヨンではケージの軸を3番車が駆動するが、このトゥールビヨンではケージ外側の歯車を3番車が駆動することでムーブを薄くできる。この部分が次項のコンスタントトルク機構につながっている。

ただし特許ではガンギ車のギアはリングギアの内側と噛み合うが、今回のは通常のように固定歯車の外側と噛み合うようになっている。これは特許の実装でもケージの支持は必要で実装上ムーブを薄くすることにはならないので採用されていないのであろう。

4)コンスタントフォース(正確にはコンスタントトルクと呼ぶべきか)

コンスタントフォースとは、ぜんまいからテンプを駆動するトルクを一定にする装置である。通常は輪列のどこかにバネ要素を置いて一定角度巻き上げられ、それが開放される時の行ってのトルクを利用する装置である。

今回のメカだが、下面からの透視図(回転方向は逆になる)のコントラストを調節すると、ナゾのルビーが見えてくる

写真右上にコンスタントトルクのキモの歯車(以下コンスタントトルク歯車)があり、その回転を止めているのが赤いルビーである。ルビーがコンスタントトルク歯車から離れると1秒分反時計回り方向に(ダイヤルから見れば時計回り方向に)回転する。動作原理を説明した下手な図である(説明のため実物とは異なる)。

この図はダイヤル面から見たもので、トゥールビヨンの下側ケージが図中斜線の歯車1である。これにはガンギ車が結合されていて、その軸がムーブ底部の固定歯車と噛み合ってケージ全体を常時回転させている。また歯車1と同軸でバネを介して連結された歯車2があって、歯車2には歯車1を追随するトルクがかかるようになっている。

歯車2にはコンスタントトルク用歯車があり、その軸はガンギ車の軸と同様にムーブ底部の固定歯車と噛み合っているが、歯車1に固定されたルビーに規制されていて回転が止まっている。

歯車1は常時回転しているのでルビーは次第に歯車2のコンスタントトルク車から遠ざかり、その噛合がはずれてコンスタントトルク車がワンノッチ時計方向に回転する。そうすると歯車2全体が歯車1を追随して1秒分時計方向に回転すると、再度コンスタントトルク歯車がルビーと嵌合して回転がとまる。

この説明はわかりやすいが、実際には歯車1が歯車2を毎秒駆動するのではなくて、歯車2が歯車1を駆動する。トルクの伝わり方は説明とは逆なのだ。

バレルからのトルクは3番車から歯車2に伝わり、そして1秒ごとに歯車1に伝わる。つまり、一秒ごとに回転する歯車2をバネ要素を介して歯車1が追随する。歯車1にバネ要素で伝えられたトルクはガンギ車を回し脱進器を介してテンプを回転させ、ケージを常時回転させる。

バレルから3番車を経て歯車2にかかるトルクはぜんまいが解けるにつれて変化するが、歯車2と歯車1の毎秒の回転のズレによりバネに蓄積し放出されるトルクは一定なので、結果的にテンプにかかるトルクも一定となるシカケである。

実は、老舗IWCもコンスタントフォース機構を組み込んだトゥールビヨンを発表しているが、セイコーと異なりコンスタントフォース機構はガンギ車と4番車の間にあってテンプを回転させる前に働き、ケージは間欠的に毎秒移動する

セイコーの場合は逆に1秒毎に進む歯車2から一定のトルクが歯車1を経てテンプに伝えられるので、欧米のコンスタントフォース機とは異なり常時回転するガンギ車と脱進機はシンプルな構成で重量やロスを減らす作戦である。

ケージ中央にテンプを置くと、アンクルとガンギ車がオフセンターとなり重心がズレるが、コンスタントトルク歯車をガンギ車と点対称に配置することで、重量バランスを整える働きもある。

しかし万事がOKという訳ではない。問題は、間欠的に回転する歯車2のケージと輪列の回転マスを受け止めるコンスタントトルク車と歯車1のルビーの衝突エネルギーが大きいことである。そのため、ルビーとコンスタントトルク車にの間にはオイルが必要らしい。

通常のアンクルとテンプ間の衝撃は1秒に数回に分割されるが、コンスタントトルク車とルビー間は1秒に1回の大きな衝撃である。コンスタントトルク車の歯形にも工夫が足らない感じで、この衝撃をどう解決するかが課題であろう。セイコーの説明ではコンスタントトルク歯車はセラミック製とも読み取れるが、個人的にはスウォッチの破断したセラミック製アンクルを見たことがあるので、この歯車がこのムーブのアキレス腱となる可能性がある。

この部の精度が経年変化で低下すると歯車1にかかるトルクも変動して精度が保てない。試作品はともかく、耐久性を持った実用品して発売されるには時間がかかりそうである。実際ビデオでは1秒運針の間隔がかなりバラついており、ムーブがケースに収まった写真が無いのは時計としてはまだ完成していないということだ。

見場的には、前面の支持ケージと回転する2つのケージ支持が煩雑に見えてアピールが弱い。セイコーが常時回転しているトゥールビヨンを見せたいのか、コンスタントフォースの1秒運針を見せたいのか決めきれていないのだろう。ブレゲのようにサファイヤ支持とし、2つのケージ支持は色分けする工夫が必要だろう。

それともう一つ、機械式時計はその運針のなめらかさで1秒以下の時間が測れるという特質がある。1秒毎の運針ならクオーツと同じではないか、というニッチな意見もあるかもしれない。Webmasterは仕事柄10秒間脈数を測ることが多かったが、時計計測の誤差が機械式なら1%以下だが、1秒運針なら10%になる、という考え方も成り立つ。ハイビートやスプリングドライブのスムーズな運針を喧伝してきたセイコーにとっても意見が分かれるところだろう。

5)ハイビート

60年代70年代のセイコーは、旧式のメカニズムながらハイビートで天文台コンクールを席巻した。その歴史のせいかハイビートのこだわりは世界の時計メーカーの中で突出している。

しかし、Webmasterのように古い時計のガラで遊んでいる立場から見れば、ハイビートはぜんまいの材質や持続時間、軸受の消耗や油切れなど、寿命に難があることから避けたい代物である。6振動の時計でも実用上問題無い精度に追い込むことは可能で、またハイビートより持続時間が長く、また精度を維持できる。

例えばRolexは世界中に堅牢な実用高級時計を供給してきた立場から、ハイビートへのこだわりは強くない。クロノメーターに搭載していたゼニス製エル・プリメロも、あえてロービートとして耐久性を確保していた。パテックも長らくロービートであったし、バセロンはハイビートとロービートを切り替える時計を出したほどである。ETAのSystem51や最新ムーブメントpowermatic80では、あえてロービートとして持続時間を80時間以上としている。

個人的にはセイコーのハイビートへの過度の傾斜が心配である。精度を求めるならGPSとソーラ付きGショックにすればよいのだ。

世界中の高級時計ユーザーは機械式時計にクロノメーター規格以上の精度を要求していない。むしろハイビートによる摩耗や油切れ等を心配するユーザーは時計をタンスのコヤシとしやすい面がある。

世界的には、2軸で三次元に動くトゥールビヨンが実用化されており、コンスタントトルク機構やハイビートがどれほど評価されるかは疑問である。過去欧米メーカーもコンスタントトルク機構でアピールしようと試みたが、顧客への訴求力は過去弱く商売的には成功しなかった

まあ、今回のT0は”FUGAKU”に比べたら、セイコーの総力を傾けて頑張った作品だろうが、そのベクトルが世界の潮流とズレている印象は否めない

なお、実際にトゥービヨンを分解修理し使用した経験を持つ人は少ないと思うが、私の個体では、片持ちトゥールビヨンは姿勢によってかなりの歩度差があった。その理由は、ケージを支持する回転板とサファイヤ板間の摩擦が姿勢で変化するためである。

そもそもブレゲが発明したトゥールビヨンは見て楽しむものであって、必ずしも実用上の時間精度を向上させるには至っていないというのが現時点でのWebmasterの印象である。多くのトゥールビヨンはその神経質なメカのためタンスのコヤシになっていて普段使いされていないように思う。個人的には、普段使いできるほど頑強なトゥールビヨンがあればある程度の数が売れるのでは無いかと考えている。

トゥールビヨンを眺めていると癒やされるので、Webmasterは長らくつまらない会議中の逃避のために使うことが多かったのである。

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DellPP10S(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

スペックはCeleronM350-1.3 GHz 748KB、1024x768液晶、HDD120GB、i915GMチップセットのビジネスノートInspiron220で、WifiはUSB外付けである。

このノートもどうやって手元に来たのか記憶がさだかでないが、キーボードのテカリが全いことから企業でスペアのまま出番がなかったかわいそうな代物で、裏にWinXPproのプロダクトキーが貼ってありバッテリーが生きていたのでサンプルしたのだろう。企業リースバック品はHome仕様よりPro仕様が多いようだ。

と書いていて、このノートの外観、キータッチ、手触りにはデジャヴ感がある。

Versapro VJ13m(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

VJ13mと似ている。タッチの良いキーボードは同じ部品だ。裏に冷却ファンの入り口があるのでVJ13mと同様ACERのOEMだと思うが、基板は微妙に異なるようだ。

i915GMチップセットとCentrino第二世代で、PCMCIAがTIまではVJ13mと同じだが、100BASEがIntelPROと異なる。似てはいるが若干異なる基板のようだ。

インスト用USBからは直接起動できなかったが、plpbt.isoを焼いたDVD-RからUSB起動を選ぶとlubuntu-18.04.5-desktop-i386.isoは短時間でインストできた。標準的なパーツで構成されているために問題なく進行し、wifiはkeeceブランドの3R-KCWが標準のドライバーで動作している。

しかし、AmazonPrimeVideoのフル画面再生は画質標準でもはっきりコマ落ちする。同じCPU、同じチップセット、同じOSとドライバーとブラウザーにもかかわらずNECのVJ13mより遅いのは、BIOS、メモリーコントローラーを始めチップセットの随所に設定されている設定が最適値に追い込まれていないのだろう。このあたりがプロのパソコン屋のNECと単なるアッセンブル(OEMだが)メーカーDellの実力差なのだと思う。

動画以外のレスポンスはまずまずである。動画のコマ落ちは映画を見るのには致命的だが、環境ビデオを流しっぱなしなら使えるかもしれない。

というわけで、グラフィックアダプターの動画支援機能によっても異なるが、i915GMの標準グラフィックのCelreronMでコマ落ちしないためにはやはり1.5GHzが必要なようである。

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HP2230s(WindowsVixta Core2duo)のLubuntuによるによる再生のナゾゾ

これはモバイルノートで、Core2Duo-T7250 2GHz 2GB、12inch-1280x800液晶、HDD160GB、GM45 Expressチップセットで、WifiはCentrinoのintel Pro、100BASEはMarvell technology、指紋認証付きである。

ものは、現在持ち出しに常用しているDynabookSS RX3と並んでリースバックされたものを確か\1000で拾ってきたものだ。このノートもキーボードのテカリは皆無で、やはり控えのままVistaということでかわいそうな一生を送ったものだろう。

通常HPのパソコンはDellよりおしゃれなのだが、この製品は液晶パネル裏にも、キーボードベセルにもシボがまったくなく、またパッドのボタンの感触も最低と、高級感が無いすっぴんノートである。ただしキーボード上の音量調整が指のタッチでスライド式で、BIOS設定も特殊など、一部にはHPらしいところもある。ただし電源端子が特殊な丸形なので、アダプターを選ぶ。

本来はCore2Duo-p8400の2.26GHzのTDP25Wが搭載されていたが、高速なわりにTDPが低いこのCPUは他の大型ノートにとられ、代わりに別の液晶が不良となったートのCore2Duo-T7250のTDP35Wが刺さっている。

その大型ノートにはClelon550のTDP31Wが刺さっていたが、Core2Duo-T7250のTDP35Wに換装したら電力不足で起動しないことがあったので、Core2Duo-p8400の2.26GHzのTDP25Wに換装した。このノートにはCore2Duo-T7250のTDP35Wを刺したところ問題なく起動するのでそのまま使っているのだ。 

ただ、その大型ノートはSocketM(白色)だったので、本来はSoecketP(ピンク)仕様のCore2Duoは走らないハズだが、実際は問題なく動く。その理由は、Core2DuoのMerom世代にはピン配置が異なるSocketM仕様とSocketP仕様が混在していて、セットメーカーはモデル設定に困ったので、どちらでも刺さる改造ソケットと対応Biosを乗せたようである。

GM45チップセットはmobile Intel 4 Seriesと呼ばれるi945のマイナーチェンジ版で、次のCoreiXでメモリーバス内蔵となる一大変革を控えていたため小変更にとどまった。性能的にはWindows7やwindows10でも十分使えるが、プロダクトキーがVistaというM$の黒歴史として無かったことしたいOSで、windows7のようにwindonws10にアップデートできず、最新のyoutubeやAmazonPrimeVideoが見れないので放置されていたのである。

黒歴史を消したいならVistaもwin10にアップデートできるようにすべきだったと思う。WinXPのPOS仕様と有料アップデートは2019年までサポートされていたのに、Vistaは2012年までで、有料アップデートも2017年までとひどい扱いである。

さて、Core2DuoT7250 2GHzの性能はCPUMARKのCPU総合1124で、Intelモバイル系最新最速のCoprei7-9750H-TDP45Wの13476と比べると悲劇的に見えるが、相手は6コア12スレッドの最高4.6GHzでの性能である。コア数とクロックを揃えると1.7倍でCore2Duoが2006年発売の15年前のCPUでメモリーバスを内蔵していなかったことを考えると大した違いでは無い。その差の大半はMMX系浮動小数点演算によるもので、整数演算だけならクロックあたりでCore2DuoはCoreiXの80%位の性能がある

一方TDPについてはコア数とクロックを揃えると0.17倍となる。流石にプロセスルールが45nmから10nmに進化しただけのことはある。つまり、16年間にコア自体の性能はあまり改善していないが、製造技術の進歩のおかげでTDPは確実に減ったということだ。

VISTAは64bitではあるものの、OSのサイズが小さいのか2GBメモリーでも我慢できるレスポンスである。Windows10の64bitがさまざまな策を練ってもレスポンスが鈍いのはOSが大きすぎるからである。Win10ではCPUを高速なものに換装しても実用レスポンスはあまり改善せず、SSD換装もしくは大量のReadyBoostのみが有効な策である。

インストは、Vistaに80GB、lubuntu-18.04.5に80GB割り振った。USBメモリーからごく短時間にインストできた。もちろん、FirefoxのAmazonPrimeVideoのフル画面再生は余裕で、動画再生中で他のタスクのレスポンスも良好である。Chromiumもインストールされたが、やはりDRMの問題かAmazonPrimeVideoは再生できなかった。

このノートは12inchとコンパクトながら1280x800液晶を持ち使い勝手が良いので、ベッド上で動画を見るのに使っている。

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VAIO VGN-AS34B(CeleronM1.5GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

物はCeleronM-1.5 GHz DDR2-2GB、1280x800液晶、i910GML EXPRESS チップセットHDD100GBの大型ノートでWifiは内蔵InterPROである。

このノートには、録画予約が可能なアナログTVチューナーとビデオキャプチャーがのっていてロケフリ機能もある。SlingBoxみたいに他のパソコンにテレビや保存したビデオをキャストできるようになっている。仕事場では手術ビデオの編集などに重宝していたが、その後はWinXPHomeということで放置されていた。

久しぶりに火を入れたがBIOS設定がクリアされていた。CMOS用のリチウム電池がなくなったと思い苦労して分解したが、バックアップは充電可能なニッケル水素電池だった。2,3時間ONで放置して充電後再起動したら動かなくなった。電池端子をはずしたところ設定がクリアされて再度動作した。

充電式のバックアップ電池では中途半端な充電で起動すると設定不良で起動しなくなることがある。分解したまま2昼夜ほど通電放置したら正常に稼働するようになった。SONYのVAIOにはけっこう充電式があるようで、起動しない場合は電池コネクターをはずしてクリアした後に起動し、その後二三日通電で回復する場合がある。ただしVAIOはSONYの通弊として分解に神経を使う個体が多い。

筐体はシルバーだが、キーボード左右の角がなだらかに下にカーブしていて、HGウェルズの映画の宇宙戦争(1953)のUFOみたいな優美なデザインであるが、機能的にはいくつか悪癖がある。

それはチップメーカーの提供した標準回路例からC、Rやインダクター等のフィルター回路を省いて小型化するという悪癖だ。かつてパソコン雑誌で、エンジニアがいかに標準回路から無駄な部品を省いて小型化するかが腕のみせどころとか書いていたことを思い出した。

このノートは、福岡タワーから500mの窓に面して置いていたが、ビデオ信号に縞が入っていた。おそらくテレビ電波を拾って干渉していたのだろう。パケット無線を同室で送信すると、オーディオに雑音が入っていた。おそらくヘッドホン端子を含めAV入出力端子のフィルター等を省略したために、ケーブル類を接続すると電波を拾うようである。

もちろん、メーカーではノート単体から発生する電波障害については規格に合格させているのだろうが、ケーブルをつないだ場合あでは保証されない

チップセットはi910GML EXPRESSチップセットとCentrino第二世代の構成なので、lubuntu-18.04.5-desktop-i386.isoのインストールは順調に終わった

問題のAmazonPrimeVideoの再生は、フル画面の画質標準でわずかにコマ落ちするががさほど目立たないレベルにとどまる。AVパソコンではあるが、動画再生補助機能を持つ高機能ビデオチップを別途搭載していないので、VGA解像度ならともかく1280x800のフル画面では能力が不足気味なのである。

やはり、フル画面での動画再生はCeleronの1.5GHzではギリギリの性能で、コマ落ちがなくレスポンスの良い動作には1.7GHz以上が必要のようである。

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DynabookSS (CeleronM1.73GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

スペックはM36 173C/2WのCeleronM-1.73GHz DDR2-1512KB 12型1280x800液晶、HDD40GB i945GMチップセット、指紋認証付きのモバイルノートで、現在持ち出しに重宝しているDynabookSS RX3の先代にあたるものだ。

このクラスはdynabookSS以外にも、パナソニックのレッツノートやVAIOなど、高価格なビジネスノートが溢れる激戦区で、M36もそれらに負けない装備と重厚な仕上げで、キーボードは防水となっている。

残念ながらCPUは高級仕様のCore 2 Duo T5500でなくCeleronR M430 1.73GHzである。使用時間の短いリースバック物件で、どうしてWebmasterの元にやってきたか記憶が定かでないが、おそらく作りが良いので拾ったものの、そのまま忘却されて放置されたようだ。

指紋認証やWifiは内蔵だがBluetoothは無い。現状ではメモリーを標準の512KBに1GBを追加し、裏のプロダクトキーからWinXPproをインストして軽快に動作しているが、OSバージョンの制限でyoutubeの最新のものやAmazonPrimeVideoのフル画面動画が再生不能である。HDDが40GBと小さいのも難点である。

そこで、WinXPに20GB、lubuntu-18.04.5に20GB割り振って再生することにした。BIOSはUSBメモリー起動に対応しており、簡単にインストすることができた。

最新のFirefoxがソフト更新でインストされ、YoutubeやAmazonPrimeVideoの再生も全く支障が無い。Chromiumもインスト可能であったので、これらを使う限りWin10での運用に遜色無いレベルである。HDDが小さいのが難点だが、SDカードスロットがあるので必要ならそれで補えばよいだろう。

東芝製というと、コンセプトが独断的でサポートが不親切、仕上げも鷹揚という印象だが、メーカーが激戦区に向けて力を入れて作った機種と、適当に作った機種との差は大きい。画面もコンパクトな12インチのわりに1280x800の解像度があり表示も美しい。

電池も生きていて持ち台可だが、問題はDynabooSSRX3が存在するため、これが持ち出されるチャンスがあるか?ということである。

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Versapro VJ13m(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

物はCeleronM-1.3 GHz 1024kb(748KB使用可能)、1024x768液晶、HDD60GBの標準的なビジネスノートでWifiは外付けUSBである。

どうしてこのノートが手元に来たのか記憶が無い。Webmasterはリースバック品を漁ることがあるが、中にはキーボードのテカリが全くなく使用感の乏しい代物が混じっている。おそらく企業でスペアのまま出番がなかったかわいそうな代物なのだろうが、裏にM$のプロダクトキーが貼ってあり、傷が少なくバッテリーが生きていて安価だったので拾ったのだろう。

プロダクトキーを生かしてOSをインストし、サポートから拾ったドライバーを入れれば安定して動くものが多い。メーカーはまずNEC製が一番信頼性があり、キーボードを始め品質が良い。富士通は細部まで注意が行き届いていない設計の上キーボードがボロで、東芝は独りよがりな仕様でサポートが悪い、ソニーは故障が多くメンテしにくい等で、よほどの拾い物でなければ避けたいところだ。

Versapro VJ13mは上質なシルバーで塗装され端正なNECデザインでキーボードも良質だが、裏に冷却ファンの入り口があるのでACERのOEMだと思う。ACERは中華製の中では品質が安定しているが、裏にある冷却ファン入り口がテーブルクロスやふとんで塞がれて過熱するという欠点がある。NECの場合はたとえOEMでもデザインやパーツ、品質等は自社の基準が維持されてるようだ。

チップセットや周辺パーツとAVはi915GMチップセットとCentrino第二世代で、PCMCIAがTI、100BASEがRealtekと標準的である。100BASEがintelでないのはCentrinoパッケージのWifiが実装されていないからであろう。

インストはDVDから行った。具体的な手順は、、lubuntu-18.04.5-desktop-i386.isoであること以外は下段のThinkpadT23と同じである。表樹的なパーツで構成されているために問題なく進行し、MediatekのUSBWifiのMT7601も良好に動作している。

さて稼働レスポンスだが、同じ構成のDellの製品より良いように思う。Dellも標準的なパーツを多用するが、同じパーツであっても実装や細かい設定で微妙な性能差がでるもので、この点NEC+ACERチームは良いしごとをしているようだ。

さて、問題のAmazonPrimeVideoの再生はフル画面の画質標準で、コマ落ちがあるがさほど目立たないという実用最低限のラインである。操作に対するレスポンスは緩慢なので、環境ビデオでも流すのに向いているかも知れない。

この機種ではChromiumはうまくインストできなかった。Chromium派生ブラウザーとしてはOperaがうまくインストされたが、DRMの関係かAmazonPrieVideoが再生できなかった。OfficeはLibreofficeが完璧に動作するので、当面の仕事には不自由しない。

というわけで、PentiumM世代のパソコンで、フル動画再生が1.3GHz程度でも可能な個体があることは事実だが、レスポンスの良い動作にはCeleronMの1.7GHz程度、メモリーも最低1GB欲しいところである。

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Gateway LT2000(AtomN280-1.66 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ

高級な赤メタリック塗料にGatewayの立体的なマーク(ひっかかって不便だが)と重厚な作り。仕上がりはVAIOのtypeWに遜色無い上質なものだが、高額ネットブックというコンセプトに誤りがあったのか売れ残りを安価で入手することができた。

物はACER Aspire OneのOEMでTDP6.5WのCPUのためバッテリーも長持ちだが、解像度が1024x600と縦が足らないので画面を80%に縮小しないと下部がケラれてボタンを押せないことがある。

スペックはAtomN280-1.66 GHzの1コア2スレッド、1GB、i945GSE Express、HDD160GB、WifiとBluetooth実装で、チップセットはPentium-M後期からCore初期のCentrino第三世代のもので、同程度のクロックのCeleronMとの性能差に興味がある。WebmasterはAtomの2コア4スレッドのデスクトップを自宅と仕事場で使っていて、Atomの性能があなどれないことを知っている。

インスト手順はThinkPadT23と同じだが、チップセットがより新しいのでlubuntu-18.04.5-desktop-i386.isoをインストした。

DVDドライブが無いのでUSBメモリーからインストしたが、ランダムアクセスが早いのでDVDの数分の1の時間でインストは終わった。Lubuntuのお試しモードはUSBから起動で常用に耐えるレスポンスがあるので、USBで起動可能なパソコンなら乗っ取り運用が可能だ。ただし起動USBにファイルが保存できない(DVDのふりをしているので)、クラウドか別のドライブにデータをセーブすることになる。

結論的には、AmazonPrimeの動画再生は同じHD450グラフィックのCerelonMの1.6GHz+i945チップセットのものより良好で標準画質ならコマ落ちしないことがわかった。

マルチスレッド機能はスレッドを複数のパイプラインに分配して同時稼働させる技術だが、メインの整数パイプラインではタスク間の依存やIOの奪いあいで効率が上がらない。しかし整数パイプラインとMMX系の演算パイプラインとにスレッドを分配しやすい動画再生ではマルチスレッドが効きやすいと言われている。

coreシリーズの起源をインテルはP6のPentiumMとしているが、それは嘘でPentiumV由来である。Atomシリーズは80386コア由来で、どちらも80386の系譜とではある。

クロックあたりの効率を上げるためにパイプライン複数化とOut of order処理を強化したのがPentiumVだが、インテルがDECから購入したStrongARMの影響もあって、シリコンを食うOut of order処理を省いたコアを複数使って低TDPを狙う作戦に変化したのがAtomシリーズである。ただしCoreシリーズもAtomシリーズも、廃止されたNetburstシリーズで開発された高速I/Oとマルチスレッド技術を実装している。

パフォーマンスが劣るハズのAtomだが、WindowsではAtomは意外や善戦する。それは、毎回同じ話で申し訳ないが、

なぜNT族はかくも遅いのか?

。。。。。。。。。Windows族の特徴の一つにDLLへの過大な依存がある。システムサービスの多くをDLLとして実装することにより、DLLをダイナミックに更新するだけでバグフィックスや機能の追加が実現できる。また使用頻度の低いDLLは細切れになってスワップアウトされるので、メモリー効率も良いはずであった。従ってM$はDLLを乱発し、システムはDLLだらけとなった。この点がOSの機能が固定されているモノリシックなUNIX族と大きく異なる。。。。。。。。

と同じ話である。処理が多数のDLLファイルに分散して存在するためにコードのローカリティーが低く、頻繁なファイルアクセス、タスクスイッチやジャンプが発生するために、キャッシュ効率をはじめ様々な高速化のシカケがうまく動かないので処理が遅くなる

このため、Out of order処理を省いた軽量コアのAtomが意外に良好なパフォーマンスを発揮するのである。そういえば、アップルもインテルCPUを捨ててARMのマルチコアに転向したらしい。Windowsは肥大化を続けており、速度があがらない最大の原因は過大なDLLファイルへのアクセスなので、最新のCoreiXシリーズでも高価なCPUを装備するよりランダムアクセスが早い安価なSSDに交換するほうが遥かに実用性能が高くなる。

というわけで、軽量なLT2000の出番だが、問題は10インチ前後の画面がタブレットと用途がバッティングすることだろう。Webmasterの手元にも10インチタブレットがあり、これと出番を競うことになる。

動画を見るだけならタブレットが有利だが、タブレットでの細かい入力ミスが身の破滅に繋がりかねない銀行や証券の業務には、やはりキーボードがあるLT2000のほうが安心である。

というわけで、LubuntuでAmazonPrimeVideoが安定して再生可能となったLT2000は出番が増える予感がある

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Thinkpad T23(PenV-1.13GHz)のLubuntuによる再生のナゾ

Webmasterの手持ちで稼働可能なノートのうち最古でもっとも性能が低いThinkpad T23(PenVM-1.13GHz-512KB-HDD30GB)をLubuntuで再生したい。これが実用可能な状態まで再生できれば、他の全てのノートも再生可能となる、いわば試金石のようなものである。

実物はチタン製液晶カバーがゴムコーティングされた重厚なものだが、内部は多くの仕様が用意されたフレキシブルな作りになっている。チップセットはi830MPで、メモリーはSDRAMと古いものである。

この機械はIBMの保証付き純正リビルド品として入手したが、もともと高額商品のためリビルド品でも高かったことを覚えている。XPproが搭載されていたが、家人がウイルスでHDDを空にされてしまった。IBMの包括契約のためプロダクトキーが貼付されておらず、他機種お下がりのWindows2000をインストしたものの、赤いポッチが使いにくいとのことで長い長い眠りについていた。

現状ではWindows2000が敏速に稼働しているが、2019年までupdateされたXPに比べてシステムのセキュリティーが古く、対応したワクチンソフトAVASTが更新停止のためネット接続のリスクが高い。そこでサポートが続いているlubuntu-16.04.6-desktop-i386.isoをインストし、DRM対応の最新のFirefoxとすることで、安心してネット接続できるようにしたい。

性能レベルだが、多くのノートをLubuntu化した経験によれば、1024x768のフル画面動画を再生するには最低でも1.3GHzのCerelonMが必要なようだ。このノートはPentiumVの1.13GHzなので、YoutubeならともかくAmazonPrimeの映画再生は厳しい予感がするが、ディスプレーアダプターのS3のSuperSavage IXC16はUMAでない内蔵メモリーを持ち標準的なi830P内蔵グラフィックより高性能なので、あるいはうまく再生できるかも知れない。

メモリー増設の手持ちが無く256x2=512KBと寂しいので、徹底的に軽量化する。HDD30GBも寂しいが、Windows2000のシステムを軽量化して5GB以下とし、10GB、Lubuntuに20GB割り振ることにした。

なお、Lubuntuは18.04LTSではインストエラーとなったので、ulubuntu-16.04.6-desktop-i386.isoをDVDに焼いてインストした。PentiumMより古い世代のノートにはLubuntu16.04が必要のようである。なお16.04LTSは2021年、18.04LTSは2023年までサポートされる。

手順としては、

1)最初にWindows2000でディスクのチェックする。ISOを焼いたDVDからインストするが、同時アップデートにはWiFiが必要なので古めのLogitecLAN-W150/U2を刺した。BUFFALO WLI-UC-GNM、Qualcomm-Atheros、MediatecMT7601U等の2.4GHzモノバンドのポピュラーなものには標準対応のようだ。BlueToothも安価なCSRV4.0には対応している。

2)途中でWifiの設定があるので、SSIDを選びパスワードを入力し、インスト中に同時アップデートを有効とする。

3)インストするHDDを分割してWindows2000と共存できる。Lubuntuのシステムに20GB割り振ったが、不足ならWindws2000のパーティションに越境してファイルを退避する手もある。

4)機器名、IDとパスワードを要求される。IDにはピリオドは含めない。

5)デスクトップが立ち上がるが、メモリー節約のため、メニュー、グラフィック mtpaint graphic editorでターコイス色の小さなPNGを作り壁紙設定定する。ラベルテキストフォントはubuntu9にしている。Firefoxのプロセス数はデフォートでは8だが、メモリー節約のため3とする。

6)メモリー節約のためドックでデスクトップページャーを起動しデスクトップ画面数を1とする。外観で表示フォントサイズを全て9とする。テーマはWindows風のClearlooksを選んでいる。

7)ルックアンドフィールのウィジェットでM$を意識したRedmond、デフォルトフォントはubuntu9を指定、アイコンテーマはチリ箱がきれいなGNOME、その他のツールバースタイルでテキストなし、ツールバーアイコンサイズはボタンと同じとしている。

8)次に、software UpdaterでアップデートするとFirefoxも88.0.1まで更新される。ディスクスペースが不足したらターミナルでsudo apt cleanを実行してテンポラリーファイル等を消し、不要データをwindows2000領域に越境させるが、それでも不足ならGpartedでパーティションを拡大する。

9)Forefox88.0.1では、最新のYoutubeもAmazonPrimeVideoも動作するが、設定でDRMを有効とする必要がある。Syncで通常使っているFirefoxとブックマーク、設定の一部、拡張機能が同期できるので便利である。

10)Libreofficeをインストする。M$Officeとは90%程度互換である。

11)ブラウザーのサブとしてソフトウェアからchromiumをインストするが、システムがアップデートされていないとインストしても動作しない。GOOGLEのChromeに酷似しているがと同期しないので、BookmakrはChromeからファイルで持ってくる必要がある。拡張機能は最新のChromeと同じものが使えるが、DRMの仕様が異なるのかAmazonPrimeVideoは動作しなかった。

なお、Lubuntuの最新64bit版では純正のGoogleChromeをインスト可能だが、円滑な動作にはメモリーは2GBを要するようだ。

というわけで、長い眠りについていたThinkPadT23で少なくともYoutubeはまともに動作するようになったが、やはりAmazonPrimeVideoは無理のようだ。全般的な動作はwindows2000よりかなり緩慢だが、その原因はCPUのパフォーマンスというよりはメモリー不足が原因のようである。窓の数が増えるとめっきり遅くなる。

次回は小さなのノート(Gateway LT2000 AtomN280-1.66 GHz1コア2スレッド、1GB、945GSE Express、HDD160GB)にLubuntuを載せて、動画再生能力を探ってみたい。

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古いXPやVISTAマシンで最新のYoutubeや動画配信を見る方法のナゾ

あなたの周りにも、まだ元気なXPやVISTAのマシンがあるだろう。

WinXPについては、

WindowsXPは2019年までの寿命を全うしたか?(XP改は2019年までサポートされていた編)
焼き餅焼きのVaioG故障のナゾ(ファン注油とXP延長サポート編)

のように、レジストリーに1行加えるだけで、XPを高機能POS端末用エンベデッド版として2019年までWindowsupdateが可能であった。セキュリティー的には、この操作で2019年レベルまでアップデートし、あとはAVASTなどのワクチンソフトをインストすればまず大丈夫というレベルに維持はできる。個人的には、OSは巨大なものほど未知の穴が多数あるので、2019年まで対策され尽くされたXPのほうがよっぽど安全だと考えている。

いずれにせよ、XPはシステムが300MB以下でメモリー1GBでも軽快に動作するが、Youtubeの新しい圧縮codecのものが見えなかったり、アマゾンプライムのような映画オンデマンド再生ができないことである。実際にはブラウザーにデジタル著作権管理 (DRM; Digital Rights Management) があればよいのだが、その前にOSバージョンで蹴られるのだ。

そのためには、パソコンのHDDを分割して別のOSを載せて、新しいブラウザーで動画を見る方法がある。XPで星の数ほど存在するWinアプリを使い、動画の時だけを別のOSを使うのである。これについて、Webmasterがトライした方法を紹介したい。

1)LINUXを使う(32bit版のLubuntu 18.04.5 LTS Bionic Beaver)

いろいろあるディストリビューションのなかで試したのはLUBUNTUである。LUBUNTUは軽量化したUBUNTUで、OSは実測で300MB以下とXPとほぼ同じ大きさである。メモリーは500MB以下でも動作するが、1GB以上あるとその高速性が際立つ。

使用したのは32bit版のLubuntu 18.04.5 LTS (Bionic Beaver)で、こちらから入手できる。

Alternate install image版もあるがフル版をお勧めする。というは”インストする”以外に”試す”メニューがあり、isoファイルをUSBメモリーに焼けば、ほとんどのパソコンを間借りしてブラウジングとオフィスアプリ(Libreoffice)が使え、作った文書はクラウド(例えばGoogleDrive)に残すことができる。しかしUSBメモリーは自分をCDROMと思っているので、自分自身にはファイルは残せないが。

インストすると、ハードディスクの分割を提案してくる。Windowsとどちらが大きなファイルを使うかの用途で決めればよく、Lubuntu側は30GB以下でも例えば映画を見るだけなら十分に使える。操作はWindowsユーザーにもさほど違和感が無いようにチューンされている。

まずFireFoxがプレインストされている。これは他のパソコンのFirefoxとSYNCさせれば、Bookmarkも拡張機能も引っ越してくる。現時点では最新のGoogleChromeは64bit版だけだが、古い32bit版ならインストできるようだ。機能的にはWindows版とまったく同じである。

WiFi子機は2.4GHz帯の代表的なものはドライバーが自動的にあてられるが、2.4GHzと5GHz両用のものは自動的にはドライバーは当たらなかった。

他にはChromiumブラウザーがインストできる(できない場合もあるが)。これはCHROMEと機能的には90%同じだが、自分自身にログインしても、他のパソコンのブラウザと同期しない。Lubuntuソフトウェアセンターの問題はインストに失敗していてもエラーが表示されないことだ。

この場合はダウンロードファイルをGDebiパッケージインストーラーにかけてエラーを出し、対策すれば使えることがある。多くの場合はライブラリーが無いとか古いことが理由なので、それをSynapticパッケージマネージャーでインストすれば使えるようになる場合がある。

しかし拡張機能は同じものがCHROME STOREからインストできるし、ブックマークはファイルでもってこられるので、CHROMEとほぼ同じ使い方はできる。FirefoxもChromiumも最新のYoutubeもアマゾンプライムの映画を再生できた。

他にもChromium系のブラウザーがいろいろあるが、VelvetはうまくインストできなかったもののOperaはインストできた。オフィスはLibreOfficeがインストできたので通常の仕事の90%は可能というところだ。

使い道としては、Windows側のハードディスクが読めるので、起動不能となったWindowsからファイルを回収してクラウドに上げるとか、ハードディスクのパーティションをGPARTで操作するとかは可能だ。過去、WebmasterはLINUXをで起動不能のWindowsからファイルを回収するのによく使っていた。

今回はレスポンスの点で32bit版をインストしたが、アプリの数としては今は64bit版のほうが潤沢かもしれない。純正Google Chromeの64bit版がインストできるので、Windowsの代替としては良いかもしれない。64bit版もWindows10よりは軽快のようである。基本的に、パフォーマンスの劣るマシンで、XPのように身軽で、しかも最新の動画サイトにアクセスできるという用途には一番向いていると思う。

2)CHROMIUM-OSを使う

CHROMIUMーOSも、The Chromium Projectsからか、カスタムビルドサイト例えばChromium OS Buildsからダウンロードする。X86、amd64、ARM版などがある。Webmasterが試したのは相当古いCx86OS_R60-9592.B-Special.7z(2017)だったと思う。

ダウンロードして7Z解凍したimgファイルをImage Writer for Microsoft WindowsでUSBメモリーに焼くのである。

最近はneverwareにあるCloudReady でUSBメモリーに焼くのが流行のようだが、32bit版は廃止されているようだ。

インストは簡単だが、タッチパッドがうまく動かず、ドライバーを仕込む必要があり、WebmasterはUSBのマウスを使っていた。おそらく最新版では改められているのだろう。基本的には身軽な印象はある。

しかしCHROIUMーOSにはかなりの違和感がある。

まずログインにGoogleで使っているIDとパスワードが必要だが、Googleには個人情報、住所録、クラウドファイル等重要な情報が紐付けられているので、毎回他人がいる環境では入力するのに抵抗がある。

なので、もう一つアカウントをつくっても良いが、OSとCHRONIUMブラウザーが一体なので、ログインと別のアカウントでGmail等にアクセスは表向きできないことになっている。オフィス等はGoogleのクラウドバージョンを使い、作成したドキュメントもGoogleDriveに記録される。つまりすべてがGoogleを中心に回っていて、ブラウザーも選ぶ自由すら無い

IーPHONEがアップルの箱庭で動いているのとおなじようなもので、自由がなく息苦しく、個人的には不愉快のなOSだと感じたのでそうそうに消去したし、二度と使おうと思わない。

初代CHRONIUM-OSのようなものは、実質的にはパソコン版アンドロイドだった。これだとアンドロイド版アプリに限られるものの、Ver2.2のころのアプリはほとんど動作していたので、息苦しくはなかったが、その後奇形的に発展したのがCHROMIUM-OSのようである。

3)Remix OS for PC

これはLYNUXなどと様子がことなり、malavidaからインストールする。すでにラストバージョン : 3. 0. 207で開発は終了しているが、Android ver6相当の環境をパソコン内に作るものだ。

インストすると、ブートに細工するものの、OS自体はWindowsをインストしたHDD内で32GB以上のサイズをもった単一の特殊ファイル構造としてとどまっている。

細工したブートからREMIXを選ぶと、99%アンドロイドの世界である。したがって、ブラウザーもchromeを始め、各種選ぶことができるが、あくまで操作はスマホと同じで、細かい設定などは提供されない。例えば、パソコン版のChromeのようにいろいろ拡張機能を選ぶことができない。

ただしスマホと異なるのは、アプリが完全に独立した窓で多数開けるので、アプリ間の見通しがよいし、アプリ間でデータをコピペしやすいことだ。スマホでは、アプリを切り替えてコピペしても、戻ったときにアプリが消滅していることがある。それはアンドロイドOSがメモリーが不足したら勝手に終了してしまうからだ。

それが、マルチウインドーで複数のアプリが見えていれば、サイトを見比べながらデータのコピペが簡単なのだ。

というわけで、CHROMIUM-OSのような閉塞感、息苦しさは無いが、はたしてPCにこのOSが必要か?と言われれば問題ではある。個人的には銀行や証券などの金にかかわる作業をスマホで行うと、指が滑って飛んでもない操作をするのではないか、という恐怖があるが、それがREMIXでは落ち着いて操作できる気がする。

というわけで、存在価値はあると思うが、やはりLUBUNTUのようなOSらしさは無い

ということで、結論としては、やはりwinXPは生かしたまま、必要に応じてLUBUNTUを起動する。ドライブはお互いに見えていて、ファイル操作は可能というのが一番しっくりくると思うがが、CHROMIUMーOSで何ら違和感、閉塞感を感じないという人もいるかもしれない

個人的にはI-PHONEを使うと、箱庭感というか、アップルの押し付け感、閉塞感、息苦しさ感に耐えられないが、日本のスマホユーザーの半分は、I-PHONEに拘束されたままで満足しているわけで、これはユーザーの好みによるとしか言えないのである。

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64bit版Windows10の呪い(鈍い)のナゾ

皆様はどんなパソコンをお使いだろうか?

Webmasterの手元には古いリース上がりのノートパソコンが多数ある。これは仕事場近くのパソコン屋が入居ビル建て替え閉店セール時に安く(1000-2000円)で入手した数台と、病院の同僚がウイルスで白紙になったのでくれた2台があるからだ。特に在庫一掃セールではマグネシウム合金のdynabookSSRXの未使用品が2台ありとても調子が良い。いずれも裏のWindows7のプロダクトキーを確認して購入している。

いずれもWindows7のサポート終了のために放出されたものであろう。個人的には入手したパソコンは即刻プロダクトキーに保護テープを貼って保護している。これがあるかどうかがパソコンの命運を決めるからだ

始動不安定で部品取りにした1台以外は全て快調で、裏のプロダクトキーを使いWindows7経由でWindows10に更新して調子よく走っている。そのうち2台は、Windows10が不調という友人にプレゼントした。

友人の2台はシステムがWindowsupdate失敗にかかわるゴミまみれなので掃除してあげたが、タダであげたリース上がり物件のほうが遥かに快適に動作するとかで満足しているようだ。

実はWebmasterの家にも動作不調のWindows10ノートが2台あり、いろいろ掃除をしたものの反応が悪い。他にやはり不調のVISTAノートが1台あり使われていない。

そこで気付いたのだが、レスポンスの鈍いノートは全て64bit版であった。どうしてを不調になるかというと、64bit版はメモリー効率が悪く、Windows updateの時間が長くかかる。しばらく放置後に起動すると毎回Updateがかかり、仕事にならないので強制電源オフされる。またしばらくぶりに起動すると、さらに大量のUpdateがかかりレスポンスしないので強制オフされる。そうこうするうちに、適応されていない大量のupdateファイルで埋もれて、実質的に使えないパソコンになってしまうのだ。

そうなると、世間のユーザーは調子が悪く使えないパソコンは放置し、タブレットに転向する。確かにアンドロイドやipadのほうがwifiやbluetoothが安定している。Windowsのwifやbluetoothは歴史的に後の方になって出現したせいで実装が悪く、不安定で使いにくいのである。実際にWindowsのwifiはなぜか不要で頻繁なセキュリティーチェックのたびに切れるのである。

一方、リース上がりのノートはまずHDDがクリアされているので、手持ちの32bit版Windwos7をインストし、その後Windows10に無料更新すると、余計なアプリがないまっさらな状態なので、メモリー4GBでもサクサク快調に動作するのである。

64bit版のメリットは、まずディスク容量やメモリー容量が大きいことで、大量のデータをクランチする作業に向く。一方CPUまわりやメモリーやバス容量は同じなのに、コードが5割から倍大きいので、全てのコードのロード・アンロードに時間がかかり、レスポンスが遅いのである。

Windowsは機能の大半を非同期にロード、アンロードされるDLLに散在するコードに依存していて、ファイルやメモリー読み書きのローカリティーが低く、パソコンのディスク、メモリー、CPUに散在するキャッシュの効率が悪く動きが鈍くなるのである。

さて、現在ではWindows10などはあるていど軽量化しないと使いものにならないというのは常識化しているが、それを風水変造と称して唱導したのはネットでもWebmasterははしりだと思っている。過去の

□Mar. 9:WinNT族での風水変造を考える・実践編
□Mar. 2:WinNT族での風水変造を考える・序章

のセリフだが、要点は

”なぜNT族はかくも遅いのか?

Windows族の特徴の一つにDLLへの過大な依存がある。システムサービスの多くをDLLとして実装することにより、DLLをダイナミックに更新するだけでバグフィックスや機能の追加が実現できる。また使用頻度の低いDLLは細切れになってスワップアウトされるので、メモリー効率も良いはずであった。従ってM$はDLLを乱発し、システムはDLLだらけとなった。この点がOSの機能が固定されているモノリシックなUNIX族と大きく異なる。

しかしM$はDLLにあまりにも依存しすぎた。たとえば一つの窓を開くためには多くのDLLが呼ばれる。画像や文字の表示やマルチメディア機能のためには、さらに多くのDLLがディスクから読み込まれることになる。そして、新しいバージョンではより多くのより肥大したDLLがロードされることとなった。

しかし、本来DLLは脇役のハズである。主人公であるアプリケーションのコードやデータがディスクから読み込まれ処理が行われるのだが、窓が開く瞬間にアプリケーションが握っていたリソースの多くが脇役のDLLに奪われてしまう。そしてアプリケーションとDLLがお互いにCPUの処理を、キャッシュを、仮想記憶の実メモリー分を、そしてディスクキャッシュを取り合うことになる。つまり、リソースを巡るDLLの春秋戦国時代と言うことである。”

”当時Pen-IIの廉価版として登場したセレロンにはL2キャッシュが装備されていなかった。しかしオーバークロックが効くセレロンはマルチメディアやゲームでPen-IIに肉薄する性能を示した。それは、CPUパワーが期待される重い処理ではタスクスイッチのためにL2キャッシュの効率が低下するからである。

本来マルチプロセッサー(SMP)ではバスの競合を避けるためにCPUが大きめのL2キャッシュを装備することになっている。しかし、L2キャッシュが無いデュアルセレロンの性能がデュアルPen-IIと遜色が無いということは、NT族ではSMPにおける常識が働いていないということである。 それでは同じ処理をWin9xとWin-NTに行わせるとどうなるだろうか。基本的にアプリやOSシェル、IEのコードの多くが共通であり、またマシン側のCPUキャッシュ量やメモリー量などのリソースも殆ど同一である。とすると、DLLが肥大化した分だけタスクスイッチの負荷が重いNT族の処理が遅くなってしまう。本来OSの32bit化と高度なスケジューリングによって高速化するハズのゲインが、DLLの肥大化によって喰われたのである。

どうやら電算機もレーシングカーと同じように、コードが太ったらお終いなのであって、太った分は高速CPUや高速ハードウェアでも埋め合わせができないということである。”

”スワップサイズの固定 Win族ではスワップファイルのサイズは可変としてディスクスペースを節約しているが、本当に有効なのだろうか。一般に処理が重くレスポンスが低下している場合には、使用可能な実メモリーが払底してページフォールトが発生していることが多い。OSにスワップファイルの拡大とスワップ処理を同時にやらせるのは負担が重い。また下手にスワップサイズが変化するとフラグメントも発生する。 この際スワップは固定してしまおう。これで頻繁に使われるDLL類を仮想メモリー空間(実メモリー+スワップファイル)の決まったページ(セクター)に落ち着かせ、OSの負担を減らしてやろうというのである。”

さまざまな風水変造のなかでも、仮想記憶サイズの固定化などは現在でも多くのユーザーがやっているらしいが、それを最初におおっぴらに唱導したのはWebmasterである。

その後WEBMASTERは、過大なDLL依存の効率を是正する目的でディスクの半導体化を唱導するようになった。それが、

ゼロスピンドルパソコンはNT族の夢をみるか?のナゾ
ゼロスピンドルパソコンはDMAモードの夢をみるか?のナゾ
ゼロスピンドルパソコンは超石器時代の夢をみるか?のナゾ

の三部作である。現在のちょっとメカに詳しいユーザーなら、事務作業とかに使うかぎり、パソコンのCPUを高速なCPUに換装するより、遅いHDDをSSDに交換するほうが遥かに資金効果的にコスパが良いことは常識であろう。

DMAモードを可能にしたCF搭載の64kbpsA”カードを刺したレッツノートCF-A1には非常に快適で、その後VAIOーGモデルに交代するまでWebmasterは常に持ち歩いていた。

まあ、手前味噌な話がつづいたが、古いWinXPパソコンで問題になるのは、まずYoutubeが見れるか、そして、アマゾンプライムのような映画配信が見れるか、であろう。もちろん、仕事の中心になるブラウザーやオイルツールも必要になるがこちらはハードルが動画配信よりは低い。

目安として、OSはwinXP、VISTA、LINUX系としては、LUBUNTU、REMIX,CHROMIUM-OSを前提にしている。現在XPやVISTAではYoutubuの動画再生に制約があり、アマゾンプライ等の映画配信は不可であるが、LINUX系のFireoxやCHROIUM系ブラウザーでは可能であることがミソである。R

おすすめの指針としては

1)ペンティアムMより以前のパソコンは(メモリーがSDRAM))実用的にブラウザーやオフィスは可能であっても、フル画面動画再生は不可に近い。

2)1GHzを超えるペンティアムM(セレロンMも含むセントリーノ)のシングルCPU(メモリーがDDR1ないしDDR2)はブラウザーやオフィスは問題ないが、フル画面での映画再生ではコマ落ちする。

ペンティアムMの後期でソケット479(SocketM)の製品で、CORE2duoの2GHz超に換装できれば、フルサイズ映画再生もWindows10も可能になる。

ここで問題になるのは、socketM(白色)とsocketP(ピンク)の互換性だ。ややこしいことにMerom世代では例えばT7500-2.20 GHz (200MHzx11)FSB800MHzはsocketP、T7400-2.16 GHz (166MHzx13)FSB667MHzはsocketMと、対応チップセットが同じでダイの世代も同じで性能まで殆ど同じながらsocketが違う。

お互い互換性が無い(ピンの細工で刺さらない)建前になっている。どうしてこうなったかは不明だが、一つはsocketPが高級仕様という切り分け、もう一つはデスクトップ用とモバイル用の切り分けにインテルが迷っていたせいであろう。

さらにPenryn(例えばcore2duo p8600)はsocketPのみでsocketMでは動作しないことになっている。で、そのままsocketPが暫く続くかと思いきや、次のCoreiXシリーズでメモリーバスがCPUに内蔵となりsocketPは短命で終わった。

セットメーカーにしてみれば、同じチップセットで似た性能のCPUに2種類のソケットを用意することはモデル設定、生産メンテで非常に迷惑なので、両方刺さるソケットを装備して後はBIOSでの対応を考える

というわけで、このあたりはソケットのピンが細工されていてCPUが刺さる場合はBIOSを更新することで動作する可能性がある。ただし、この世代のマザーボードはTDPは30W前後が前提なので、Penrynの45nmのcore2duoのP8400かP8600(TDP25W)あたりが適切だろう。チップセットは945 Express以降となるが、そうでなくても動作する場合があり、これはケースバイケースである。

3)core2duoで2GHz超の場合(メモリーがDDR2)。映画のフル画面再生もWindows10も可能である。core 2 soloではフル画面動画は難しい。メモリーは3GB以上が必要だが、あえて4GB以上としない理由は次項で説明する。

4)coreiXの場合。映画のフル画面再生もWindows10も可能であるが、32bitでもメモリーは4GBとしたい。その理由は、Windows10の32bit版の場合は使えるメモリーは2.9GBで、その上にシステムがワークエリアを設定し、例えばROMのシャドーなどに使われる。シャドーとは周辺機器のアクセス速度の遅いROMの内容をメインメモリーにコピーして高速化する手法だ。

4GBメモリーの場合、600-800MBくらいWindowsが管理外のメモリーが存在するが、ここにRAMDISKを設定し、これを仮想メモリーのスワップ域として使えば、3.2GBを超えるメモリーを使えることになる。スワップには処理のオーバーヘッドがあるがが、それでもHDDよりは100倍早い。

Webmasterの場合は、無料のbuffalo_ramdisk_utility-3260を使っている(Googleで検索して欲しい)。しかし、この手のアプリにはお約束があるので、それを守らないとパソコンがレンガになる可能性がある。

A)確保するメモリー域は、アプリが示唆する空いている領域より50GB程度小さく使うこと。この領域は無法地帯で、BIOSやハードが特殊な処理をするために使う可能性があるので、目一杯設定しないことが必要だ。

B)buffaloのツールの場合、msconig.exeのブート詳細パネルの最大メモリー量は一切操作しないこと。バグのために起動メモリーが256MBに制限され起動に数時間かかる場合がある。そうなるとWindows10の場合、数時間かけて起動させる以外に回復の方法が無い。

C)RAMDISKのフォーマットはNTFSとすること。baffaloのツールは終了時に内容をディスクに書き込み、起動時期書き戻す処理をするが、baffaloのツールは終了時に内容をディスクに書き込み、起動時期書き戻す処理をするが、FAT32の場合swapfile.sysのアトリビュート設定に失敗するのでNTFSフォーマットを指定すること。

C)この領域にReadyBoostを設定しないこと。baffaloのツールは終了時に内容をディスクに書き込み、起動時期書き戻す処理をするが、FAT32の場合ReadyBoostファイルアトリビュート設定に失敗する。NTFSの場合もうまく行かないことが多い。

E)パソコンのスリープは使えるが、休止は使えない。休止はメモリー上のイメージをそのままHDDに書き込み、回復時にそれをメモリーにロードするが、Windows管理外の部分は処理されないので、休止に失敗する。

F)システムの終了時、起動時にRAMDISK域の読み書きに余計な時間を要する。スリープでの運用がベターである。

G)Windows10はシステムだけで1GB以上を食っていて遅い。高速化はCPUを換装するより、HDDをSSDに変えるのが一番効果的だ。しかし、HDDをクローンする手間があるので、USBメモリーもしくはSDカードを刺して、ReadyBoostを4GB以上設定するのがよい。SDカードが貴重なUSB端子を消費しないのでベターだが、USBの場合は殆ど出っ張らないSandiskのCurzシリーズ(16GB超)がおすすめである。

Windows10の32bit版にメモリー4GB装備で、管理外をRAMDISKを仮想記憶として使えば、サイズ的には64bit版のメモリー6GB超装備に匹敵し、さらにファイルのロード、アンロード時間が短いので、トータルでは遥かにレスポンスが良い。個人的には巨大なファイルを用いずに、HDD容量が1TB以下でまに合う通常の業務の場合は、32bit版があらゆる点で有利だと思う。

実際、我が家にあった不調Windows10の64bit版を32bit版に変更した。この場合、まず32bit版のWindows7をインストールし、その上で32bit版のWindows10アップデートのISOファイルをマイクロソフトから入手する。

なおWindows10では、32bit版を自動的に64ビt版に変更するツールがあるが、その逆のツールがないので、バックアップやインストールは手動でやり、アプリも32bit版を用意する必要がある。chromeやbraveには32bit版があるがみつけにくい。その場合は古い32bit版をインストし、それをアップデートするのがいい。そのためにも、常用アプリはインストファイルを保存することが大事だ。

注意すべきは、マイクロソフトのWindows10への無料更新のページには、32bit版や64bit版を区別する表示が一切ないことだ。32bitのWindows7でアクセスすれば、32bit版のWindows10アップデートISOを無言で差し出してくれるので、自分で32bit版や64bit版を区別する必要がある。

次に、winXPやVISTAマシンをどうするか、である。確かに汎用のwinアプリが使えるメリットはあるが、Youtubeに制限があり、映画のオンデマンド配給が見れないのが致命的である。かといって、到底Windows10をインストールパフォーマンスは無い。

個人的には、そのような用途のためにハードディスクを分割してLINUXを乗せるのが良いと思う。長くなったのでそれについては次項にゆずることにする。

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火が着かないガスコンロのナゾ

台所のビルトインガスコンロの一つが火が着かなくなった。正確に書くと、つまみを押すと連続点火音がして着火するが、手をはなすと消えてしまう。

原因は熱電対(サーモカップル)による立ち消え防止装置の不具合である。熱せられた熱電対が発生する電圧で電磁石がガスの弁を「開」に維持する仕掛けである。熱電対の出力は20mVと小さいが電磁石で弁を保持する程度のパワーはあるのだ。

昔公団賃貸住宅に住んでいたときに、風呂釜が熱電対不良で使えなくなった。そのときは、修理が来るまで毎晩乾電池で弁を保持して使ったことがある。

我が家の先代のコンロは、長年の使用でバーナーが焼け細ったが、すでに交換部品もディスコンとなっていた。そこで、このコンロは苦労して探しだしたツマミ式(天ぷら過熱防止装置つき)である。個人的には、1挙動でガス栓の開、点火、調節が可能なツマミ式がベストだと思っている。

ちょっと前に一大勢力だったボタン式は、ボタンを押して点火したあと、別のツマミで火力を調節する、という不便なものだ。おまけに腰で押したり子供がイタズラしただけで火がつくためにロック装置がある。ツマミ式では1挙動ですむ操作がロック解除、点火、調節と3挙動必要だ。

これは不人気だったらしく、最新のは電子式ながらツマミで調節可能となっている。しかし、これは停電になるとると使えないという一大欠点があった。ガスコンロのレゾンデートルは、停電時に調理だけでなく、ストーブや照明のかわりになることにあるからだ。最近は電子ツマミ式ながら電池で稼働するものもあるが、電池寿命が短い上に電池の交換がやりにくかったりする。

しかし、このコンロはまだ数年しか経過していないので、故障にはまだ早い気がする。内部を覗くと、

赤と黒の電線が熱電対につながっていた。そこで、コネクターをはずして、隣のコンロと配線を入れ替えたところ、炎が保持されるようになったので熱電対が原因であることははっきりしたが、なんと隣のコンロも正常に動いているではないか。要するに、コネクターの接触不良あるいは、組み立て時にコネクターのもうひと押しが足らなかったようである。

このコンロは火口が3個と、片面の魚焼きがついているという標準的なものだが、長年の改良で魚は上手に焼ける上にまったく匂いや煙は出ない。冷凍したトースタが丁度3分で焼けるのことも重宝している。

最近のビルトインガスコンロはトップがガラスでできていて、五徳が小さいので加熱した鍋をコンロからちょっと横にどけて置くという操作ができない。さらには上面パネルに縁取りが無い!!コンロもあある。吹きこぼれがコンロを超えて調理台まで流れてしまうなど、不可解な設計である。

不可解といえば、ビルトインガスコンロの価格である。市場価格では10-30万するなど価格が盛りすぎである。というのは、ビルトインでないコンロ(ガステーブルの2火口ー)の電子式ガステーブルでビルトインと同じバーナーを使っているものが5万しない。さらに、ビルトインでは取付費もかかるのだ。

家庭用ガス機器には大きな闇がある。これについては、

グレードダウンした風呂給湯器のナゾ

を読んでいただきたいが、この手の卸価格はカタログ定価の3割程度と、極めて不明朗な業界なのである。

料理自慢の向きは、国産のへんてこ電子コンロには不平タラタラだと思うが、アマチュアには冷凍食品と電子レンジ、電気湯沸かしのせいでコンロの使用頻度が減っているので、それでOKなのかも知れない。ある意味コンロは調理という記号性だけのインテリアに成り下がったのかも知れない。

そのせいか、最近の料理自慢の向きは中途半端な国産のコンロではなく、舶来の強力バーナー4口コンロを使うそうである。

老婆心コーナー 国産のガスコンロは絶滅危惧種となる気配が濃厚なので、お気に入りのつまみ式コンロをお使いなら、バーナーの消耗部品は供給がある内にストックすることをおすすめする。

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キャンピングカーのリアサス異音との戦いのナゾ

ある時から、JB470が段差を乗り越えるたびにパキン、カキンという異音が聞こえるようになった。サスの故障は危険なので原因を探すがなかなかわからない。

一番の恐怖はアーム類の亀裂である。JB470はたくさん売れたデリカのトラックベースで、同じ構造のスターワゴンは4WD仕様もあり根強い人気があるが、ネットでもサス異音の話はあまり見かけない。我が家の車の固有の問題だろうか。

国際的にもLP300とその後継のLP400は相当数売れていて、エンジン4D56はコモンレール化されていまだ現役のようである。ネットで独文と英文のサービスマニュアルが入手できたのでパーツ類は把握できているが、それには既に廃止されたグリースニップルの給脂が指示されていたりと、古いままのあやしい記載もある。

まずはフロントサスのダブルウィッシュボーンの上下アームのチェックだが、目視ではクラック等は見当たらず、トンカチで叩いてみてもがクラックの気配はない。溶接機もスタンバイしておいたが出番が無かった。

ボルト類の緩みかもしれないので、サス、シャーシ等ほとんどすべてのボルト類をチェックしたが緩んでいる気配がない。フロントのアッパーアームがトーションバーとボルト締結されている部位にも緩みがない。キャブをシャーシーに固定するボルト類もしっかり締まっている。

サスのブッシュ類からの異音を疑い、ほぼすべてにCRC5-56やスプレーグリースを吹いてみたが音は消えない。

タイロッドエンドや上下アームのジョイントについては、

JB470キャンピングカーのタイロッドエンドブーツの更新編

の時に点検交換済である。アッパーアームとハブとのジョイントのブーツは緩めでグリースが少量漏れているが、この部分は同じ構造のハイエースやボンゴでも少量漏れるようである。

よく耳をすませると、パキン、カキンは前輪よりわずかに後ろから聞こえてくるようである。それにサスアームに問題があれば、すぐ上が運転席なのでもっと異音は大きく聞こえるのではないか_

そこで、次はトーションバーのクランクをチェックした。トーションバーはアッパーアームから車両中央まで長々と伸びていて、後端のクランクがシャーシからボルトで釣られている。このネジの調整で車高を簡単に調節できるのは各メーカーとも同じ構造である。これについては、

JB470の車高調整のナゾ(なるべくクルマを水平に近づけたい編)

を参照してほしい。クランクをシャーシーから釣るボルト両端は半円形の金属ブッシュになっていて、これがストロークに応じてわずかに摺動するが、この部にグリースを補給したがまったく音は変わらない。

サービスマニュアルでサス関係のパーツはすべてチェックしたが問題ないので、座席やエンジン点検蓋、エアクリーナー等のネジもすべててチェックしたが緩みもないし異音も消えないである。。それどころか異音の頻度が増えて、ちょっとした段差の旅味パキン、カキンと音をたてるようになった。この時点でWebmasterは少しノイローゼになったのである。

JB470は装備もエンジンも快調で、問題は唯一サスから聞こえてくる音が消えないことだけだ。ひょっとしてこの車はもう寿命なのか?

以前から疑っていたのが、リアサスのリーフスプリングからの異音である。リーフスプリングをUボルトで車軸に固定するホチキスドアリブは商用車では一般的な構造で、頑丈でメンテも簡単、さらに必要に応じてリーフの種類や枚数、ヘルパーリーフやゴムストッパー等でいかようにもチューンしアレンジでき、車高もかんたんに変えられるのが特徴である。

欠点はストロークをとるには長いリーフが必要なこと、車軸の位置決めが甘いこと、大きなトルクでリーフがたわんでワインドアップを起こすことなどだが、JB470では左右のダンパー下端が車軸を前後にまたぐようになっていて、ワインドアップに一応の対策がされている。これは古いサバンナRX-3でも使われていた方法である。

リーフスプリングのメリットとしては、重なったリーフ同士の摩擦でダンピング作用があることである。例えば鉄道車両には何枚も重ねたリーフの摩擦でダンパーを省略したものは多い。

リーフスプリングのデメリットとしては、リーフが擦れ合う音がでることだ。走行距離の多い車ではキュッキュとかキシキシといった音は出るし、走行距離が少ない車ではリーフのサビがすれあってガリガリと音がでることもある。この異音を嫌って、乗用車ではリーフの枚数を減らし、リーフ同士が擦れないようにゴムをはさんだり曲げてあるのが普通である。

しかし、リーフからパキン、カキンという音が出るだろうか????

この車は以前は福島県のいわき市付近で生息していたらしく、シャーシーは丁寧に防錆処理されていたもののリーフスプリングからはサビが落ちていた。リーフ同士は擦れ合うものだし、寒冷地では凍結防止剤を撒くのでリーフがさびていて当然だろうと思っていた。

リーフは4枚あるが、よく見ると上の2枚はサビで完全に固着しているようで、それがストロークでスムーズに摺動せずにパキン、カキンと音が出るのではないか?と推測した。

そこで、上の2枚の間にCRC5-56を吹こうとしたが、しっかりひっついていて隙間がない。そこで、前輪の片方を段差に乗り上げて車体を傾けてリーフ間を広げようとしたが、隙間なくひっつたままである。マイナスドライバーを隙間にうちこんでCRCを吹き込んでみた

その後不整路面を走らせると、リアサスからパキンカキンという音は消えてゴリゴリガサガサギシギシとものすごい音がした。どうやら2枚のリーフの固着がとれて摺動し始めたようである。このまま50kmほど走行してみたが異音はなかなか消えない。

そこで、リアシャーシをジャッキアップし、後車軸軸がシャーシから完全にぶら下がるようにし、さらにリーフ間をマイナスドライバーで叩いて十分開き、その間にスプレーグリスを大量に吹いたのが写真である。

その後100kmほど走ったところ、毎回走行開始時にズリズリキシキシ音が出るが、少し走ると消えるようになった。リーフスプリングは原理的に毎日ある程度の距離を走ってリーフを摺動させ続けないと異音が出るのである。

一方、乗り心地は格段に良くなった。もともと車重があるので乗り心地は悪くないが、ピッチングがやや不快だった。そのため、ランチョRSダンパーの調節ツマミを最強にセットしていたが、ホイールベースが短いのでピッチングは仕方がないものと諦めていた。

おそらく、距離が伸びるにつれて、リアのリーフの固着が部分的に取れてパキン、カキンと異音が出るようになったのだろう。その後いろいろ部位のチェックをしている間に固着がさらにとれて異音が出やすくなった、と考えると、これまでの現象の説明がつく。

そして、ピッチングが嘘のように軽くなった。今まではリーフスプリング同士が固着していてスプリングが堅い状態だったものが、スムーズに摺動するようになってバネ定数がさがり、ピッチングをある程度吸収するようになったのである。

もしあなたが、リアのリーフサスからの異音に悩んでいるなら、シャーシーをジャッキアップして後車軸を浮かせてリーフの間が開きやすくなったときにマイナスドライバー等をクサビとして固着をとり、その間にたっぷりグリーススプレーを吹けばよい。一旦固着がとれてリーフの間が開いたら、時々前輪の片方を段差に乗せてボディーを傾けてリアのリーフが開いた隙間にグリーススプレーを吹くといいだろう。

というわけで、JB470は絶好調である。近々、リーフスプリングのサビによる異音をを完全に取るために長旅に出ようと計画しているところだ。

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格安ルーター楽天モバイルのナゾ(ユーザーを選ぶ編)

Webmaeterは2019年9月からwinmax2+のモバイルルーターを使っている。それまでは、7GB契約のymobileスマホのテザリングを使っていた。

ルーターはHUAWEIのW05だが、これはキャッシュバックが\37000とW06より6000円高かったからである。確かにW06は最大1.2Gbpsを誇るが、4GLTE3本とWiMAX2+をCAとしてUSB接続した場合であり、WiMAX2+自体の性能はW05と同じである。何より4GLTEは1月に7Gbytesのしばりがあり3本のCAだと即座に上限を超えてしまう。そうするとWiMAX2+側も含め128kbpsが上限になってしまうので、あっても使えない機能である

最初に使った時に、多くのWiMAX2+ルーターが見えてユーザーが多いことに驚いた。速度は都心の駅周辺の通勤時間でも最低数Mbpsは出るのでストレスはないが、旅先や観光地ではエリアの関係で4GLTEしか使えないこともがあったが、そのような状況では7GBを使いきったことはなかった。

しかしW05はコロナ禍でテレワークを使う家人に取られてしまった。これは我が家のJCOM(ケーブルTVと電話も)が普段のピーク速度は十分であるものの、夕方に速度低下でテレワークが切れてしまうことがあったからだ。

そこで契約したのが、

怪しいクラウドSIMモバイルルーターのナゾ(期待を裏切ってまとも編)

Zeusu社クラウドSIMルーターであった。これは当初パケット上限無しであったが、例の「どんなときもWiFi」の通信障害後の行政指導で上限無しはなくなり、月40GBが2680円のコースとなった。

使い心地だが、電源ON後に仮の内部SIMからクラウドSIMに移行するのに30-40秒かかるが唯一の欠点であろうか。エリアはSOFTBANKの通信網につながることが多かったが、メインのAUスマホよりもエリアも速度も良好であった。長らくSOFTBAMKはエリアが劣るものと思い込んでいたが、現在はむしろAUのほうがエリアも速度も劣る印象がある。

自宅のJCOMはモデムを交換して貰ったが改善しなかったので、再度クレームを入れたところ、JCOMがこの地区で輻輳していることは認識しているので近くルーティングを変える予定なので様子を見て欲しいという。はたしてその後回線速度が改善したのでWiMAX2+ルーターが戻ってきたのである。

とするとWinMAx2+かZeusのどちらかが解約になるが、Zeusの契約には解約料が無いのでこちらを解約とした。Zeusルーターは速度エリアともに満足しておりクラウドSIMなる仕掛けも面白かったが、解約やむなしである。

再度WiMAX2+ルーターを持ち歩くことになったが、性能には不満はないものの世間では大容量ながら安価な格安SIMやルーターが増えてきて、多額のインセを貰ったものの一月4380円はちょっと高いかなという気がしてきた。

そこで楽天モバイルを契約し、機種は端末価格を大きく超えるキャッシュバックのあった富士通のArrowRXとした。高齢者を意識したランチャーになっているが、設定等をみる限り普通の端末である。過去富士通の端末はことごとく不具合をかかえていた不幸な歴史があるので納入価格も弱含みなのだろう。おそらくスマホ事業は赤字だと思う。

端末は最新のアルミ外装でiPHONEにも引けを取らない優美なものだが、ビルドを叩いて出てくる開発者用メニューにワイヤレスディスプレーイ認証があるものの、それを有効にするメニューが無いとか、価格に見合うように無理やり機能を削った形跡がある。画面は5.8インチ フルHD+とちょうど良い大きさで、Snapdragon 450の1.8GHzオクタコア+RAM3GBと控えめで発熱も少なく電池の持ちが良いので、ヘビーユーザーでなければ文句は出ないところか。

なお、楽天リンクというアプリがあり、これ経由の通話(IP電話?)とSMSは無料で、一度でも通話とSMSを使うと初期契約料3000円もペイバックされるという気前の良さである。ただし、楽天リンクは癖のあるアプリで、楽天端末以外では不具合が多いという。WebmasterのRXでもアプリ更新時のSMS認証ができず、端末を初期化する面倒があった。

楽天リンクの通話は遅延も中断もなく快適である。端末によってうまく動作しないところは、過去FUSIONと呼ばれその後楽天傘下でSmartalkとなったIP電話に近いものと推察している。もちろん単価が高い通常の音声電話も利用できるが、メールアドレスは特に供給されないところが既存キャリアと異なるところか。過去楽天メールを使っていたユーザーではそのまま使用できる。

さて、最初に自宅で電源を入れてアプリ楽天モバイルを見るとートナーのAU基地局につながっていることがわかった。AU回線では月5GBまでフルスピードでその後は1Mbpsに速度が落ちるが、それでもYoutubeやAmazonPrimeでも高解像度HDで無いかぎり問題は感じなかった。

Webmasterの仕事場は博多駅に近く、エリアマップに含まれているので楽天回線で動いているものと思っていたが違っていた。、ある日5GBytesを使い切りましたとの表示が出て、今までAU回線であったことに気づいた。

仕事場から博多駅に歩いていくと楽天の基地局が電波的に見えてきたが強度が-100dB以下とAUの-70から-80dBに比べ弱い。博多駅前広場でもすぐにAUに乗っ取られる始末で、いろいろなエリアで確認した結論として楽天発表のエリアはアリバイ的なものでまったくアテにならないことがわかった。

そこで、アプリ楽天モバイルのエリアクレーム能を使った所、楽天から返事が来て「ご指摘のように調査したところ博多駅付近では-100dB以下と弱いですが、近く改善する予定です」と言ってきたが、それから3ヶ月たっても改善していない。唯一安定して楽天を掴むのはAUの基地局が薄い海岸付近のみだった。しかし通常は強力なAUパートナー回線が使えるので、殆どのユーザーは気付いていないのかも知れない。

ただし、半ば強制的に楽天の基地局だけを掴む方法を確立できたので紹介したい。道具としてAndroidアプリのNetwork Cell Info Lightなどの基地局情報アプリを使うと便利である。手順は、

1)アプリ等で基地局の位置と方向を確認する。Webmasterの場合は博多駅西側に強力なAU基地局があり、博多駅東側に弱い楽天基地局があることがわかった。

2)金属製品(例えば本立とか)でAU基地局方向を遮蔽し、楽天基地局方向の見通しの良く回線強度の高いところに端末を置く。通常アンテナはスアホ頭部にあることが多いが、これもスマホを手で遮断して確認すると良い。

3)スマホ設定の、モバイル-ネットワーク選択の自動をはずし、検索されたリストでrakutenを選ぶ。なおメニューの場所はスマホによって異なる。

4)楽天基地局の電波強度が一番高いスマホの位置と向きを記録しておき、毎回そこに置く。

なお、4)から5)の操作をのんびりすると、迷入してきた強いAU基地局に乗っ取られてしまうので、素早く行う必要がある。

写真でAU局をブロックする青い金属製本立と、殺人事件のように端末を置く位置や角度が書かれているのがわかるだろうか。表示では-106dBの弱い楽天基地局が表示されている。なお、電圧が低めで80%まで充電できるが満充電にならないという貴重なACアダプターを常時接続している。

この手順で、-105dBの楽天基地局を安定して掴むことができたた。GoogleSpeedで回線速度を測ると、安定して数Mbps以上の速度がでる。AUパートナー回線を掴んでいるときは、月5GB制限を超えていれば1Mbpsしかでない。どちらを掴んでいるかは、アプリ楽天モバイルもしくはアプリ楽天LTE回線状況チェッカーでも確認できる。

ただし、電波強度は気候やビルと走行している自動車の反射等で変動するので、たまさかAUに乗っ取られていることがあるが、どのみち1Mbpsでも不満は無いので、時々点検する程度で十分だろう。

現時点では楽天モバイルは1年間無料で、キャッシュバックは3ヶ月後に楽天ポイントとし給付された。また、最初の事務料金3000も楽天リンクで会話とSMSをすることでキャッシュバックされたようである。

というわけで、楽天モバイルをメインのスマホにするのはどうかと思うが、AUパートナーエリアで使えるし最低でも上限無しの1Mbps接続は保証されているので、二台目スマホ兼モバイルルーターとしては悪くないと思う。何より契約して1年間は無料である。

なお、例の政府のスマホ価格抑制政策のあおりで、楽天モバイルも価格体系を4月より改訂した。それによれば、パケット1GBまでは無料、20GBまで1980円、それ以上無制限で2980円なので、使わない端末に課金されるペナルティーは無いに等しい。まあ、よほど神経質なユーザーでない限り使えないということは無いと思う。というわけで、WinMAX2+ルーターは解約となった。

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サーモ付き風呂シャワー切換弁止水不良修理2021版のナゾ

思えば、このKV○の切換弁についての記載は、

KVKの欠陥シャワー切換弁のナゾ20年版(ついに自前解決編)
サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れ2018のナゾ
続サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れのナゾ(部品交換編)
サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れのナゾ

についで5回めである。この極端に寿命の短い切換弁は最初の3回はありと高価な金を払って修理したが、その不具合のメカニズムが2020年の4回目で解明されたので、対策により交換せず修理可能となっている。

さて、切換弁の原理については、前回と同じ図になるが、

のように、バネで隔てられた2つの弁がある。これが上下に移動し、片方だけが開いてカランとシャワーを切り替える構造になっている。

我が家においてもシャワー切り替え弁の使用回数は1日数回程度にすぎないのに早ければ2年程度で交換が必要となる。

台所にあり使用頻度が一番高い冷水温水MIX用のセラミック弁は今年で28年たっているが問題を起こしていない。古い規格なのでレバー上げで止水という仕様である。

洗面所にある冷水温水MIX用セラミック弁は15年ほどで不良となったが、まあ許容できる範囲である。この弁もセラミック部分の摩耗ではなく、セラミックを弁座におしつけるo-リングが摩耗したものであった。

前回は対策として2つの弁の距離を広げるために固定ネジに収縮チューブを噛ませてネジロック剤剤を使うことで解決した。

それから1年少々たったのだが、やはり弁の止水する範囲がやや狭くなってきた。まだ止水困難には至っていないが、過去はずした切換弁での修理シミュレーションでさらにベターな方法が見つかったので、今回は早めに対策する次第である。そもそも軸の回転で摩耗しやすい弁に細いリップを使うところが間違っていると思う。

今回は固定ネジの中にスペーサーを仕込んでネジを浮かすことで2つの弁の距離を広げる。それにはまず、ネジ込まれる部分の長さを測る必要がある。

8mmと出た。次にねじ込まれる部分の深さを測ると18mmと出た。ネジ込まれる部分が約10mmであるところを前回は熱収縮チューブを噛ませて1mmほど浮かしていた

ならば、12mmのスペーサーを入れればネジ込まれる部分を2mm浮かすことができるハズだ。スペーサーの材料として真鍮製3mmのメッキネジの軸部分を使用した。真鍮なので電気腐食を避けらるし、柔らかいので削って調節も容易である。

少し削っては水栓にはめて調子を見る。最初はカランからもシャワーからも水が出ない止水域が非常に広く最大水量も少なくなるが、削って行くとちょうどよい雰囲気になった。今回は止水域をかなり広めとして4年間くらいは手直し不要を狙っている。

テストで良好なので、嫌気性ネジロック剤で固定して完成である。今回は各弁のシールと軸との間に高真空グレードのシリコングリースを塗布し滑りを良くしたので、軸の回転による弁の回転も抑えられ、弁リップの摩耗も遅くなる目算である。

完成して家人の意見を聞くと好評である。まずつまみを回すのが軽くなった。これはシリコングリースの効果であろう。また止水域が広めなので、神経をつかわなくても確実に止水できて良いとのことである。

同じ加工は各社のカランシャワー切換弁でも可能と思う。加工と丁寧なシリコングリースの塗布で、切換弁の寿命を10年以上、目標としては20年に伸ばすことが可能かも知れない。

切換弁不良は、温泉などの浴室でよく見かけるが、湯量が多い温泉では修理されていないことが多い。おそらく切換弁が高価な割に頻繁に消耗するので放置されているのだろう。今回紹介したスペーサーを使えば、水やお湯が無駄にならないだけでなく、弁の調節のフィーリングも格段に改善するので、ぜひ試していただきたいところである。

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COVID-19のワクチンはどの程度効くのかのナゾ(イスラエルのデータの矛盾)

世界に遅れてやっとワクチンの医療従事者への接種が始まったところだが、それでも医療関係者400万人以上の1割にとどくかどうか、という対応の遅い日本である。

さて世界で先行するファイザーのワクチンの効き目についての報道では、プラセーボに比べ95%の予防効果があるとのことだった。しかし、Webmasterの周囲の疫学が専門を含め複数の医師のコンセンサスとしては、

95%という数字は信じがたい。通常、ワクチンの効果は長い歴史のなかでせいぜい60-70%と相場が決まっている

だった。その後、SARS-CoV-2 Vaccination ? An Ounce (Actually, Much Less) of Prevention, N Engl J Med 2020; 383:2677-2678, Eric J. Rubin, M.D., Ph.D., and Dan L. Longo, M.D.という、非常に短い論文が発表された。

問題は有効と判断した基準だが、原文では

「Confirmed Covid-19 was defined according to the Food and Drug Administration (FDA) criteria as the presence of at least one of the following symptoms: fever, new or increased cough, new or increased shortness of breath, chills, new or increased muscle pain, new loss of taste or smell, sore throat, diarrhea, or vomiting, combined with a respiratory specimen obtained during the symptomatic period or within 4 days before or after it that was positive for SARS-CoV-2 by nucleic acid amplification?based testing, either at the central laboratory or at a local testing facility (using a protocol-defined acceptable test).」

と書かれている。つまり、FDAのクライテリアの症状があったかどうかで感染の有無を判断しており、しかも症状は電子通信による申告で行われ、医師が逐一診察したわけでもない

さらに、The Proportion of SARS-CoV-2 Infections That Are Asymptomatic A Systematic Reviewによると、COVIC-19ではPCR陽性でも無症状の患者が33%いるとのことである。

無症状のうちから他人にうつす可能性も指摘されていることから、症状のみの電子通信の申告で判断した有効率95%というのは、COVID-19のPCR検査陽性による判断では良くて60-70%程度と考えるべきであろう。

もうひとつの疑問が、ワクチン接種が先行しているイスラエルで感染者がどのくらい減ったか?である。イスラエルでは12月より積極的にワクチン接種がすすめられ、旭日新聞 接種率世界一のイスラエル 見えてきたワクチン後の世界によれば、人口約920万人のイスラエルではすでに4割を超える約440万人が1回の接種を終え、2回接種済みの人も300万人を超えた、という。最近のニュースでは50%を超えたとの報道もある。

なお、多くの報道ではイスラエル保健省は20日、米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンについて、2回の接種による発症予防効果が95・8%に上った、という。それなら、随分イスラエルでは患者が減っていると考えるのが普通だ。

しかし、Johns Hopkins UniversityのデータによるGoogle発のリアルタイムデータでは、

正直、あまり減っていない。最近のピークの半分程度か。世界中のデータでは、

やはりピークの半分程度というデータの大差無いように見える。そして、日本のデータは

と、よっぽどピークより減っている。いろいろ議論があったが、ある同僚の医師の説によれば、

「Johns Hopkins Universityの言うイスラエルは、衛生状態が良くないイスラエル占領下のパレスチナを含むが、イスラエル政府の解析には含まれていないのではないか?」

ウイルス対策には各国ともナショナリズムむき出しなので、ありえない話ではないが、wikipediaによればガザ地区の人口は2013年で173万人だという。また2013年のイスラエル中央統計局によると総人口は802万人で、そのうちユダヤ人が604万人(75.3%)、アラブ人が166万人(20.7%)とある。

追加。その後のWHOのデータではイスラエルと占領下パレスチナは分離されていて、イスラエルの感染者数は激減しているが、パレスチナでは減少が遅れている。

しかし、なぜ接種率が現在5割を超えるとされるイスラエルでワクチンの効きがはっきり見えないのだろうか?

理由としては、もともとワクチンの効果の見積もりが過大で効果が累積するまで時間がかかっていると思われる。

もうひとつは、ワクチンが効きにくいE848k変異株が増えたという可能性もあるが、これも現時点ではE848k変異は世界的に20-30%なので可能性が低いが、今後は効いてくる可能性がある。さらにE484k以外の変異株もいろいろ出て来て、今後のワクチンの開発が追いつかなくなる可能性もある。

いずれにせよ、ワクチンの効果が出るには接種率が高くなってからある程度の時間がかかることは覚悟しなければいけない。そもそも日本では国民全体への接種がいつになるか不明だが、そのころにはワクチンが変異株のために時代遅れになっているかも知れない。

以上が、3月5日の参院予算委員会の政府新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長の、

「コロナ感染の年内の「終息」は見込めない。年内に人口の6、7割がワクチン接種を受けると仮定してもおそらく今年の冬までは感染が広がり、重症者も時々は出る」

という発言につながるのかも知れない。

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動作しなくなったソーラーウォッチ復活のナゾ

もう20年位前であろうか、我が家ではQ&○ブランド(シチ○ン)製のダイバー風ウォッチがあり、これを風呂場の窓際においていた。順調に動いていたのだが、冬のある日から動作しなくなった。

この手のウォッチは動作しなくなったときに日なたに2,3日置いておけば復活するのだが、さすがに20年近く働いていて電池が劣化したのであろう、わずか1時間程度で止まってしまった。しかし風呂に時計が無いのは不便なので、適当なボタン電池を入れて動作させようと考えた。

以下の記載には危険があり、漏液や爆発等などでケガをする可能性があるので自己責任で読んでください。

さて分解すると、ボタン状の電池が転がり出てきた。不思議なことに普通の電子ウォッチと異なり、電池が電極で固定されていない。 電池には金メッキの端子が溶接してあり、それが微妙に奥まった電極にタッチするようにできている。

これは、おそらくいわゆるバカ避けとして、素人が適当なボタン電池をつっこんで、それが充電で爆発や漏液する事故を防ぐためであろうと思われる。調べると同じ電池でもシ○ズン社用だけで端子が3種類あり、さらにセ○コーやカ○オでもそれぞれ数種類あるようだ。

電池を見るとPanasonic MT920と書いてある。調べると、補修用の電池はamazonで2000円前後で販売されていることがわかった。しかし、そもそもこのダイバー風ウォッチは3000円ほどだったと記憶しているので、2000円出して交換するのはコスパが悪い。

さらに調べていくとMT920はチタンリチウム電池で特にサイクル寿命が良好らしい。当初ソーラーウォッチには 電気二重層コンデンサが使用されていたが、多機能でより長期の動作のためにより容量の大きいチタンリチウム電池が使用されるようになったという。 パナソニックのMT920サイトによると、


公称電圧 (V)	1.5
充電電圧 (V)	1.8 〜 2.6
公称容量 (mAh)	5
連続標準負荷 (mA)	0.05
直径 (mm)	9.5
高さ (mm)	2
質量 約 (g)	0.41
使用温度範囲 (°C)	-10 〜 60
タイプ	MT

とある。データシートの放電特性をみると、定格消費で5日程度の容量である。

しかし手元の電池の電圧を測ると0.88Vしかない。針状結晶による短絡は無いが、光量不足のまま長らく放置されていたため極板が不活化しかけている状態であろう。ソーラー充電で回復しないなら直接充電してはどうか?

まずは安全を見て1/20Cでまず10時間充電ではどうだろうか。1/20Cとは0.25mAとなるので、通常の1.5Vの電池で0.88Vから公称電圧1.5Vまで充電するには3.3kΩを介して10時間で1/2C程度まで充電するのが無難であろう。

確かに、それが無難であろうが、ソーラーで回復しない程度に電極が不活化しかけているとすれば1/20Cでは回復しない可能性もある。とすれば、ショック療法としてごく短時間、(0.5秒)1.5Vにタッチさせてみるのも手では無いか?

というわけで、0.5秒ほどタッチさせると電圧は1.2V以上になっていた。どうやら不活化を脱したようで、さらに3時間充電することにした。

その後耐久試験を行った所4日ほどで2秒毎の運針になる程度まで回復したので、充電は成功したようである。

ところで風呂にはこの時計が不動になった後にカシオの防水時計が設置されていて、この時計の出番がなくなってしまった。いろいろ考えたあげく、アドレスV125のハンドルに設置するのが適当だと考えた。ここなら日光に当たる時間が長いので、さらに10年ほど長生きするのでは無いかと考えたのである。

というわけで、この時計は第二の運命を刻み始めてすでに2ヶ月経過観察したが、今のところ正常に動作している。

老婆心ながら、ショック療養は、あくまでも充電に反応しない場合にのみ0.5秒以下でトライすべきであり、それによる漏液、爆発などのリスクは当サイトはいっさい関知しないので、そのつもりで。

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目立たないエアコンプレッサーレストアの謎(リベンジ編)

以前、Webmasterはエアコンプレッサーを持っていた。各種エアツールだけでなく、清掃、塗装、サンドブラストとかいろいろ使えるのではないか、ということで実用最低レベルの2PSのものを所有していた。

しかし、タンクの上にメカメカしいモーターとコンプレッサーが並んでいて図体と作動音が大きいことが不人気だった。特にエアインパクトがうるさいとのことで、かわりに電動インパクトを入手して利用度が減ったところ、使用頻度が低いなら邪魔なので処分できないかとの意見に抗えなかったのである。その後は、パンク修理用の携帯コンプレッサーしかなく鬱憤が溜まっていた。

そこでふと思ったのは、いかにもコンプレッサーというデザインでなく、かわいくメカメカしくないデザインのベビコンなら目を欺けるのではないか?エアツールを使用しないなら1PS以下でもいいのではないか、という作戦である。

そこでいろいろなサイトを漁るが、やはりコンプレッサーは基本的に男子が扱うものなのか、いかにもメカメカしいデザインものが多い。そのなかに古い型の日立製で中古不動品ながら金属部品が一切露出しておらず、コードも格納可能なおとなしそうなデザインの代物(エアパンチPA400)があったので入手した。

あとで気がついたのだが、このエアパンチPA400は1989年にグッドデザイン賞を撮っていた。一見してメカメカしくない点が評価されたのであろう。写真はサイトからのリンク

それは電源を入れるとコンプレッサーは動作するものの、いろいろなところから空気が漏れて圧力が上がらず停止しない。まずレギュレーター付近から漏れていて、さらにオイルレスコンプレッサーのクランク側からも漏れているようだ。

まずコンプレッサーを分解した。実はオイルレスと書いてあってもそれは嘘で、シリコンオイルが使われていて、金属製ピストンリングにテフロン樹脂製リングが併用されているだけで、それ以外は普通のコンプレッサーとは大差ない。使用時間は非常に短かったようで写真のように内部の部品に汚れは皆無だった。

コンプレッサーの漏れは腰上を分解して少量のシリコンオイルを補充するだけで止まった。整備の手順自体はエンジンと同様で、液体ガスケットもエンジン用のものを使った。

次はレギュレーターであるが、エアは底と圧力調節つまみ付近の2箇所から漏れていた。早速分解すると底はコンプレッサーからやってくる空気室のOリングがオイルで溶けていた。これを手持ちのものと交換すると底からの漏れはなくなり、レギュレーターを低圧にセットすれば圧力センサーが働いて自動停止するようになった。もう一歩である。

レギュレーターの構造と動作原理については、下の下手な絵を見てほしい。

レギュレーターの底側ではバネで弁が下から押し上げられて閉じている。この弁は、上側にあるピストンの中心の棒で下に押されることで開くようになっており、そのピストンは上からバネで抑えられていて、そのプリロードは上の圧力設定つまみのネジで調節できるようになっている。

まず、上の圧力設定を最低にすると、上のピストンの軸が下の弁を押し下げる力がなくなり、下の部屋の弁はコンプレッサーからの圧力で上方に押し付けられて閉じたままとなり、やがてタンクの圧力が上がるとセンサーによりコンプレッサーは自動的に停止する。

次に上の調節つまみを締め込んでいく(圧力を上げる設定にする)と、それがバネを介して中央のピストンを下方に押し、ピストン中央の棒が下の部屋の弁を押して開く。上の部屋の圧力が次第に上がるとピストンが圧力調節のバネに逆らって上方に移動し、所定の圧力になると下の弁は閉じる。

そういった仕掛けで出力の圧力が一定に調節できるのである。いわゆるレギュレータと呼ばれるものはどれも原理はここ100年かわっておらず、ピストンかダイアフラムが使われている程度の違いである。高圧の用途では小さなピストンで十分な調節力が発生するが、、低圧の用途では動作のために面積の大きなピストンが必要となるので、かわりに傘のような大きなダイアフラムが使われるのである。

よく見ると、上の部屋のピストン周囲のOリングが溶けてエアが漏れていた。同じサイズのOリングがあったので、交換したところレギュレーターは正しく作動するようになった。

しかし樹脂製のピストンを見るとクラックが入りかけていた。おそらくレギュレーターの調節圧が高い設定で放置されていたため、上から強いバネで長時間押されていたからだろう。

とすれば、レギュレーターを交換が必要かも知れない。いろいろなショップを漁ると、似たサイズの中華製と思われるレギュレーターは廉価で各種売られているが、付け替えると目立たないコンプレッサーの筐体の圧力メーターの窓と、コネクタの穴の位置が合わなくなり、樹脂部を加工しなければならない。

そこでさらにピストンを見た所、両側は凹になっていて、ここに適当な樹脂を盛って補強することでクラックの進行は食い止められる雰囲気である。

そのためには、クラックに入った油分を取り除く必要があるだろう。これは適当な密閉容器にピストンとエタノールを入れ、減圧、加圧を繰り返すことで洗うことができる。

細かいクラックを修復するには表面張力が低く隙間に浸透しやすいアロンアルファの類が良いのではないか?ということで、ピストン上下両側の凹部にアロンアルファを盛っては硬化をまち、再度盛って硬化を待つ作業を繰り返した。アロンアルファの類は水分で硬化するため、このような正しくない使い方では硬化に長時間を要するようである。

というわけで、コンプレッサーは完動となった。このコンプレッサーはコードも内部に格納可能で、立て掛けて置くとトランクに見えて目立たないのである。重量的にも持ち運びしやすく、現時点では特に処分の圧力に接しておらずコンプライアンスが良好である。

というわけで、コンプレッサを再度自宅に持ち込むには相当な神経を使ったのである。

機械いじりの好きな男子(最近では女子もいるだろうが)は、エアツール、特に緩みにくいボルトをマシンガン的な音と振動で容易に緩めるインパクトのパワーは快感かも知れないが、善良な市民にとっては騒音を発生する迷惑な道具と認識される可能性があり、その場合はコンプレッサーも騒音を発生する迷惑な一味として厳しい視線にさらされるのである。

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ファンヒーターのフレームロッド風水クリーンアップ!のナゾ(着火不良・立ち消え根絶2021年版)

友人からファンヒーターが使えないというSOSがあった。

聞けば、フレームロッドのシリコン付着による結晶化現象のようである。これには、バーナーを分解して白化したフレームロッドの表面をヤスリでゴリゴリと削り取る必要があるが、分解と修理には骨が折れる。

そこで、Webmsterが以前報告した、

暖房機器のアキレス腱、フレームロッドの風水クリーンアップ術

を紹介したところトラブルは氷解したようである。

さて、フレームロッドのシリコンによるの白化がなぜ起こるか、である。

シリコン(正確にはシリコーンだが)は、シャンプー、リンスを始め、ツヤがよくなる家庭内洗剤などの大量に含まれている。シャンプー等にはメチコンやジメチコン等のわざと?わかりにくい表示がされていることが多い。

これらが揮発して高温のフレームロッドに触れてガラス質のSiO2となって表面に付着して肉眼的には白く粉を吹いたように見える。ファンヒーター等は炎が導電性であることを利用して換気不良や立ち消えを検知しているが、SiO2(石英や水晶と同じもの)は良質の絶縁体なので、導電を妨げて不具合となる。

特に日本では過去清掃不慮や換気不能による一酸化炭素中毒が多発したために、ファンヒーターの着火不良や立ち消えの判断が厳し目になっているのだ。通常は低出力時の立ち消えや着火不良からはじまることが多い。

そこで、フレームロッドの風水クリーンアップ術である。これは、ガラス質のSiO2と、フレームロッドのタングステン合金の熱膨張率の差を利用している。フレームロッドが赤熱時に水をかけると熱膨張率のちがいからガラス質にヒビが入り、それが突沸する圧力で四散して剥げるのである。もうヤスリでゴリゴリするのは時代遅れなのだ。

説明については前回と同様だが、一部補記している

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用意するもの

1)ファンヒーター前面パネルをはずす+ドライバー

2)水鉄砲のようなもの(注射器や霧吹きなど。市販のスプレー製品の使用後のものでよい。十分水洗しておく)

3)気になる人はゴグルを着用のこと

4)昨今絶滅に瀕している、自ら科学しトラブルを解決する自立した心。これが大事。


手順

1)ファンヒーターが冷えているときに前面パネルをはずす。通常は前面パネルの側面の上か下にネジがある。旧サンヨーやアラジンなどはルーバーをはずすネジが別途ある(中央にもあったりする)ので注意。

2)バーナーの前面にあるのぞき窓の雲母板をはずす。雲母はもろいので、上から爪楊枝を2本並べてさし、穏やかに凸状にしてはずすと良い。

3)ファンヒーターを着火し、雲母がはまっていた窓から赤熱したフレームロッドがどこにあるか調べる。通常フレームロッドと点火用のロッドの2本あるが、フレームロッドの法が長く炎に長く接するようにできていることが多い。

4)ファンヒーターをオフにし、フレームロッドが赤熱している間に水流もしくは霧を黒くなるまで噴射する。

5)再度点火してフレームロッドが赤熱したらオフとして同様の作業を繰り返す。注射器による水流がもっとも効果的だが、霧吹きの場合はなるべく狭い範囲にしぼるがコツだ。3−5回これを行うとロッドだけでなくバーナーや網目の白化までが黒くなる。ついでに点火用ロッドやガラス質が付着して白くなった部分にも吹きかけよう。

6)最後に雲母を戻し、ルーバーや前面パネルを戻したら修理終了である。雲母は割れやすいが、雲母が無くても動作には問題は無い。同様に白化したルーバーについても、霧吹きによる急冷で簡単に掃除できるようになる。

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調べた範囲では現行の石油ファンヒーターの殆どがフレームロッドを使用している。しかしガスファンヒーターは、以前報告した、

ガスファンヒーター故障のナゾ(フィルターを掃除しましょう)

で紹介したように、ガスレンジと同様の熱電対を使ったものがあるので注意が必要である。

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VENDEE GLOBE2020は誰が優勝するのかのナゾ

VENDEE GLOBE2020の行方は混沌を極めている。前回のVENDEE GLOBE2020では、Armel Le Cleac'hが2位のAlex THOMPSONに16時間の差をつけて、また3位のJeremie Beyouに4日の差をつけて優勝したのに比べ、トップのCharlie DALINのAPIVIAから9位のJean LE CAMのYes We Cam!までが距離273nmの間にひしめいているからである。

IMOCA60は1日に軽く300nm以上を走るので、相当な接戦になる。ちなみにnmは時速1kt(ノット)の船が1時間に走る距離である。さらに、ゴールのVENDEEまでには貿易風の間に無風となる高気圧が複数存在するので、タイミングによっては大きく順位が入れ替わる可能性がある。

その中で上位3位のグループを形成しているのが、いずれもフォイル挺であるCharlie DALINのAPIVIA、Louis BURTONのBUREAU VALLEE 2 そしてBoris HERRMANNのSEAEXPLORER-YACHT CLUB DE MONACOである。フォイル艇はうねりが少なく風が強いときに威力を発揮する。

注目はBoris HERRMANNで、彼の船は上位のフォイル艇よりさらに毎時2,3kt早いのである。これについては、Boris本人が語っている。

彼の船は参加した艇のなかで最大規模のフォイルを装備している。また船の重量も Alex THOMPSOMのHUGOBOSSの7.5トンの次に軽い7.6トンと戦闘力が高いのである。フォイルに関してはCharlie DALINのAPIVIAもほぼ同じものを装備しているが重量が8トンと重い。また彼のポートサイドフォイルは南インド洋でUFOとの衝突で障害を受けたとされている。

もう一つは、Borisは南氷洋の荒い海で船の高速性を故意に押さえていて、多くの場面でIsabelle JOSCHKEのMACSFより低速だった。彼はおそらくALexの船の強度問題や、Kevin ESCOFFIERのPRBの沈没事件から、荒い南氷洋で船にストレスをかけないように抑えていたようである。

殆どの艇にはマストの荷重を測るストレインゲージがあり、Borisはその数字をみて船にストレスがかからないように注意していたと言っていた。

Borisには外野から(今は船までネットで意見が飛んで来る)なんでもとプッシュしないのかと言われていたそうだが、ぐっと我慢していたのだろう。そして大西洋のうねりが少ない局面で最大速度を発揮してのである。

もう一つ、Borisはジブ(マストの前の三角形のセイル)のJ1.5サイズを用意していると、チームメンバーであるWILL HARRISが語っていた。J1.5というのが謎なのだが、J1とJ2の中間のサイズの帆を用意しているとのことである。

ルール2020では9枚までのセイルを持参可能である。そのうち1枚はメインセールなので、いわゆるジブの類を8枚持っていることになる。セールのサイズと種類については、Sails explained to the general public by Yann Eliesを参照されたい。下の図はそちらからのリンクである。

その前に、VENDEE GLOBEに出る船のセールには過去の常識がまったく通用しないので、説明しておきたい。まずメインセールが3角形でない。普通のヨットのメインセールが3角形な理由は、マストの先端ほど船をヒールさせる(傾ける)モーメントが大きいので先端ほどセールが小さくなるからだ。

しかし、最新の船には傾きを抑えるカントキールが装備されているので、より効率が良いアスペクト比の大きなメインセールを使うのである。なお、翼断面を保つために強力なバテンが前後スパンの全体に入っている。バテンとは、セールが風をはらむとドーム状になるが、その前方の膨らみが大きい翼断面に近づけるために通常は後方のみに入れるFRP製の板である。

メインセールには途中に鳩目がありここにシートを通すことで、帆を3段階小さく(リーフ)することができる。風速が30ktを超える荒天では、リーフを3段目と最小にし、J3ステーに蛍光色のストームジブを上げるのが通常である。さらに風速があがると教科書的にはセールをすべて下ろし、バウからシーアンカーを流して船を風に立てて凌ぐが、高性能なレーサーではマストだけでも断面が長円形のために風上に走ると言う。

ジブは、通常舳先(バウ)からマストまでの長さのものを100%ないしJ0と呼び、それからJ1,J2,J3と小さくなっていく。J0より大きいものを通常はジェノアと呼ぶが、さらに大きくジェノアとスピネーカーの中間サイズのものをジェネーカー(GK、ジェノア+スピネーカーの略、もしくはコード0とも呼ぶ)を積んでいる。さらに通常のものと異なる左右非対称のスピネーカーを積んでいて、これは先端(タック)をバウの出っ張り(バウスプリット)に固定し、従来のリフト用のスピンポールは使わない。

昔の船や470クラスのスピネーカーは左右対称で、下端(フット)の片方端をスピンポールで支持しつつきれいにドーム状に膨らむように左右端をロープをコントロールするために1名のクルーを必要とする。スピンの展開とコントロール、そして上手に仕舞込むには腕がいので、Webmasterの船では40年間に数回レースでしか使ったことが無い。

IMOCA60ではジェノアのようにラフは最前端に固定された状態で使うが、限られた状況でしか使われず、1度も使われずに終わる船もあるという。それは、風や進路の乱れでスピネーカーがマストやステーに絡みつくトラブル(提灯と言われる)になると厄介だからである。スピネーカーのかわりジェネカーが多用され、これは風向が240度と広い範囲で有効につかえる。

古典的には追い風(ランニング)ではジブとメインをマストの両側に展開して走っていた。通常は風下と船の進路の角度の半分にセールを出すというのがセオリーだったので、船を遠くからみても風に対してどの方向に走っているか解ったのである。同時に、スキッパーが上手か素人かも遠くからひと目でわかるところが怖いところである。

Webmasterは素人を乗せるときは、メインセールを上げずにジェノア1枚で走らせていたた。これで概ね270度の範囲で走れるし、突風時にはシートを手放せばいいので、素人に操船させても安全だからだ。メインセールにレイジージャックが無く、リーフまで毎回毎回艤装する必要があり疲れるからである。陸に上がって、ジェノアだけでも結構走るんですね、と他のスキッパーから言われ赤面である。操船の手抜きは結構遠くからもバレるのである。

しかし現在のレーサーでは追い風でもランニングとせず、あえて僅かに角度をつけるクオーターリーに近い走り方とする。それは、メインとジェネカーの翼断面効果で発生する揚力を推進力として風速より早く走れるからである。ヨットは揚力を使って風上に走るが、それと同じことは追い風でも起こるのである。

通常ランニングでは波と同じ方向にほぼ同じ速さで走るので周囲に波濤を感じないのが普通だが、風速より早く走るレーサーでは風下であるはずの前から強い風があたり絶えず波浪が飛んでくる。追い風ながら向かい風のクローズドホールドに近い状態になるので、ジブとメインも閉じ気味になる。アビーム(風に直角)の時も、船の速度が出るので見かけの風向きは上がりに近くなり、これまたセールは閉じ気味にになる。

つまり、風速より早く走る最新のレーサーでは、常にジブもメインもほぼすべての風向きで閉じ気味のままとなるので、セールを見ただけではどちらに走っているかわからないのである。左右にセールを広く展開するのは、完全な無風の時だけである。しかしセールを閉じて走るということは予想しない方向から突風が吹くとブローチングする危険もある。

追い風で方向を変えることを通常ジャイブと呼び、、VENDEE GLOBEの解説でもジャイブと説明されているが、風速より早く走る場合の方向変換は向かい風に走るときと同じタック操作(舵を切る方向が逆)となる。このように、多くの点で古典的ヨット操縦の常識が通じないのである。

マストのトップからは前方のバウスプリット(舳先から出たところ)にステーがあり、トップから舳先へJ1用のフォアステー、次にマストのトップから少し下がったところ(フラクショナル)にJ2用とJ3用と4本ステーがあり、その中でJ2が一番多用される。J2は翼断面を強化するために、ジブながらフルスパンの細いバテンが入っていることが特徴だ。

なおジェネカー等やJ1を使うときにはJ3を併用して、ジブとメインセールの間のスロット効果を強化することもできる。船によって違うが、通常J2のステーは組み込み式のファーラーがついていて、マストを前方に支持するために固定されている。バウスプリットにつくセールとJ1とJ3はセール一体のファーラーが付くことがある。

話が長くなったが、おそらくBorisの船にはJ2より大きいJ1.5相当のセールを上げることでさらに2kt稼ぐ仕掛けになっているらしい。

しかし、もともとVENDEE GLOBEはフランスのレースであり、他国のスキッパーはお客さん扱いである。歴史上仏独関係は複雑で、万が一にもドイツ人のBorisが優勝すると、それなりの騒ぎとなるかも知れない。今回はイギリス人であるAlexが優勝したら一騒動あるかもとか言われていた。

なお、Borisは環境活動家で有名なグレタ・トゥーンベリが国連に出席するために英国から米国まで航海したMalizia_IIのスキッパーだった。

私は彼女が提唱する飛び恥(フライトシェイム)を否定しないし、実際コロナ禍で航空機需要は激減して地球の大気汚染が5%改善したことも否定しない。

Malizia_IIは Vendee Globe2016でSebastien Josseが使ったがリタイヤしたMalizia Gitana16を修復し、ソーラーパネル等の環境装備を追加したもので、建造費は数億円でスポンサーは仏の財閥Edmond de Rothschild Groupであった。このプロジェクトのために多くの人間が飛行機で往復したために批判されたこともあった。

あまり報道されていないが、Borisの船SEAEXPLORER-YACHT CLUB DE MONACOはまさにこのMalizia_IIのフォイルを拡大強化したそのものである。この船についてあまり広報されていないのはそういう経緯があるからかも知れない。それと、下記でWebmasterはこのGitana16を紹介していた。

アメリカズカップAC45Fの艤装のナゾ

Webmasterは偶然このAC45Fに洋上で超接近遭遇してその細部をリポートし、またモノハルのフォイル艇の例として、Gitana16の動画をのせていた。

このGitana16こそが魔界転生して、今回のSEAEXPLORER-YACHT CLUB DE MONACOになったのである。何という奇遇であろうか。

動画ではスキッパーは疲労と寝不足で老け込んでいるが、Borisはどんな状況でも端正な装いのイケメンでドイツを始め欧州で大人気らしい。フランス語や英語もわかりやすく、抽象的な話が多い仏人と違って話は具体的でわかりやすいし、動画も工夫されていて面白い。

彼の船ではラインやシート(ロープ類)は常にきれいに整理されていて、これは独仏系ハーフのIsabelle JOSCHKEも同様である。英国人のAlexも整理整頓が上手で、仏系伊系には乱雑なままなスキッパーがいるのと対照的である、

Borisが優勝する可能性もかなりでてきたが、今後気象の具合で運悪く高気圧の無風帯に捕まり停滞するかもしれないし、また大西洋名物のUFO(正体不明浮遊物、多くは流出したブイやコンテナ)に当たる可能性もある。実際この船はVendee Globe2016でUFOに衝突して船体やフォイルを損傷しリタイヤした履歴がある。

このように、VENDEE GLOBEには不確定要素が多いが、今回は多数の船が非常に短い間隔で決勝ラインをくぐることは確かである。

さて、Webmasterも長年クルーザーを走らせてきたが、帆走に関する知識は古典的なままであったものが、VENDEE GLOBE2を見ると、船や艤装の進歩に何枚も目からウロコの状態である。特にセールをどうトリムしているかは、非常に興味がある。

思えば、40年間もヨットハーバーに通っていたものの、周りの船にはジブファーラーやオートパイロットが装備されるようになっていることに長年気付いていなかった。船関係の雑誌も長年読んでなかったのである。

ダクロン製のジブは毎回フォアステーにハンクスで止めていたし、オートパイロットが無いので進路維持のためにラダーをゴムひもではさんで走っていたが、ウィンドベーンなるものは知っていた。まさにディンギーと同じ感覚で古風で煩雑な操作をしながら長年クルーザーを走らせていたwebmasterにとって、最新鋭の装備群には隔世の感がある。

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吸収式冷蔵庫と水を飲む平和鳥の関係のナゾ

WebmasterのJB470には3WAY冷蔵庫がついている。これは吸収式冷蔵庫と呼ばれるもので、熱源によって冷却する仕組みである。熱源はAC100VやDC12Vの電熱ヒーター以外に、カセットガスも使うことができる。キャンピングカーでは常に電源の確保が重要だが、カセットガス1本で24時間冷蔵庫を作動可能なので便利である。

吸収式冷蔵庫は冷却を始めるのに若干時間を要するので、電動コンプレッサー式のクーリングアシストがついているから、実際には4wayと呼ぶのが正しいかもしれない。

キャンピングカー用の吸収冷蔵庫の電気ヒーターはおおむね50-70Wだが、ガス使用のときは通常のガス湯沸かし器の口火程度の炎で十分なのである。

ガスを使うときには、まずガス栓を開け、点火装置をONにすると間欠的にパチパチと放電音がして点火される。この状態でガス栓を押したまま開にすると熱電対の働きで電磁弁が開に維持される。ガスがなくなり消火すると自動的に電磁弁が閉じてガスが遮断され、点火装置がのパチパチ音が持続するのでガス切れがわかるようになっている。

吸収式冷蔵庫は未使用で長時間放置すると効きが悪くなる。これは冷却に使うアンモニアの針状の結晶がエバポレーターに詰まるからで、その場合は本体を逆にして数日置くと水溶液で結晶が溶解して機能が回復する、という面白い修理法がある。Webmaseterの冷蔵庫も最初は効き目が悪かったが、使っている内に結晶がとけたのか効き目が回復している。

吸収式冷蔵庫は欧州の家電大手のELECTROLUXが戦前から販売して来たが、現在は部門が分割されDOMETIC社から供給されている。米国では現在もELECTROLUXブランドで大小の製品がキャンピングカーやトレーラーハウス用に販売されていていて、日本では現在もイワタニブランドから販売されている。欧米ではLPGの補給は法規的には容易に行えるようである。

日本ではLPGボンベの扱いに厳しい制限があるため、最近のキャンピングカーでは超小型の電動コンプレッサーを使用した冷蔵庫が主流になっている。Webmasterの車にはカセットガスを2本セットする仕掛けがあるので4way冷蔵庫が延命している。カセットガスは100均ショップでも売っているので、災害時のサバイバル用に吸収型冷蔵庫を1台欲しいと思ってたいたが、最近は電動コンプレッサー製品への更新が一段落したのか、出品が減っていた。

そんな中でオークションでDOMETICブランドのホテル用の吸収式冷蔵庫のジャンクが出品されていた。吸収式はコンプレッサーの振動や騒音が無いので、ドイツのDOMETIC社の冷蔵庫がホテル等で結構使われている。ジャンクはく欧州製品にありがちな電子制御回路の故障によるものだろうが、冷凍機自体には可動部分が無いので、配管が錆びてガス漏れしないかぎり修理可能であろう。

結局1600円で落札することができたが、送料はその倍程度かかった。

さて到着した冷蔵庫を電源につなぐと、室内灯が点滅したままで動作しない。制御回路はサーミスタによる温度調整と霜取りヒータを制御しているようだが、マイコンの初期自己診断で止まる様子だった。肝心のヒーターの抵抗は155オームと断線してなかったので、、直接100Vにつなぐと動作することが解った。

実はWebmasterは冷却機には若干の興味があり、過去、

故障した特殊冷蔵庫の中華製コントローラーによる復活のナゾ

や、キャンピングカー用変造エアコンシリーズ、

過熱で落ちる除湿器変造エアコンの鍛錬のナソ(電流センサー封印編)
キャンピングカー用変造エアコンのバリスターの恐怖のナゾ
キャンピングカーの冷房のナゾ(TAD-22と変造CV-U100C-W編)

など、コンプレッサー式のクーラーや冷蔵庫の変造も手掛けている。

基本的には冷却回路が動作していれば、温度制御は機械式あるいは電子式のサーモスタットで簡単に修理できる。自動霜取り機能は必須ではない。

回路を見ると、マイコンでヒーターをMOSでオンオフする仕掛けで、黒く四角い部品はリレーかと思ったが電源トランスであった。これで電子回路と庫内照明のLEDを駆動していた。

問題はコネクターの品質が非常に悪く、機械的にもグラグラと不安定で、接点の出来もひどいものである。おそらく故障は度々の接触不良によるものでは無いかと思う。欧州製は家電にしても自動車にしてもコネクター類の品質が日本製に比べ悲惨なほど悪く早々に故障する。修理してもそのうちに再度故障するであろうから、抜本的に変造することとした。

作業だが、まず庫内のサーミスターやLEDランプの配線を撤去する。

手持ちの機械式サーモスタットのガスチューブを室内に設置する。配線はAC100Vから一つは3Aヒューズを経由して、もう一つは機械式サーモスタットを経由してヒーターに接続するだけである。温度ヒューズの類が見当たらないが、ヒーター自体に組み込まれている様子である。

完成像である。機械式サーモスタットは底部のヒーター付近にあり、そこから配管が伸びて、右上の白いグロメットから庫内に入り庫内の壁に仮固定した感知チューブにつながっている。対比のために、中央付近に元の制御回路基盤が置いてある。庫内の冷却板が汗を書いているのがみえるだろうか。飲物はふるさと納税由来で、あとは酒のつまみとして冷奴用の豆腐と納豆である。

冷却回路だが、右のアルミパイプの中に断熱材に巻かれたボイラーがあり、底部にヒーターがある。ボイラーのアンモニア水溶液が加熱されてアンモニアが気化しボイラーを上昇して上部のコンデンサーへ向う。上昇するガスのポンプ作用で持ち上げられた水溶液が途中(全高の2/3の高さ)から底部に向かい二重管でボイラーに向う水溶液を予熱をするところがELECTROLUX社の工夫らしい。その後に水溶液はサイホンを上昇し、螺旋状の吸収パイプに入り、アンモニアガスを吸収しながら底部の吸収タンクに落下する。

ボイラーを出たアンモニアガスは上部のコンデンサーで凝縮して液体になり、庫内のエバポレーターで庫内の熱を奪いガスに戻る。ガスはその下の螺旋状の吸収パイプで水溶液に溶解しながら吸収タンクに戻る。なお、吸収パイプとタンクからエバポレーターの入り口まで送られる水素ガスが液化したアンモニアをエバポレーターに円滑に流す仕掛けがELECTROLUX社のもう一つの工夫らしい。

配管の構造や形状、分岐の位置や傾き等には多くのノウハウがあるようで、多くの競争業者は製造をやめ、いろいろなブランドで売られている吸収型冷蔵庫の大半はDOMETIC社からのOEMのようである。

吸収式冷却サイクルの構造を考えた時に、もっともこれに近い構造の機構といえば、それは、あのアインシュタインも機構を解明できなかったという水を飲む平和鳥であることを思い出した。水を飲む平和鳥は2つの大小球体とそれを結ぶ管からできていて、大きい球の中では管が底まで降りている。小さい球の表面にはフェルトがコーティングされていて浸された水を含むようになっている。

2つの球と管の中にはエーテルが入っている。管の中央に支点があるが、大きい球(鳥の胴体)の方が大きく重いので下に下がっている。その球の中のエーテルは大気の熱で気化し、その圧力で液体のエーテルが管を通じて小さい球に上がっていく。小さい球の表面は水で濡れているのでその気化熱で冷やされて中のエーテルは液化するので小さな球に液体エーテルが移動して重くなる。

そうすると小さな球が下がり管がほぼ水平になり、小さな球の一部が水に浸る。それと同時に、管の上半分を通って大きな球の中のエーテル気体が小さな球の中に流れ込み、そのため小さな球の液体エーテルが管の下半分を流れて大きな球に戻る。再び大きな球が重くなり下がるのである。

要するに、大きな球である鳥の胴体は周りの熱を吸って中のエーテルが気化し、小さな球である頭は水の気化熱で熱を放出してエーテル気体が液化するのである。つまり胴体は周囲の熱を奪うのでエバポレーターであり、頭は周囲に出した熱が気化熱で冷やされるのでコンデンサーなのである。

エアコンには冷媒を液化し循環させるのにコンプレッサが必要だが、水を飲む平和鳥はお辞儀をした時に胴体で気化したエーテルを頭に送り、頭で液化したエーテルを胴体に戻すことで、循環のためのコンプレッサーが不要なのである。つまり、2つの球に一本しか管が無いが、傾いていた管が水平に戻ることでエーテルが循環するのである。

仮に巨大な水を飲む平和鳥を作れば、往復動作で若干の発電をさせることは可能かも知れない。あるいは巨大な平和鳥の胴体を部屋にいれ、壁に設置した支点より頭を部屋の外に出して頭が濡れるように水桶を用意すれば、平和鳥はヒートポンプとして働いて、部屋を冷房することができるはずである。

吸収型冷蔵庫は基本的にはアンモニアを水から気化させ、また水に吸収させるという、アンモニアの回転をボイラー部分のポンプ作用で行っているわけで、その意味では水を飲む平和鳥に近いのである。

ところで、アインシュタインが水を飲む平和鳥のメカニズムがわからず苦悩しているのを見て、弟子は「なら分解してみましょう」と言ったとか。しかし、アインシュタインは「分解してしまったら科学でない」、と言って拒否したと伝わっている。

ヒーターはサーモスタットによって摂氏5度以上で動作し、摂氏3度で停止するように調節した。この手の装置は動作に適度なヒステリシスがあり、電子式はそれをシミュレートできるようになっているのが面白い。

なお、現在はAC100Vで動作しているが、必要があればDC12V仕様への改造も簡単だ。例えば50W1オームのメタルクラッド抵抗を2〜3個シリーズにしてボイラーのパイプに固定すればいいのである。吸収式冷蔵庫は最新のコンプレッサー式より効率は劣るが、音や振動が無く、熱源を選ばないので例えば太陽光温水器などと組み合わせて動作させることもできる。

冷蔵庫が動作しているかどうかは、後ろに手を伸ばしてコンデンサーが熱いかどうかで確認できる。音もなく動作する裏のパイプ臓物メカニズムが実に不思議であり、これに比べるとコンプレッサー式の冷蔵庫が知恵が足らない原始的な俗物に思えるようになったが、これが認識の変容というものだろうか。

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Vendee Globe2020の行方のナゾ

あけましておめでとうございます

さて、単独無寄港の世界一周レースVendee Globe2020は、先行する船たちがケープ岬を回って南大西洋に戻ってきたところである。

さて、状況は前回予想

Vendee Globe2020世界一周レースに見る最新外洋レース艇のナゾ

とはかなり変わっている。

現時点(1月8日)ではフォイル艇(水中翼付き)が10位以内に6隻、ダガーボード艇(ノンフォイラー)が4隻と、ダガーボード船が予想以上の成績である。こうなった最大の理由は、高速のフォイル艇での船体強度に対する不安からではないかとWebmasterは想像している。そのせいか、フォイル挺はうねりのある海面ではどれも20ノット以上の高速を避けているからだ。

リタイヤには様々な原因があるものの、リタイアした7隻がすべてフォイル艇であることが、その高速性が船体および様々なパーツに対して大きなストレスとなっている可能性がある。

1)フォイル艇の船体強度の不安。

象徴的なのは、最速を誇るAlex THOMSONのHUGO BOSSで、1位で航海していたが、喜望峰付近で船体前部の縦の構造材にヒビがみつかり補修し、その後ラダーの損傷でリタイヤとなった。Alexはそれまで20ノットを超える速度を多用していたために、船体強度に問題が出たのであろう。

もうひとつが、Kevin ESCOFFIERのPRBである。PRBはVincent RiouがVendee Globe 2012で使用した船で、フォイルを付加するなど近代化改装されているが、悪天候下の喜望峰付近で3位で航海していたが船体が2つに折れて沈没した。幸い、スキッパー達の連携で、Jean LE CAMのYes We Cam!に救助された。

実はベテランであるJean LE CAMはVendee Globe 2008でホーン岬の前で転覆したところをVincent Riou のPRBに救助された経験があり、今回はそれが逆となったのである。なんという奇遇であろうか。

なお、Kevin ESCOFFIERはPRBチームのヨット設計士だったので船体強度については十分対策されていたと考えられるが、それでも船体に想定を超えるストレスがかかったのであろう。

2)UFO(正体不明の浮遊物)との衝突による船体損傷

今回もUFO問題は多数発生している。

Sebastien SIMONのARKEA PAPRECは、4位で航行中に右フォイルをUFOがヒットし、フォイルケースが破損して浸水した。ルール上フォイルのケースは破損しても船室に浸水しないように隔壁があるが、今回はその隔壁までが損傷し浸水したためにリタイヤとなった。この船は最新の設計のため、上位入賞が期待されていた。

その次が、Sam DAVIESのINITIATIVES-COEURで、UFOがキールにヒットしたため、キールケースの水密隔壁にヒビが入ってリタイヤとなった。幸い彼女の船は喜望峰の設備の良いサイトで早期に修理され、現在はレース参加外で世界一周を続けている。

最後が Isabelle JOSCHKEのMACSFで、Sam DAVIESのリタイヤ後に上位に進出していたが、ホーン岬直前の荒天でカントキールの作動装置が故障した。キールにはセンタリングでロックする非常用の機構があり、彼女の船はキールが垂直の位置でロックされたままレースを続けていた。しかし、ホーン岬から大西洋に入った時に荒天でセンタリングロック装置が故障しキールがロックできなくなった。さらにフォイルがUFOに衝突して損傷したために、リタイヤとなった。

3)ありとあらゆるパーツへの過大なストレス

シングルハンドで無寄港世界一周という3ヶ月に及ぶハードなレースではさまざまなパーツのトラブルが発生した。

一番ポピュラーなトラブルは、セールやマストの損傷で、突風やワイルドジャイブの衝撃で損傷することが多い。マストが損傷すると仮のマストを作りリタイヤするしかないが、セールの損傷は軽度であればスキッパーが修理できることもある。なお、マストについてはVendee Globe 事務所が標準設定したものを使うことになっていて、イコールコンディションである。

今回もNicolas TROUSSELのCORUM L'EPARGNEは大西洋を20ノット以上で快走していたが突風でマストが倒壊し最初のリタイアとなった。KOJIRO SHIRAISHIのDMG MORI GLOBAL ONEも早々にメインセールが損傷したが修理してレースを続けている。

次がカントキールの故障で、キールを傾けるラムと呼ばれる油圧シリンダーの損傷である。作動機構が故障した場合、垂直位でロックする機構があるが、Isabelle JOSCHKEの船ではロック機構も荒天で故障したようである。キールが固定されないと船のバランスが悪化するのでリタイヤするしか無い。

過去にはキールが損傷落下して転覆した船も多いため、最近はVendee Globe事務所が統一規格のものを供給し、船体の設計にもルールを設けている。今回もSam DAVIESとIsabelle JOSCHKEの船でトラブルが発生した。それ以外にも損傷にはいたらなかったものの、UFOのキールのヒットが報告されている。

カントキールの不具合もフォイル艇での速度や動揺による過大なストレスが関係していると思われる。フォイル挺はうねりを高速で走行したときに浮いた船体が波濤に衝突して激しい衝撃を受けるので、重いキールとその駆動機構にストレスがかかるのであろう。 キール駆動装置と油圧回路のトラブルも今回のVendee Globeで数件発生したが、スキッパーの技術とバックアップ体制で修理に成功している。

なお新しい試みとして、33隻中18隻に、マスト先端のカメラ画像をAIが判断することで進路上のUFOを検知して警告するOscar systemというシステムが搭載されている。しかし、多くのUFOは大半が水面下に潜っていて波浪があるため、残念ながら有効性はあまり高くないようである。

いずれにせよ、フォイルなどによる飛躍的な高速化に、多くのパーツは悲鳴を上げている状況なのである。

4)航法装置やオートパイロットへのストレス

今回はFabrice AMEDEOのNEWREST - ART & FENETRESで、彼の航法装置が2台とも故障したためにリタイヤとなった。航法装置は、事務局から送られてくる気象データーを表示し、画面上でコースを設定し、それがオートパイロット(自動操舵装置)と連動して進路保つ装置である。

Vendee Globeでは基本的にセイルやラインなどの操作はすべて人力ウインチで行うのが鉄則だが、流石にシングルハンドで世界一周をするためにオートパイロットは認められている。その電力は基本的には太陽電池、風力発電、水量発電等でまかない、非常用に発電機を搭載している。また入港時に必要なエンジンは許可されているが、いずれも燃料搭載量に制限がある。

オートパイロットは航法装置からの入力対して、コンパス、風向、風力、速度、ヒール角度などの情報を処理して操舵する装置である。ヨットを操縦したことがある人ならわかるだろうが、船は波浪を超えるたびに船首が左右に揺れる(ヨーイング)ので、通常は揺れる前に当て舵をすることで一定の方角を維持できる。そのタイミングや量には経験が必要だが、最新のAI技術でかなり細かい当て舵を行うようになっている。

風上に向う場合は、風が強いときには船は風上に向かおうとするが、風が弱くなると速度が落ちてしまうので、風力に合わせて上がりの角度を常に微調整しなくてはいけない。また風下に向う場合は不意にブローチングしないように安全方向に舵を切る必要もある。

さらにフォイルの登場で、船が大きくヒールしたまま高速で走行するようになったが、その状態で舵を左右に動かすと、船尾を上下に動かす(ピッチアップ、ピッチダウン)が発生する。フォイルでの走行中にピッチが変化すると危険なので、ヒール角を一定に保つような操舵も必要となる。

従って、AIとはいいながら、スキッパーが高度に電子化されたオートパイロットを船の特性や航行条件で細かくチューンする必要がある。さらに船が高速化してフォイルなどの新技術が導入されたために、オートパイロットと操舵メカニズムは素早く対応する必要があるため、機械的な負担が大きくなっている。

オートパイロットは基本的には進路の磁針方位を最初に設定するが、それに対水速度やマストトップの風向風力の情報も必要である。しかし、これらの情報が荒天やセンサーの不具合で間違った情報を送ってくることがあり、オートパイロットが混乱して不調に陥ることがある。さらに3ヶ月に及ぶ航海で常時動作するため、操舵のリンケージや油圧機器に故障が発生しやすい。

このため、船には航法装置、オートパイロット、操舵メカニズム、風向風力計などセンサー類のスペアを積んでいるが、それでも足らない場合はスキッパーが自ら修理するしかない。さらに機器は高度にAI化されているため、一度設定が狂うと、再度初期化、再設定しなければいけない。この初期化と再設定がかなり厄介なのだ。

オートパイロットの簡易型は数万円からあり、多くのクルーザーが装備している。簡易型は磁針方位だけだが、値段が高くなるにつれてセンサー類が増えてくる。基本、システムを初期化すると、まず風が無い穏やかなな海面で数回8の字を走行し、磁針を安定させる。その上で速度や風向風力の条件を付加して行き、最終的に意図したように走るようにするまで調整するのが大変なのである。

今回も荒天などで風量風向計などが不調になり、オートパイロットが錯乱して初期化を行ったというニュースが複数あった。通常は航法装置とオートパイロットの組合せにはメインとスペアとがあり、切り替え可能なようにできているが、南氷洋での流氷安全線付近でオートパイロットが不調になると非常に危険である。

今回Webmaseterが興味を持ったのは、Sebastien DESTREMAUのMERCIでのトラブルである。彼の船の操舵リンケージが壊れ、自己流で修理を行った。その後もさまざまな故障が発生するが、メーカーのサポートを受けながらスキッパー自らがオイルポンプやリンケージ、操舵角センサーなどをワンオフで修理しながら、リタイヤ寸前に何度もなりながら今も走行を続けている。

スキッパーはかなり変わった人間で、ビデオの抽象的な発言の真意を測りかねるが、意外やメカに明るくサバイバル能力があるようだ。おそらくVendee Globe事務局もいつリタイヤになるか、はらはらしながら見守っているのだろう。

無寄港世界一周とはいいながら、入港しても桟橋につかず沖に停泊し独力で修理することは認められている。今回もLouis BURTONが島影でBUREAU VALLEE 2のマストにのぼり、修理後に上位復活を果たした例もある。マストの頂点には風力風向計、GPS、レーダーを始め、複数のジブやメインセールのハリヤード類など重要なパーツが多数存在するため、スキッパーは航行中にマストに登って修理するシーンも多い。

感心するのは、どのスキッパーのサバイバル能力が高いことで、女性といえども重いウインチを回してセールを変えたりトリムし、航法装置をチューンし、電子回路やメカ機構の故障を修理できなくては行けない。タフでなければサバイバルできないのだ。

というわけで、Vendee Globeは厳しい南氷洋から大西洋に舞台がうつったところである。しかしVENDEEまでには複数の高気圧、低気圧、前線があり、荒天もあれば無風域もある。また、氷山とぶつかる心配が無い代わりに、大西洋には無数のUFOがうようよしており、衝突の危険も多い。

そんななかで、今回のVendee Globeはフォイル船の圧倒的勝利に終わるかのように思えたが、その高速性のため船体やパーツへのストレスも大きく、UFOとの衝突の被害も大きくなる。そのため、うねりのある状況ではフォイル艇も高速を活かすことができず、現時点ではダグボード艇を振り払う状態にはなっていないところが面白いのである。

なかでも、ベテランのJean LE CAMのYes We Cam!はダグボード艇でありながら、常に最適なコースを選び、最低限のタックとジャイブで常に上位を確保しているにいるところが実に渋いのである。同じ航海情報からでもストラテジーは無数にあり、その選択にはやはり経験と知恵が有効なのである。かれがどう考え、どう船を導くのか、そして、どのような結果になるのか、その過程をリアルタイムで観察できるのが、現在のVendee Globeなのである。

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